二次創作小説(新・総合)

真っ赤なXマス ( No.365 )
日時: 2018/01/05 19:44
名前: トクマ (ID: okMbZHAS)

 さぁさぁ! 去年で終わる予定だった話もクライマックス! リアルでは予想以上の長さの話になったり、新年早々に風邪でダウンしたけどそれは置いとき、始めましょうか!

 それでは、どうぞ!!



 アリスがフロスティと激突している中、ルフレ達は急いで撤退していた。

ピーター「クマの旦那! 大人しくしてくれ!」
トクマ「ピーター! 頼むから離してくれ!」

 ピーターに担がれてるトクマはアリスの所へ戻ろうと足掻くもピーターは離さない。

ピーター「わかってんだろ……アリスはオレ達を助けようと残ったんだぞ! 一人でも助ける為に自分から行ったんだ……ここで残ったら……アイツの覚悟を無駄にしちまう!」

 ピーターの言葉にトクマは暴れる勢いを徐々に弱め始めた。彼の言葉に悲痛が込められていたからだ。

ピーター「頼むからわかってくれ……クマの旦那」

 ピーターの言葉にトクマは暴れるのをやめてピーターを見る。よく見れば彼の口の端に赤い線が出来ていた。自身と同じ気持ちを押し殺してることを知り、トクマは申し訳なさそうな表情で口を開いた。

トクマ「……悪い、ピーター……」
ピーター「イッ!?」

 瞬間、腕に鋭い痛みを感じたピーターが硬直する。その瞬間にトクマはピーターから抜け出してアリスの場所に駆け出した。

ピーター「クマの旦那!!」

 ピーターの声に振り返りもせずに走るトクマ。

トクマ「グアッ!?」

 しかし、何処からかチェーンが伸び、トクマの足を拘束して動きを止めた。

ルフレ「行こうとすんじゃねぇ……」

 魔法陣を起動し、氷のような冷たさを持った眼でトクマに近付くルフレ。トクマはルフレに対して睨み付けていた。

ルフレ「お前だってわかってるだろ……勝てないって事が……」
トクマ「……それでも……」
ルフレ「それでも行くなら……お前の手足を折ってでもスマブラに撤退する」
当麻「お、おいルフレ!」
マック「流石に言い過――」
ルフレ「素人が口出しするな!!」

 あまりの言い分に止めようとした当麻とマックだが、鬼気迫る迫力に戸惑った。

ルフレ「お前だってわかるだろ……生半可な力で救える程現実は甘くないって……軍師ってのは私情で動かせば終わりだ……指示の一つ一つに大勢の命を背負うんだ……一つでも詰めを見誤れば多くを失う……」

 その言葉にサンドリヨンとシュネー、ピーター、ルフルとルキナは言葉に詰まった。自分達も理解しているからこそ反論できないのだ。

ルフレ「1%以下の確率でも勝負に出るのが賭博師、1%以上の成果を確実に作り出すのが軍師だ……綺麗事で救えるほど優しくねぇんだ」

 冷たく言い放つルフレ。その手から赤い雫がポツポツと落ちていく。感情を殺して判断しているのだと当麻とマックは理解した。

トクマ「……だったら……」

 弱々しく、しかしどこか力強さを感じる声にルフレは耳を傾けた。

トクマ「……だったら、お前も……覚悟を、決めろ……」
ルフレ「……覚悟?」

 その言葉に首をかしげると、トクマは話始める。

トクマ「……アリスは、手が震えてた……本当は怖いくせに……無理して……オレ達を助ける為に……震えながら……」

 別れる間際、トクマはアリスが震えた事を思い出した。本当は逃げたかったハズだ。本当は戦いたくなかったハズだ。それでも、彼女は誰かを守るために自ら立ち上がったのだ。

トクマ「……オレは……バカだ……今になって、浮かれてた……」

 “願いを叶える”

 その言葉にトクマは多量の幸福に喜んだ。だからこそ、無意識の内に現実いまを軽く思ってしまった。

トクマ「今になって、忘れてた」

 彼から教わったのはその考えだけではない。彼の背中に憧れて学んだ事を思い出し、あの言葉が頭を過った。

 ――……貴方はなんの為に手を伸ばすのですか?

トクマ「今になって、思い出した」

 自身が動く理由なんて、誰かを助ける理由なんて、目先の欲に絡んで忘れてしまった事を思い出し、後悔する。

ルフレ「……どう言おうと、引き返すことは諦めろ」

 軍師としての判断を曲げる訳にはいかないルフレは否定する。そのルフレにアスナが話しかける。

アスナ「なんとか……ならないの?」
ルフレ「……このバカに感化されたのかわからないが諦めろ。ハスターの力も魔法も、体術剣術奇術全てが効かなかった相手だ……それこそ、奇跡でも起きない限りな……」

トクマ「……違う……」

 トクマの言葉に全員が振り向く。

ルフレ「……」
トクマ「……」

 睨むルフレに睨み返すトクマ。しばらく張り詰めた空気が二人の間に流れ、ルフレが口を開いた。

ルフレ「……あるんだな?」

 その言葉にトクマ以外の全員が驚き、トクマは無言で首を縦に頷く。

ルフレ「確率は?」
トクマ「……良くて三割さんわり二分にぶ
ルフレ「リターンは?」
トクマ「あの雪だるまをぶっ飛ばしてアリスを助けれる」
ルフレ「リスクは?」
トクマ「オレ自身」
ルフレ「最後だ……賭けるのは?」
トクマ「オレの四肢とほこりだ」

 淡々と話し合う二人。聞けばメリットなんて少ない言葉に沈黙が続く。

ルフレ「……はぁ……賭博師の真似事をやれってことか……」

 やがて後頭部を掻いたルフレがため息を吐き、目を鋭くする。

ルフレ「リン! ミクサ!」
リン「は、はい!?」

 急に呼ばれて驚くリンとミクサ。そんな二人のリアクションを無視してルフレは命令する。

ルフレ「フロスティの方角及び上空を警戒。来たら迎撃しろ」
リン「はい!」
ルフレ「当麻とマック、キリトは周囲を警戒しろ。マグスが近くにいるかもしれない。アスナとトレ子はルフルのサポート。ピーターとサンドリヨンはルフルと一緒に回復役にまわれ」
ルフル「はい!」
七人「……」

