二次創作小説(新・総合)
- 真っ赤なXマス ( No.354 )
- 日時: 2017/12/18 19:12
- 名前: トクマ (ID: lh1rIb.b)
お待たせしました!! 思ったより長文になったので分けますが……前半はコメディ重視(変態及び変隊警報発令)で後半はシリアスです……落差が激しいのでご注意ください。
それでは、どうぞ!!
気温が低くなりつつある町中で一つの追走劇を繰り広げていた。
トクマ「待てやゴラァァァ!!」
言わずもがな、トクマ達である。目の前で金ちゃん走りで逃げる変態を捕まえる為に走っていた。
ルフレ「クソ! あの変態、予想以上に速いぞ!」
マック「距離が一向に縮まらねぇ!」
意外にも俊敏な変態に悪態をつくルフレとマック。
トレ子「まさか、あの男は……!」
ルフレ「知っているのかトレ子!?」
心当たりがあるのか思い出したかのように呟くトレ子にルフレは説明を促した。
トレ子「噂には聞いていましたが……最近、変隊の世界で旋風を巻き起こしている存在が数人いて……奴はその一人である乳首試食おじさん……変隊の枠を越えてしまった……変態です」
ルフレ「どっちにしろ変態だろうが!!」
予想以上の変態だった……乳首試食おじさんってリアルにいたら逮捕待ったなしの人物にルフレは大声でツッコんだ。てか、アレも元とはいえ変隊だったの!?
トレ子「 ちなみにですが四天王風に説明すると十字胸毛おじさん、乳首試食おじさん、トクマさん、そして私ことトレ子の四人です」
トクマ「異議あり!! なんでオレもカウントされてんの!?」
アリス「私知ってる! こういうのは『類は友を呼ぶ』って言うんだね!」
トクマ「オレは変隊じゃねぇ! ノーマルだ!!」
ルフレ「文句はあの変態を捕まえてから好きなだけ聞いてやる!!」
トクマ「クソが!! こうなりゃ奥の手だ!」
理不尽にカテゴライズされた事にトクマは怒りを燃やしながら懐からドリンク剤を取り出した。
当麻「それってDD!?」
トクマ「マスターハンドに頼んだんだ……逃がすわけには行かないから貰っておいて正解だ!」
当麻のリアクションに応え、トクマはDDと呼ばれたドリンク剤を飲んだ。
※詳しくは『マスターハンドのワクワク☆発明品』参照。
ドリンク剤の成分がトクマの身体の細胞に反応し、彼の身体能力が上昇していく。
※ドーピングのような危ない物ではなく、健全なドリンク剤です。トクマ以外飲んでも何も起こりませんのでご理解の方をよろしくお願い致します。
トクマ「観念しやがれ!!」
変態に追いつき、全身を使って変態を捕まえたトクマ。しかし、変態の身体がぬるり、と生々しい動きをしながらトクマの拘束を抜け出した。
トクマ「うわぁアァぁぁあ!? なんかぬるぬるしたぁぁぁぁぁあ!!」
シュネー「あの変態、身体にローションか何か塗っていますね……!! なんて気色悪い……!!」
身体を襲った不快感に震えるトクマ。そのリアクションを見て罵倒するシュネーだが、変態は足を止めてこちらを振り向いた。
変態「いえ、ローションではなく体液です」
当麻「余計気色悪いわ!!」
まさかの体液だった。
予想外な答えに思わず反応した当麻。答えた変態は逃走を再開した。
シュネー「この……待て、変態!」
アリス「うわ……あの人、あん馬の動きで逃げてくよ!」
当麻「どうやって逃げてんだよ! あん馬なんてねぇのになんで出来てんだ! 器用にも程があるぞあの高機動な変態!!」
トクマ「逃がすかよ!!」
高機動かつ変態な動きをする男に恐怖するアリスと当麻、トクマはペイントボールを取り出して振りかぶった。
トクマ「死に晒せェェェ!!」
放たれたペイントボールは高速と言っても過言じゃないスピードを出しながらそのまま――
ルフレ「……」
――ルフレの顔面にぶつかった。
トクマ「……」
ルフレ「……」
二人を除く全員「…………」
冷や汗を流しながらルフレから顔を背けるトクマ、無言でトクマを見つめるルフレ、場の空気が悪くなって二人から目を背けるメンバー……気まずい空気の中でトクマが口を開いた。
トクマ「……不幸な事故だったんだ……」
ルフレ「コッチムケ、クソヤロウ」
そのままトクマにアイアンクローを繰り出すルフレ。トクマの断末魔をBGMにメンバーは自分達が追った変態について話始めた。
マック「てか、なんだあの変態! どうしてオレ達より俊敏に動けるんだよ!! 変態だからなのか!!」
シュネー「もしかして袋の力かも……?」
何かに気付いたシュネーが呟き、その言葉に全員が反応する。
