二次創作小説(新・総合)

Re: マモノチューバーズ!魔王様、動画投稿始めました ( No.9 )
日時: 2018/05/30 15:20
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

『第二話』
【取ろうぜ100万!狙うは頂点!】

マリアチャンネルによる生放送から一週間が経過した...

魔王
「ど...どうなんだ、この間のアレは」

ジャガー
「はい...あれから一週間経過しましたが、ネット上で少し話題になった程度ですかね」

魔王
「そうか...本当に誰か見ていたのか」

ジャガー
「とりあえず、掴みはバッチリと言ったところでしょうかね」

魔王
「うむ...これが、ヘルチューバー...」

ジャガー
「ダメですよ、この程度で根を上げちゃ、魔王様がやりたいと言ったのですから」

ジャガー
「一応これもお仕事なんです、最低限食っていけるぐらいは稼ぎませんと」

魔王
「何...動画を撮るだけで金が貰えるというのか?単なる趣味ではないのか?」

ジャガー
「趣味で仕事はできません...なんでも、誰かが動画を見てくれた場合、この数だけお金になったりするらしいですね」

魔王
「す、凄いな...最近の仕事は...」

ジャガー
「ほんとですね、動画撮るだけでお金が手に入るなんて楽なものですよ」

ジャガー
(まぁ見てなきゃ意味ありませんが)

魔王
「それでジャガー...どれくらい見てくれればいいんだ?」

ジャガー
「そんなの、軽く100万は越えないと生きていけませんよ」

魔王
「えっ!?」

ジャガー
「そりゃそうですよ、芸人やタレントみたいなものですから、大半がつまらなくて埋もれていったものばかりですよ」

魔王
「む...」

ジャガー
「ですが、魔王様ならすぐに大物ヘルチューバーになれるって信じてますよ!」

魔王
「そういうこと言わないでくれ...凄いプレッシャー」

ジャガー
(少し厳しいかもしれないが...貴方様は魔王、例えヘルチューバーという事であろうと大きな事をやり遂げ、名を残してもらいたいのです!)

魔王
「そ、それで...改めてれびゅーとやらを考えなくてはいけなくなったか」

ジャガー
「akumazonで買いたい物がありましたら、なんでも言ってください」

魔王
「えっ...!?」

ジャガー
「動画を撮るためですからね?」

魔王
「分かってるさ」シュン

ジャガー
(魔王様、貴方には一肌脱いでもらいます!)

魔王
「ジャガー来い、お前も探すんだ」

ジャガー
「はい」

Re: マモノチューバーズ!魔王様、動画投稿始めました ( No.10 )
日時: 2018/05/30 21:48
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: Re8SsDCb)

魔王とジャガーは魔界の通販サイト『akumazon』で商品を検索する

魔王
「うむ...道具はこんなにあるのか?多すぎるぞ...」

ジャガー
「まずは無難に『やくそう』レビューでもしてみますか?」

魔王
「やくそうなんて誰でもやっているだろう...」

ジャガー
「誰でもやってることを避けるのもダメですよ!」

魔王
「それに...ただ『やくそう』といっても沢山あるのだな」

ジャガー
「ええ」

ジャガーがakumazonの『薬草』のカテゴリをクリックすると、様々な形の薬草が次々と映り出す

ジャガー
「近代化によって品種改良されていったので、普通の薬草でも会社によって効果が異なったりするそうです」

魔王
「近代化怖い...」

ジャガー
「とりあえず、どの会社にしておきますか?」

魔王
「む、むぅ...こんなにあるのか...」

ジャガー
「おやつみたいなものですから」

魔王
「おやつ感覚で回復されても困るだろうに...うーむ」

ガタガタガタッ

魔王が薬草を探していると、外から階段をかけ上がる音が

魔王
「誰か来たぞ」

ジャガー
「誰でもいいじゃないですか、チャンネル所属志望かもしれませんし」

「ここに魔王様は居るか!」

ジャガー
「ほら、来ました」

魔王
「む...よ、よくきたマリアチャンネル事務所へ」

「魔王様...ヘルチューバーになるなど、本気ですか!?」

魔王
「む?」

事務所に入ってきたのは...分厚い鎧から見える緑色の鱗と爬虫類の尻尾を持つ、オレンジの瞳をした女性...

