二次創作小説(新・総合)
- 反転したが故の歴史(無印編) ( No.403 )
- 日時: 2021/01/06 21:40
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
※シンフォギアの原作とゲームアプリのネタバレあり注意!
※原作生存キャラの死亡表現、原作死亡キャラの生存表現あり注意!
――――――
~月音side~
自室の椅子に座って「天羽ワールド」の資料……というか小説を読む。
前にシンフォギア組には、彼女達が今まで歩んできた歴史はアニメやアプリゲームなどとして、色々な人に知られやすくなってると伝えたことがある。
全員が嫌そうな、戸惑ったような表情をしていたから主に戦い関連のことしか知られてないことや、過去の詳しいこととかは出てこないことも伝えたが。
原作での登場順に考える。
原作で奏はノイズに襲撃された、聖遺物発掘チームの唯一の生き残りだ。
家族を殺したノイズへの復讐を強く望んでいた。
シンフォギアの適合者になるべく制御薬であるLiNKERを過剰投与し、後天的なものだが装者となることが出来た。
……ただし、拒絶反応などで尋常じゃない量の血を吐き出したが…。
そのことを翼からは尊敬されていたが…。
月音「「天羽ワールド」の奏もノイズに襲撃された発掘チーム唯一の生き残り。だが、この時はフィーネは関与していなかった…」
いや、フィーネはこの時は“関与する気なんてなかった”。
彼らが発掘してからでもいいと思ったみたいだな。
………けど神獣鏡は回収してるんだね。
そこからは原作と変わらないな。
ノイズへの殺意と憎しみで要LiNKERの装者となり、戦場で助けた自衛官の言葉から歌手として翼とツヴァイウイングを結成したことも。
―――ネフシュタンの鎧を起動させるための、ツヴァイウィングのライブも。
月音「けれど、あのライブ会場に“立花響”の魂を持つ者はいなかった…」
小さく呟く。
おそらくだがそこだろうか。
彼女の運命が変わったのだろう。
- 反転したが故の歴史(無印編) 2 ( No.404 )
- 日時: 2021/01/06 21:46
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
制限時間が過ぎて稼働が出来なくなって戦闘力が低下し、適合係数の低さとLiNKER投与中断が重なった中で絶唱を歌い。
結果、それらの負荷が肉体の耐久限界を越えて、全身が塵となって死ぬ。
奏が辿る運命は、だいたいがそうだった。
月音「なのに、絶唱を歌い死んだのは…」
奏よりも適合係数が高く、絶唱の負荷が少ないはずの“風鳴翼”。
上手く動けなくなった相方を守るために、彼女はその命を散らしてしまった。
家族だけでなく、支えとも言える相方の喪失。
酷く荒み、ノイズへの激しい怒りと復讐心を再び奏は抱いた。
歌手活動も辞め、単身でもノイズと戦おうとするほどに。
だが、フィーネはそれを阻止するために動いた。
ある計画のためにも、LiNKERで適合係数を上げてるとはいえ奏も必要だったから。
だから“彼女”を使った。
自分の手駒として手に入れたばかりの“雪音クリス”を。
最初は大人なんて信じなかった“雪音クリス”に優しくし、自分を信用させてから奏や二課と会うように仕向けた。
月音「最初は二人の性格などから衝突したけど次第に互いの事情などを知り、仲良くなっていった……フィーネの思惑通りに」
フィーネと櫻井了子。
二つの顔を使い分け、二課では“雪音クリス”に会わないように気をつけつつ動いていた。
仲良くなり、無邪気な笑顔が増えてきたのを見て少しずつ自分が変わっていくように感じながら。
だが、その動きは無駄になる。
シンフォギア世界で人類から統一言語が失われた、否、奪ったバラルの呪詛の真実を知ってしまったから。
けれど、どうやって。
バラルの呪詛の真実を知ったのか。
アプリゲームである「シンフォギアXD」に出てくる平行世界の彼女でも、あれの真実は知らなかったっぽ感じだし。
本当に、どうやって知ったのだろうか?