当麻「どういう意味だよシュネー?」
シュネー「サンタが言ってました……『あの袋には数多くの願いの概念を凝縮して作られた一品』だと……恐らくですがヤツは逃走に有利なマジックアイテムを袋に願って身に付けたんだと思います……」
マック「……じゃあ、あの変態みたいな姿はそのマジックアイテムを身に付けた結果か……」
トクマ「そんなヤツに負けてたまるかっての!!」
シュネーの考えに納得したメンバー。トクマは俄然やる気をだす。なお、こめかみには何かが突き刺さったような跡が残っている。
アリス「…………」
トクマの様子に不安を持つアリス。
キリト「なにやってんだお前ら?」
トクマ「その声はキリ――」
後ろから声をかけられ、振り向くメンバー。そこには……チェーンが着いた首輪をかけられたキリトとチェーンを持ったアスナがいた。
トクマ「……」
キリト「目を背けるな! 見なかった事にするんじゃねぇ!!」
シュネー「ごめんなさい。話しかけないでください」
キリト「他人のフリするな!」
許容できない現実に思わずゆっくりとキリトから目を背けたトクマと必死に他人のフリをするシュネー。
ルフレ「どうしてそうなった……どうしてそうなった!!」
キリト「……しょうがないだろ……デートから縄抜けで逃げたから、今度は首輪をかけられたんだ」
トクマ「すまん。頭がまわらない」
アスナ「今度こそ、キリトくんと一緒に筋肉バーに行くんだ!」
トクマ&ルフレ「悪い。喋らないでくれ」
トレ子「良いですね! マックさんも一緒に行きま――」
トクマ&ルフレ「頼むから喋るな」
間違いなく痛む頭痛に苦い表情を見せるトクマとルフレ。するとアスナがキリトの首輪を外した。
アスナ「でも、見た感じ困ってるよね? だったら助けるよ!」
当麻「いや、七人もいるから大丈――」
キリト「良い案だなアスナ! 俺も手伝うぞ!!」
……そんなに筋肉バーに行くのが嫌なのか……
協力的なアスナと謎の店にいかなくてすむチャンスを離さんばかりに掴むキリトに押され、協力を承認した。
トレ子「そうと決まればやりましょうかアスナさん!!」
アスナ「はい! 私達二人が揃えば、どんな変態だろうと負けません!!」
シュネー「……無駄に説得力がありますね……」
目には目を、歯には歯を、変態には変態を、というスタンスを見せる二人に苦笑いするシュネー。確かに、この二人なら遅れはとらないだろう……
トレ子「行きましょう! 弟子よ!」(頭にサンバイザー、上半身に『ヤラナイカ』と書かれたTシャツ、下半身にKO☆KA☆Nに相当する部分に白鳥ヘッドが自己主張激しくそびえ立つスカートを履いている)
アスナ「はい! 師匠!!」(頭にシャンプーハット、上半身に『アッー♂』と書かれたTシャツ、下半身にブルマと網タイツを着用している)
トクマ「いつの間に着替えた!? それとその格好でうろつくな変態ども!!」
ただし、手綱も取れない。
予測不能で暴走する二人に戸惑うメンバーだが、向こうに件の変態がいることに気付いた。
シュネー「いた! あの変態です!!」
アスナ「おのれ、裸ネクタイ、海パンにシルクハットの格好でうろつくなんて変態の風上にも置けませんね!」
トレ子「全くですこの変態野郎!!」
ルフレ「今のお前らに言われたくねぇよ!!」
自分達の格好を棚に上げる所か上空に投げ飛ばす勢いで変態を罵倒する変隊……また頭痛がするも耐えるルフレ。
そして、変態が二人から逃げようと背を向ける。
マック「逃げるぞ!」
トレ子「ならば私があの男を止めます。同じ変態ならぬ変隊として……本気で止めましょう!」
トレ子の本気。その言葉に全員が目を丸くした。いつもふざけている彼女の本気を知らず、どのような本気なのか気になり始めた。
トレ子「秘技……帽子カッター!」
当麻「えっ!? それがお前の本気!?」
ルフレ「てか、マリオオデッセイでマリオが帽子を投げるのと同じじゃねぇか!!」
訂正、ふざけてるかもしれない。マリオオデッセイのマリオよろしくな必殺技にツッコム当麻とルフレ……小学生が帽子をフリスビーみたいに投げるのと同じである。
アスナ「秘技! 帽子カッター!!」
当麻「お前もかよ! 秘技、安いな!?」
アスナもトレ子のサンバイザーに続いて帽子を――シャンプーハットを投げ、帽子には無いであろうキュルキュル、という空気を切り裂くような音で二つの帽子は変態に向かって回転しながら向かっている。
変態「帽子カッター!!」
トクマ「どこもかしこも!?」
すると変態もシルクハットに手をかけ、同じように投げた……流行ってんのそれ!?
