二次創作小説(新・総合)

異なりし双つの世界 ( No.359 )
日時: 2020/10/27 15:57
名前: 月詠 (ID: niONRc09)

現在、「S.O.N.G」は混乱していた。
無理もない、世界で“二人”しかいない装者の片割れがいなくなったのだ。
キャロルやフィーネの証言により、奏は調査するはずだった亀裂が広がって現れた空間へと入り込んでしまったと聞いている。
彼女が入り込むと同時に亀裂ごと空間は消え、ノイズもしばらくしたら姿を消したことも。
オレンジみを帯びた茶髪の少女が不安そうにし、藍色の髪の老いた女性が彼女の肩に両手を乗せ、安心させようとする。
ウェルなどが何度も通信を試みるが、まったく繋がらない。
彼女の安否を心配し始め……。


「不法侵入で申し訳ないけど、奏さんの居場所なら知ってるよ」


少年の声が響いた。
驚き、全員が聞こえてきた方向を見た。
そこには二人の見知らぬ人物がいた。

片方は眼帯をつけている。
長い白髪に、瞳は翡翠色で左目に眼帯がつけられている。
愛らしく、一見すると少女に見える顔立ちだが見える喉には喉仏があるので、少年だろう。

もう片方はどこか本能的に警戒してしまう。
肩までのざんばらに切られた髪と瞳は黒。
カッコいいと言える顔立ちをしていて、背が高い。

そんな謎の少年達は白髪の方は少し困ったように苦笑し、黒髪の方は面倒くさそうにしてこちらを見ていた。

異なりし双つの世界 2 ( No.360 )
日時: 2020/10/27 16:03
名前: 月詠 (ID: niONRc09)

~月音side~


ある程度、奏が落ち着いてから意識不明になっていた者達が私服に着替えてきた。
その間に奏は真っ赤になった目元を濡れタオルで冷やしていた。
冷やし終わり、戻ってきた意識不明だった者達を見た彼女は戸惑い、泣きそうな表情になった。
まぁ、その理由を知ってるから、私としては仕方ないとしか思えないけど…。


「あの……あなたは?」


少し警戒しながらこっちを見る、髪の一部を左側でサイドテールのようにした青いロングヘアの女性……風鳴翼が問いかけてくる。
いつの間にか戻ってきた麻琴は私の隣で煙管で煙を吸ってる。
今のお前は未成年だろ、何で吸ってんの?
いや、タバコじゃなくて燃やして煙にすることで効果が出る薬草を調合したものだから、体に害は無いのは知ってるけどさ…。
匂いもくさいんじゃなくて、青リンゴの匂いだけどさ…。


月音「私は月音といいます」


心の中でツッコミを入れつつ、自己紹介をする。
と、麻琴が煙管を咥えたまま不意に虚空を見た。
すぐに煙管を片手で持ったかと思うと、もう片手を懐に突っ込んで何かを取り出した。


コダマ『コダマ!』


起動されたそれ……コダマスイカライドウォッチが人型になる。
麻琴の手から降りると、コダマスイカライドウォッチは通信を繋げた。
空間にディスプレイのようなものが現れる。

異なりし双つの世界 3 ( No.361 )
日時: 2020/10/27 16:09
名前: 月詠 (ID: niONRc09)

ディスプレイに移るのは私の息子の一人である白髪の少年―――ツキトと、もう一人の息子である黒髪の少年―――御劔燐だ。
そこから少し離れた後ろの場所には、ある意味で私としては見慣れた人達がいた。
彼女達はこちら、正確には響達の方を見て驚いている。


月音「ツキト、燐、お疲れさまです。こちらは今から説明するところですが、そちらは?」

ツキト『まだだよ~。けど、百聞は一見に如かずっていうしめんどくさくなったから、一緒に説明してもらおうかなって』

燐『俺が止めるのも聞かずにコダマを出したからな、こいつ』


てへっ、という感じで笑うツキトを、燐は呆れたように見てる。
まぁ、異世界関連の説明はめんどくさいのは私も知ってるからな……仕方ない。


月音「分かりました。なら、私が説明しますね」

ツキト『お願いしまーす』

燐『悪い…頼んだ…』


苦笑しながら言うと、そう返された。
だが、説明しなくてもなんとなく察してくれそうだなーとも思ってしまう。
なんせ、“響と未来を除いた装者達と「S.O.N.G」所属の錬金術師、司令とラスボス達の生死が反転している”のだから。

異なりし双つの世界 4 ( No.362 )
日時: 2020/10/27 16:16
名前: 月詠 (ID: niONRc09)

モニター越しだろうとその目に涙が溜まっていくのが分かる、茶髪の少女―――セレナ・カデンツァヴナ・イヴが猫耳アレンジという髪型をしたピンクの髪の女性―――マリア・カデンツァヴナ・イヴを見ていた。
いや、マリアだけじゃない。
ツインテールの黒髪の少女―――月読調とショートの金髪の少女―――暁切歌にも視線が向けられている。
藍色の髪の老いた女性―――ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤも何かを堪えるような表情をしている。


セレナ『マリア姉さん……暁さんも、月読さんも…っ』

マリア「セレナ…マム…っ」

ナスターシャ『三人とも……そちらの世界では生きているのですね…』

調「セレナとマムが生きてる……」

切歌「ドクターもいるデス!?」

ウェル『………あ、ドクターって僕のことですか!?そっちの僕はあなた達にドクターと呼ばれてたのか…』


切歌が銀髪の男、ウェルに気づいたがスルーしよう。
三つ編み金髪の少女、キャロルは優しげな目付きと雰囲気なこと、小さな三つ編みなこと以外は瓜二つな少女―――エルフナインを見て硬直した。