 流れるように指示するルフレに眼を点にする七人。

ルフレ「時間がない! さっさと準備しろ!!」
七人「は、はい!!」

 それにルフレが有無を言わさない迫力で指示を飛ばし、急いで行動し始めた。

トクマ「……すまないな」
ルフレ「謝んな。確率を上げる為ならどんな手段でも使ってやる……だが、もう一度言ってやる」

 ルフレはトクマの謝罪否定し、目を向ける。その目には肌を刺すような鋭い感情が込められていた。

ルフレ「お前の底がわかった瞬間、俺は容赦なく行うぞ。骨を折り、内蔵を破壊することだって躊躇しない。それでもいいならやってみろ」
トクマ「最後の最後に脅しかよ。ルフレ……お前だって知ってるだろ。オレは諦めが悪いってことをよ」

 ルフレの言葉をトクマはヘラヘラと笑いつつも、その目には今までなかったモノが返ってきていた。

 トクマがルフレに言った手段はブラフではなく、実際にある。それは、とある訓練――サンドリヨンと仲が悪かった時にまでさかのぼる。





 とある理由でトクマは戦わなければいけなくなった時にゼルダから『魔法と気の違い』について勉強していた。

ゼルダ『いいですかトクマさん。魔力と気は別々に分けられます』

ゼルダ『この二つは自然界にただよい、自身の体内にも存在しますが性質は異なり、魔力は火、水、風、地と言った四元素を司り、気は肉体強化や回復に長けています』

トクマ『回復魔法とか、ドラゴンボールとかで見た気の弾丸とかは?』
ゼルダ『確かにできますが、効率を考えると魔法は攻撃、気はサポートという大まかに考えた方が良いですね。あまり難しくすると貴方の頭が破裂しますので』
トクマ『しませんよ!?』
ゼルダ『それでは出題ですが、移動魔法はどこに分類されますか? 防御魔法は? 妨害魔法は? 探索系統は? 封印呪印結界召喚術交霊憑依はどちらを運用すれば効率がいいでしょうか? サモサモキャットベルンベルン?』
トクマ『最後の言葉は遊戯王ですよね!? ある意味魔法の言葉だけど魔法関係無いですよね!? それと生意気言ってすいませんでした!!』

 カードゲームで決闘者デュエリストにトラウマを刻み込んだ恐ろしい言葉に若干だがトクマは震えながら指摘する。

ゼルダ『冗談はともかく、魔力と気の運用を覚えれば少ないエネルギーで大きな結果を得られますので頑張ってください』

 そう言ってゼルダは少しだけ席を外し、トクマは気と魔力を溜めようと練習を繰り返していた。とはいえ、それで強くなる事なんてなかったが、とある事が頭を過った。

 ……そういや、漫画で魔力と気を溜めて合わせて強くなる方法があったっけ……

トクマ『……』

 好奇心からやってみようと思ったトクマ。運命のイタズラか偶然によるラッキーか右手に魔力、左手に気を溜める事に成功し、ゆっくりと合わせようと近付けようとし――

ゼルダ『何やってるのですか!!』
トクマ『あべしっ!?』

 ゼルダのレッグラリアットがトクマの後頭部を襲った。攻撃のショックで魔力と気が霧散し、トクマは後頭部から白煙を出しながら気絶した。

 そして、目が覚めると背中にジョジョ立ちしている不動明王がいる怒ったゼルダがいた。

ゼルダ『自分が何をやったのか理解してるのですか!! 言ってみなさいこのウォンバットが!!』
春麗『ちょっと落ち着きなさいよゼルダ。どうしたのよ?』

 珍しく怒るゼルダに近くを通ってた春麗が驚きながらも声をかける。春麗の事情を説明するトクマ。

春麗『……あぁ……なるほど……それなら君が一番悪いわね。次点でちゃんと説明しなかったゼルダ姫も悪いわね』
ゼルダ『いや、その、わ、私もやるとは思えなかったから説明しなかったのですが……』

 ハッキリした春麗は理解し、トクマは首をかしげる。

トクマ『あの、何か問題があるんですか?』
ゼルダ『……理論上は可能です』
トクマ『……理論上? 燃費が悪いとか何か問題が?』
春麗『……ううん。貴方の言う通りそうするとパワーアップできるのは確かだわ……でも、問題はそこじゃないのよ』

春麗『魔力と気……同じ不可思議オカルトに分類されるけどこの二つは強く反発しあう性質なのは知っているわよね……これを合わせるとその爆発力で大きく強化するんだけど……耐えられないの』
ゼルダ『簡単に言えば、汚い花火になります』
トクマ『怖ッ!?』

春麗『周囲30メートルを爆破する爆弾を食べて体内で爆発させるようなモノよ……力を得たとしても、その力に耐えきれず体が飛び散るわ』

トクマ『すいませんでしたゼルダさん』
ゼルダ『構いませんよ。私は怒ってないので……それでは、魔力と気を同時に練る訓練をしましょう』
トクマ『すいません。やっぱり怒ってないですか?』





トクマ「……あの時はやらないと誓ったけど……勝つにはこれしかない……」

 ゼルダと春麗に怒られた記憶を思い出して苦笑いするも、状況を逆転できる手札がこれしかない事に内心で謝りつつも……右手に魔力、左手に気を溜め始める。

 ……ハッキリ言うと賭けだ……今はDDを飲んでいつもより頑丈になっている……加えてオレの魔力と気は微弱……例え少なくても、逆転の手札にはなるハズ……

トクマ「……ハハ……」

 ふと、自身が力なく笑っている事に気付いた。

 ……怖い……手が震える……

 下手すれば最悪な事になるかもしれない事に震えるトクマ。しかし、こうやって震えている間にアリスが戦っている事を思い出して気を引き締める。

トクマ「……」

 安定した魔力と気を左右の両手に溜めたトクマが少しずつ合わせようと近づかせる。

 ……よし、そのまま……そのまま、少しずつ魔力と気を合わせ……

ルフレ「……」

 ……なるほど……魔力と気を合わせる事による爆発力を燃料に強化する考えか……魔力や気で身体を強化しても何が起こるかわからない……成功すれば膨大なエネルギーを確保できる……ドリンク剤で強化した状態ならいけると思ってるようだが……

ルフレ「それが出来れば、楽じゃない」
トクマ「ゲホッ! ゲホッ!!」
サンドリヨン「トクマさん!?」

 少しだけ指が触れた瞬間にトクマが地面に向かって吐血した。無機質な地面に赤い液体が水溜まりを作る。

 ……予想以上に痛い……指先で触れるぐらいに合わせただけで身体に激痛が……内蔵にダメージを……下手したら……

ルフレ「やめとけ。ドリンク剤で強化できると言ってもお前がやろうとしてる事は自己暗示の延長線みたいなものだ。これ以上は無理だ……約束通りへし折ってでも撤退するぞ」

 これ以上は危険だと判断するも手段を考える時間がない。懐からドリンク剤のDDを二本取り出した瞬間にルフレにドクターストップをかけられ、力なくドリンク剤を地面に落とすトクマ。地面に落ちたドリンク剤は瓶が割れ、中の液体が地面を汚した。

ルフレ「……?」

 ふと、ルフレはドリンク剤に目を向けて首をかしげた。

 ……液体が思ってたより少ない?