トレ子「まさかあちらも帽子カッターを使えるとは……」
アスナ「だけど、一つじゃ私達の帽子カッターは破れませんよ!」
変態「あ、言い忘れていましたが私の帽子、捨ててあったものを拾って修理し、再利用した物なので【タダ】で手にいれました」
その言葉に余裕の笑みを見せていたトレ子とアスナの表情が固まった。
……私達、ド○キで1800円で購入しました。
そう思った瞬間、二人が投げたサンバイザーとシャンプーハットの回転が弱々しくなった。
アリス「なんか揺らいだー!?」
予想外の現象に驚くアリスだったが、変態の投げたシルクハットが二人の帽子を弾き飛ばした。なお、シルクハットは変態の手元に戻っていった。
トレ子&アスナ「わぁあああああ!!」
ズザー、そんな音が聴こえるくらい後ろに飛ばされるかのように転がってきたトレ子とアスナ。トレ子は当麻に向かって弱々しく言った。
トレ子「た……タダより怖いもの……無し……」
当麻「なんだよこの茶番!?」
まるでショートコントを見たような感覚に襲われ、思わずツッコんだ当麻。変態はその間に逃げようとする。
マック「また逃げるぞ!」
ルフレ「いや、大丈夫だ!」
逃走を図ろうとする変態。しかし、変態の足元の地面や壁から鎖が現れた。
マック「あの鎖は……!!」
ルフレ「ここにくる前に仕掛けておいたトラップだ」
シュネー「なるほど! 気付かない内に誘導してたんですね!!」
自身の策により捕縛せんと伸びる鎖が変態に襲いかかった!
変態「他愛なし」
回避。
変態「他愛なし!」
回避。
変態「他愛なし!!」
どや顔でルフレにウィンクしてから回避。
ルフレ「■■■■■■■!!」
当麻「落ち着けってルフレ!」
マック「ムカつくのはわかるけど!!」
挑発ともとれる行動をしながら避ける変態にルフレがキレるも当麻とマックに落ち着くように言い聞かせながら取り押さえる。
変態「ほっほっ、ねぇねぇどんな気持ち? どんな気持ち?」
余裕な表情で嘲笑う変態……人をバカにする態度で言う姿にはムカつきを覚える……
トクマ「ざまぁみろだよ」
後ろにルフレ達の仲間がいることに気付かない様子を除けばだが……
ルフレ達は囮として行動し、スピードが一番速いトクマが変態を後ろから強襲する作戦。彼の剛脚から繰り出される高速の一撃は並大抵の相手には不可避である。その脚が変態に向かって振るわれ――
トクマ「……ッ!?」
変態「いやは、危ない危ない」
――避けられた。
相手が変態だとしても慈悲が一切合切ない一撃を避けられた事に驚愕するトクマ。何故と疑問が頭に多い尽くした。
変態「貴方の感情が静かだったらやられていましたよ」
その言葉にトクマは気付いた。
……こいつ、読心の効果があるマジックアイテムを……!!
シュネーの考えが正解だったことに内心悔しそうにすると変態はニヤニヤと笑い始めた。
変態「残念でしたねぇ……もう少しでいなくなった恩人の情報が手に入ったのに……」
その言葉に、無意識ながらトクマの目に瞳孔が開いた。
トクマ「待て! 待ちやがれ!!」
怒りに任せて吼えるトクマ。しかし、変態はトクマからどんどん距離を離していく。
変態「さよならですよ! 哀れな追跡者さんた――
――チベスナァ!?」
瞬間、バカにしようとした変態の顔面に拳が深く突き刺さった。さすがの変態も防御力を上げるマジックアイテムを着けてなかったのか5メートルほど空中をきりもみ回転しながら地面に不時着して気絶した。
トレ子「どうやら、彼には効かなかったみたいですね」
キリト「彼? 彼って誰か呼んだのか?」
トレ子が呼んだみたいだが、心当たりある人物が見当たらず首を傾げるキリト。
アスナ「キリトくん知らないの!?」
アスナ「あの人は十字胸毛おじさんだよ!!」
キリト「いや、知らねぇよ!?」
アスナの言葉にキリトは大声でツッコんだ。
……まだ……まだ続くんだ。
- 真っ赤なXマス ( No.355 )
- 日時: 2017/12/18 19:21
- 名前: トクマ (ID: lh1rIb.b)
トクマ達が十字胸毛おじさんと遭遇した同時刻、同じ町の別のエリアでサンドリヨン達が集まって聞き込みの成果を出していた。
サンドリヨン「そうですか……そちらも……」
ルフル「はい。目撃者も少なく、有力な情報がありませんでした」
ルキナ「この様子だと犯人はサンタの袋に何らかのマジックアイテムを願って身に付けてる可能性がありますね」
とはいえ、探している人物の情報を得られないまま時間だけが過ぎていた。思考でマジックアイテムを願った所を予測するルキナだが、その予測が現実になってる事を知るよしもなかった。
