二次創作小説(新・総合)

偽りの剣vs風の大鎌 ( No.190 )
日時: 2019/04/16 12:18
名前: 月詠 (ID: /48JlrDe)

斬りかかってくるTブレイドのブレイラウザーを蓮月の柄で受け止める。
勾陣は右の筆架叉でセリシアの剣を受け止めると、左の筆架叉で斬りかかる。
バックステップで避けたセリシアを追うように紅蓮が炎を放った。


六合「月音、そいつは任せた」

月音「りょーかいです」


六合の言葉に頷き、鍔迫り合いのようになってる状態だが腕から力を抜く。
突然のことにバランスを崩したTブレイドに風を纏わせた回し蹴りを食らわせる。
食らい、当たった瞬間に爆ぜた風の威力で大きく吹き飛ばされた彼へ接近し、再び蹴りを放つ。
防御したもののさらに吹っ飛んだTブレイドの先に、私は魔力で生成した異空間への出入り口が現れた。
その中に入ったTブレイドに続いて私も入る。


セリシア「させるか!」

昌浩「それはこっちの言葉だ!」


そんな言葉を聞きながら、出入り口を閉じた。

偽りの剣vs風の大鎌 2 ( No.191 )
日時: 2019/04/16 12:19
名前: 月詠 (ID: /48JlrDe)

三日月が浮かび、星が瞬くような夜空。
不気味な雰囲気を放つ森。
そこが私の生成した異空間。
………適当に生成された異空間のくせに、何でこうなった。


月音「青蓮…」

Tブレイド「……」


呼び掛けてもTブレイドは無言で立ち上がり、ブレイラウザーを構える。
どうやら何か返してはくれないらしい。
あの吸血鬼野郎、本当に何をしやがったんだ?
舌打ちし、蓮月の刃に風を纏わせると接近する。


月音「風斬り」


斬りかかるがTブレイドが避ける。
蓮月の刃先が地面に突き刺さり、風が爆発して鎌鼬となり、刺さった部分の地面を八つ裂きにした。


『SLASH』


聞こえてきた機械音声と、嫌な予感がしてその場からすぐに離れる。
そちらを見て一閃されたような軌跡が見えて僅かに冷や汗を流した。
音声からしてスペードスート、カテゴリー2のスラッシュリザード……つまりは切れ味が増していたのだ。
確実に危なかった。
いくら復活手段があるとはいえ、痛みはあるのだからなるべく攻撃は受けたくない。


月音「というか、やっぱり強くなってる…」


嫌な予感を感じて避けたり、最初に斬りかかられた時に受け止めた時にも気づいていたが力が増している。
多分、連れ去られた後に人間を喰わせられたり瘴気などを取り込まされたか…。
あの吸血鬼野郎、本当に殴りたい。

偽りの剣vs風の大鎌 3 ( No.192 )
日時: 2019/04/16 12:20
名前: 月詠 (ID: /48JlrDe)

ブレイラウザーの刀身と蓮月の刃がぶつかりあう。
時々、Tブレイドがラウズしたり私が技を出したりする。
今は最強ステータスだが、いつ普通か最弱に切り替わるか分からない。
その前になんとかしたいのだが…。


Tブレイド「……俺、は…」

月音「!青蓮?」

Tブレイド「もう、みんなといられない…」


どこか虚ろで、苦しみに満ちた声。
どういうことなのかと思ったが、彼が続けた言葉で察してしまう。


Tブレイド「俺はアンデッドの細胞と、人間のデータから生まれて……ブレイドを…剣崎を倒そうとして…………気づいたら生き返ってて、けど、セリシアに連れ去られて…」

月音「青蓮、お前…」

Tブレイド「体の中を、弄られて…人間、を、喰らって……!」


ブレイラウザーを握る、Tブレイドの手が震えている。
彼はどうやら記憶を取り戻したらしい。


Tブレイド「人間を喰らった…人間じゃない俺が……みんなと、一緒にいる資格は…」


Tブレイドが袈裟斬りにしてこようとする。
私はほんの一瞬だけ考えて…。



ザシュッ!