 地面に落ちたドリンクからこぼれた液体が思ってたより少量だった事に首をかしげ、そして気付いた。

ルフレ「……おまえ!? まさか!!」

 すでに、始める前に飲んでいたことに。

 ……構うものか。

 ルフレの表情に苦く笑いながらも魔力と気を合わせる。身体から軋むような音が鳴り響き、口からこぼれる血液が量を増していく。何かが内側から食いちぎられるような痛みに耐えながらもトクマは合わせる事をやめない。

 動かしているのは精神。他者から見ればトクマの行動はどこか狂っているように見える。

 ……オレ程度の命でこの状況が変わるなら……この賭けで全てを逆転できるなら……

トクマ「……護れナかったモノを護レルなら……持ッていキヤがレ!!」

 トクマを止めようとするルフレとルキナ達だが、徐々にトクマの背景が陽炎のように揺らぎ始める事に気付いた。

トクマ「復讐者ヲ……復讐者オレを……ナメるな!!」

 トクマの目が紅く輝いた瞬間、炎のように揺らめく赤い光がトクマの体から放たれ、ルフレ達を強く照らした。
























































 そして、アリスとフロスティの戦闘はすでに終わりを迎えていた。そこにいたのは――


アリス「……」

 身体中に青白い紋様が描かれたアリスが倒れていた。フロスティは目立った外傷もなく、ただアリスを見つめていた。

 ……さむいなぁ……

 ……ミクちゃんは……こんなにも……辛いことを体験をしたのかなぁ……

 ……みんな……逃げてくれたかなぁ……

 ……クマちゃん……おこってるよね……

 ………や……………い…………

 …………あ……………

 ……………いやだなぁ………

マグス「さよならだよ。不思議の国の少女」

 マグスの指示でフロスティが手を大きく上に上げた。降り下ろされれば、自分は助からないと不思議にも冷静にアリスは思った。

 瞬間、走馬灯が過り、再生される暖かい思い出にアリスは涙がこぼれた。

アリス「………あいたいなぁ…………」

 アリスの呟きと同時にフロスティの剛腕が降り下ろされた。剛腕に叩き潰された場所を見て、マグスは静かに呟いた。

マグス「……残念だったね」





































 ……あったかい……

 フワフワとまるでお日様のような暖かさに揺れながらアリスは呟いた。ここは天国なのかもしれない。自分は最後に善行したのかわからないが、この暖かさは心地よい。

 ――……起きろアリス。意識があるなら目を開けろ……

 何処からか声がする。神様かも知れないが、もう少し眠りたいアリスは身を丸くする。

アリス「あと、五分だけ」

 ――……しょうがないな……

 どこか世話焼きのような、しかし安心感のある声に眠ろうとするアリス。

 ――……必殺……

 しかし、低い声とともにこめかみを掴まれる感覚に疑問を覚える瞬間に万力に挟まれたような痛みが頭を襲った。

 ――……アイアンクロォォォォォ!!

アリス「いったぁぁぁぁいぃ!?」

 激痛とともに目が覚めるアリス。頭をおさえて落ち着こうとするが、自分が生きている事に気付いた。

アリス「……え………え!?」

 あの時は間違いなく動けなかった。最後の光景だって覚えている。疑問が埋め尽くされるも暖かい熱が自身を暖めている事に気付いた。

 その熱源に顔を向けると――

アリス「――え……」

 驚愕に表情を染めるマグスと見覚えのある背中が目に写った。風にはためく上着を、彼女は知っている。

アリス「……クマ……ちゃん……?」

 アリスが疑問を口にするのはわかる。赤ジャージを羽織っているも彼の黒い髪の毛が山吹色とオレンジが混ざった色となり、瞳が緋色に染まっている。

 その姿は、まるで太陽だとアリスは思った。

 マグス「なんなんだ……お前はなんなんだ!!」

 予想だにしない出来事に声をあららげるマグス。偶然とはいえ強化したトクマに警戒心を抱く。

 トクマ「そうだな……オレもこうなったのは予想外だ……でも、答えるならこう答えるとするか……」

 マグスの言葉にニヤリ、と笑ってトクマは大声で答えた。

トクマ「世界で一番のおバカだ! バカヤロー!!」

 その声と同時にトクマの身体から炎のように揺らめく光が溢れだした。

トクマ「熱く……振り切るぜ!!」


 まだまだ続くよ! コメントはまだ!

真っ赤なXマス ( No.366 )
日時: 2018/01/05 19:52
名前: トクマ (ID: okMbZHAS)


トクマ「ファイナルラウンドだ……雪だるま!!」

 その言葉と同時にトクマはアリスを担ぎ、赤い軌跡を残しながら高速で動いた。フロスティも眼で追おうとするがそれよりも早くトクマがフロスティの膝の裏を蹴って転ばせ、隠れる。

アリス「クマちゃん……その姿……ふが!?」

 アリスが言おうとした瞬間にトクマはアリスの頭を掴んだ。

トクマ「アリス……さっきはよくも言いたい放題言ったな……」
アリス「イタタタタタタ!! 痛い痛い! アイアンクローはやめてぇ!!」

 ギリギリと締めるトクマにアリスはもがき、トクマの手から抜け出し、反論した。

アリス「だって、仕方ないじゃん! みんなを助けるには、これしかなかったんだから!!」
トクマ「だからと言って、本当に残るバカがいるか! このバカ!!」
アリス「バカ言った人がバカなんだよ!」
トクマ「黙れヴァカ!!」

 まるで子供の口喧嘩のように喧嘩する二人。

トクマ「少なくとも、オレには迷惑をかけまくれ!」
アリス「へ?」

 トクマの言葉に戸惑うアリス。

トクマ「いなくなったら何人が悲しむと思う! 何人が怒ると思う! 何人が、復讐に走ると思う!! そこまで考えたか!! 少なくとも、オレは走るぞ!!」
アリス「……」