ドレディア「ディーアー」
ピーター「どうしたんだよドレディア?」
ドレディアがとある物を見つける。視線の先にピーターが見るとミクサがいた。
ミクサ「……マッチ……いりませんか……」
どうやらミクサはマッチを売っていたようだ。
ピーター「ミクサ、マッチ売りしてるのかよ」
ミクサ「……ピーター……マッチ……いる……?」
ピーター「一つ買う」
ミクサ「……あり……がとう……」
リン「ミクサさん。少し休憩……あら? 皆様も来ていらしたのですか?」
気まぐれにミクサからマッチを買ったピーターの前に両手に温かい飲み物を持ったリンが現れた。リンの声を聞き、サンドリヨン達もミクサに気付いた。
サンドリヨン「リンさんもミクサさんと一緒だったのですか?」
リン「そうですわ。ミクサさんと一緒にマッチを売っていたのですわ!」
ミクサ「……うん……」
そう言って温かい飲み物を近くに置いてからミクサに抱きつくリン。ミクサは恥ずかしがっているが満更ではない様子。
ルフル「お二人にお聞きしたいのですが……怪しい人を見かけませんでしたか?」
ミクサ「……怪しい……人……」
リン「それなら、私は見ましたわ」
ルキナ「本当ですか!」
ルフルがリンに怪しい人を見なかったか訪ねると見たと答え、思わず大きな声をあげてしまった。
リン「えぇ、あまりに変態な格好だったので覚えていますわ! シルクハットに裸ネクタイの海パン姿でしょう? 目に毒だったのでミクサさんの目を隠しちゃいましたわ!」
間違いなく変態でした。流石に純粋組のミクサには目に毒だと判断してリンがファインプレーで目隠しをしたようだ。他の純粋組であるサンドリヨンは首を傾げるが、他は遠い目になって察した。
リン「その男ならあちらの方に――」
ドレディア「ディア!?」
リンが場所を伝えようとした瞬間、ドサ、とマッチ箱がたくさん入ったかごをミクサが落した。
サンドリヨン「み、ミクサさん?」
ドレディア「ド、ディア?」
ミクサ「……この……感じ……」
どこか遠い場所を見つめるミクサに恐る恐る声をかけるサンドリヨンとドレディア。
ミクサ「……リンちゃん……町の……避難を……お願い……」
リン「……まさか……」
ピーター「お、おいミクサ!」
リンに一言言ってからミクサはフラフラと何処かに導かれるように歩き始めた。いきなりの様子に戸惑いながらも後を追うピーター達……向かっている場所はなんの偶然か……トクマ達がいる場所である。
おじさん「君達、怪我はなかったかい?」
シュネー「心の怪我なら現在進行形で出来ています」
そして今に至る。心配する十字胸毛おじさんに対して塩対応どころか岩塩を投げつけるかのように養豚場の豚を見る目付きでシュネーが罵倒していた。
おじさん「ハハハハ、そんな冗談を言えるなら心配無用だ!」
ルフレ「冗談じゃねぇよ。心からの本音だよ」
トクマ「……ここにサンドリヨン達が居なくて良かったな……」
無駄にポジティブなおじさんにトクマはここに純粋組がいないことにホッとする。
トレ子「ク、十字胸毛おじさんだ! 近々私達と提携しようと話し合いを考えていた十字胸毛おじさんだ!!」
マック「何を考えてるんですかトレ子さん!?」
アスナ「キリトくん見て見て! 本物の十字胸毛おじさんだよ!!」
キリト「なんでヒーローショーで憧れのヒーローに出会えた少年のようなリアクションをとっているんだ! わからないよ!!」
そして変隊の二人はまるでテレビの中のヒーローが出てきた事に喜ぶ子供のようなリアクションを取っていた。その様子を見て当麻が恐る恐る手をあげた。
当麻「……あの……一つ聞きたい事があるのでせうけど……」
おじさん「なんだい?」
当麻「いつから、十字胸毛おじさんと呼ばれたのでしょうか……?」
当麻の質問に十字胸毛おじさんは照れ臭そうな表情を見せてから答えた。
おじさん「……なんだ……その……恥ずかしながら、元々私は裸族だったんだ」
変隊二人除く「」
衝 撃 宣 言 !!
まさかの言葉に言葉を失った。
おじさん「この町が好きだった私は裸族で町おこしをしようと考えた……しかし、世間の目は冷たく、次第に私の心は弱まって……現実から逃げようと迷惑をかける裸族になろうとしていた……」
続けて話すおじさんだが、先程の言葉の衝撃が抜けきっていないトクマ達は固まったままだ。
おじさん「そんな時に……トレ子さんに出会ったんです……」
変隊二人除く全員「トレ子ォォォォ!!」
身内が犯人だった事に叫ぶトクマ達。トレ子はテヘペロしていた……いや、可愛くないからね!?
