二次創作小説(新・総合)

かかデザ・仮面と白い羽根 ( No.38 )
日時: 2020/11/10 02:13
名前: 麻ふすさん (ID: PLnfHFFW)

※毛糸リメイクがそろそろですね。買う予定はあります。
私はテレビゲームというものに縁がなかった為、毛糸やタチカビSRは未プレイです。
スタアラも未だアナヒロとかネタバレ見てないです。
あと鏡もやりたい。
あ、ちなみに今回はシリアスでもなんでもないただの馬鹿回です。
強いていえばギャラさんの頭がおかしい。
語り文とメタさんの語りが入り混じっているので混乱しますがご了承ください。





ガタガタガタガタ、と道を走る音が聞こえる。
それは台車のようなものが発している音で、中に入っているであろう荷物が鳴り、特に荒い道でも無いのに音だけが大きい。
その台車を押しているのは、青い髪を短くざんばら切りにした、仮面を付けた剣士。
メタナイトである。

「……」

少し不服そうな顔をした彼が台車を押し続けていると、道の先にそれは現れた。
メタナイトの方まで首が据わっていないかの様に不安定に揺らしながら、こんな平和な星の道端だと言うのに、鋭い剣を鞘にも収めず歩いて来た。

「うわ」

思わず声が出るメタナイト。そう、彼はメタナイトにとって、今一番、というか常に一番出会いたくない人物だったのだ。
黒くくすんだ桃色の髪に、背中から生えた白く大きい天使のような羽根。
メタナイトはため息をつきつつ、彼を呼び止める事にした。
逃げようとするともっと面倒な事になるからである。

「何の用だ……ギャラクティックナイト」

メタナイトは声を低くして言った。その声を聞くと、がっくりと落とされ不安定に揺れていた首が、ぎこちなくゆっくりと上を向く。
顔を上げた事で見えた長い前髪から覗く真っ赤な左目がメタナイトを睨みつける。
声の正体がメタナイトだと分かると、ギャラクティックナイトはそのまま
速足で彼の目の前まで移動してきた。

「…………」

相変わらず不気味な奴だ。
ギャラクティックナイトはもっと近付こうとしたが、メタナイトの前にある障害物に阻まれ1m程先は近付けなかった。その時初めて、彼は言葉を口にする。

「これ……」
「あ?」
「これ、なんだ?」
「あぁ、これはカービィに頼まれて、いや中身はどうでもいいものばっかなんだが、何故かあいつ私に直接持ってこいと……お前、なんでそんな事聞くんだ」

隠すようにメタナイトは台車を横にずらす。と、ギャラクティックナイトは更に接近してきた。
もういやだこいつ。

「分かったら、もういいだろう。私はさっさとこんな事終わらせて帰りたい。おやつ……あ、いや、大事な会議が」
「……」
「なんだ」
「明日……天気になるには何すればいい?」
「は?」

なんだこいつ。急に脈絡のない事を。
明日天気に、だと?こいつに天気を気にする感情なんてあったんだな。
そう思いつつメタナイトはとりあえず適当な事を言う。

「靴でも蹴っておけばいいだろう。表になれば晴れるぞ。おそらくな」
「……」
「不服か。ならこの近くに接近している雨雲を全て消せばいいだろう。お前にならそんな造作もない事だろうし、いや、大体何故明日を晴れにしたいのだ」
「……」

ギャラクティックナイトは首を横に傾げた。というよりかは、横に落とした。
やっぱり首が据わっていないのか、など思いつつメタナイトは気付いた。

「もしかしてお前、その表情は不服でもなんでもなく数十秒前に自分が言った事をすでに忘れているだけなのか?」

それすらも良く分かっていないような顔でメタナイトをまじまじと見つめる。
こいつ、確か封印される前に強大な力を手に入れすぎて記憶力やらなんやらを失ってしまったらしいな。誰かからそんな話を聞いた。
でもこいつ、私の事は覚えている。というかそもそも記憶力やらを失っても何故明日晴れにしたいのかの説明がつかん。最低限の語力以外は知能も無くしたのか?
そこまでして……手に入れたかった力なのか。
まぁいい。どうでもいい。とりあえず適当にあしらってもうここを去りたい。

