二次創作小説(新・総合)

いーデザ・お絵描き ( No.41 )
日時: 2019/04/05 00:02
名前: 麻ふすさん (ID: PFFeSaYl)

※ついったらに上げた誕生日絵からちょっと。まぁ24日のやつです。
誕生日絵の構図だけ抜き取ってるからその他はあんまり関係ない。





「うーん……」
「あ、動いちゃ駄目よ。瞬きはいいけれど。痒いところがあれば掻いてもいいわ。
でも元の位置に戻してね」
「は、はぁ……」

そう指示しながらせっせと絵を描いているのはドロシア。絵の具が塗られる
キャンバスの奥に立っているのは、暗黒物質のひとりであるゼロツー。
ドロシアはゼロツーをモデルに絵を描いていて、もうかれこれ2時間
描き続けているのだが、一向に描き終わる気配がない。
つまりゼロツーは2時間立たされている。

「えぇと……ど、ドロシア、そろそろ……ちょっと座っても……いいかな」
「疲れちゃった?」
「うん……」
「んー……あ、じゃああと5分。あと5分お願い出来る?」
「え?あ、分かった……」

意思が弱いゼロツーはそのまま押され5分立ち続けた。

「…………よし、終わったわ!ゼロツー、立たせちゃってごめんなさいね。座って」
「あ、うん、えーっと……」
「そこの本の上でいいわよ。積み重なってるところ。床の上は嫌よね、
埃っぽいし、ここに椅子はないもの」
「いいの?これ、なんか高そう」
「いいの。それに貴方の部下さんももう座ってるし」

立っていた疲れで途中から忘れていたが、ゼロツーの後ろにあった本の上には
ミラクルマターが座っていた。

「あれ?あ、忘れてた……そうだ、ずっといたんだった」
「えぇ……?忘れてもらっちゃ困りますよ」
「ごめんごめん。あんまりにも静かだったし……」
「話しかけると余計疲れそうだったんでね」
「話してくれた方が気が紛れたのに」

そう言いながらゼロツーはぽすん、とミラクルマターの隣に座った。

「……あ、お茶淹れるわね」
「え?あ、いや、そんな気遣って貰わなくても」
「モデルになってくれたし、私欲で2時間近く立たせちゃったんだもの。
お茶……といわず、もっと他のことでもいいのよ」
「えぇ?え、いや大丈夫だってば」

そう?とドロシアは物足りなさそうに言うと、ぱたぱたと部屋を出て行った。
しばらくして隣の部屋からカチャカチャ食器の音が聞こえてくる。

「どーです、モデルやってみて」
「疲れた……っていうか、なんで僕を描こうと思ったのかなぁ」
「描きたかったからじゃないですか?」
「なんで?」
「あー……あのですね、ボクもたまに絵を……まぁかじってるくらいですけど、
だからちょっとだけ分かるんですけどね、絵ってあんまり頭で考えて
描くものじゃない時もあるんですよ」

ミラクルマターは意味の無さそうな手振りを加えながら話した。

「それってどういうこと?」
「だから、んーと、まぁ……こう、ちゃんと描きたいものを決めて、構図を決めて、
描き方も決めてよし!描くぞ!って時と、ぼんやーり、あー、なんか絵描きたいなー、
くらいの時があるんです。こう言っちゃあ失礼ですけど、ドロシアさん、
今日は後者の気分でー……その辺でたまたまゼロツー様を見かけたから
描こうと思ったんじゃないですかね」
「やっぱ僕ってたまたまくらいの価値?」
「でも画家の目に留まったんですから、凄いんじゃあないですか」
「適当だね」

そんな会話をしていると、部屋の外から声がした。直後、扉が少し空き、
その隙間からドロシアが顔を覗かせた。

「ふたりとも、お茶の用意出来たから場所移動しましょ。ここじゃ机もないもの。
ほら、こっちこっち」
「あ、ありがとう」

ドロシアが先に右へ向かったので、ふたりも立ち上がって部屋を出る。

「そういえば、噂によるとドロシアさんの淹れたお茶はすっごい美味しい
らしいですよ」
「そうなの?」
「良かったですね、モデルやったから飲み放題かも。ふふ」
「そんなに飲めないよ……」





(3月24日は64とタチカビの発売記念日で、その時自分で描いた絵からちょっとネタを
貰いました。もう4月入ったけど。だからドロシアさんとミラツーなんていう不
思議な組み合わせなんです。
24日に描いた絵のキャンバスに描かれてる絵は原型になってますけど小説の中では
普通にゼロツーが描かれてる。と思う。)