二次創作小説(新・総合)
- 雪降る月の花嫁達 ( No.365 )
- 日時: 2020/11/01 09:17
- 名前: 月詠 (ID: wSTnsyhj)
※カップリング?要素、ネタバレ要素あり、注意してください
※時間軸はシンフォギア編後
※第三者視点
――――――
ことの始まりは名護(旧姓は麻生)恵からのお願いである。
ブライダル関連の企業の一つである「ヴァイスクライト」という会社が、十一月後半から十二月前半までの「クリスマスブライダルフェア」のために彼女が所属する事務所に依頼。
その事務所は依頼を受けたが、そこに所属するモデルの一人が拒否。
しかも発言力が強いのか勝手に依頼の受諾を取り消し。
困った会社は恵の事務所に依頼を回し、プライベートでもある自分の結婚式などで世話になったからと彼女が受けた。
………が、どうやらモデルの人数はカップル役などもあるので結構な人数が必要らしく…。
かといって所属事務所にいる他のモデル達は他の仕事や休みなどで、その仕事が出来ず…。
結果、そのことで他の世界の人達に協力してもらいたいということとなった。
月音本人は仕事関連だからということと、悠姫が興味を示したことの二つから承諾。
協力者を募り、念のために聞いていた必要人数よりも多く集めてから。
「仮面ライダーキバ」の世界へ移動した。
「ヴァイスクライト」の社長は集まった男女に感謝の表情をしていた。
ちなみに最初の事務所に回してそこのモデルに勝手に受諾を取り消された件は…。
「あちらが言うには、「結婚する前に着たら婚期が遅れるから」とのことでして……」
社長から教えてもらった、勝手に受諾取り消しをしたモデルの理由に聞いた者達は思わず呆れたのだった。
なお、件のモデルは事務所の許可もなく取り消したためか、しばらくは活動自粛。
活動が再開されても、一年ほど仕事は舞い込まなかったとか…。
- 雪降る月の花嫁達 2 ( No.366 )
- 日時: 2020/11/06 23:41
- 名前: 月詠 (ID: G/Xeytyg)
ウェーブがかった長い髪の美女妖怪―――毛倡妓。
彼女は着慣れていないウェディングドレスを見下ろす。
胸元は大きな胸を強調するためかハートビスチェでスカート部は腰から下までは真っ直ぐで細身のストレートラインで、その上に金糸で美しい刺繍が施されたソフトチュールのスカートが重ねるようにつけられているホワイトのドレスだ。
ウェディンググローブは二の腕半ばまでと長い。
被っているウェディングベールは尻を隠すくらいの長さであるミドルベールで、金糸の刺繍を施されている。
毛倡妓「まさか白無垢とか打掛とかじゃなく、ウェディングドレスを着ることになると思わなかったわね…」
「確かに。けど、よく似合ってる」
そこに同じく襟元に金糸で刺繍が入った、純白のタキシードを着た金髪の青年妖怪―――首無がやってきた。
さらに言うと白のネクタイも結び目のところに金糸の刺繍がある。
普段は浮かんでいる頭は、首が無いのを誤魔化すためか体に乗っている。
毛倡妓「ありがとう。首無もよく似合ってるよ」
首無「ありがとう。あ、そろそろ出番だって」
もうそんな時間かと思い、移動しようとして……あることを思いつく。
毛倡妓「エスコートしてくれる?“義賊さん”」
首無「……もちろんだ、“紀乃”」
彼女の意図を察し、彼は手を差し出す。
人間だった頃の互いの呼び名と名前。
それで互いをそう読んだ二人は、笑みを浮かべた。
- 雪降る月の花嫁達 3 ( No.367 )
- 日時: 2020/11/01 09:29
- 名前: 月詠 (ID: yyWFfh9m)
むすっと不機嫌そうな相手役の表情に、人身をとった勾陣は喉の奥で笑う。
それに彼―――同じように人身をとった紅蓮が睨むように見た。
紅蓮「何がおかしい」
勾陣「お前の反応だ。そんなに私の相手役は嫌なのか?」
そう言われ、紅蓮は改めて彼女を見た。
美しい白無垢姿だ。
錦織の白打掛には光の加減が無いと分かりづらいかもしれないが花の柄が描かれ、綿帽子を被っている。
いつもとは違い、清楚に感じられる。
紅蓮「別に勾と一緒に撮られるのは構わない。嫌なのは彰子に俺の姿が見られることだ」
勾陣「それを分かってるから、月音が交渉して私達の番は早めにしたんじゃないか?」
紅蓮「その月音がこの状況にしたがな」
彼の言葉に、あぁ確かにと彼女は納得した。