蓮月を手放して、その刀身を受けた。

偽りの剣vs風の大鎌 4 ( No.193 )
日時: 2019/04/16 12:22
名前: 月詠 (ID: /48JlrDe)

ブレイラウザーが私の体に刃を滑らせた感触の後に我慢出来ないほどの痛みがやってくる。
そしてそれを追うように焼けつくような熱。
傷口からは血が溢れだし、地面を濡らす。


Tブレイド「ぁ……っ」


Tブレイドが私の血がついたブレイラウザーを落とす。
真っ二つになったり一瞬で行動不能になるレベルには斬られなくて良かったと、頭の片隅で考えながら近づく。
正直、気絶したいほどの激痛だが逆に利用して意識を留めている。
“キュア”で治癒するべきだが、そんなことするくらいなら伝えたいことを伝えたい。

後退りするTブレイドだが、何かに足を取られたのかその場に尻餅をついてしまう。
その隙にすぐに近づき、片膝ついて彼の変身を解いた。
虚ろなものではなく、戸惑い、動揺したような感情を宿したトライアル一真が現れる。
あぁ、ちゃんと感情がある、良かったと少し思ってしまった。


月音「トライアル」


わざとそう呼べば、トライアル一真の肩が跳ねた。


月音「人間じゃないことや剣崎を倒そうとしてたことは事実だし、それに関しては当事者同士で話し合ってもらうしかないが……お前は、自分から進んで人間を喰ったのか?」

トライアル一真「ちが、う…っ!」


俯き、首を振る彼。
だろうな、と、こっそり苦笑する。
なんとなくだが、怨霊とかそういった類いのものが憑いてないことからそれは分かる。

偽りの剣vs風の大鎌 5 ( No.194 )
日時: 2019/04/16 12:23
名前: 月詠 (ID: /48JlrDe)

トライアル一真の頬に手を添えて顔を上げさせ、伝えたいことを言葉にする。


月音「なら、みんなといられないとか言うな……一緒にいる資格は、とかも言うな。少なくともウチは、館の奴らはお前といたい」


額を合わせて語る。
一緒に過ごした時間は他の奴らと比べれば短いが、それでも。


月音「だから、一緒にいよう、青蓮」

トライアル一真「で、も…っ」

月音「青蓮、ウチがお前につけたこの名前の意味を覚えてるか?」

トライアル一真「……うん」


“青蓮”という名前。
私が自分だけで考え、その意味まで考えたもの。
私と、トライアル一真しかその名前の意味を知らない。


月音「雨や曇っててもその上にある青空のように、泥の中から綺麗に咲く蓮のように自分を見失わないように。……青蓮、お前はどうしたいんだ?」


額を離し、微笑んでやる。
血を流しすぎたのか意識が朦朧としてきたが、喋るのに支障が出ないように無理矢理に保つ。
激痛は麻痺してしまって感じなくなってしまったが。


トライアル一真「……いた、い………みんなと、いたい…っ」

月音「なら、一緒に帰ろう」


静かに涙を流すトライアル一真。
彼の頬から手を離し、別の異空間に入れていたマフラーを取り出して着けてやる。
その時に、淡い緑色の光が私達から発せられた。

偽りの剣vs風の大鎌 後書き ( No.195 )
日時: 2019/04/16 12:24
名前: 月詠 (ID: /48JlrDe)

「シリアスぶっ壊して申し訳ないが、この話を書きながら思ったのはトライアル一真はヒロインかな?」

トライアル一真「いきなりそこ?」

「いや、だって……記憶喪失になったり敵に連れ去られたりヤバイ術式埋め込まれてたり、あげくにはみんなといたいって泣くから…」

トライアル一真「ひ、ヒロインじゃないから…」

「とりあえず……この書きたかったシーンがやっと出ました、“青蓮”という名前の意味。後に蓮の花言葉をいくつか調べてなんとも言えない気分になりましたが」

トライアル一真「意外と本気で考えてた件」

「シリアスで考えるなら漢字と意味もきちんと考えますよ。それではこの辺にてー」