二次創作小説(新・総合)
- その出会いは何をもたらすのか? ( No.273 )
- 日時: 2020/05/04 22:50
- 名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)
数台の黒塗りの車と、一台のバイク
目的地に着くと車が停まり、機材などを抱えて人が降りてくる。
バイクも停まり、乗っていた人物は降りながらヘルメットを脱ぐ。
ジャケットに隠していた、長い赤毛を出しながら長い金髪に白衣を着た女性と、長い金髪を三つ編みにして首からネックレスチェーンに通した指輪を提げた少女に声をかけた。
その目線は、宙に浮かぶもの。
「確かに亀裂だね~、こりゃ……。なんか分かります?了子さん、キャロル」
フィーネ「今はフィーネだ。あれを調べるために来たんだろう」
キャロル「錬金術の観点でも分からないがな……奏も気をつけておけ」
奏「りょーかい」
金髪の女性――櫻井了子、もといフィーネはツッコミを入れ、金髪の少女――キャロル・マールス・ディーンハイムは注意を促す。
赤毛の女性――天羽奏は頷きながら、宙に浮かんだそれを見た。
穴は開いていないが、まるでガラスに何かが強くぶつかったかのような蜘蛛の巣状の亀裂だ。
周りの者達が機材を設置している間に、奏は邪魔にならず、けれどすぐにでも助けに行ける位置へと移動する。
キャロル「しかし……今にも割れそうだな…」
機材を調整しながらキャロルが亀裂を見上げた。
確かにとフィーネが頷こうとした時、奏の携帯が着信音を鳴らす。
奏「はい、もしもし」
『奏さん、あなた方の近くに“ノイズ”が出現しました!どうやらあなた方の方へと移動しているみたいです!!あの子にも向かってもらっていますが、気をつけてください!』
奏「了解だ、ウェル博士」
男性――ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスの連絡にそう返し、彼女は首から提げているペンダントのトップ部分を握った。
- その出会いは何をもたらすのか? 2 ( No.274 )
- 日時: 2020/05/04 22:51
- 名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)
静かに彼女は唇を開き、紡ぐ。
起動に必要な詠唱を。
奏「Croitzal ronzell Gungnir zizzl」
奏の紡ぐ歌声に反応し、ペンダントトップ――待機形態のシンフォギアは光り、形を変える。
彼女を光が包み込み、そして晴れる。
ぴたりと沿うような黒と朱色を基調としたインナースーツに、しなやかな体躯には合わないような機械的な装甲とツノのようなヘッドセットを纏った姿に変わって。
両手首を合わせるようにすると、手首の装甲が組み合わさる。
それを天に向かって射出させるようにすると、大きな刃を持つ槍へと変化した。
槍を持ち、フィーネ達から少し離れると特徴的な音が聞こえてきた。
見えてきた極彩色なそれらを睨む。
奏「来たか、ノイズども……いくぞ…!」
たんっ、と。
強く地面を踏みつけ、彼女は極彩色なそれら――ノイズの群れへと突っ込んだ。
――――――ノイズ。
それは統一言語を奪われた、太古の人類が生み出した人間のみを殺す殺戮兵器。
「バビロニアの宝物庫」と呼ばれし太古に建造されしものから来る存在であり、宝物庫が消滅しない限り限りなく生み出される存在。
生み出された理由などから空間からにじみ出るように突如発生し、人間のみを大群で襲撃する。
触れた人間を自分もろとも炭素の塊へと転換させ、発生から一定時間が経過すると自ら炭化して自壊する特性を持つ。
一定範囲以内に人間がいなければ、周囲を探索したりはせず自壊するまであまり動くことはないため、一般人などは捕まらずに逃げ回るという対処法しかない。
特徴としては生物的な外観、各々が奇声を発すること。
個体ごとに形状やサイズには差異があり、人間と変わらないほどから建物をも超えるものまで様々。
ただし外見上の共通点として、どのノイズにも液晶ディスプレイのように輝く部位が存在する。
ノイズ同士の合体・分離も可能であり、それに伴い形態を変化させることもある。
中にはその合体・分離能力を用いて切り離した部位を爆発させたり、ノイズを弾丸の如く射出したりと兵器のような攻撃手段を持つ個体も存在する。
ノイズは「位相差障壁」と呼ばれる、物理法則から切り離された状態での活動が出来る力がある。
これを自在に操ることで自らが干渉する際に触れることが出来るように、相手が干渉する際に触れることが出来ないようにすることが可能。