社長が見学に来た彰子の護衛役として来た天一と朱雀、勾陣を見て三人にもモデルになってもらえないか頼んだ時に交渉したのが月音である。
その時に勾陣の相手役として勝手に紅蓮を選んだのも月音だ。
勾陣「まぁ、騰蛇も似合ってるからいいじゃないか」
紅蓮「納得出来ん…」
紋付き袴を着た紅蓮はため息を吐き出した。
- 雪降る月の花嫁達 4 ( No.368 )
- 日時: 2020/11/01 09:40
- 名前: 月詠 (ID: Om7nks4C)
わぁ…っ、と昌浩と彰子から感心の声が漏れる。
二人の視線の先にいるのは陽の光のような金の長い髪に、晴れ渡る冬空や淡く凍てついた湖にも似た色の瞳の儚げな美少女―――十二神将の土将の一柱、天一……本名を天乙貴人だ。
彼女は赤…というよりは朱色に、鳳凰の柄が入った美しい色打掛を纏っている。
髪はいつもとは違う形で結い上げられ、ふわっと軽やかに見えるように纏められ、緩やかな花に見えるようにされて簪で留められている。
彰子「すごく綺麗……」
昌浩「うん…何でここに朱雀がいないのか不思議なくらい…」
天一「ありがとうございます、彰子様、昌浩様…」
天一が華のように微笑む。
唇には紅い紅がひかれており、いつもとは違う魅力が放たれてる。
と、そこに濃い朱色の髪とくすんだ金の瞳の、高校生くらいの少年―――同じく十二神将の火将の一柱、朱雀がやってくる。
彼は紋付き袴を着ていた。
ちなみにこのカップルもきちんと人身をとっている。
朱雀「天貴っ」
天一「朱雀…」
天一が嬉しそうに朱雀へと振り向く。
それを見た彼は一度ピシッと固まり……すぐに近づいて彼女の両手を、自分の両手で優しく包んだ。
朱雀「天貴……とても美しい…いつもの天貴も美しいが、今日はいつも以上だ」
天一「朱雀……あなたも、とてもかっこいいわ」
朱雀「天貴…」
天一「朱雀…」
二人は自分達の世界に入る。
こうなると長くなることは経験で知っている。
昌浩と彰子は互いに顔を見合わせ、苦笑した。
- 雪降る月の花嫁達 5 ( No.369 )
- 日時: 2020/11/01 09:48
- 名前: 月詠 (ID: lCrRYYeA)
胸元は胸上が真っ直ぐになったストレートビスチェで体のラインに沿い、腰下は広がったようなスカート部は前側は膝丈で後ろ側は床に引きずるほど長い引き裾―――ロングトレーンになったAラインのシルエットになったフィッシュテールのドレスは上から下へと淡いピンクから紫へとグラデーションになっている。
スカート部にはオーガンジーの生地で作られたのだろう、グラデーションに沿うように色がつけられた幾重ものフリルがついている。
淡いピンクのオーガンジーのウェディンググローブは肘までで、ベールは着けられていない。
マリア「こういうウェディングドレスもあるのね」
白や銀がパーソナルカラーの彼女だが、髪の色もあるのだろう。
不思議とマッチしている。
翔太郎「みたいだな。俺もこういうのは初めて見た」
上司である照井(旧姓は鳴海)亜樹子が結婚の時に着ていたのはミニ丈のもの。
そのせいかマリアの相手役として月音に依頼され、黒のタキシードに紫のネクタイという姿の翔太郎も見慣れてはいない。
………依頼を受けた理由は様々なNLカップリングが見れるかもという不純なものだが。
翔太郎「しかし残念だな、そっちのほとんどが来れないとは…」
マリア「仕方ないわ。切歌と響は補習、調と未来は本格的な体内浄化、翼は仕事の打ち合わせだもの。エルフナインとクリスが来ただけでもいいわよ」
思い出して苦笑する。
切歌と響は血涙が出そうなほど嘆き、相方である二人と翼とエルフナインは苦笑し、クリスはドン引きしていた。
とりあえず嘆いていた後輩二人のためにクリスが何枚か写真を撮っていたが。
本来は奏も仕事として来るはずだったが、あちらで歌手としての仕事が舞い込んでしまったのでセレナとキャロルのみになったということもあったが。
今はクリスが保護者代わりとして、三人と一緒に他のところに行っている。
そういえばと、タキシードの胸ポケットに挿して飾られた紫の薔薇の造花を思い出す。
本来はブートニアにするはずだったが、今回はそこまでするのではなく挿して飾るだけにしようとスタッフが判断したのだ。
それをポケットから抜き、マリアの髪へと挿した。
左耳の上側に来るように調節し、満足げに頷く。
翔太郎「やっぱりこういうのはマリアの方が似合うな」
ハードボイルドに薔薇とかは似合わねぇしと呟く。
