二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.57 )
- 日時: 2018/12/10 17:29
- 名前: ガオケレナ (ID: 40Xm5sOX)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ジェノサイドは、例のポケモンのボールをポケット内で握ったまま、状況をおさらいする。
バルバロッサの使用ポケモンは特殊な力を得た伝説のポケモン三匹。
トルネロスとボルトロス、そしてランドロス。
その内のボルトロスを撃破。
対してジェノサイドは六匹で構成された手持ちポケモン。
今判明している手持ちはファイアローとゲッコウガ。この二体が倒された。
これから使う予定でいるのは例のポケモンと……
そこで一つ、ジェノサイドは今ある異変に気づく。
(バルバロッサは今、ランドロスを出している……だけど、さっきランドロスはどんな技でゲッコウガを倒した?)
岩の壁を囮にして、ランドロスはゲッコウガを倒した。
その時の技は、'げきりん'だったはずだ。
と、言うことは。
(次のターンも'げきりん'で固定されるはず!交代も許されないから絶対にこの状況は変わらない!ならば、確実にこいつで'カウンター'を狙える!!)
ジェノサイドが'カウンター'を狙うとするならば、あのポケモンしかいない。彼の相棒とも言えるあのポケモンだ。
'モンスターボール'を掲げながらジェノサイドは呟く。
「いっけぇ……コジョンド!」
真上にボールを投げると、中からはスマートすぎる体つきをしているコジョンドが出てきた。
カウンターが確実に決められるという確信を持っての選出である。
(さぁ来いバルバロッサ!そいつへの'カウンター'ならば、確実にランドロスを葬れる!)
勝利を確信したジェノサイドだった。
突如、岩の壁が向こう側から独りでに崩れだした。
見ると、'げきりん'を繰り出しながらランドロスが壁を破壊しながらこちらに向かってきている。
壁が破壊されたことにより、バルバロッサやランドロスの姿、反対側のフィールドまではっきり見えるようになる。
尤も、ランドロスはこちらに向かっているが。
「予想通りだぜ、バルバロッサァァ!」
思わずジェノサイドが叫んだ。
それを合図に、コジョンドにしては不自然な体勢で迎え撃とうとしている。
しかし。
こちらに来ると思っていたランドロスが突然光の輪へと吸い込まれていく。
強引に、ほぼ無理矢理に何らかの力がランドロスを引っ張っているように。
怒りの咆哮を上げながらランドロスが光の中へと消えていく。
と、同時にもう一体の神であるトルネロスが現れた。
「!?」
このトルネロスも霊獣の姿だった。
羽を大きく広げながら威圧する。
ジェノサイドはその威圧に負けじと声を荒げた。
「ちょっと待てよ!'げきりん'を使った場合交代も技の選択も封じられるだろ!何でトルネロス出せてるんだよ!」
納得がいかなかった。勝てるチャンスを失ったのもあるが、技の効果を無視している事に一番納得がいかなかったのだ。
「神を操る存在はこの世に存在しない。だがな、今こうして神の加護を受けたポケモンをお前さんの前で使っているのは誰だ?」
しかし、バルバロッサは動じることなく相変わらず意味不明な言葉を並べるだけだった。
「神と呼ばれしポケモンを、今こうして操っているのはどこの誰だ?紛れもなく私だ。神を操れし者は神の怒りすらをも鎮める。言っただろう?神に死角など無いと。これはただの交代とは違うと」
結局意味がわからず、歯噛みするだけだ。
たとえ'げきりん'を放ったとしても交代が出来るんだろう。
ポケモンのゲームにある「入れ換え」と「勝ち抜き」が混同したものだと捉えればいい。
ここで種明かしをするならば、このコジョンドの正体はゾロアークである。
コジョンドに化けたゾロアークが'カウンター'を決める事でランドロスを倒す予定だった。
だが、その作戦は失敗に終わる。むしろ追い詰められたといってもいい。
ランドロスがトルネロスに入れ換えられた事で'カウンター'は使えない。
むしろ、特殊技主体のトルネロスに'カウンター'がそもそも通用することなく、ダメージを与えられてしまう。
ゾロアークのような耐久が絶望的なポケモンに特殊技が一度でも当てられてしまうと襷も消費してしまう。
つまり、一度でも特殊技に触れてしまうと二度と'カウンター'が使えなくなるのだ。
本来ならばここで交代するのが普通である。
端から見ても相性の悪いコジョンドを交代するだけなので不自然な点も見当たらない。
ジェノサイドがモンスターボールを取り出してコジョンドに向けようとした時だった。
それを逃さんとトルネロスの周囲から暴風が吹き荒れた。
「逃がさんぞ、お前さんのコジョンドを!!トルネロス!'ぼうふう'だ!」
交代のタイミングを奪われた。
絶大な風が周囲に吹き散らされる。
トルネロスが羽を羽ばたかせると、暴風が襲ってきた。
「ぐっ……あっ、……!!」
その暴風はジェノサイドにも降りかかる。
立っていられるのが難しい。こちらも風の籠に巻き込まれそうだった。
体勢を出来るだけ低くして抵抗を押さえる。辺りの砂利がまとめて吹き飛ばされる。彼がいつも被っているハットも飛ばされてしまった。
「くっそ……どんだけ強いんだよこの風!俺まで飛ばす気か!」
本来だったら店の看板や木の枝が折れて飛ばされる程の強さだろう。年に一度は訪れる台風を彷彿とさせた。
いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。うかうかしていたら自分まで飛ばされてしまう。
下手したら樹木一本根本から飛ばされているかもしれない。
あまりの衝撃に目を瞑っていたジェノサイドだったが、思いきって目を開く。
眼前には、竜巻と化した暴風に飛ばされているコジョンドの姿があった。よく見るとまるでインクが溶けているかのようにみるみる内にコジョンドからゾロアークへと姿が戻っていく。
(くそ……作戦が失敗したとか言うレベルじゃねぇ……勝てるかどうかも怪しくなってきやがった……)
不意に風が一斉に止む。
遥か上空からゾロアークが落ちてきた。
襷で体力は残っているからか、立ち上がることはできた。
だが、もう'カウンター'は使えない。
悔しさを抑え、ゾロアークをボールへと戻した。
「残念だったな、ジェノサイド。お前さんのその手はもう見飽きたさ。お前と行動してもう4年だぞ?何度'それ'を見たと思っているんだ。私くらいになれば'どのポケモンが化けているか'など察することなんて容易いことなのだよ」
バルバロッサの強気な声が彼を追い詰める。
今度こそ、ジェノサイドは可能性を失った。