シンフォギアはその力を無効化することが出来る、そのために唯一の対抗策と言われている。
- その出会いは何をもたらすのか? 3 ( No.275 )
- 日時: 2020/05/04 22:53
- 名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)
BGM『君ト云ウ 音奏デ 尽キルマデ』(「戦姫絶唱シンフォギア」挿入歌)
歌声が響きながら、奏の持つ槍……アームドギアの刃がノイズを切り裂き、貫いていく。
その歌と戦闘音をBGMにして、せっかく設置した機材を持って避難を始める。
奏をすり抜けてノイズがフィーネ達へと接近する。
が、 静かに琴の音が紡がれて。
キャロル「無駄だ」
暗い紫の装甲を纏うキャロルの、華奢な手首の装甲から発せられた弦に絡め取られた。
すぐに奏の方へと投げられ、槍に貫かれて消える。
奏「大丈夫か!?」
キャロル「ああ、大丈夫だ。さっさと終わらせろと言いたいが…」
ちらりとノイズの群れを見る。
奏のアームドギアにより減っているはずのその数は、まったく変わっていない。
キャロル「仕方ない、少しだが加勢してやる……本気は出さずにな」
奏「ありがとな」
キャロルの弦がノイズを捕らえ、刻んでいく。
緑の魔法陣のようなものが出現すると、そこから風が放たれてノイズを斬り裂いていった。
奏が槍を上空に投擲する、と大量の複製の槍が現れて広範囲のノイズを貫いた。
『STARDUST∞FOTON』
本物の槍を回収し、残り少なくなったノイズの群れを殲滅しようとした時。
がしゃんっ、と何かが壊れる音が聞こえてきた。
思わず振り向くと、亀裂は割れてしまっている。
その内部らしき、様々な色と大きさの無数の光が浮かぶ漆黒空間が広がっていた。
同時に奏とキャロルの隙を突いてノイズ達は二人を通りすぎ……空間へと入り込む。
奏「な、待て!!」
フィーネ「ダメだ、入るな!奏!」
嫌な予感を感じた奏はフィーネの制止を無視してノイズを追いかけ、その空間へと入り込み。
瞬く間に空間は消えた。
- その出会いは何をもたらすのか? 4&後書き ( No.276 )
- 日時: 2020/05/07 08:11
- 名前: 月詠 (ID: xV3zxjLd)
その連絡が来た時は本当に驚いた。
だが、あれに対抗する力を持つ者で自分しかいないということもあり、彼女はすぐに動くことにした。
携帯の通話を切り、一緒に買い物をしていた少女に申し訳なさそうにするが。
響「ごめん、未来……任務が入っちゃった…」
未来「大丈夫よ。それに翼さん達はまだ寝込んでるって聞いてたし……気をつけてね」
響「うん!未来は避難してて!!」
ショートボブの黒髪の少女――小日向未来の言葉に頷き、響は走る。
目的地には、“もう現れないはず”のノイズ達がいる。
服の中からペンダントを出す。
トップ部分は赤い円柱状の石のそれを。
響「Balwisyall Nescell gungnir tron」
響が歌うとペンダントトップ――待機形態のシンフォギアが光り、彼女を包み込む。
光が晴れると姿は変わっていた。
白とオレンジを基調にしたインナースーツと翼のようなマフラーがひらめいており、手足には機械的な武装、頭にはツノのようなヘッドセットを纏った姿に。
BGM『限界突破 G-beat』(「戦姫絶唱シンフォギアGX」挿入歌)
歌うことで纏うシンフォギアの出力が上がり、脚部に備わったパワージャッキが引き絞られる。
それが弾かれて戻ると、その勢いによってスピードが上がる。
二、三回ほど繰り返した時には目的地に着いていた。
今にも避難し遅れた女性へと触れようとしたノイズを、勢いをそのままに殴り飛ばした。
「な……っ!?」
響「今のうちに逃げてください!」
女性は驚いていたが響の声に我に返り、つんのめりながらも走って逃げていく。
彼女を追おうとするノイズを振り向くと同時に後ろ回し蹴りを放つ。
彼女へとノイズが迫るが、見たことのある槍が飛んできてその場に突き刺さる。
奏「大丈夫……!?シンフォギア装者か!」
ノイズを追ってきた奏が響を見て驚く。
けれど、響は目を見開いて棒立ちになってしまう。
何故なら。
響「え……かな、で…さん…?」
あの時。
三年前のツヴァイウィングのライブで、“亡くなった”彼女がいるのだから。
歯車が音を立てて回り始めた。
――――――
後書き
二話目が書けました!
今のところはクロスオーバー要素もオリキャラ要素も一切無しです!
……正直、書いてて楽しい。
次回こそは料理対決の裏回を載せたいなぁ…。