二次創作小説(新・総合)
- 君臨するは偽りの剣王 ( No.206 )
- 日時: 2019/05/13 14:29
- 名前: 月詠 (ID: rBo/LDwv)
~第三者side~
驚いて目を見開いていたセリシアだが、自分の剣を受け止めたのがトライアル一真の持つブレイラウザーだと気づいて表情を戻す。
セリシア「あぁ、戻ってきたのか。ちょうどいい、あの神々を殺せ」
そのまま何でもないように命令する。
強制的に従わせる術式を埋め込んであるからこそ、いつものようにそうしていた。
トライアル一真「断る」
セリシア「……何?」
いつもなら拒絶の雰囲気を漂わせながらも従うはずが、断られたことに眉を顰める。
と、そこで気づく。
トライアル一真から術式の気配が、穢れ、瘴気を感じられないことを。
トライアル一真「俺が殺すのはお前だ、吸血鬼」
彼の瞳が緑みを帯びる。
よく見ないと分からない程度だが、確かな変化である。
ブレイラウザーに風を纏わせ、セリシアの剣から離すと素早く斬りかかる。
セリシアはすぐに後退し、驚愕して先ほど以上に目を見開く。
セリシア「な……っ!?」
トライアル一真はその場でさらにブレイラウザーを振るう。
すると鎌鼬が発生し、神将達と昌浩の動きを封じる黒い霞を切り裂いて消し去った。
突然の解放に少しよろけるが、すぐに体勢を立て直す。
月音は昌浩を離すと、彼は思わず彼女の服を見た。
切り裂かれ、空気に触れたからか黒く乾いてきたもの。
夜だからか詳しくは分からないが、肌の色も白くなっている。
昌浩「月音殿…」
月音「ウチは大丈夫です、青蓮が“キュア”で治してくれたんで。……ただ、奴は青蓮にやらせてほしい」
小さく微笑み、そう言って神将達を呼び寄せた。
- 君臨するは偽りの剣王 2 ( No.207 )
- 日時: 2019/05/13 14:30
- 名前: 月詠 (ID: rBo/LDwv)
セリシアに接近し、ブレイラウザーを袈裟懸けに降り下ろす。
けれどセリシアはそれを黒い霞で防ごうとしてみるが。
トライアル一真「邪魔だ!」
トライアル一真が一刀両断した。
距離を取りながら忌々しそうな表情をするセリシアだが、それも当然のことだった。
人間を喰らうことで強くなる術式。
穢れや瘴気を取り込んで強くなる術式。
厄介な敵にさせないための細工を仕込んでいたとはいえ、その二つの術式によって彼を強化させたのは奴である。
そこに加えて何故か風を操るという力も得ている。
神将達は月音と昌浩に近づき、セリシアとトライアル一真の戦いを見ていた。
月音以外には疑問があった。
何故、様々な術式を埋め込まれているはずの彼は操られずにいるだけでなく、新たな力を持っているのか。
それを感じ取ったのか、月音は静かに口を開く。
月音「どういうわけかは知らないが、私と青蓮の間にある契約の力が強くなったんです。そのせいかあいつに埋め込まれてた術式は消え去り、取り込んだことで溜まってしまっていた穢れや瘴気は浄化されました。驚きましたよ、色々。しかもまさかあいつが風を操ることが出来るようになるなんて…」
紅蓮「なるほど……それとさっきから気になってたが…」
月音「素の口調が混じってるのは気のせいです」
逆手で持ったブレイラウザーでセリシアに斬りかかるトライアル一真を見る。
さらに距離を取ったセリシアを見て、トライアル一真は既にカテゴリーAのラウズカードがセットされたブレイバックルを取り出す。
そのまま流れるように自分の腰へと押しつけ、ベルトが出現して固定された。
トライアル一真「変身!」
『Turn up』
ブレイバックルからオリハルコンメレメントが現れる。
ブレイラウザーを構えたまま走り、潜り抜けたトライアル一真の姿がTブレイドへと変わった。
- 君臨するは偽りの剣王 3 ( No.208 )
- 日時: 2019/05/13 14:32
- 名前: 月詠 (ID: rBo/LDwv)
Tブレイドの勢いは止まらない。
『MAGNET』
『BEAT』
スペードスート、カテゴリー8のマグネットバッファローの力で引き寄せ、そこをカテゴリー3のビートライオンで強化した拳で殴る。
セリシア「がは…っ!」
Tブレイド「これは、俺を実験台にした怒り!」
『MASH』
吹っ飛んだセリシアへとカテゴリー9のマッハジャガーをラウズし、接近。
『SLASH』
Tブレイド「これは、今までお前に従わせられた怒り!」
セリシア「ぐぅう…っ!」
カテゴリー2、スラッシュリザードンで切れ味を増したブレイラウザーで容赦なく下へと叩きつけるように斬りつける。
地へと叩きつけられ、立ち上がるセリシアを睨みながらも距離を取り、三枚のラウズカードを取り出してラウズする。
『KICK』
『THUNDER』
『MASH』
カテゴリー5、キックローカストがジャンプする。
カテゴリー6、サンダーディアーが角から放電する。
カテゴリー9、マッハジャガーが素早く走る。
三枚の青い光のラウズカードが、ブレイラウザーを地に突き立てて構えたTブレイドへと吸収された。
『ライトニングソニック』
Tブレイド「そしてこれが……貴様のせいで犠牲となった、犠牲者の苦痛と悲しみだ!!」
超高速での助走を加えて空中高くジャンプし、電撃を纏った右足で跳び蹴りを放った!