エルフナイン「キャロ、ル…?」

キャロル『その、雰囲気……エルフナイン、か…?』


金髪の女性は風鳴弦十郎司令と、おさげのような髪型の銀髪の少女―――雪音クリスを見て泣きそうな表情になっている。


フィーネ『クリス…弦十郎…』

弦十郎「了子君…」

クリス「フィーネ…何で…」


正直、このまま話をしてるところを見たいがそれは無理なので…。
仕方ないから柏手を打って大きく音を鳴らし、こちらに注目させた。

異なりし双つの世界 5 ( No.363 )
日時: 2020/10/27 16:22
名前: 月詠 (ID: niONRc09)

こちらに注目してくれたので三度目の自己紹介をし、説明を始める。
といっても、「立花ワールド」と「天羽ワールド」は別の次元の同じ世界………つまりはパラレルワールドであること、大きな相違点が複数あること、今は探っている最中だが原因不明の次元亀裂が理由で二つの世界が繋がっていること。
まずはその三つだ。


月音「ちなみに響と奏の名字を使ってるのは単純にガングニールの装者が別人だからですね。アガートラームの装者の名前は本人達の気分的に嫌でしょうし、どちらも同じ名字だから区別しにくいですしね」

マリア「まぁ、確かに…」

セレナ『カデンツァヴナ・イヴですしね…』


あと、これは個人的なものだけど二人の名字って言いにくいんだよね…。


月音「さて、大きな相違点ですが…これの一つは分かりますね?」

弦十郎「ああ、かなりな」

ナスターシャ『互いの世界では死んでいる者が、互いの世界では生きていることですね?』

月音「ええ。正確には響と未来を除いたS.O.N.Gに所属する、装者と錬金術師、司令やフィーネ達の生死がですね」


私がそう言えば、全員が息を呑む。
が、奏が何かに気づいた表情をした。


奏「待って、響と……えーと、この子が未来か。この二人を除いて?」


視線が響と未来に集まる。
え?と響は戸惑い、未来も困惑の表情になる。


燐『それは調べるのを手伝ってた俺達が言うぞ』

ツキト『「天羽ワールド」にはどうやら“立花響”と“小日向未来”という存在はいないみたいでね。同じ色、形、波長の魂を持つ存在は見つけたけど名前はもちろん性別すら違うから、二人とは別人判定をしたよ』

燐『魂以外は違ったことから、“世界”からは平行世界の存在としてあまり認識されてないな』


我が家の長男と次男による説明。
納得したような、してないような微妙な表情をするシンフォギア世界の住人達には苦笑するしかない。

異なりし双つの世界 6&後書き ( No.364 )
日時: 2020/10/27 16:28
名前: 月詠 (ID: niONRc09)

相違点については話した。
次は何について説明すべきか考えてると、ウェル博士が話しかけてきた。


ウェル『あの……気になっていたのですが、次元亀裂とは?』


あっ、と思わず声が出た。


月音「すみません、その説明が抜けてましたね……次元亀裂というのは次元や世界が自らのものとは異なる次元や世界と繋がる亀裂のことです。自然発生することもありましてそうなると調べて見つけ次第、閉じるまではそこに近づかないようにするために色々するんです」


下手したらまったく違う時代や世界とか、過去の時間軸に行っちゃうことがあるからね。
次元亀裂のせいで何回かそういった事件もあったしな…。


月音「ただ、次元亀裂は自然発生もしますが人工的に発生することもあります」

翼「人工的に、ということはつまり……」

月音「はい、何者かが何らかの目的が次元亀裂を引き起こした可能性も存在します。自然発生だと繋がった先は基本的に定まってませんが、何者かが引き起こしたなら目的とする先へ繋げることが出来ます。例えば、誰かの存在を消すために過去へ行き、そこで誰かを殺す……など」


私が言えば全員の表情が強張る。
どうやら次元亀裂の危険性は理解してくれたらしい。
理解してくれて助かるよ、本当に。


月音「閉じてしまったとはいえあったのは事実なことと、今はまだ次元亀裂が人工なのか自然なのか分かってないので調査は続けてます。出来れば奏には次元亀裂を通ったことによる異常はないかをこちらで検査したいのですが…」

奏「……分かった、その検査を受けるよ」


シンフォギアを纏ってたとしても、生身の人間が次元亀裂の中に入ったのには変わりはない。
なので検査をしたいことを伝えたら、了承がされた。

その後、次元亀裂が閉じたので互いの世界を行き来するには境界……特に私が主をしてる境界の館を通るしかないことを伝え、生き方も教えて。
奏を検査のために連れて、境界に戻ることにした。
あ、もちろんツキトと燐、麻琴も一緒に戻るよ。


~月音side end~


――――――


後書き


「ようやく話が動いてきました、書いててちゃんと終わるのか不安になってるけど」

麻琴「不安になるなよ」

「今回はある程度の説明回ですね。キャラの見た目とか」

麻琴「そのわりにはかなり簡単だったな」

「本当はもっと詳しくやりたかったんですよ。でもナスターシャ教授とかの年齢とかがだいたいどれくらいかってのが調べても出なくて……結果、簡素に」

麻琴「そうか……」

「それではまた次回!」