- 反転したが故の歴史(無印編) 3 ( No.405 )
- 日時: 2021/01/06 21:53
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
………いや、今は考えるのはやめておこう。
なんか泥沼みたいなことになりそうな気がするし。
真実を知ってしまったフィーネは、自分がやってきたことは「あの御方」への裏切りになると分かって凄まじく荒れた。
荒れて、荒れて、荒れて………考えた。
自分が今までしてきたことを。
考えて、考えて……―――――決意した。
今代で悪役として貫き通し、最後には表舞台から消えることを。
自分の次代となる器になる子供達も集め、後に手を切ったとは言え繋がっていたとある国へといくつかの聖遺物などの横流しもしていた。
盗んだサクリストD……デュランダルも何日もかけて歌わせた“雪音クリス”の歌で起動させ、カ・ディンギルに設置した。
ネフシュタンの鎧すら持っていた。
笑ってしまうほど、準備が終わっていた。
バラルの呪詛、その源である月の破壊。
そのための準備が。
仕方ないから自分から離れようと画策していた“雪音クリス”を通して、計画の一部を漏らした。
これで最後だからと、いつもより優しさを与えて。
“彼女”が、奏と出会ってから少しずつ不器用な優しさを与えてくれるようになったと気づいてると、本人は知らずに。
月音「だが、とある国はフィーネを殺そうと部隊を密かに動かした」
自分達の元に武装した奴らが着く前に“彼女”をどうにか逃がしたまでは良かった。
けれど何も備えていなかった体では、蜂の巣にされるだけだった。
月音「それでも間に合った……」
連絡先を交換していた、二課と合流した“雪音クリス”が戻ってきたから。
計画など様々なことがバレてしまったが、生きることは出来た。
- 反転したが故の歴史(無印編) 4 ( No.406 )
- 日時: 2021/01/06 21:59
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
重傷のフィーネを二課のメディカルルームに送ってから。
集中的な治療により、一命を取り留めて容態がある程度良くなって色々と情報を入手出来るようになるまでの間に、彼女の住居を探索しようとしたが不可能だった。
とある国が密かに送り込んだ武装部隊が暴走したからだ。
とある国の狙いは、自分達と手を切ったフィーネの排除と、彼女の持っていた完全聖遺物の回収のみ。
だが、武装部隊は何を考えたか……というか、とち狂ったのか。
二課や“雪音クリス”がやってくる前、フィーネを蜂の巣にしてる間に回収したネフシュタンの鎧やソロモンの杖を使って侵攻を開始し始めた。
狙いは私立リディアン音楽院の地下にある二課の本部へのエレベーターシャフトに偽装されたもの―――荷電粒子砲「カ・ディンギル」。
「戦姫絶唱シンフォギア」世界では別名としてだが「バベルの塔」とされている。
言語が統一されていた古代の人類が神の領域に至ろうとシンアルの野に、建造したもの。
しかし神はそれを快く思わなかったのか、彼らが建造したこの塔を破壊し、同時にある呪いを撒き散らした。
それこそがバラルの呪詛。
フィーネや、バラルの呪詛を知る者達がそう認識していたこと。
真実を知るまで、「あの御方」へと想いを告げるために。
その源である月を穿つために。
自らの遺伝子を持つ子孫達の体を使って何度も甦り、人類のパラダイムシフトに関わってまで。
フィーネが造り上げた、兵器だ。
武装部隊はとある国の上層部からの帰還命令を無視。
ネフシュタンの鎧を纏ったリーダーが率いる武装部隊はスカイツリー辺りにソロモンの杖で召喚した飛行型や人型などのノイズで装者達を二課を制圧。
………するはずが、ノイズ以外では圧倒的な戦闘力を持つ“風鳴弦十郎”や現代の忍者である“緒川慎次”によって防がれた。
それでも彼らの腹や足に銃撃し、機動力などは削いだみたいだが。
…………うん、やれただけいいと思うよ。
だってあの二人、OTONAやNINJAとか言われてるし。
人間卒業してるし…。
- 反転したが故の歴史(無印編) 5 ( No.407 )
- 日時: 2021/01/06 22:05
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
とりあえず“風鳴弦十郎”と“緒川慎次”の戦闘力を失う代わりに、二課本部の防衛自体には成功。
ただ、それでも防ぎきれなかった部分もあったらしいがバックアップ以外のデータがある程度飛んだくらいらしい。
………武装部隊、銃とか持ってるのに何でそれくらいで終わるんだろうか……いや、確かにあの人達ならやれそうだけどね?