魔王
「えーと...ドラゴン?」

リザードマン
「リザードマンです、翼がある方がドラゴンです」

ジャガー
「女性なのにマンなんだ」

リザードマン
「お前は少し黙っていろ!」

ジャガー
「なっ...大体貴方、何しに来たんですか!!」

リザードマン
「この姿を見れば分かるだろう!」

魔王
「....?」

ジャガー
「魔王様、城に兵士なんて雇ってましたか?僕は知りませんけど」

魔王
「いや...特には」

リザードマン
「兵士ではなく傭兵だ、雇い主はあのコウモリだ」

ジャガー
「コウモリさんが!?」

魔王
「な、なんだ...」

リザードマン
「無論、城に戻ってもらうためだ!!」

魔王
「えっ!?」

リザードマン
「...私の独断だがな」

ジャガー
「はぁ」

Re: マモノチューバーズ!魔王様、動画投稿始めました ( No.11 )
日時: 2018/05/30 22:20
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

魔王
「何故だ...何故我を?」

リザードマン
「魔王様が居るべきなのはこんなところではなく、魔城です、ヘルチューバーなんてバカな真似はやめて帰ってきてください」

魔王
「しかし、ヘルチューバーは我の意思で...」

リザードマン
「ヘルチューバーで成功できる人は一握りなんですよ」

魔王
「そんなもの知るか!とにかく城には戻らんぞ!」

ジャガー
「リザードマン、さてはあの生放送見ましたね?」

リザードマン
「ああ...どうせお前が何かしたのだろう?」

ジャガー
「いや、僕は魔王様の意見を尊重したまでで」

リザードマン
「お前がいなければ、あんなことは出来ないだろう!」

ジャガー
「...ま、そうですけど」

魔王
「何度言おうと、我はヘルチューバーをやっていくぞ!」

リザードマン
「.....」

魔王
「出ていってくれ...城に戻っても、我は得しないのだ」

リザードマン
「...また来ます、魔王様」

リザードマン
「その時には、考えを改めてくださいね」

ジャガー
「...」

リザードマンは扉を開け、帰る準備を始める...

リザードマン
「獣人...お前が側に居る限り、魔王様は幸せにはなれない」

ジャガー
「...あんたが魔王様に強要する場合もね」

リザードマン
「...フン!」

リザードマンは扉を力強くしめ、蛇のようにすらすらと消えていく

魔王
「あ、ジャガー...この赤色の良さそうじゃないか」

ジャガー
「魔王様、薬草の事は後です...コウモリさんを呼びましょう!」

魔王
「え?」

ジャガー
「早く!!」

魔王
「あ、ああ...」

魔王は開いてる指でテーブルに小さく魔方陣を描き、コウモリを召喚する

コウモリさん
「おっす魔王様、まさかヘルチューバーになっちまうなんて」

ジャガー
「コウモリさん、どういうことですか」

コウモリさん
「何がだ?」

魔王
「さっきリザードマンという者がここに...」

コウモリさん
「...あー!あいつに会ったのか」

ジャガー
「貴方が雇ったっていう...」

コウモリさん
「うん、俺が雇った...城なんだから傭兵一人は居た方が安心できるだろ?」

ジャガー
「いりませんよ傭兵なんて!襲う人居ないんですから!」

コウモリさん
「んー、まぁリザードマンには俺が言っておくよ」

魔王
「すまないな...コウモリ」

リザードマン
「まぁ魔王様がヘルチューバーになろうが俺の知ったことではないからな、へっへっへ」

ジャガー
「貴方はもう少し主人に対して忠義をですね...」

コウモリさん
「それはお前さんも同じだろ?」

ジャガー
「え?」

コウモリさん
「あんたが魔王様の親代わりで右腕だというなら、魔王様の友達作りにも協力してやるんだ」

魔王
「おい、その事は...」

コウモリさん
「ああ、悪い悪い」

ジャガー
「...とも、だち?」

Re: マモノチューバーズ!魔王様、動画投稿始めました ( No.12 )
日時: 2018/05/30 23:08
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

魔王
「では、早速我はれびゅーとやらを始めるから出ていってくれ」

コウモリさん
「おう分かった、19時には城に帰るんだぞ」

魔王
「分かっている」

コウモリさん
「俺はその間、空へ散歩でも行こうかねーっと」

ジャガー
「.....」

コウモリさん
「どうやら今の状況だと俺はお邪魔虫のようだしな、んじゃ!」

コウモリさんは窓の隙間を抜け、空へ飛び去っていく

魔王
「で、買うにはどうすればいい?」

ジャガー
「注文すればすぐにここに届きますよ」

魔王
「そうか...どれくらいかかる?」

ジャガー
「転送魔法を使うので一瞬です、お金は僕がなんとかしますのでお気にせず」

魔王
「よし」

魔王が慣れない手つきでパソコンをそう先、赤い薬草をカートに入れると、事務所の床に段ボールが転送された

魔王
「速い!」

ジャガー
「まだカートに入れただけなのに...まあいいか」

魔王
「そ、それで...れびゅーとやらを...」

ジャガー
「今回は生放送ではありませんし、少し練習してみましょうか」

魔王
「ああ...動画を撮る前に試食していいか?」

ジャガー
「どうぞ」

魔王
「んっ...」ベリベリベリ

魔王は爪でガムテープを切断し、赤い薬草の入った植木鉢を取り出す

魔王
「...これが『やくそう』か」

ジャガー
「魔王様、薬草を見るのは初めてですか?」

魔王
「生えてるのを見たことはあるが、食うのは初めてだ...回復する機会がないものでな」

ジャガー
「説明書は...ありませんね、食べてみてください」

魔王
「ああ...いただく」モシャッ

魔王が赤い薬草を口に入れると...