 自己犠牲に怒るトクマに返す言葉がないアリス。しょんぼりとした様子をみせるが、トクマはアリスと同じ目線になって話しかけた。

トクマ「……お前は最後の覚悟を決めたアリスじゃねぇ……イタズラ好きで、ギャグカオス好きで、オレや他の人に振り回して迷惑をかける少女こどもだ」

 その言葉にアリスが顔を向けると、トクマの表情は無事だった事に安堵する父親のような表情だった。

トクマ「だったら、オレ達に『一緒に戦ってくれる?』ぐらい言え! お前はこどもだから、迷惑をかけていいんだよ」
アリス「……クマちゃん……性格悪いよ」
トクマ「知ってるさ」

 寂しかった心でそんな暖かい事を言われたら断れない事にややジト目になるアリスをトクマは笑って答えた。

トクマ「さて、利子つけて返してやるとするか……どうやって戦うか……」
アリス「クマちゃん、私に考えがあるんだけど……」

 戦い方を考えているとアリスから提案を持ちかけられ、トクマはその考えを聞いた。

トクマ「よし! それでいこうか!!」
アリス「うん!」

 その言葉とともに二人の逆襲が始まった。






 トクマとアリスを探すフロスティ。歩く度に周りが凍り、冬の寒さからより寒くなる。すると前方からチカッ、と明るい光を確認できた。よく見ようとした瞬間、フロスティの頭部に強い衝撃が襲った。

トクマ「ハッハー! どうした? 攻撃してみろよ?」

 声はすれど姿が見えず。高速で動きながらヒットアンドアウェイの要領で攻めるトクマ。

トクマ「トロいトロい! 変隊どもより遅いぜ!!」

 効いてるかわからない煽りをしながら死角から攻撃するトクマ。その様子を冷静に観察するマグス。

 ……どうやら注意を自身に向けさせ、アリスを回復もしくは最大の攻撃をさせる為のおとり……つまり、あの場所だ!!

 予想し、一点を見るマグス。そこにはアリスのトレードマークとも言うべきリボンが見え隠れしていた。

マグス「やれ、フロスティ」
Bフロスティ「■■■■■!!」
トクマ「しまった!? アリス!!」

 フロスティの降り下ろされた剛腕で地面にヒビが入り、土煙が舞い上がる。今のアリスに避けることは出来ないと知っているマグスは淡々とその様子を見た。

マグス「……ふん……」

 一人片付けた事を確認したマグス。フロスティに指示を飛ばそうとした瞬間、紫色の煙に覆われた。

マグス「なに!?」
トクマ「簡単に引っかかったな!」
アリス「作戦せいこーう!」

 トクマとアリスの声にマグスは振り返ると、アリスに縄をおんぶひものように巻いておんぶしているトクマがいた。

アリス「いくよクマちゃん!」
トクマ「おう!!」

 高速で動くトクマを足がわりにアリスが粉があらい毒のバルーンをぶつけていく。やがて紫の煙で覆われたフロスティにトクマとアリスは持っていたマッチに火をつけ、フロスティに向かって投げた。

トクマ&アリス「協力必殺技! 子供リトル癇癪ダイナマイト!!」

 瞬間、轟音とともに大爆発が起こった。

 空中に舞う一定量の密度を持った粉塵は気体状となり、それは酸素と連合するように爆発的に燃えだす現象で、炭鉱での爆発事故や小麦粉の粉塵爆発はこれが原因で起こる。

 トクマとアリスはその原理を利用したのだ。

トクマ「ゲホゲホ! オェッ!? 粉をまき過ぎた!」
アリス「しまらないねー」

 粉をまき過ぎて咳き込むトクマとその様子に苦笑するアリス。二人の後で爆発の余波である煙がまっているが、大きく揺らめき、フロスティの姿が現れた。気付いてない様子の二人にフロスティが手を伸ばして――

ルフレ&ルフル「ボルガノン!!」

 ――飛来した高熱の魔法で防がれた。

ルフル「大丈夫ですかアリスさん!」
アリス「ルフルフ! ルフルん!」
ルフレ「勝手に行動するな!」
トクマ「こういうのはやった者勝ちなんだよ!」
ルフレ「後で覚えてろメガネ!」

 無事だった事に喜ぶルフルとアリス、勝手に行動したトクマに喧嘩を売るルフレ、和気あいあいとは程遠いが何時もの空気になった。

ルフレ「マックと当麻は攪乱かくらん! ピーターとサンドリヨン、ルフルはアリスの回復! 他は俺と一緒に無理しない範囲で攻撃しろ! 最後に命令する……全員で勝つぞ!!」
サンドリヨン「アリスを、私達の仲間を守ってみせる!!」

 周りに檄を飛ばしながら的確な指示を伝えるルフレ。各々が一つになって戦う姿にマグスは静かに感心する。

マグス「……ここまで……士気を回復させるとは……だけど、甘いよ」

 マグスがフロスティに指示を出すとフロスティは何かを祈り始めた。すると周囲の気温が下がり始めた。

当麻「おい! 上を見ろ!!」

 当麻の言葉に従って上を向く。そこには、氷塊ひょうかいと表現しても問題ない程の大きさの氷が多数、こちらに向かって降ってきていた。

シュネー「どうするんですか!? あんなのが街中に落ちたら……」
ドレディア「ディ、ディア!?」
ルフレ「ミクサ、リン、お前たちの魔法で全てとは言わないがある程度溶かすことは?」

 慌てるシュネーとドレディアを落ち着かせながら火の魔法が得意なミクサとリンに質問する。

ミクサ「……できる……けど……難しい……」
リン「少なくとも、時間を稼いでくれればなんとかなりますけど……」
ルフレ「万事休すか……」

 ミクサとリンの言葉から可能だが時間がかかる事に悔やむルフレ。自分とルフレの防御魔法やでも耐えきれるかわからない……当麻のイマジンブレイカーでも守れる範囲が狭い……

