二次創作小説(新・総合)

記憶と契約 ( No.165 )
日時: 2019/02/14 19:33
名前: 月詠 (ID: 9yNBfouf)

~トライアル一真side~


見知らぬ白い部屋。
濃い血の臭い。
焼けるような熱。
もはや何が痛いか分からないほどの苦痛。
喉は切られて声帯を潰され、声も出せず、目を見開くしかない。


「これでいいな」


体の中をかき混ぜられていた感触が止まる。
いつの間にか脂汗が流れており、気持ち悪い。
けれどそれ以上に流れて体から無くなった血と溢れる涙で視界がぼやける。
つけられた傷などが治っていくのが感覚で分かる。


「さてと後は適当にするか。そういえば、あいつ……今はなんて名乗ってたっけ?彼から聞いてた名前はたしか…」


ぼんやりとその言葉を聞く。


―――………ん…


不意に聞こえてきた声。


―――…い…ん…


誰の声だったか?


―――…いれん!


思い出そうとして。


―――青蓮!


その瞬間に俺は目を開く。
目の前では、月音が安心したような表情になっていた。


~トライアル一真side end~

記憶と契約 2 ( No.166 )
日時: 2019/02/14 19:34
名前: 月詠 (ID: 9yNBfouf)

用事があって中に入った書庫。
そこにいくつか置いてあるソファーのうち、一つのそれにトライアル一真が珍しく昼寝していた。
というか、細長いのに器用に丸まってきちんとソファーに収まってるのがすごいな。


月音「てか、他元世界の料理対決の資料を読んで寝落ちしたのか?」


床に落ちてる資料を拾ってテーブルに置く。
何でこれを読んでたんだろう…?
少し疑問に思いながらもトライアル一真を見る。
その表情は苦痛を堪えるようなもので、汗が流れている。
これ、悪夢の類いかもな…。
そう思い、彼を起こすことにした。


月音「青蓮」


名前を呼んで体を揺する。
が、起きない。


月音「青蓮」


先程より揺する力も強くする。
それでも起きない。


月音「青蓮!」


心配になってきて、声を大きくした。
まったく起きないその様子に舌打ちし、声に魔力を込める。


月音「青蓮!」


すると、トライアル一真は目を開いた。
安心しながらも様子を見る。
汗は大量に流れており、目は虚ろで焦点が定まっていない。


トライアル一真「……あ…、っ……つ…」


彼がその次に続けた私の名前に、表情は消えた。

記憶と契約 3 ( No.167 )
日時: 2019/02/14 19:36
名前: 月詠 (ID: 9yNBfouf)

すっかり汗が引いて、目の焦点も合ってソファーに座ったトライアル一真から聞いた夢の話。
それに頭を抱えてしまった。


月音「下手したらグロ注意の表記が出る…」

トライアル一真「えっと…ごめん?」

月音「いや、青蓮が悪いわけじゃないから謝るな…」


思わず素の口調になった。
不思議そうにトライアル一真は首を傾げた。


トライアル一真「口調が違う…?」

月音「あー…さっきのが素なだけです。そこは気にせず」

トライアル一真「………ふーん?」


なんか納得してない雰囲気なのは無視しよう。


月音「と、とりあえず私のあの名前を知ってたので、契約をすることになります。条件は二つ。一つは私のあの名前や情報は知らない者には言わないこと」

トライアル一真「うん」

月音「そしてもう一つは、場合によっては私を殺すことです」


そう言った途端。



ドンッ



何かがぶつかったような、そんな音がした。
すぐに口を閉ざし、静かになる。
次いで、ボソボソと小声で何か喋る声。
速攻で“ワープ”を使った。

記憶と契約 4 ( No.168 )
日時: 2019/02/14 19:37
名前: 月詠 (ID: 9yNBfouf)