囮となった、スカイツリーのノイズを殲滅してから急いで戻った奏と“雪音クリス”が見たのは瓦礫と化したリディアン音楽院。
極彩色に輝く、カ・ディンギル。
そして、ネフシュタンの鎧を纏った、男…武装部隊のリーダー。
リーダーは自分達の国こそが覇権を握り、世界を支配すると二人の装者に告げた。
そのために月を穿ち、バラルの呪詛を無くす、とも。
バラルの呪詛が突然無くなれば人々は混乱すると分かった上で。
人を傷つけられない、けれど、人を守らなくてはならない。
二人はそんな矛盾した思いを抱きながらも、リーダーと戦った。
劣勢となりながらも。
相手が傷つけば傷つくほどネフシュタンの鎧に侵食されて人を辞めていきながら。
カ・ディンギルは月に標準が向けられ、設置されたデュランダルによってエネルギーが充填されていた。
あとはエネルギーを放ち、穿つだけという状態だった。
だからだろうか、“彼女”はリーダーの男へといくつかミサイルを放った。
放たれたミサイルのいくつかをリーダーはネフシュタンの鎧の武装である鞭で破壊し………数が少ないのに気づいた。
気づかれず、破壊されなかったミサイルに乗った“雪音クリス”はエネルギーリフレクターを展開し、絶唱を歌い。
カ・ディンギルのエネルギー砲と“彼女”の攻撃はある程度拮抗し、標準をずらし……。
月音「月の一部を欠けさせるだけに留めさせた」
原作と……「立花ワールド」とそこは変わらなかった。
イチイバルの反応を消失させながら。
- 反転したが故の歴史(無印編) 6 ( No.408 )
- 日時: 2021/01/06 22:14
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
一人となってしまった奏は、戦意を喪失しかける。
友が目の前から消えたのだ。
彼女のトラウマを、“風鳴翼”を失った時の記憶を刺激されてもおかしくなかった。
LiNKERの効果が切れた上、隙を作ってしまったと認識出来なくなるほど。
リーダーの男は月が穿たれなかったことに怒り、無数のノイズを生み出し……。
自らの体にソロモンの杖を突き立てた。
奏が気づいた時にはリーダーの体にノイズがくっつく……いや、取り込まれていった。
だが、取り込めば取り込むほどリーダーは正気……否、人としての意識などを失い、最後には化け物となってしまった。
どろりとした表皮のような赤黒い、ドラゴンともトカゲとも言いにくい化け物へ。
動揺した奏を化け物が攻撃すると、彼女はエネルギーが充填されかけたカ・ディンギルの壁に叩きつけられた。
壁が壊れて内部へと入ってしまいながら。
奏が吹っ飛ばされ、勢いが止まった場所は光に包まれたデュランダルがあった。
起動させれば「戦姫絶唱シンフォギア」世界では不朽不滅の、無尽蔵のエネルギーを持つ黄金の聖剣。
それがあった。
傷つき、上手く動けなくなるほどのダメージを負った上にシンフォギアの武装が解けた奏はデュランダルを見て。
まるで惹かれるように、導かれるように体が動いて。
デュランダルの柄を握った。
瞬間、デュランダルのエネルギーが奏に逆流した。
あまりにも強すぎる力は彼女の体を漆黒に染めていき、破壊衝動を植えつけていく。
少しでも制御しようと、破壊衝動に抗っていた時。
- 反転したが故の歴史(無印編) 7 ( No.409 )
- 日時: 2021/01/06 22:20
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
シンフォギアの武装が解けた“雪音クリス”が彼女の手の上からデュランダルを掴んだ。
適合係数は高いためにある程度は抑えられていたとは言え、絶唱のバックファイアを受けてボロボロになっていたが、それでも“彼女”は戻ってきた。
“彼女”曰く、「意外と近い場所に落ちた」とのことらしいが。
