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二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.518 )
- 日時: 2020/07/10 13:18
- 名前: ガオケレナ (ID: 4J23F72m)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
非常に退屈な毎日だった。
何かやりたいこととか、夢とか無いのか。
何も知らない、知ろうともしない大人たちはいつもそんな事を聞いてきたが、同様に彼も答えようとはしなかった。
目標がないが為に彼は次第に荒れていった。
誰かに必要とされていない。
誰からも見向きされない。
そんな漠然とした不安や怒り、恐れから喧嘩に明け暮れる毎日。
いつものようにつまらない授業をサボり、一人静かな校舎を歩いていたときだった。
音楽室から、演奏が聞こえてきた。
もう何週間かサボってきた光景である。
本来であれば今日のこの時間に音楽の授業はない。
更には、授業では今聞こえるようにヴァイオリンを使う機会も無い。
音源はひとつだけ。
つまり、演奏者も一人という事である。
おかしい。
そう思った彼は半開きになっている扉を少し開けて中を覗いた。
細身の長身。
春風になびく金髪に近い赤髪。
その髪は、肩の位置まで伸びている。
そこから相手の顔は見えなかったが、確かに彼は瞬間的に惚れていた。
心地よい音色。
非現実な容姿。
何故こんな時間に一人で、それもヴァイオリンを操っているのか。
不思議なことは幾つも浮かんだものだが、出来ることならこのまま聴いていたい。
あとの事は、最早どうでもよかったのだ。
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