おじさん「彼女は全裸で現れた私にデンプシーロールを繰り出し、倒れた私にこう言いました……『貴方の町を愛する心は本物です……そんな貴方が迷惑をかける裸族に陥ったら私が悲しみます……この町の“哀”に負けて生きるんじゃない……“愛”を抱いてこの町を変えるのです』……今でも忘れませんよ」
ルフレ「お前なんて事したんだ」
トレ子「それ程までに彼の精神は疲弊していたんです……まるで初めて会ったアスナさんのように……」
アスナ「わかる」
トクマ「同意するな!!」
二人のツッコミしかない言い分に思わず頭を抱えそうになった。
おじさん「そこから私は変隊として心機一転し、この町を変えようと奮闘して……今に至ります」
予想外なサクセスストーリーに頭を抱えるトクマ達。トレ子とアスナは誇らしそうな表情をしている。するとおじさんは自分が殴って気絶させた変態に視線を向けた。
おじさん「しかし、この方が犯人とは……」
ルフレ「知り合いなのか?」
おじさん「はい。私が牧師をやっている時によく相談されました」
当麻「ちょっと待て。え、お前牧師? 牧師なのか? それって過去であって今も牧師じゃないよな?」
キリト「落ち着け当麻」
まさかの証言に驚くルフレ。牧師宣言に動揺する当麻だが、話が長くなりそうなのでキリトが落ち着かせる。
アスナ「その人がいつ頃から変わったか覚えてますか?」
おじさん「えぇ……確か……そうだ。奇妙な格好をしたピエロのような男から、何やら怪しい本を受け取った時からですね」
トクマ「……奇妙な格好をしたピエロ……」
おじさんの言葉にトクマは眉を潜めた。
おじさん「それでは、私は他に被害がないか確認しますのでこれで……」
当麻「お、おう……気を付けろよ……」
他に盗難被害がないか調べに行こうとするおじさんに苦笑いしながら別れを言う当麻。
おじさん「……」
トクマ「な、なにか用かよ……」
いきなりトクマを見つめるおじさんにびびりながらトクマは話しかけた。
おじさん「これは余計なお世話かもしれませんが、私から貴方に一言だけ……貴方はなんの為に手を伸ばすのですか?」
そう言うとおじさんは黙ってトクマ達から離れていった。
トクマ「……意味わかんねぇ……」
アリス「…………」
突然の言葉に行き場のない苛立ちを覚えるトクマ。そのトクマをアリスは心配そうに見つめる。
ルフレ「トクマ、それよりもあのおっさんが言っていた言葉……」
トクマ「わかってる。奇妙な格好の道化師なんざ一人しかいねぇ……近くにいるんだろ! マグスクラウン!!」
辺りに響くようにトクマは大声で叫んだ。
マグス「ご名答!!」
トクマ達の目の前に鎌のような形をした笛を持った道化師――マグス・クラウンがまるでそこにいたかのように突如現れた。
ここからシリアスが加速する……コメントはまだ!!
- 真っ赤なXマス ( No.356 )
- 日時: 2017/12/18 19:28
- 名前: トクマ (ID: lh1rIb.b)
ルフレ「御託はいい……何が目的で騒動を起こした!」
マグス「怖い怖い……それでは語るとしよう……」
怒りがこもったルフレの威圧にマグスはわざとらしく怖がり、今回の計画について話始めた。
マグス「今回の狙いはサンタの袋……数多くの願いの概念で作られたその袋はあらゆる物質が混ざっている……それは良い願いもあれば、悪い願いもある」
マグスの言葉にトクマは否定できなかった……誰かの為に尽くす願いもあれば、自分の事しか考えていない願いもあることを知っているのだ。
マグス「私はそこに着目した……その願いを……欲望を……!!」
フロスティ「■■■■■ーッ!!」
マグスの言葉と共に手足の生えた人型の巨人のような大きな雪だるまが現れた。
当麻「アレって……!?」
ルフレ「なるほど。でかい人型ってのはコイツの事か!!」
アリス「気をつけて! フロスティはクロノダイルと同じぐらい強い敵だよ!!」
フロスティから放たれる肌を冷たく刺さる威圧に負けじとトクマ達も武器を、拳を構える。
マグス「戦闘はまだだよ……」
しかし、マグスが待ったをかけた。
変態「う……うぅ……」
気絶してた変態が目を覚まし、自分が知らない内に進んでいた状況に首をかしげた。
マグス「起きたかい?」
変態「あれ、アイツらは……」
マグス「アイツらは君から袋を奪うつもりだ! それもそんじょそこらの強さじゃない! 簡単に君に貸したフロスティを倒してしまうだろう!!」
変態「そ、そんな! こんなお宝を奪うだなんて……!」
当麻「元はと言えばお前がサンタから奪ったものだろ!!」
変態「黙れ黙れ!!」
強欲に、傲慢に当麻の言葉を否定する変態。その様子にマグスは笑みを浮かべる。
マグス「私もそれは困る……だから、フロスティを強化してあげよう」
それは、悪魔のような甘言だった。
変態「た、頼む! このお宝は手離したくないんだ!!」
その言葉にマグスは笑った。その時の彼の表情をトクマ達は忘れないだろう……彼の右半分は憂えるように、左半分は悪魔のような歪んだ笑みを見せていた。
