二次創作小説(新・総合)
- いーデザ・ふたりの魔女 ( No.46 )
- 日時: 2020/11/08 00:19
- 名前: 麻ふすさん (ID: PLnfHFFW)
※お久しぶりです暇になったので書けました
いードロシアさんとドロソさんのお話。
っていうかいーデザ単体でいったらドロシアさん続投
連日雨模様が続いている。
途絶えない雨によって、森の土は水が足りていない絵の具のようにぐちゃぐちゃだった。
「水が溢れてるのに水が足りないのね」
ふと後ろから声をかけられて、私は振り返る。
水色の長髪に、見ただけで魔女と分かる格好。ドロシア。
私の魂……いいや、私が彼女の魂。
ある事が起きるまでは私はずっと彼女といたから、彼女には私の考えている事など手に取るように分かるだろう。
「最近ずっと雨ばっかり。洗濯物も干せないし、うーん、そろそろ晴れてくれないかしらねぇ」
「雨……嫌い?」
「いいえ。逆よ。私が嫌いといったところで雨は止まないわ。
それに、結構好きなの。雨の風景を描くのはね」
ドロシアは私と同じように窓の外を眺めながらそう言う。私は彼女の魂であるはずなのに、私は絵が上手くはない。
「違うわよ。貴女と私は、同じだけど違う人。貴女は貴女なの」
雨は降り止む素振りも見せず、ただひたすらに地面へと落ちていく。雨の届かないこの家の軒下で、小鳥が数羽雨宿りをしていた。
しばらく外を見ているうちにドロシアが紅茶を入れてくれた。彼女が入れる紅茶はとても美味しい。
「今日はいつもより暖かめ。最近冷えてきたし、風邪引かないようにね」
「うん」
「雨が止んだらお出かけしましょう。そうね、あ、だんだん木々が紅葉してきたの。
紅葉狩りしない?」
「絵も描くの?」
「えぇ、でもまず貴女と楽しんでから」
雨は止んだ。だいたい5日は降り続いていただろうか。木の葉にはまだ滴があり、久々に顔を出した太陽に照らされきらきらと輝いている。
「さ、出かけましょ。ここから西の辺りの紅葉が毎年綺麗なの」
道中は5日前と比べてだいぶ変わっていた。じめじめしていたからか、あまり美味しそうじゃない色の茸が生えていたり、花は萎んでいたり、外の香りも雨の残り香が少し漂っている。5日前は、たしか、秋桜の匂いがした。
「貴女、足元は大丈夫?ほとんど乾いてるけど、まだぬかるんでるところもあるし」
「大丈夫。こういう道は慣れてる」
私は元々魂だけの存在で、今の体も不安定。所々が絵の具のように滴る体。
実際、絵の具で造られているのかもしれない。
「んー、あ、ほらほらここ。どう?綺麗でしょ」
見上げると、目の前に赤い紅葉がひらひら落ちてきた。びっくりして、少し後ずさる。
赤、黄色、ちょっと中間の橙。生い茂る木々の間からもれる木漏れ日が、葉っぱ達を輝かせる。
あぁ、私も、あんな風に輝けたらな、と。
少しだけ思ってから、ドロシアに目をやった。
「ん?なぁに?」
「え?あ、いや……」
彼女の目を覗くと、まるで全て分かられてしまいそうだからゆっくりと目を逸らす。
私と同じ目の色。
「ふふ。クッキー持ってきたの。食べる?」
「……うん」
私は本当なら、こうして自由に外に出ることも許されない存在。
それを、彼女は、優しく接してくれる。私を1人の生きている者として見てくれる。
だから、もう幸せなのだと。
これ以上の事を望むのは、まだ、もっと先だと。
(卑屈に考えがちなドロソさんですが、ドロシアさんは彼女のこと、もっとポジティブに考えたらいいのにな、と思ってます。
なんか風景描写多いね……次はもっとはやめのスパンで書きたいです)