ルフレ「……何かないか……!」

 ここまで来て諦める訳にはいかないルフレは思考を回転させる。ふと、トクマが視界に入り、とある出来事を思い出した。自身の予想が正しければ逆転の可能性がある。

ルフレ「……背に腹は変えられない……トクマ!」
トクマ「どうしたルフレ!」

 ルフレの声に氷塊から視線を反らさないで反応するトクマ。

ルフレ「アイツら、お前の赤ジャージを『価値もないゴミクズ』と言ってたぞ」

 沈黙。

トクマ以外全員「…………」

 ルフレの言葉に声を失うルキナ達。まぁ、こんな非常時で今さら言う言葉じゃないだろう。

ルキナ「……ル、ルフレさん……何を言って……」
ルフル「……なんか……暑くないですか?」

 突然の言葉に疑問符を浮かべるルキナ達……だが、気温が急に暑くなってきた事に気付くルフル。

 気温が暑くなった要因に目を向けると怒りに燃えるトクマがいた……比喩ではなく、本当に燃えていた。

トクマ「……ブッッッ飛ばすぞゴラァァァァァァァァ!!」

 怒りの雄叫びと同時に炎のようなオーラと熱風が吹き荒れた。まるで燃え盛る炎のような怒りと暑さに全員が驚く。

ピーター「あち、あちち!? どうなってんだこれ!?」
ルフレ「やっぱりか……」

 ……アリスの所へ行く前にアイツは感情を剥き出しにしてた。そしてアリスの所に行ってみるとさっきより比べて火が弱くなっていた……この事から感情に直結してるんじゃないかと予測したが正解だったようだな……

ルフレ「予想以上の成果だったが……トクマ、スマッシュボールだ! 遠慮せずにやれ!!」
トクマ「おう!!」

 召喚術で取り寄せたスマッシュボールをルフレから受け取ったトクマは素早く砕き、武術のような構えを行う。

トクマ「マリオさん直伝……帝赤天たいしゃくてんの構え!!」

 迫り来る氷塊に対してトクマは構えを解かず、炎のようなオーラは小さくなっていくにも関わらず力強さを増していく。

 そして、トクマの口が開くと同時に力を解き放った。

トクマ「赤くかがやけ……赤熱災害レッドハザード!!」

 閃光。

 言葉にするならそれが相応しかった。眩しい光とともにトクマの姿が消え、降ってくる氷を移動する速度と熱をのせた蹴りで砕くと同時に流星のように高速で移動して別の氷を砕き、砕き、砕き、砕き、砕き、段々と速度が速くなっていく。

サンドリヨン「……流星群」

 空を駆け、氷を砕きまわる姿は赤い流星群のように見え、砕かれた氷はまるで星のようにキラキラと幻想的な光景を見せる。

 ……動きが速く、鋭くなってきている……氷を砕く威力も上がっている……まさかステータス倍加の能力があるというのか……

 自身の策を越えて砕いてくる姿に戸惑うマグス。たかが一般人枠のファイターだった存在が予想だにしない出来事を巻き起こすことに唖然としていた。

 ふと、マグスの頭にある可能性が浮かび上がり、まるで最後のピースがはまったパズルを見たかのように笑い始める。

マグス「……そうか……まさか……」
トクマ「そしてぇぇぇぇ!!」

 笑っているマグスにトクマはお構いなしでドロップキックを繰り出し、見事に当たって壁にぶつかった。

トクマ「よっしゃ! 八割スッキリしたぁ!」

 一撃を加えた事に喜ぶトクマだが、マグスは怪しく笑いながらゆっくりと立ち上がる。

マグス「……く……ククク……なるほど……お前は……納得だ……」
トクマ「え? なに? 気持ちわる」

 その様子にトクマは半歩退く。

マック「トクマ! 上を見ろ上!!」

 マックの声にトクマは上を向く。























































 そこには、二つの隕石が降ってくる光景があった。

トクマ「…………WHAT?」

 あまりの衝撃に固まるトクマ。ふと、サンドリヨンの呼ぶ声が聞こえて振り向く。

サンドリヨン「トクマさん! ミクサさんとリンさんの魔法が発動しました! すぐに逃げてください!!」
シュネー「お姉様! 早く早く!!」
ルフレ「全員フロスティから離れろ! 衝撃が来るぞ!!」

 ……え? 隕石? マッチ売りの少女に隕石が降ってくるなんてあったっけ?

 混乱するトクマだが、その間にも二つの隕石はフロスティめがけて落ちていっている。

ミクサ「……炎よ……もっと……もっと……」
リン「さぁ! いきますわよ!」
キリト「待て待て待て待て!」
当麻「あぁもう体力があまり無いのに不幸だぁぁ!!」
トクマ「やっべぇ!!」

 当麻とキリトが間に合わないのを見たトクマは急いで二人を抱えてその場から離れる。

マグス「また会おう。ア――」

 その様子を見ていたマグスは呟きながら姿を消した。

ミクサ「……大きくなぁれ……!!」
リン「さん、ハイっ!!」

 瞬間、フロスティに二つの隕石が落下した。


 決着ぅぅ! コメントはまだ!

真っ赤なXマス ( No.367 )
日時: 2018/01/05 20:01
名前: トクマ (ID: okMbZHAS)


 一面銀世界。ミクサとリンの大技がフロスティに見事に当たり、その衝撃でフロスティの身体として構築されていた雪が暴発、町全体が天気予報で雪が降ってないのに大雪が積もる事になってしまった。

 すると一部がモゾモゾと動き、ルフレが顔を出した。

ルフレ「……全員、無事か」
当麻「……なんとかな……」

 当麻が無事を伝えると他のメンバーもどんどん雪から出てくる。

ルキナ「ぺ、ぺ、うぅ……」
ルフル「ひどい目に遭いました」

 口の中に雪が入ったのか吐き出すルフルと少し涙目のルキナ。

シュネー「大丈夫ですか? お姉様」
サンドリヨン「大丈夫よ。シュネーヴィッツェン」
マック「……あれ……トレ子さんはどこに……?」
キリト「……」

 次々に出てくるもトレ子とアスナがいない事に気付いて辺りを見渡すマック。キリトがマックの肩を軽く叩き、とある方向を指さす。そこには――

トレ子「……」
アスナ「……」

 エジプトの壁画みたいになっているトレ子とアスナがいた。とりあえず無事だと確認したマックとキリトは静かにスルーした。

リン「みなさん! 大丈夫ですかー!!」
ミクサ「……ケガ……ない……?」
ピーター「ぶはーっ! 驚いたー!!」
トクマ「まさか隕石いんせきが降ってくるとはな……」

 走って無事か確認するリンとミクサ。頭や肩に積もった雪を払うトクマとピーター。

アリス「……」

 そのなかでアリスはどこか呆然とした表情を見せていた。

ドレディア「ディア?」
ミクサ「……大……丈夫……?」
リン「あの? アリスさん? どこかケガでもなされました?」
アリス「あ、いや、違うよリンリン!」

 何処か怪我したのか心配するメンバー。アリスは違うと否定し、話始める。

アリス「その……ね……私、フロスティと一人で戦う時に楽しかった思い出が流れたの……」

 静かに語るアリスを他のメンバーは見守る。

アリス「ギャグカオス組と一緒にイタズラしたり、動物クッキーで騒動起こしたり、皆で南の島に行ったり、テストで珍解答したり、ハロウィンしたり……ここに来る前の私じゃ考えられない程の体験をした……」