マグス「喜んで手を貸そう!!」
変態「そ、それでどうやってパワーアップを……」
変態が詳細を聞こうとした瞬間、フロスティが閉じていた口を開いて変態を頭から丸呑みした。
アリス「ひっ!?」
ルフレ「なっ……!?」
シュネー「そ、そんな……!?」
まさかの光景に恐怖で顔を歪めるアリス、言葉を失うルフレとシュネー。
フロスティ「■■■■■ッ!!」
変態を丸呑みしたフロスティの身体が白から黒く塗りつぶされるかのように染まり、全身が黒く染まって目が青白く輝いて辺りを響かすように吠えた。
シュネー「フロスティの身体が黒く……!!」
マグス「そう! 人を取り込むことにより強くなりたいと願い、数多くの願いの概念を凝縮して作られた一品であるサンタの袋を利用し、心からの欲望によりパワーアップした存在!」
まるで大道芸や手品をするかのように大袈裟に動くマグス……不適な笑みを浮かべながらトクマ達を見た。
マグス「名付けるなら……ブラック・フロスティ。安直だけどこれほど似合う名前はない」
その言葉と同時にブラック・フロスティが腕を振りかぶってトクマ達の方へ叩きつけようとしていた。
ここに、闇の軍勢の一体であるフロスティとの第一戦が始まった。
ルフレ「散会!!」
その言葉と同時にトクマ達は四方八方にバラけ、避けると同時にフロスティを撹乱した。
アスナ「どうしよ! アレって攻撃しても大丈夫なのかな?」
ルフレ「バラける瞬間に攻撃を与えてみたが痛がってる様子はない。恐らくだが燃料タンクのような扱いになってるんだろう」
ルフレの言葉にマグスは感心した様子を見せた。
……その通り、あの男には媒体としてフロスティのパワーアップを補ってる……簡単に言えばフロスティの体力を全て削るもしくは男をフロスティから抜き出せばフロスティは消える。
シュネー「だったら、遠慮なく行きます!」
トクマ「ちゃっちゃと片付けるぞ! アリス! ルフレ!」
アリス「りょーかい!」
ルフレ「指示しなくてもいい!!」
痛覚を感じないとわかり、槍を構えるシュネー、斧を大砲に構えてエネルギーを溜めるトクマ、威力の大きな呪文を唱え始めるアリスとルフレ。
シュネー「突き通せ! 勝利の刃!」
アリス「ビックリさせちゃえ!」
トクマ「ハウル・オブ・ゼロ!」
ルフレ「エルサンダー!」
一斉に放たれた攻撃はフロスティを倒れさせ、その隙に攻撃を仕掛けるスマブラメンバー……フロスティも負けじと鼻に付いてる大きな人参を機関銃のように連射する。
トクマ「アブね!? ニンジン飛ばして来やがった!」
ルフレ「当麻!」
当麻「おう!!」
近くにいたトクマはスレスレで避け、ルフレは当麻に幻想殺しで防いで無効化するように指示を出した。
トクマ「これで決めるぜ! ハスター!!」
決着を着ける為にハストゥールの鍵の能力でパワーアップしたトクマがエネルギーを溜める。
トクマ「ハスター・ウィンク!!」
放たれた熱線はフロスティに当たり、フロスティは後ろから仰向けに倒れた。
ルキナ「ルフレさん!!」
ルフレ「ルキナ!」
ルフレ達の後ろからミクサとミクサの後を追ったルキナ達がルフレ達と合流した。
ルキナ「ミクサの後を追ったらこんな事になっていたなんて……」
ルフレ「こっちも色々あるが、説明は後だ」
トクマ「とはいえ、もう終わった……後は回収するだけだな」
倒れているフロスティを見て片付いたと確信するトクマ……袋を回収しようと動こうとした瞬間にルフレに服の端を掴まれる。
ミクサ「……まだ……」
その言葉と同時に倒れたフロスティの指が動き、起き上がった。
トクマ「まだ倒れないのか……予想以上にタフだな……」
ルフレ「待て、様子がおかしい……」
フロスティ「……■■■■……」
起き上がったフロスティは低い声を出し、まるで何かをマネするかのように力を溜めていた。
フロスティ「■■■■■■■!!」
青白い目が強く発光した瞬間、フロスティの周りを球状のガラスが包んだ。
全員「なっ!?」
その現象を全員が驚き、特にワンダーランドウォーズのメンバーは大きく動揺した。何故なら、フロスティがやったのは自分達の切札ともいれるワンダースキルだったのだ。
サンドリヨン「ワンダースキル……!?」
アリス「ウソでしょ!?」
ピーター「なんで使えるんだよ!!」
突然の事態に動揺するメンバー。そんな様子を見向きもせずにマグスは光悦の表情でフロスティを見ていた。
マグス「これは予想外……!!」
予想以上の結果に笑うマグス……自身がいる組織にこれを報告すれば自身の目的に近づけることにさらに笑みを深めた。
そしてパワーアップが終え、フロスティが球状のガラスを破って現れた。
マグス「さぁ……第二幕の始まりだ!」
パワーアップしたフロスティが無数の雪玉を射出し、ルフレ達とルキナ達に襲いかかった。
コメントはまだ!
- 真っ赤なXマス ( No.357 )
- 日時: 2017/12/18 19:42
- 名前: トクマ (ID: lh1rIb.b)
これが……私が書ける……シリアスだ!!