もしここにフィリップがいたら「だからハーフボイルドなんだよ」と二つの意味で呆れられていただろう。
何せ、翔太郎の行動と言葉にマリアが照れやら何やらで顔を赤くしたことを、彼は気づいていないのだから。
- 雪降る月の花嫁達 6 ( No.370 )
- 日時: 2020/11/01 10:02
- 名前: 月詠 (ID: PGYIXEPS)
悠姫は思わず苦笑していた。
というのも。
紘汰「よし、月音が気づいてないうちに俺が悠姫の父親役をする。貴虎、悪いけど…」
貴虎「任せろ、葛葉。あいつが気づいたとしても阻止してみせる」
真剣な表情で人間姿の紘汰と貴虎が話している。
というのもバージンロードの写真も撮ると聞いたので、紘汰が悠姫の父親役に立候補したのだ。
光実「紘汰さんも兄さんも何やってるんだか…」
悠姫「さぁ……?」
さすがに呆れてる光実の言葉には、悠姫としては苦笑したまま首を傾げるしかない。
丸く膨らんだ短い袖―――パフスリーブでVネックの胸元はレースの模様があり、そこから切り替わってスカート部分が長いというエンパイアラインのウェディングドレスの色はオフホワイト。
スカート部分はソフトチュールで出来たスカートになっている。
ショートのウェディンググローブをつけ、髪は緩やかなシニヨンにして花の髪飾りで飾っている。
光実「それにしても……すごく可愛いよ。妖精みたい」
悠姫「あ、ありがとうございます…」
紘汰と貴虎を無視することにして、光実はドレス姿を褒める。
悠姫は顔を赤くし、照れてしまう。
相手役となる光実の格好はグレーのタキシードであり、小物は白で統一されている。
タキシードはやや光沢感があり、華やかだ。
悠姫「その、…光実さんも…かっこいいですよ…」
顔を赤くしたまま照れたように、それでも嬉しそうにふにゃっと微笑まれて言われて。
光実の胸が高鳴ったような感覚がした。
自分は舞さんのことが好きなはずなのに……。
心の中でそう、思わず呟いた。
- 雪降る月の花嫁達 7 ( No.371 )
- 日時: 2020/11/01 10:09
- 名前: 月詠 (ID: sxkeSnaJ)
身長は140ほどで胸はCくらいの少女に女体化したツキトは、楽しそうにしている。
珍しく眼帯が外されてるが左目の辺りに幻術をかけ、右目と変わらないものに見えるようにしている。
彼、いや、彼女が着ているのはウェディングドレスだ。
ぴったりと上半身部分は体のラインに沿っており、オフショルダーで胸元には刺繍が入っていてスカート部はパニエによって裾にかけてスカートがAラインのものより大きく広がっているプリンセスラインで淡い緑色。
腰には少し色が濃くて大きなバックリボンがついており、スカート部には同色のビーズが縫いつけられて輝いている。
ウェディンググローブは無く、髪は三つ編みハーフアップにしてミドルベールがつけられている。
そんな義弟……いや、今は義妹の姿に父親役として選ばれた、スーツ姿の燐はため息を吐き出す。
燐「楽しそうだな」
ツキト「楽しいよー。だって僕の性別だとウェディングドレスを着る機会とか一生ないと思ってたもん」
いや、精神的なものは仕方ないだろうが普段から女の姿でいれば、その機会は来ると思うぞ。
そう思ったが言わないでおく。
ツキトならその気になればやれるからだ。
ツキト「いやぁ、可愛いウェディングドレスが着れて満足だよ」
燐「そうか」
本当に満足そうだ。
ツキト「というわけで父親役、よろしくね!」
燐「はいはい……」
輝くような笑顔のツキトに再びため息を吐き出しながら返事をする。
父親役に選ばれなかった月音と草加から殺気を放たれてるだろう、相手役に同情しながら…。
- 雪降る月の花嫁達 8&後書き ( No.372 )
- 日時: 2020/11/01 10:15
- 名前: 月詠 (ID: sxkeSnaJ)
数日後。
撮られた写真のほとんどは「ヴァイスクライト」のホームページに掲載された。
「クリスマスブライダルフェア」への予約が増えたことで仕事を引き受けた恵に礼があったらしい。
なかなか着れない婚礼衣装を着て満足げにしたり、いつかは自分も…と考える者もいたが。
全員が楽しそうにしていたのだった。
――――――
後書き
「ウェディングドレス姿を書きたい欲に駆られて書いてたらさくさく書けた、びっくりなくらい」
「ちなみにウェディングドレスの色や形は私のイメージで書いてるので、それは違うという意見もあるのは知ってますのでそこはご容赦を」
「ではまた次回!」