二次創作小説(新・総合)

かかデザ・終着点D-2 ( No.24 )
日時: 2020/11/10 02:18
名前: 麻ふすさん (ID: PLnfHFFW)

※シリアス回。
終着点はなぜか今のところかかデザしか書いてないのね。
ちなみに私はギャグでもシリアスでもマルマホがとても好きです。




僕達はもう会うことは無い。
_____会うことは許されない。
他人から見たらなんてことない、小さな問題に見えるだろう。
……そう、本当に、なんてことない。
だって彼は……カービィは、許してくれたから。
笑顔で、優しく、僕に手を差し伸べてくれた。
でも、駄目なんだ……ごめんね、カービィ。
君が僕を許してくれても、僕は自分を許すことはできない。
身勝手だって思うよね、自分でやったことなのにさ。
僕は彼を「騙した」。「利用した」。僕を友達だと思ってくれていた彼を。
彼にとっては浅い溝でも、僕にとっては、深くふかく、果てなどない、決して癒えない大きな傷。


気が付けば自己嫌悪に陥っている。最近の悪い癖だ。
自分でも計り知れない程の、憎悪と、後悔と、悲哀の感情が、心の盃から溢れ出しては心に染み込んでいく。
心が廃れないためにあるはずの盃も、意味を成さない。
そろそろ自分も、こんな負の感情の塊みたいな自分に嫌気がさしてきた。
僕がいくら僕自身を責めようと、時間の無駄だ。
意味がない。
負の言葉はなんの意味も持てない。なんの成果ももたらさない。
そういってまた、自己嫌悪に陥るんだ。抜け出す道がない。

そんな僕の顔を覗き込む影が1人だけいた。
夕日に焦がれた鼈甲飴べっこうあめみたいな髪の色をした、同い年くらいの青年。
綺麗な色をした髪の毛とは反対に、彼の表情はとても不機嫌なものだ。
彼はその不機嫌な瞳を僕に向けている。

「……何?」
「何、じゃないヨォ。まだあのコト、悔やんでるノ?」
「お前には関係ない」

僕がそう冷たくあしらうと、彼は呆れたように僕を睨んでから、そっぽを向く。
そのうち、彼はどこかに行ったかと思うと、何かを手のひらに乗せて戻ってきた。
手のひらに乗せたものを無造作に僕に投げ渡すと、僕の横に腰をおろす。

「……ソレ、キミ好きデショ」
「……」

渡されたものへ視線を落とすと、それは淡い桃色をした貝殻の欠片だった。
所々欠けてはいるけど、夕日に照らすと虹色に光って見える。
貝殻なんて綺麗なもの、僕は好きじゃないのにな、と思ったけど。

「……そうだね……好き、っていうか、大切だったもの」

大切だった。大切にしてくれてた。僕が壊してしまった。
もしもあの時、僕があのまま彼と友達でいれたなら、きっと僕は、幸せだったんだろうな。

「いつまデモ考え過ぎナイデサ、素直にすればいいノニ」
「いい。別に。これで」

僕がそう言って立ち上がると、彼も一緒に立ち上がる。
歩き始めると、その2歩後ろをついてくる。

「……もう会う気はないんだネ?」
「……」
「そっか……それじゃあ、仕方ないね」

彼はたぶん今、異国の言葉を発したのだろう。僕には何を言ってるか分からない。
僕の本音を聞いて、演技する必要がなくなった、というか、演技を忘れた。
そう考えてるうちに、彼は僕が手に握っている貝殻を強引に取り上げると、道の横の茂みの奥へと投げ捨てた。

「これでよし」
「あーあ、せっかく綺麗だったのに」
「キミにはもう必要ないんデショ?だったら、持ってる意味ないヨォ」
「まあ……そうかもね」

そう言ってから彼を置いていこうと歩き出すと、彼はしつこく僕の後ろにくっついてきた。

「まだなにか用あるの?」
「ないヨォ」
「じゃあなんでついてくるの?」
「別ニ。進行方向が同じなダケ」

そんなこと言うから、僕は構わず歩き続けた。




(カービィと色々あった後に、カービィに二度と会わなくなったマルクのお話。
シリアスだけどそこまでキツいのじゃあないね。うん。
それはそうと台風凄いね。みんな気をつけてね)