……ボケてしまいましたがシリアスなのでご注意ください。
黒いフロスティ――B(ブラック)フロスティの攻撃がルフレ達の所に着弾し、白い煙で様子がわからない動かずにルフレ達の方向を見るBフロスティ。
瞬間、白い煙から黄色い何かが飛び出し、Bフロスティの背後に素早く回った。
トクマ「ハスター・マキシマム・ウィイイイイイイインクゥ!!」
黄色い何か――トクマが最大出力の必殺技を放った。しかし、先程は倒れたBフロスティが今度は倒れなかった。
トクマ「効いてねぇ……パワーアップしたのは本当のようだな……」
アリス「クマちゃん!」
アリスの言葉に前を見るとBフロスティが先程やった人参を機関銃のように連射しようとしていた。
トクマ「ハスター・マキシマム・カァァァァテン!!」
パワーアップした状態なら普通に防いでも破ってしまうと考えたトクマは全力の防御壁を斜めにして攻撃を流すように展開する。
放たれたBフロスティの攻撃はトクマの防御壁を削って逸れていったが、数発で防御壁を破ってトクマに襲いかかった。
当麻「大丈夫か!?」
トクマ「なんとか大じょ……イ"ッ!?」
当たった衝撃で元の状態に戻ったトクマだが、左腕に鋭い痛みを感じた。
サンドリヨン「トクマさん!?」
マック「腕、見せてみろ!」
すぐさまマックが腕の様子を見る。トレーナーであるドックより経験はないが、それでもケガの状態の確認ならわかる。
マック「強く打ち付けたみたいだな……」
トクマ「利き手じゃないからまだいける!」
ルフレ「悪いが、軽くは言えない」
トクマの言葉をルフレが遮り、腕をまくった。ルフレの腕には青白い奇妙な紋様が描かれていた。
ピーター「なんだそれ?」
ルフレ「恐らくだが、全員に同じモノがかかれていると思う」
シュネー「本当だ!」
ルフレの言葉に確認すると全員に同じ紋様が描かれていた。心当たりがするなら、Bフロスティの攻撃を受けた時だろう。
ルフレ「解析した結果、俺はこれを呪術的な呪いだと思う……それも体温を下げる」
ルフレは自身の考えを言うが、その言葉に確信と同時にアリスの顔が青ざめた。
アリス「それ……ヤバイかも……フロスティは雪を降らせて周囲の温度を下げる敵だから、そんな事されたら……」
ルフレ「全員、体温が下がり続けて最期には全滅だ」
最悪の事態に沈黙するメンバー。長期戦になればなる程不利になる
トクマ「当麻、お前の能力で無効化できないか?」
当麻「やってるけどよ……消してもまた浮かび上がってきやがる」
ルフレ「あの雪だるまを倒さない限り消えないタイプだな……」
ミクサ「……私は……戦える……」
ルフレ「ミクサの炎でも限界はある……何より庇って戦うのは不利だ」
ああでもない、こうでもないと話し合うメンバー。幸いにもBフロスティはまるで観察するかのようにこちらを見つめている。
ルフレ「……一時退却するしかない。ピーターのワンダースキルで全員――」
アリス「……私が囮になる」
退却をしようとした直後にアリスが提案してきた。その言葉に空気が固まった。
トクマ「……アリス……何言って……」
アリス「フロスティには離れれば離れる程強力になる技や遠距離でも対応できる技を持ってるの……私なら時間を稼げる……全員を救えるのはこれしかない」
アリスの言葉にトクマは返す言葉がなかった。アリスの能力なら撹乱できる……それに切札であるワンダースキルは使いようによっては足止めができる……だが、それを承認すればアリス一人を残して逃げなければいけない……
ルフレ「……」
アリス「……」
張り詰める空気でルフレとアリスが睨み合う……いつもの彼女とは違う目にルフレは本気であると確信した。
ルフレ「……アリスを除く全員、退却用意だ。アリスはボムバルーンの準備」
キリト「ルフレ!!」
アリス「……ありがとう」
ルフレの決断に当麻が反応した。
当麻「ルフレ! お前は自分が何を言ってるのかわかっ……」
当麻がルフレに反論しようとした瞬間にルフルが当麻とルフレの間に割って出てきた。
当麻「ルフル、そこを――」
ルフル「飲み込んでください」
真剣な声色で言うルフル。顔は下を向いていて表情がわからない。
ルフル「一番辛いのは……お兄様なんです」
当麻「……」
ルフル「軍師というのは、自身の感情で指示をしてはいけないんです……一つでも誤った指示をすれば全滅だって間逃れない……時には非情な指示を自身の口から言わなければいけないんです……」
ルフルの言葉に戸惑う当麻。ふと、ルフレの方を向くと顔を背けていたが口の端から血が少し流れた跡があり、握っている手からは強く握りすぎたのか血がポタポタと地面を汚していた。
当麻「……でも……」
ルフル「……お願いしま、す……言わ、な、いで、ください……」
下を向いた状態で当麻を制止するルフル。彼女の足元に何かの雫がポツポツと落ちていっている。そこで当麻はこの軍師兄妹も辛い判断を下して後悔していた事に気付いた。誰もがアリスの考えを否定したかった……だからこそ、できないのだ……
“アリスの命”か“全員の命”か。
フロスティに呪いを付与された時点で、心優しいアリスには選択肢が一つしかないのだ。