セリシア「くっ………があああ!!」
Tブレイドが離れた場所で着地する。
その背後で、セリシアが爆発した。
- 君臨するは偽りの剣王 4 ( No.209 )
- 日時: 2019/05/13 14:33
- 名前: 月詠 (ID: rBo/LDwv)
終わったのかと全員が思った。
だが、妖気は消えていない。
セリシア「あ"ぁ……あぁあ"ああぁ"あ"ぁ"ぁあああ"!!」
怒りに満ちた声を響かせ、爆発したはずのセリシアが現れる。
Tブレイドが振り向けば、着ているものはぼろ布と化し、ところどころ傷ついているものの再生していく皮膚のセリシアがいた。
セリシア「実験台、風情がぁ…!」
憤怒によりぎらぎらと瞳をぎらつかせる姿を見ても、Tブレイドは気にしなかった。
奴は敵なのだと認識しているのもそうだが、もはや自分を倒すほどの力は無くなってると理解しているからだ。
Tブレイド「だからと言って、手を抜く気はない」
放置すればまた、誰かが犠牲になるかもしれない。
あるいは更なる力をつけてやってくるかもしれない。
ならば、ここで完全に終止符を打つ!
- 君臨するは偽りの剣王 5 ( No.210 )
- 日時: 2019/05/13 14:33
- 名前: 月詠 (ID: rBo/LDwv)
そんな思考を読み取ったのかは分からないが、月音はあるものを取り出す。
Tブレイドの名前を呼びながら投げられたそれを受け取って見た彼は、マスクの下で驚きの表情を浮かべ―――引き締める。
使い方はこの目で見て、知っている。
Tブレイドは左腕にそれ―――本来のものとは違い、赤の部分が黒く、スペード部分が銀色となったラウズアブゾーバーをセットする。
流れるようにカテゴリーQのアブゾーブカプリコーン、カテゴリーKのエボリューションコーカサスを装填した。
『ABZORB Q』
『EVOLUTION K』
現れるのは十三枚のカード。
Tブレイドを囲むように旋回し、やがて一枚ずつ融合していく。
最後の一枚が融合されると同時に、変化が起こる。
マスクの複眼は赤から緑へ色を変え、マフラーは僅かに発光すると腰までのマントへと変わる。
そこにいたのは仮面ライダーブレイド・キングフォーム。
本物と違い、複眼は色が変わり、マントがある。
セリシアは僅かに後退する。
本能的に悟ったのだ。
――――――勝てない、と。
『スペード10 J Q K A』
TブレイドKFが連続でラウズする。
二人の間に五枚の光のカードが出現し。
『ロイヤルストレートフラッシュ』
Tブレイド「はあぁぁぁぁっ!」
五枚のカードを潜り抜けるように、斬撃が放たれる。
斬撃はカードを通り抜けるたびに強化されていき、そして。
セリシア「ぁ……」
セリシアへと到達し、消滅させた。
- 君臨するは偽りの剣王 6 ( No.211 )
- 日時: 2019/05/13 14:35
- 名前: 月詠 (ID: rBo/LDwv)
しん、と静かになる。
セリシアの妖気は感じられない。
それはつまり…。
昌浩「青蓮殿が、勝った…」
昌浩の言葉に月音が頷こうとした時。
バッターン!
いきなり何かが倒れる音がした。
驚いて見れば、いつの間にか生身に戻ったトライアル一真が倒れている。
月音「青蓮!?」
六合「……どうした?」
全員が駆け寄って様子を確認する。
と、トライアル一真から規則正しい呼吸が聞こえる。
よくよく見てみれば、目を瞑っていて……眠っていた。
思わず脱力する五人。
すぐに月音は苦笑しながら小さくおかえりと呟いた。
~第三者side end~
- 君臨するは偽りの剣王 後書き ( No.212 )
- 日時: 2019/05/13 14:36
- 名前: 月詠 (ID: rBo/LDwv)
「頑張ってこの話をなんとか一日で書ききりました…」
トライアル一真「たしか一昨日が最初の一文まで、昨日が吸血鬼野郎の最初のセリフの前にある名前部分だけだっけ?」
「そうなんですよ……めっちゃ大変でした…。でも書きたかった青蓮のキングフォームへの進化シーン書けて満足」
トライアル一真「たしか次はエピローグ的なのだっけ?」
「いえす。とりあえず、以上で失礼しました」