 迫り来るフロスティの攻撃に走馬灯が見えた事を語るアリス、しかし、その表情に不安はなく、泣きそうな表情である。

アリス「……もう……ダメかなと思った……けど……」


トクマ『だったら、オレ達に『一緒に戦ってくれる?』ぐらい言え! お前はこどもだから、迷惑をかけていいんだよ』
ルフレ『最後に命令する……全員で勝つぞ!!』
サンドリヨン『アリスを、私達の仲間を守ってみせる!!』


アリス「……私……生きてるんだ……」

 皆を失いたくないと思った少女の決死の覚悟は、少女を失いたくない仲間達の心に砕かれた。

 自身の為に戦った仲間の背中を思い出し、安堵からアリスの目に涙があふれ始めた。

アリス「……よがっだよぉ……!」

 ポロポロと涙を溢すアリスにサンドリヨンは優しく背中を叩いて慰める。その様子に他のメンバーは安堵の表情を見せていた。

ピーター「……そうだ! サンタクロースの袋! 回収し……」

 サンタクロースの袋を思い出したピーターはすぐさま変態おじさんの側に近付く。しかし、途中で固まり、滝のような汗を流し始めた。

当麻「ピーター、どうし……」

 様子がおかしいと思ったメンバーもピーターに続いて目を向ける。













































 そこには、気絶した変態おじさんの側に何かの灰がまばらに落ちていた。

全員「」

 何かの灰がまばらに落ちていた。

 ……これ……もしかして……

当麻「……な、なぁ……」
マック「言うな」
当麻「いや、これって」
ルフレ「言うんじゃない」
当麻「でも、どう見ても」
トクマ「言ったら、お前に女装癖じょそうへきがあると言いふらす」
当麻「理不尽だなおい!!」

 言わせまいとするトクマとルフレ、マックの三人は目力と脅しに近い言葉で敬遠する。

ミクサ「……燃え……ちゃった……ね……」

 しかし、ミクサの一言でサンタに袋を探してくれと頼まれたメンバーは崩れ落ちた。

ルフル「これ、謝ったら許してくれませんよね」
ルキナ「許さないでしょうね……」

 素直に謝ってもサンタクロースの袋は重要なアイテム。聖人とはいえ、説教は確実だろう。

ピーター「作り直しは……出来ないよな」
シュネー「願いの概念で作られたモノだから、直せないわね」
サンドリヨン「私達の知り合いには直せる人もいませんし……」

 ワンダーランドに住む三人にも匙をハンマー投げの要領で投げられ、打つ手なしの状況に肩を落とす。

トクマ「ま、まだ諦めるには早いだろ……」
マック「手遅れだろォォォ!」

 諦めが悪いトクマが冷や汗を大量に流しながら引きつった笑みを見せるも流石に無理である。

キリト「どうすんだよこれ! 修復不可能なレベルだろ! リングで真っ白に燃え尽きたボクサー並に修復不可能だろ!!」
アスナ「灰になってるねぇ……」

 言葉通りの灰になった袋をまじまじと見ながら言うアスナ。

トクマ「落ち着け! 落ち着いてタイムマシンを探すんだ!!」
キリト「お前が落ち着け!!」
ルフル「サンドリヨンさんも参加しなくていいです!!」

 打つ手なしの状況に混乱したトクマがたるの中をくまなく探している様子にキリトが止め、何故か一緒になって樽の中を探していたサンドリヨンをルフルが止める。

トレ子「頑張ってー」
アスナ「難しいよー」
キリト「そこ! チクタクバンバンするな!」

 トレ子とアスナはタテ4マス、ヨコ4マスの枠に配置されている15枚の線路プレートを動かして、進み続ける目覚まし時計を常に動き続けられるようにするアメリカのパーティーゲームで遊んでいた。

 懐かしいなおい!? このゲーム知ってる人っているの!?

アリス「お茶会を始めよう」
ルフレ「現実逃避するな!」

 遠い眼でお茶会を提案するアリスにルフレが待ったをかけた。

ルフレ「お前らは一旦落ち着け、こういう時に落ち着いてこそ何が浮かび上がるんだ!!」
当麻「おぉ! さすが軍師! 頼りになるぜ!!」

 ルフレの声に全員が希望を持ち始める。

 ……考えて……

 ……考えて……

 ……考えて……

 しばらく沈黙が続き、長考していたルフレが口を開いた。

ルフレ「カレーライス」

トクマ「どこをどう考えたら、そこに行き着くんだよォォォ!!」
ルフル「お兄様混乱してますよね!? 絶対に混乱してますよね!?」

 予想外の言葉に大声で叫ぶトクマ。ルフルがルフレの目が死んでいる事を見つけ、ルフレも混乱している事に気付いた。

トクマ「何か考えないとサンタさんが――」
サンタ「お前さん達! 大丈夫か!」
トクマ「――イヤァァァァァァァ!!」

 タイムアップ。サンタが元気に走ってくる姿を視界に入れたトクマは絶叫した。

リン「まぁサンタさん! サンタさんですわよミクサさん!!」
ミクサ「……わぁ……本……当だ……」
サンタ「ほっほっ、元気でよろしい」

 初めて見る生のサンタに興奮するリンとミクサ。その様子に朗らかに笑うサンタ。

アリス「あ、あの……」

 アリスがオドオドと不安になりながらサンタに声をかける。

アリス「えっと……じつは……その……ご、ごめんなさい!!」
トクマ「すいませんでしたァァァァ!!」

 アリスが謝ると同時にトクマは勢いよくスライディング土下座しながらサンタに謝った。

サンタ「なるほど……そういう意味か……」
アリス「燃やす気はなかったんだよ! でも、加減できる相手じゃなかったの!!」
トクマ「臓器なりなんなり売ってでも弁償しますんで命だけは……命だけはァァァァァァァ!!」
トレ子「トクマさんの謝り方は違いますよね。サンタを極道だと思って謝ってますよね」
キリト「お前はサンタをなんだと思ってるんだ……」