アリス「ミサちゃん。お願いね」
ミクサ「……ん……」
唯一、炎の魔術を扱うミクサもあの紋様が描かれていた。それにアリスの目には覚悟が宿っており、それを否定する事はアリスの生き様を否定するのと同義なのだ。
サンドリヨン「……アリス……」
アリス「……も~サンドちゃんとシュシュちゃんは表情が硬いなぁ……お願いだから笑って」
今にも泣きそうな表情でアリスを見るサンドリヨンとシュネーに笑ってとお願いする。他のメンバーにも一言一言話すアリス……そして、トクマに言葉を交わす。
アリス「……クマちゃん……」
トクマ「……アリス、オレも残って戦う。ハスターの魔力制圧なら、アイツに有効かもしれない」
アリス「……クマちゃん……」
トクマ「……お前が残る必要はないだろ……お前は全員助かると言ったけど助かる訳ないだろ……誰かを犠牲にした時点で全員じゃないんだぞ……」
無駄だと思いつつも説得しようとするトクマ。アリスは微笑みながら首を横に振った。
ルフレ「……始めてくれ、ピーター」
ピーター「良いのかよ。ルフレ」
ルフレ「……これ以上待てば……俺は全員を道連れにするような指示をしちまう……!」
ピーター「……わかった……」
ルフレの言葉にピーターは感情を殺し、ワンダースキルの詠唱に入った。
アリス「クマちゃん……私ね。ここに来るまでは一人ぼっちだった」
大量のボムバルーンを作りながら、アリスはトクマに話始めた。
アリス「身体も弱くて、いつも家の窓から楽しそうな声を聞くだけだった……そんな私に色々な事を教えてくれたのはお姉ちゃんだった」
それは、彼女の原点にして不思議の国のアリスとなった起源。話始めるアリスをトクマは焦燥と不安を持った。
ピーター『みんなの夢は、俺が守るぜ!』
アリス「自分が知らない世界のことが掛かれた本や絵、不思議な道具がいっぱいな、一番近くて一番遠い冒険の世界がそこにあった……あの世界のコワーイ秘密が書かれた分厚い本。オシャレな服がいっぱい詰まったクローゼット。お姉ちゃんお得意の『変身魔法』のタネが詰まった化粧箱」
……ろ……
アリス「どれも私の知らないものばかりで、思い出すと今でも……その世界がすごく羨ましくて、すごく、眩しかった」
……めろ……
ピーター『夢見る自由を妨げる奴は、許さねぇ!』
アリス「そして、その世界で一番気になった本を開いて、私の世界が変わったの……怖かった事もあった……寂しかった事もあった……悲しかった事もあったけど……サンドちゃん、シュシュちゃん、ターちゃん、ミサちゃん、シレネん、色んな友達が出来たの……」
……やめろ……
アリス「……そして……スマッシュブラザーズに来て……たくさんの、人に出会って……たく、さんの、世界を知って……私は……幸せ……だった!」
……やめてくれ……
ピーター『進む場所! 帰るべき場所は! 俺たちが自分で決めるんだ!』
アリス「クマちゃん……貴方の世界を、教えてくれて……」
……これじゃあ……まるで……
アリス「ありがとう」
……遺言みたいじゃないか!!
トクマ「アリ――」
ピーター『永遠の夜への招待状……受け取ってもらうぜ!』
アリスまでもう少しという所でピーターのワンダースキルが発動し、同時に紫色の濃い煙が辺りを包んだ。
トクマ「アリス! アリスゥゥゥ!!」
ピーターに担がれ、運ばれるトクマが手を伸ばしながらアリスの名前を呼ぶが、アリスはその様子に優しく微笑んで手を振るだけだった。
マグス「おやおや、囮として君一人で立ち向かうのかい……無駄な足掻きだよ」
アリス「無駄なんかじゃないよ」
煙が晴れ、マグスがアリスしかいないことに気付いてバカにするかのように嗤うマグスを即答で否定するアリス。彼女の周りに大量の魔力が溢れ始める。
アリス「私ね。クマちゃんにドッキリしないといけないの……だから……倒れるわけにはいかない! あの場所へ! みんなが待ってる場所に帰るんだから!!」
決意と覚悟を胸に、気合いと勇気を詠唱にのせて、アリスはワンダースキルを発動させた。
アリス『楽しいお茶会、はじめましょ!』
その詠唱は彼女の夢であり、
アリス『一緒にどこまでも、不思議な旅へ出かけよう!』
その詠唱は彼女の希望であり、
アリス『夢の扉が開いたら、何が起きても不思議じゃないよ!』
その詠唱は彼女の楽しかった人生そのものだった。
アリス『夢と不思議のおもちゃ箱、ぜーんぶひっくり返しちゃう!』
強く光輝く彼女の物語が形となったワンダースキルがアリス自身に力を与える。ガラスの球状をぶち壊して現れたのは、Bフロスティに引けを取らない大きさに巨大化したアリスだった。
マグス「……これは驚いた……まさか巨大化とは……しかし、君が倒される事には変わらない……やれ! ブラック・フロスティ!!」
フロスティ「■■■■■■■ッ!!」
Bフロスティが雄叫びと共に走り出したと同時にアリスも走り出す。
自身の覚悟と引き換えにアリスは勇気を奮い立たせ、立ち向かって
行った。
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