掴んだのは奏の手の上からとは言え、それでも強すぎる力は“雪音クリス”も漆黒へ染めていこうとする。
既に全身が漆黒に、瞳は真紅に染まって荒れ狂う破壊衝動に意識を呑み込まれそうになった時に。
動力が生きていたスピーカーを通じ、二課の者達の声援が響いてきた。
その声が、彼女達の中に荒れ狂う破壊衝動に呑み込まれそうになっていた意識に届き、覚醒させた。
破壊衝動を抑え込み、制御した。
力はシンフォギアに流れ込んで聖詠も無く起動させるだけに留まらなかった。
それぞれのパーソナルカラーを残しながらも純白となり、翼の生えたシンフォギア―――決戦機能でもある姿、エクスドライブモードに至った。
まさかの姿に二人が驚くのも束の間、そこにリーダーの男だった化け物が現れた。
人間だった頃の影響か、まだエネルギーが溢れ出すデュランダルを狙ったのか、咆哮を上げて口からエネルギーを放った。
どうするか二人は少しだけ考えたが、デュランダルを振り上げ―――振り下ろした。
デュランダルと化け物のエネルギーはぶつかりあい、拮抗した。
しばらくはせめぎあったがデュランダルのエネルギーが押し勝ち、化け物を呑み込んだ。
無尽蔵のエネルギーのデュランダルと無限の再生力のネフシュタンの鎧。
二つの完全聖遺物は対消滅を起こし、どちらも消滅しながら。
化け物を倒すことが出来た。
- 反転したが故の歴史(無印編) 8&後書き ( No.410 )
- 日時: 2021/01/06 22:27
- 名前: 月詠 (ID: 9igayva7)
けれど、そのことで安堵することも出来なかった。
ずれてしまったカ・ディンギルのエネルギー砲により出来た、月の欠片。
月の内部で欠けた時の衝撃が跳ね返り、地球へと向かってきていた。
原作や「立花ワールド」ではフィーネが往生際悪く、ネフシュタンの鎧の武装である鞭で引きずり落としてたけど「天羽ワールド」は衝撃の跳ね返りか…と思わず呟いたのは私だけだが。
月の欠片を穿つため、まだエクスドライブモードだった奏が向かおうとした瞬間。
“雪音クリス”が彼女を気絶させた。
フィーネの元にいた自分が始末をつけるからと。
二課の者達が、意識が戻ったフィーネが止めるのも無視して“彼女”は飛び立った。
絶唱を歌いながら空に留まり、近づいてきた欠片を……。
月音「エクスドライブモードな上、絶唱による攻撃で欠片は砕けた…」
“雪音クリス”の命と引き換えに。
適合係数は高いから少ないとは言え二度の絶唱の負荷と、カ・ディンギルの砲撃との拮抗に、ずれたとは言えそれを受けたか何かの衝撃。
度重なったそれらに肉体は耐えきれなかったのだろう。
原作や「立花ワールド」のクリスが無事なのは、おそらく響がいたからで…。
落ちてきた、イチイバルのギアペンダントを見て。
奏達は悟ってしまった。
“彼女”がどうなったかを。
月音「その後は両国で話し合い、とある国は二課に関しては武装部隊の勝手な暴走と片付けた。フィーネに関しては消えたということにしつつ、基本は「櫻井了子」として生きることになった……ちょっと揉めたらしいが」
主にフィーネと櫻井了子の関係で。
結果は「フィーネという亡霊に櫻井了子は乗っ取られて操られていた」ということになったらしい。
なんとも言えないものだな。
月音「次は第二期だが……これは資料を読みつつ、話を聞くか」
私はそう呟いて本を閉じる。
「天羽ワールド・ルナアタック」と表紙に書かれた資料……小説を。
~月音side end~
――――――
後書き
今回は「シンフォギア」世界・「天羽ワールド」の第一期での歴史について書きました。
いや、長い……本当は「天羽ワールド」の二期と三期も書く気でしたが長すぎて諦めました…最後が雑になったのは申し訳ない…。
ちょっと、ちゃんと完結するか不安になりましたが完結させます。
ちなみにとある国とぼかしてるのは諸事情です………。
ではまた次回!