 サンタが気絶した変態おじさんの側にある灰を見て状況を察し、アリスとトクマはさらに深く謝った。

 トクマだけなんか違う? 気のせいです。

サンタ「ほっほっ……どうやらわしの思惑は正しかったようじゃな」
全員「……へ?」

 笑いながら言うサンタの言葉に全員が首をかしげる。

当麻「そ、それはどういう事でせうでしょうか……?」
サンタ「盗まれたのは偽物の袋じゃ……本物は奪われておらん」
全員「へぁ!?」

 サンタの言葉に全員が目を向き、驚きを露にした。

サンタ「お前さんらを試すようですまんかったのぉ……最初はマリオの言う人物なのかわざと偽物の袋を盗ませ、『願いを叶える』という破格の報酬にどう動くかみたかったのじゃが……」

 サンタの説明に全員が目を点にしている。まともに話を聞いてるかわからないがサンタはその様子を見て二、三回頷いた。

サンタ「うむ。予想だにしないアクシデントがあったものの、納得の答えを見た! 見事じゃ!」

 とりあえず、怒ってない事を理解したメンバーは疲労の為か地面に座りこんだ。

ルフレ「あー……どっと疲れるな」
当麻「はぁ……知らないうちに試されたのかよ……不幸だ……」
ルフル「でも、これで終わりなんですよね?」
サンタ「うむ。終わりじゃよ」

 サンタから何かあるか聞こうとするも本人が無いことにホッとする当麻とルフル、後で警察に連絡して気絶している変態おじさんを連行するだけである。

サンドリヨン「そういえばトクマさん……あの姿は一体なんですか?」
トクマ「あの姿……あぁ! 血死之情熱ブラッド・デッドヒートの事か!!」
シュネー「ダサっ!? 何その暴走族センスの名前!!」
トクマ「黙れ元レディース!」

 サンドリヨンがトクマの新しい力に反応し、トクマは自慢するかのように胸を大きくするもネーミングセンスの無さにシュネーが否定する。

トクマ「ハスターとは全く違う力! これならあの変わった姿にならないですむ! ついにハスター卒ぎょ……」

 言いかけた瞬間、トクマの身体がフラッと大きく揺れる。踏ん張ったので倒れることは阻止した。

ルフル「トクマさん?」
シュネー「急にどうしたのよ?」
トクマ「いや、ホッとしたのか身体の力が抜け……て……」

 身体から急激に力が抜けていく感覚を最後にトクマは地面へと倒れ、意識を失った。

アリス「クマちゃん!?」


 ラストスパート! コメントはまだ!

真っ赤なXマス ( No.368 )
日時: 2018/01/05 20:16
名前: トクマ (ID: okMbZHAS)

 フロスティの戦闘から数日後、スマブラやしきの食堂では古今東西のスマッシュファイターが飲み物を片手に何かを待ち望んでいた。

 マリオが立つと空気は静かになり、マリオはその様子を見て笑いながら飲み物を持った手を大きく上に挙げた。

マリオ「それでは、乾杯!!」
全員「かんぱーい!!」

 音頭おんどとともにジュースを飲んだり、酒を飲んだり、美味しそうな料理を食べ、酒を飲み、思い出に花を咲かせ、酒を浴び、酒に溺れるメンバーが見え隠れして……殆どのメンバー、酒しか飲んでないじゃん!!

マリオ「お疲れだなリンク」
リンク「おう、まさかクリスマスと新年会を複合して祝うことになるとはな」
ピーチ姫「それなら聞いたわ。ルフレ達がフロスティを倒したけど、その際に発生した雪で被害が起こった事よね?」
ゼルダ「ですが、今回は年内に終わって良かったですね。もし倒さないままだと被害はより酷くなっていたでしょう」

 珍しく酒を飲んでいないマリオとリンク、横から聞いて話に参加するピーチ姫とゼルダ姫も酔っていないようだ。

 あの後、あの変態は警察に連行されたのだが事情聴取したのだが覚えていなかった。何かヒントでも取れると思っていたが成果がなかった事を悔やんでいたのを覚えている。

 あの大雪の除雪作業は大変手間がかかり、中には雪の重さで家が壊れた件もあった。幸いにも怪我人はいたが死傷者はいなかった……クリスマスから大晦日まで大急ぎで作業し、なんとか街の復興が終わったのだった。

リンク「ルフレの考えもわるくないがトクマの考えも間違いじゃないわけだ……お、噂をすれば影だな……」

 リンクの言葉通りにトクマがリンク達の方へ来た。しかし、歩いてではなく、車イスをドレディアに押してもらいながらだった。

トクマ「フロスティの後始末の件はありがとうございました! あと、手間を増やしてしまってすみません」
マリオ「気にするなって! むしろ書類仕事から短時間だけでも抜け出せる理由ができて良かった!」
リンク「今回は功労者はお前じゃないのか?」
トクマ「功労者って……オレには皮肉にしか聴こえないんですけど」
ドレディア「ディディア」

 快活に笑うマリオと意地悪な笑みを浮かべるリンクに苦笑しながら言うとドレディアも同意するかのように言う。

マリオ「自分の身を削って仲間を助けたのにか?」
トクマ「今回の功労者はアリスですよ。オレは自分勝手に暴れて、その結果が助けたことに偶然繋がっただけですから」

 今回のフロスティとの戦いはルフレの考えが正しかった。無理を言って戦うことを願い、無理をして、戦闘後のリスクによって自身の身体を壊した。結果を見れば良いが内容は誉められたものではない。

 例え成功したとしても、いつ切れるかわからない上にデメリットが不明の強化に頼るという却下されて当然の策を許可したルフレに感謝するしかない……

ピーチ姫「その結果が全身筋肉痛の上に高熱で三日間寝込んでたわね」
トクマ「今でも身体が痛いから、しばらくは車イスだけど……」
クレイジー「それに関しては幸運とも言える」

 ピーチ姫の言葉にトクマが苦笑いして答えると人間態のクレイジーハンドが何時もよりも目つきを鋭くさせて話始める。

クレイジー「本来、お前がやった行動は魔力と気の誤った使用法だ。パワーアップは出来るが代償が大きい……むしろ、しばらくは車イスで移動しなければいけないのは幸運な部類だ」
ゼルダ「下手すれば汚ない花火になってたんですからね?」

 有無を言わさない迫力で睨むクレイジーハンドと笑顔なのに目が死んでいるという恐怖しか生まない表情で言うゼルダ姫の姿にトクマは震えながら周りに助けを求めるも自業自得だと判断したマリオとリンク、ピーチ姫はトクマから視線をそらした。

ゼルダ「トクマサン、キイテマスカ?」
トクマ「イエッサァァァ!!」
クレイジー「過程を省略して結果を得ようとした報いだ……一度ならず二度もやりやがって……これに懲りて自重するんだな」
トクマ「……すいませんでした」
クレイジー「次もやったら、左右どちらかの腕にドリルを改造つける」
トクマ「誠に申し訳ありませんでした!!」

