二次創作小説(新・総合)

吸血鬼vs神々と陰陽師 ( No.202 )
日時: 2019/05/11 12:07
名前: 月詠 (ID: lQjP23yG)

~第三者side~


三人の神将と陰陽師の少年に邪魔され、トライアル一真と月音が異空間へと入ったのを易々と許してしまったセリシア。
目に怒りを宿した彼は、昌浩達を睨む。


セリシア「貴様ら……っ」


怒りと殺意の表情を浮かべたセリシアは妖気を発する。
それは淀んでおり、酷く穢れている。
人間の血だけではなく、その肉まで喰らったのか?
思わずそう考えてしまう。
セリシアの姿が一瞬、ぶれたかと思うといつの間にか六合に肉薄していた。
既に剣で斬りかかってきている。


六合「!?」


驚きながらも反射的に銀槍を盾のように構えた。
金属のぶつかりあう、高い音がきぃんと響く。
セリシアが持つ剣が振るわれ、六合の銀槍が防いだのだ。
払うように銀槍を振るとセリシアは跳躍して後退する。
そこに筆架叉を構えた勾陣が接近し、斬りかかるのだが剣で防がれ、素早く腹に蹴りを入れられる。
かはっと空気の塊が漏れ、やたらと強いそれに勾陣は吹っ飛ばされてしまう。


昌浩「勾陣!」

紅蓮「勾!」


ちょうど勾陣が吹っ飛ばされた先にいた紅蓮が、彼女を受け止める。
しばらく咳き込んでいた勾陣は、紅蓮から離れる。
骨が軋むような感覚がしたが、今は無視するしかない。


勾陣「すまん、騰蛇…」


セリシアを睨み付ける。

吸血鬼vs神々と陰陽師 2 ( No.203 )
日時: 2019/05/11 12:07
名前: 月詠 (ID: lQjP23yG)

セリシアは怒りを目に宿したまま、言葉を紡ぐ。


セリシア「よくも私の実験を邪魔したな…!殺す!!」

昌浩「実験…?」


小さく疑問を呟く昌浩。
それが聞こえたのかセリシアが話し始める。
口元に歪んだ笑みを浮かべて…。


セリシア「そうだ、実験だ。人間を喰らうほど強くなる術式と穢れや瘴気を取り込むことで強くなる術式……今まで様々な種族に埋め込んだが人格や心が壊れたり、壊れなくても異形や肉塊と化していた。それでも諦めずに様々な実験台を捕まえてはあの術式を埋め込んでいた……その時にあの実験台を見つけた」

六合「あの……?」


あの実験台。
その言葉に思わず疑問を浮かべる四人。
だがすぐに紅蓮が思い至る。
今、異空間で月音と戦う存在を。


紅蓮「まさか…!」

セリシア「そう、貴様らがセイレンなどという名で呼んでいる実験台だ。あれは良い、人格や心が幼いのかあまり育っていないのか分からないがなかなか壊れないから反応などのデータも録りやすく、再生能力も高いのか肉塊などにもならない………まさに素晴らしい実験台!だが、強くなって抵抗されるのも困るから私に従うようにする術式と、情報が漏れないように記憶を操る術式も埋め込んだ」


だが、とセリシアは続ける。


セリシア「あの人間に貸したのは間違いだったな。まさか貴様らに差し向けた上に戦わせて……連れて帰られたとは言え、回収すらしないとは。すぐに記憶を弄ったからなんとかなったが、異世界や異空間に行かれれば私に従わせる術式は機能しなくなる。私は世界や空間を越えられないからな、思わず舌打ちしたよ」


その言葉で理解する。
基本的に館の中で過ごしていたトライアル一真が何故、初めて会った時のように攻撃してこなかったのかを。

吸血鬼vs神々と陰陽師 3 ( No.204 )
日時: 2019/05/11 12:09
名前: 月詠 (ID: lQjP23yG)

ふとそこで気づく。
体が動かないのだ。
視線を自分の体に向けると、あの時のような黒い霞があった。


セリシア「あの実験台がこの世界に戻ってくるまでは手出しは出来ない。が、いなくなる前までに録っていたデータはあったからな……それらを元に私は私に人間を喰らう術式と瘴気と穢れを取り込む術式を埋め込んだ」

勾陣「!?」


驚きに目を見開くが、セリシアは無視する。


セリシア「そして人間を喰らい、瘴気などを取り込んで自分を強化した頃にあの実験台は戻ってきた。まだ他にもやりたい実験があったから、嬉しかったがな。彼からもらったこの力もまだ色々と試したいが……燃費が少し悪くてな。あの人間は血だけは美味いがあまり力はなかった……喉も渇いてきたことだ…」


ゆっくりと昌浩へと歩み寄る。
神将達や昌浩は動こうとするが、黒い霞のせいで体がぴくりとも動かない。


セリシア「貴様の血と、肉をもらうぞ」


歩み寄りながら剣を突きつけ、セリシアは笑う。
そして間合いに入ると剣を振り上げた。


昌浩「!」

紅蓮「昌浩!!」


反射的に昌浩は目を瞑り、紅蓮は叫ぶ。
そして、剣が降り下ろされ…。



ガキィインッ!



金属音が響き、振動を感じる昌浩を少し冷たいものが包む。
それらを不思議に思った彼が目を開ける。


昌浩「…青蓮、殿?月音殿…」


自分がいた場所には、赤いマフラーを巻いて服が紅く染まったトライアル一真の持つブレイラウザーがセリシアの剣を受け止めている。
動けない自分を抱え、切り裂かれた部分を中心に服が紅くなった月音は昌浩がいた場所より後ろにいた。

~第三者side end~

吸血鬼vs神々と陰陽師 後書き ( No.205 )
日時: 2019/05/11 12:10
名前: 月詠 (ID: lQjP23yG)

「だいぶ時間がかかりました…」

トライアル一真「吸血鬼野郎に色々詰め込んだからじゃない?」

「正論はおやめください。いや、セリシアを狂った野郎にしようとして失敗したのは事実だけどね?ちなみにだいたいは前回の異空間内の出来事と同じくらいの時間がかかってる設定な感じです」

トライアル一真「ところでこっちは戦闘描写が少ないのは何で?」

「セリシアを狂気にまみれた野郎にして失敗した。以上で失礼しました!」