「……私に絡んでくるのは別にいいがな。もうお前は戦う必要はないんだろう?勉強でもしたらどうだ」
「……いやだ」
「お前に拒否権はないぞ?」

メタナイトは台車の荷物を漁り、ひとつ取り出してギャラクティックナイトに押し付ける。それは植木鉢だった。まだ蕾もない状態である。
カービィに持ってきてと頼まれたがこれは致し方ない。

「植物を育てれば知力が上がるか……?毎日水をあげるという習慣を付ければ記憶力も上がる。水の量を考えて、とりあえず育ててみろ。大きく成長するまで私に近付くな。魔法は使うな。枯らしたら二度と話さないからな」

一応きつめの言葉を使ってみると、ギャラクティックナイトはそれを理解したようで、植木鉢を手に取る。枯らしたら二度と話さない、という言葉が特に効いたのかとてつもなく丁寧に持つ。
なんなんだこいつ本当に。私と話した過ぎるだろう。暇なのか。

「じゃあな」
「……」

無言で手を振ってくる。とりあえず振り返しておく。
カービィへの荷物が減ってしまった。まぁ、私を苦労させた罰だとでも言っておこう。
これであいつが少しでも頭が良くなるといいのだが。年齢も身長も自分より大きい相手に対してしたくなくても子供扱いのようになってしまうのはそろそろ気が引けてくる。

「はぁ……」


「あれ?メタナイト。僕さ、君に植木鉢頼んだはずなんだけれど」
「私を苦労させたんだ。それくらい自分で用意しろ。そもそもこんなもの……一体何に使うんだ?それに何故私に直接持ってこいなどと」
「え、んーと、まぁ……気にしないで」
「おい」
「まぁ!ありがとうね、うん。ありがと。うん!はい、お礼にこれ」
「なんだこれは」
「チョコレートだよ。皆で分けて食べなよ!」
「……」

結局何をするのかはぐらかされてしまった。


数週間後。
植木鉢の様子を見に行く事にした。ギャラクティックナイトの家など何処にあるか知らないのでとりあえず辺りを散歩する。
すぐにそれらしき人影を見つけた。あんなに大きくて白い羽根を持つ奴は確実にそうだろう。
ギャラクティックナイトを見付けた場所は彼から100m以上離れていたはずなのに、ギャラクティックナイトはメタナイトに見られているのを察知してこちらを見た。

「……!」

ものすごいスピードでメタナイトに迫る。残り5m程で停止すると、ばっと手に持っているものを見せつけた。植木鉢である。

「なんだ、ちゃんと育てられたのか。……」

植木鉢を見ると、確かに、小さいが花は咲いていた。水の量も適量だったらしく、いきいきとしている。

「……」
「……」
「私と前に会ったのは何日前?」
「え」
「知力は上がらないか。まぁ、1回だけじゃ無理だろうな。よし、今度は3つ同時に育ててみろ。もちろん違う種類のだ」

メタナイトは用意していた植木鉢を3つギャラクティックナイトに押し付けた。
ギャラクティックナイトは困惑しつつもそれを受け取る。

「頑張れよ」
「……」
「うむ、次は言語の勉強だ。図書館に行くぞ。ちゃんと返事を言えるようにならなければいけない」
「あー……」

何故かやる気満々になったメタナイトに引きずられギャラクティックナイトは長い長い勉強の日々を始める事になるのはまた別のお話。




(最近花に関する話多いね。
なんか途中で話の流れを見失うのはいつもの事なんですけど今回は特にでした。
カービィくん、一体何しようとしてたんでしょうか。
ギャラさんは物語中でも言った通り、力を手に入れた代償として最低限の語力や理解力以外は全て無くしています。その上長い間封印されていたし、色々な時空を移動した事で更に悪化してます。教育頑張れよメタさん。)