 冗談に聞こえない忠告を聞いて、一歩でも早くクレイジーハンドとゼルダ姫から離れようとドレディアに急いで指示を出して離れる。その様子に呆れる視線を送られていたことをトクマは知らなかった。

 クレイジーハンドとゼルダ姫から離れ、しばらく落ち着いたトクマ。するとドレディアがまだ残っている料理に視線を向けていた。

トクマ「ありがとうねドレディアさん。食べて行っても良いよ」
ドレディア「ディーアー!!」

 自由行動を許可すると喜びながら受け皿とフォークを持って、食べに行くドレディア。その姿を見て思わず笑うトクマ。

 手持ち無沙汰ぶさたとなり、周りを見渡すとちらほらと団欒だんらんするメンバーが見える。

 新たなイタズラを会議しながら計画するギャグカオス組。

 日々のストレスからなのか、酔いで宴会芸を披露ひろうするファルコンやガノンドロフといった一部の大人組。

 すれ違いざまにマックとキリトの服を剥ぎ取ってをパンイチにするトレ子とアスナ。

 ゲーム大会や新年の目標を言い合う純粋組と保護者組。

 空気にただよう酒気に酔ったのかカバディを始める当麻と美琴。

 シュルクに膝枕してもらいながら愚痴を言う酔っ払ったシレネッタ。

 その二人を写真撮影する恋罵女と羨ましく見る深雪乃、その様子に引くアシュンプテルとヴァイス。

 裸族にプロレスで有名な技の一つであるパロスペシャルをくらわせるカオスクラッシャー組。

 ここだけの景色にトクマは思わず苦笑いを浮かべてしまう。

アリス「クマちゃん見っけ!!」

 振り返るとアリスがパウンドケーキと大量の人参にんじんをのせたお皿を片手に近付いてきた。

アリス「クマちゃん食べないの? このフレアナッツ入りのパウンドケーキ美味しいよ!!」
トクマ「アリスか? どうした?」
アリス「ポツン、と寂しくしてたから来てあげたの! 人参にんじん食べれば元気になるよ!」
トクマ「いらないお世話だし、お前が食いたくないだけだろ。自分で食え」
アリス「遠慮なんてしなくていいから」

 人参を食べさせようとするアリスからしばらく抗ったが、逃げようにも車イスだと自由に逃げれないことに気付いたトクマは大人しく食べた。

アリス「……クマちゃん」
トクマ「ん?」

 無理矢理食べさせられたからトクマは機嫌悪く返事してアリスの方に顔を向けると、明るかった表情が消えて真剣な表情のアリスがこちらを見ていた。

アリス「クマちゃんは自分の恩人に会いたいと思った?」
トクマ「迷う程あった」
アリス「じゃあ……会えると行ったら、今すぐにでも会いたい?」

トクマ「……やめとく……」

 トクマの口から出たその返答に驚いた表情を見せるアリス。

アリス「どうして?」
トクマ「……確かに……フロスティの出来事がなかったら、すぐにでも会いたいと思った……けど、今思うと何を話せばいいのかわからねぇんだよな」

 そう思い、自身の手を見つめるトクマ。アリスはその様子に首をかしげるが、少なくとも昔を思い出しているのだと思った。

トクマ「自分の前に消えた事とか、消えてからオレはどうしたか、消えたあの人は何をしていたのか……すげー語り合いたい事があるけど、きっと、一、二時間で終わっちゃうように思うんだ」

 それを語ったトクマの表情は複雑な表情になっていた。多くの感情がトクマの中で巡り回り、口では説明しづらいのである。

 会えた時の喜び、目の前から突然姿を消した事の怒り、どんな所に行っていたのかを聞く楽しみ、会えなかった日々に対しての寂しさ、喜怒哀楽では語れない、語ることが出来ない表情のトクマにアリスは呆然としていた。

トクマ「だから、ここで多くの体験をする。そして、一日じゃ語りきれない事を話しすんだ……バカみたいに笑ったり……バカみたいに泣いたり……あの人が羨ましくなるような話がしたい、そして、言うんだ……あの時言えなかった……ありがとうって……」

 ただ、アリスはその表情に不思議と不快感はなかった。そして同時に彼が語る人物に会ってみたいと思った。

アリス「……大切な人なんだね」
トクマ「あぁ、なんたってオレを変えてくれた人だからな!!」

 アリスの言葉にトクマは笑いながら自慢するかのように答えた。

ピーター「アリス! クマの旦那! ビンゴゲーム始めるから来いよ!」
アリス「りょーかい! 行っくよクマちゃん!!」
トクマ「待て待て! 思いっきり走ろうとするじゃねぇ!」

 ピーターからビンゴゲームを誘われ、アリスが急いでトクマの車イスを押してそのスピードにトクマが待ったをかける。

 ……お姉ちゃん……突然いなくなってごめんね……きっとお父さんとお母さん、お姉ちゃんの彼氏さんも心配してると思う……でも……私も世界を……見たかった……お姉ちゃんの言う世界を……そのさらに向こうの世界も……この想いも……この夢も……否定なんてさせない……だって、私だけのモノだから!!

 ……もし……お姉ちゃんがいる世界に帰ってこれたら……その時は謝って……いっぱい話そう……私達が見てきた世界を……私達の物語をいっぱい話そう!!

トクマ「アリス! 前見ろ前! ま、ピーターがかれたぁ!!」
ネス「おのれピーターの仇だ! 全員丸太を持て!!」
ルフレ「丸太関係ねぇだろ!!」
パルテナ「でわ、ビンゴで一抜けした人は好きな人とデートに行くと言う事にしましょう」
当麻「もっと関係ねぇ! 会話のキャッチボールしろよ!!」
ピーチ姫「文句があるならビンゴゲームで決めなさい! 一位が何でもありよ!!」
霊夢「その話はのったわ! 一位になってお年玉は私が貰う!!」
マリオ「ビンゴゲーム開始の宣言を頼むぞルイージ!!」
ルイージ「ビンゴ、開始ィィィ!!」

 愉快な声が邸に響く。その声は暗い海を遠くまで照らす灯台のように明るかった。

 彼らの行く末は茨の道では語れない程険しい道かもしれない……しかし、彼らは止まる事はあっても退かないだろう。なぜなら手を伸ばし、助け合う仲間がいるのだから……



 やっと終わったぁ!! 最終回っぽいけど最終回じゃないよ!! まだまだ書きたい話がたくさんあるからね!!

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