二次創作小説(新・総合)

失った記憶 ( No.156 )
日時: 2019/01/28 12:00
名前: 月詠 (ID: y68rktPl)

~?side~


なんか冷たく、湿ったものが額に乗せられてる。
ゆっくりと目を開ける。
見慣れない……というより、見たことのない天井だ。


「起きたか」


ぼんやりと天井を見ていると、男の声がした。
そっちを見れば、黒い髪と目の男……というより、少年が椅子にいた。
……………目つき悪いなぁ。
なんとなく周りを見る。
どこかの部屋らしく、俺はベッドに寝かされてたようだ。
額から何か落ちた。
それを掴んで見ると濡れたタオルだった。


「………ちょっと待ってろ、おふくろにあんたが起きたのを伝えてくる」


少年は椅子から立ち上がって部屋を出ていく。
再び天井を見上げ、こうなる前の記憶を探ろうとして。


「…あれ……?」


こうなる経緯どころか、自分のことが分からなかった。


~?side end~

失った記憶 2 ( No.157 )
日時: 2019/01/28 12:01
名前: 月詠 (ID: y68rktPl)

雑炊を作りながらため息を吐き出す。
疲れた、めっちゃ疲れた。
調べるためにトライアルを連れ帰って、まずはツキトと一悶着。
次に始と剣崎を呼んでトライアルシリーズだと確認してもらったはいいが、二人がトライアルが気絶してるうちに倒そうとしてそれを止めて。
どっから情報が漏れたのか、トライアルを調べようと研究者や化学者がやってきて対応して…。


月音「ホントに誰が情報を漏らしたのやら…」

「おふくろ、あいつ起きたぞ」


愚痴を漏らしたら長男であり、二人目の弟子である燐がやってきた。
燐にはトライアルの見張りと、起きたら報告という任務を出していた。
暴れたら絞めるようにとも、ね。


月音「長く寝てましたね…彼…」

燐「むしろよく寝てたままでいられたよな」


あー……Wジョーカーと軽く乱闘になったり、化学者系統の奴らを軽く絞めたりしてたな…。
遠い目をしながら完成した雑炊が入った、一人用の土鍋とレンゲと水を入れたコップを鍋敷きを敷いたお盆に乗せる。


燐「トライアルに持ってくのか?」

月音「はい。誰かから情報を得るにはまずは食べ物を食べさせる……それが一番だと思いまして」

燐「餌付け?」

月音「そういえばあなたにもおやつあげましたね、拾ってここに着いてすぐに」

燐「思い出さないでください」


私が思い出しながら言うと、頭を下げられた。
弟子兼我が子からのお願いだから、思い出さないことにするか。
ついでに思い出したことを告げる。


月音「それと、トライアルなんですが剣崎から許可をもらってトライアル一真と名付けました。トライアルのままだとトライアルシリーズと間違える可能性もありますからね」

燐「あー、うん…りょーかい…」


トライアル、もといトライアル一真のことについて言ってから部屋へと向かった。

失った記憶 3 ( No.158 )
日時: 2019/01/28 12:03
名前: 月詠 (ID: y68rktPl)

部屋に入るとトライアル一真はベッドの上で上半身を起こし、何やら難しい表情をしていた。
と言っても、ほぼ無表情なんだけどね。
チェイスとかと比べたら分かりやすいよ、うん。


月音「気分はどうですか?」


そう声をかけれぱこちらを見て、少しだけ瞬きしてから彼は僅かに首を傾げる。


トライアル一真「…さっきの子、の…お姉さん…?」


おや?、となってしまう。
私は騰蛇と昌浩とともにトライアル一真と戦った。
だから私のことを敵と認識してるはずでは?
…………もしや……いや、まさかね…。


月音「いえ、母親です」

トライアル一真「……若すぎない?」

月音「色々あるんです。雑炊を作りましたが食べますか?」


答えると僅かに眉を寄せて呟き、それに返してから質問すると頷いた。
折り畳み式のミニテーブルを“ワープ”で持ってくると、お盆を椅子に置く。
ミニテーブルを組み立ててベッドに置き、そこにお盆を乗せた。
ついでに土鍋の蓋も開けた。


月音「出来立てなので気をつけてくださいね」

トライアル一真「ん…」


頷いてからトライアル一真は雑炊をレンゲですくい、一口食べた。
一瞬固まって目を見開いて雑炊を見て………黙々と食べていく。
しばらくはその様子を眺めていたが、引っ掛かっていたものを質問する。


月音「食べてる時に申し訳ないんですが、聞きたいことがあるんですが……」

トライアル一真「ん?」

月音「起きる前に何をしてたか覚えてますか?」

トライアル一真「……覚えてない…それに、自分のことも分からない…」


ああ、やっぱり。
思わず心の中でそう呟く。
彼はどうやら記憶を失っているらしい。
……しばらくは様子を見て、演技かどうか確かめよう。
もしかしたら私達を欺こうとしてるかもだし。
それに剣崎達が不穏なこと言ってたしなぁ。
「トライアルなのは間違いないがアンデッドの気配に嫌なものが混ざってる」って…。

失った記憶 後書き ( No.159 )
日時: 2019/01/28 12:04
名前: 月詠 (ID: y68rktPl)

「「偽りの剣を救い出せ」シリーズ第四話、「失った記憶」でした」

燐「餌付けしてる件」

「泣きながらおやつ食べてたのは誰だっけ?」

燐「すみません!」

「そしてトライアルはおそらく記憶喪失に」

燐「……前回のを見たけど、あれくらいでなるもんなのか?」

「話が進めば分かります。それではこの辺で」