“ワープ”を使って捕獲したのは、仮面ライダーブレイドの変身者の剣崎一真と、仮面ライダーリュウガの変身者のリュウガだった。
どうやら二人は書庫にある資料を読みに来てたらしい。
その時に私の名前や契約の条件を聞いてしまったとか。
そこまで知られた場合、本来なら契約の対象なのだが…。


月音「剣崎とリュウガは契約対象であると同時に、契約が出来ない条件も満たしてるから対象に出来ないという……!」

トライアル一真「出来ないの?」

月音「既にツキトとある契約をしてるからなんですよぉ…」

剣崎・リュウガ「ツキトと契約してて良かったと思ってる」


ツキトの件が無かったら契約してたよ、マジで。
その代わり、後で殴るけど。
ため息を吐き出し、とりあえず魂から大鎌を取り出す。
もう契約するか。


月音「青蓮、今から契約します。かなり痛かったりしますが、我慢してください。私も痛いので」

トライアル一真「……うん」

リュウガ「大鎌取り出したこととか痛いとかどういう…」


リュウガの言葉を無視し、立ち上がった私は意識を集中する。
数秒すると私の胸からあるものが出てくる。
たまに赤や白が浮かんでくるが基本の色が月色なこと以外は、普通の蓮の花に見えるもの。
ただし白だけは紫みを帯びていたり、緑みがかっていたり青みがかったりと三種類ある。
それを躊躇なく、大鎌で斬った。
瞬間、私に激痛が走った。


月音「がぁああ…っ!!」

剣崎「月音!?」


五度目だが慣れない痛みに膝をつく。

記憶と契約 5 ( No.169 )
日時: 2019/02/14 19:38
名前: 月詠 (ID: 9yNBfouf)

痛みを堪えながら立ち上がり、私は蓮から二枚の花弁を取る。
蓮は僅かに傷ついてるが、修復されていく。
こうしないと契約に必要なものが取れないんだよな…。
蓮が私の中に入ると、花弁をトライアル一真に差し出す。


月音「ん、これを…飲んで、ください…」

トライアル一真「え……飲むの……?」

月音「ドン引きすんな、飲みやがれ。無理矢理飲ませんぞ」

トライアル一真「飲みます」


ドン引きしてるトライアル一真に真顔で言えば、彼はすぐにそれを受け取った。
少し眺めてから意を決したように飲み込んだ。


剣崎「そういえば、さっきの蓮って何?」

月音「私の魂」

リュウガ「と…青蓮、さっきの吐き出せ!」

月音「吐かすな、契約が出来ない」


痛みが段々と引いていくのを感じながら言う。
いや、ホントに契約出来なくなるから吐かすのはやめてくれ。
というか、トライアル一真。
左手の甲に月色の蓮の模様が出てるから契約が完了してるんだけど……何で平然としてるの?


月音「青蓮、痛くないんです?」

トライアル一真「少しも」


どうやら私達は相性が良いらしい。
相性が良ければ良いほど痛みが少なくなる……受け手側が。
私は必ず痛いんだけどね!
貴虎の時は酷かった、あまりの相性の悪さに私にまでさらなる痛みが来て一ヶ月は寝込んだし…。
思い出して遠い目をしてしまった。

記憶と契約 後書き ( No.170 )
日時: 2019/02/14 19:39
名前: 月詠 (ID: 9yNBfouf)

「バレンタインにバレンタイン小説ではなく「偽りの剣を救い出せ」シリーズを更新です」

剣崎「契約してないけど、ある名前と契約条件を知ったがためにトラ一真の代わりに後書きに出張した剣崎です」

リュウガ「同じくリュウガだ」

「本当に何で二人が来たし……」

リュウガ「資料読みに来てた」

「……………さて、記憶を少し取り戻したトライアル一真と契約しました」

剣崎「(流したな、これ)
俺、本気でツキトと契約してて良かったと思ったよ…」

リュウガ「これ、最終的にどうなるんだろうな」

「ほぼ行き当たりばったりだから分かりません」

剣崎・リュウガ「おい」

「でもある程度決めてはあるので。それではまた今度」