二次創作小説(新・総合)
- いとデザ・犬猿の道化師と魔術師 ( No.37 )
- 日時: 2020/11/10 02:22
- 名前: 麻ふすさん (ID: PLnfHFFW)
※仲が悪過ぎるいとマルマホのお話。いとマルマホは二人とも女の子です。
「ヨォ腐れ道化師、道端でナニやってんダヨォ」
「んー?」
小道を外れた草むらの中でマルクがしゃがんでいると、そこを通りかかったマホロアが喧嘩を売る、もとい話しかけて来た。
「お前には関係ないのサ。暇なの?」
「うるさい」
「じゃああっち行けよ」
「見られたらイヤなモンなのカイ?ナーニか悪いコト企んでるんじゃナイ?」
「お前だけには言われたくないね。別にほら、花を摘んでただけなのサ。
新しい魔法の研究に使う」
マルクの手の中には、白い小さな花や、赤、青、色とりどりの花があった。
それを見つめてマホロアは鼻で笑う。
「花ネェ。どうせオメデタイ魔法なんダロウ?」
「あはははは、おめでたいか。そうだね、おめでたいね」
「ウワ、何ソノ言い方。気持ち悪イ」
「花を使って物体の劣化を早める魔法の研究をするのサ」
「エェ……なんでソンナ魔法研究するんダイ?何か得があるノ?」
マホロアが渋い顔をすると、マルクは気味が良さそうににっこり微笑む。
それを見てマホロアが更に難儀な顔になっていく。
「まぁ、使う時が来るかは分からないのサ。例えば、戦いの最中に敵の武器に触れて、その魔法を使えば武器を使えさせなくする事が出来るし、実践するには難しいけど、人体に使えばそれなりの効果が」
「あーモウ、相変わらず戦闘狂だよネェ。ポップスターでもう戦う事なんてナイだろうニ」
「使うかどうかじゃなくて研究する事が大切なのサ。勉強して、知識を増やして、応用して…………」
説明していくうちに面倒臭くなったのか、マルクは摘んだ花を持ってきていた手持ちの小さな鞄に入れると、しゃがんでいる時に服に付いたであろう草を払う。
「要するニ、ただ研究がシタイだけデショ」
「そうなっちゃうね」
「……お前でも魔法を研究するコトってあるんダ」
「何?僕がなんでもその場で魔法を創り出せる天才だとでも思ってたのサ?」
「そこまで褒めてねぇヨ」
「僕だって研究はするよ?とは言っても、魔導書とかに載ってる魔法はあらかた覚えてるし、新しい魔法ってなかなかに創るのは面倒だし」
マルクはふぅ、と一息つくと、先程鞄に突っ込んだばかりの花を数輪取り出すとマホロアに差し出す。差し出された花は青と黄色の花だった。
一輪だけ黒色も混ざっている。
「エ、ナニ」
「お前も花使って研究してみたら?出来たらの話だけどサ」
「舐めないでヨォ?キミには創れないようなトリッキーな魔術創ってやるヨ」
「あ、そう。楽しみに待ってるのサ」
「お前に楽しみニ待たれてモ嬉しくナイヨォ」
「お前を待ってても楽しくないなぁ」
「どっちなんだヨォ」
マルクが差し出している花を受け取ると、マホロアはそれを、形が崩れないよう優しく上着のポケットに入れた。
それを見るとマルクは半笑いでからかい気味に言った。
「物騒な魔術創んなよ」
「お前の目玉を花にする魔術創ってあげるヨォ」
「じゃあ僕はお前の腕を薔薇の蔦に変えてあげるのサ。今やってあげようか?」
「蔦はキミの専門ダロ!?それじゃ冗談にならないヨォ!」
マホロアが腕を振り上げると、マルクはけたけたと笑う。
笑われて恥ずかしがったのか、マホロアは素早く腕をおろすと、咳払いをして言った。
「あー、そろそろ行けヨ。もう帰るんダロ?」
「そうだね。じゃ、また」
「ハァ、精々頑張れヨォ」
マルクが去ってからマホロアは花を取り出して見つめてみる。
青と黄色はフードの色、一輪だけの黒い花はおそらくマホロアの黒髪にちなんで渡したものだろう。
「こういう気の効かせ方は別に要らないヨォ……」
またポケットに花を入れると、マホロアは元来た道を戻っていった。
(仲悪いというよりからかいたいマホロアちゃんとそれを華麗に受け流しつつ地味に優しいマルクちゃんになった。何故)