ジャガー
「どうです魔王様」

魔王
「...?このやくそう、味がないぞ?」

ジャガー
「ええ?」モシャア

ジャガー
「ほんとだ、無臭無味ですね」

魔王
「これでは感想を述べることが出来ぬぞ」

ジャガー
「困りましたね...魔王様では効能を報告する動画も作れませんし...」


魔王
「いっそのこと、思いっきり全部混ぜてはどうなんだ?」

ジャガー
「えっ!?」

魔王
「『400種類の薬草を全部混ぜたらどうなるのか』」

ジャガー
「ダメです!!真似したらどうするんですか!!それにそんなお金の使い方ダメです!!」

魔王
「そ、そうか...」

ジャガー
「...この際、薬草は諦めましょう!もっといいものをレビューするんです!」

Re: マモノチューバーズ!魔王様、動画投稿始めました ( No.13 )
日時: 2018/05/31 10:14
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

魔王
「いいものと言われてもな...他に何があるというのだ」

ジャガー
「確かにパッと浮かびませんよね...akumazon色々売ってますし」

魔王
「何百もあるものから1つ選べなんて無理に決まっている」

ジャガー
「...同情します」

魔王
「他に何か...うむ、えーと...」

...再び、扉を叩く音が響く

リザードマン
「失礼する」

ジャガー
「またあんたか!」

魔王
「...用件は我か?」

リザードマン
「はい」

魔王
「分かった、我がそちらに向かう...」

ジャガー
「しかし魔王様!」

魔王
「動画を撮るのは今日でなくてもいいだろう...ジャガー、お前は商品を代わりに探しておいてくれ」

ジャガー
「ですがあの人は...!!」

リザードマン
「魔王様!」

魔王
「...」

ジャガー
「分かりましたよ、もう!好きにしてください!」

魔王
「...拗ねてるのか?」

ジャガー
「そんなことありませんっ!」

魔王
「それならいい、リザードマン今行く」

リザードマン
「はい」

魔王はワープ魔法でリザードマンの近くへ...

ジャガー
「...魔王様」

...

魔王
「待たせたな」シュンッ!

リザードマン
「ま、魔王様!?いつの間に!?」

魔王
「瞬間移動...とやらだ、ジャガーがいないときは面倒だからこうして動いているが...何か変だったか?」

リザードマン
「...い、いえ何も!」

魔王
「それで、我と話が?」

リザードマン
「ええ...聞かれると立場的にまずいのでこちらへ...」

...

魔王とリザードマンは公園のベンチで話をする

魔王
「それで、お前がここに来たのは...コウモリがお前に何か言ったか」

リザードマン
「...ええ」

魔王
「コウモリは何と?」

リザードマン
「魔王様が初めて何かをやりたいと言ったんだから好きにすればいい...と」

魔王
「そうか...奴はどうなろうと知ったことではないとも言っていたからな」

リザードマン
「...何故あのような忠誠心の欠片もない者を使い魔に?」

魔王
「誰にも言わぬと約束してくれるか?」

リザードマン
「はい、私はあなた様の忠実な僕ですから」

魔王
「...我は奴を部下として使い魔に雇ったのではない、相談役...いや、そういう言い方ではないか」

魔王
「と...ともだち、という者だ」

リザードマン
「...はぁ、友人ですか」

魔王
「悪いか?」

リザードマン
「いえ、自信の悩みを相談できる相手と考えれば、相談役兼友人というのも悪くはないと思いますが」

魔王
「コウモリは空を飛び、我に色んな情報を話してくれるんだ」

魔王
「話を聞くだけでも楽しかったものだが...ある日、不思議なことに我は奴の話す出来事に1つ、興味を持った、話を聞くだけではなく、それを成し遂げたい」

リザードマン
「それが...ヘルチューバーで?」

魔王
「そうだ...だって、楽しそうだから」

魔王
「我はコウモリに...見せてもらったんだが、憧れを持ったんだ」

魔王
「我もあんな風に、沢山の生き物から愛されたい...」

リザードマン
「...」

魔王
「すまん、変な話をしてしまったな」

リザードマン
「いえ...モンスターが、そんなことを思ったりもするのですね」

リザードマン
「我々リザードマンは、常に戦うことしか考えていませんから」

魔王
「それでいいのか?」

リザードマン
「それが私の生きる道ですから」

魔王
「そうか...そういうわけで、我は大きなヘルチューバーになって、愛されたいんだ」

リザードマン
「分かりました、そこまで言うのであれば...少しは待ちます」

リザードマン
「ですが辛くなったり、嫌なことがありヘルチューバーを辞めたくなればすぐにコウモリにお知らせください」

魔王
「分かった」

リザードマン
「引き留めてしまってすいませんでした」

魔王
「ああ」

魔王はリザードマンと分かれ、事務所へとワープする

これは...戦いを忘れ、『意味』を失ってしまった魔王が、再びモンスターに囲まれる生活を目指すお話である


第二話 END