二次創作小説(新・総合)

踊る愛ZO捜査戦線 ( No.433 )
日時: 2020/12/01 19:02
名前: トクマ (ID: JbPm4Szp)

 みなさま! お久しぶりでございます!!
 今回は多く浮かんだネタでも、下手すればギリギリなネタでございます!!
 一応、ガイドラインには触れてないと思いますが、ヤバいと思ったらすぐに削除する覚悟です……正直言えばしたくありませんが、それ相応な覚悟のネタです。
 まぁ、中身はコメディ色なので楽しんで頂けるなら幸いです。謎解き要素もあるので、チャレンジするのも一興です。

 それでは、どうぞ!!




当麻「今日の午前中は珍しく騒動に巻き込まれなかったなぁ……上条さんにしてはのんびりとでき、不幸にならなかった」

 館の廊下を上機嫌に歩く当麻。いつもならギャグカオス組のイタズラや彼に好意を寄せる電撃を放つ茶髪の女子中学生――御坂美琴に追いかけられるのだが、珍しくなにも起こらなかった事に嬉しくなっていた。

当麻「今日の午後も平和に違いない! そうと決まればどこか出掛けるのも――!?」

 予定を組み立てながらリビングの扉を開けようとするが、扉の向こう側から伝わるピリピリとした空気にその場から後ずさりする。

当麻「……あーはいはい。上条さんは知っていますよ」

 何かを察したのか上条はやれやれと苦笑する。

当麻「どうせあれだろ? この扉の向こう側にはトクマとルフレがパンイチでメンチのぶつけ合いをしてるんだろ? いつも通りの風景があるんだろ?」

 独り言を言って扉の向こう側の状況を予測する上条……いや、それでも充分非日常な光景だけど!? いいのかそれで!?

当麻「良いも悪いもそうだろ? あの犬猿の二人が仲良くなるなんて人を生け贄に捧げるか天災が起こる確率と同じだぞ! そんな空間に上条さんが来たら間違いなく巻き込まれるに決まってる!!」
ルフレ「誰が『天災が起こる確率と同じ』だ」
当麻「それはモチロンあなた様でセェェェェェェェ!?」

 ナレーションに文句を言うが、横から野次を飛ばしたルフレ本人を目にして驚きを隠せない当麻。

当麻「ル、ルフレ!? 何故あなた様がここにおられるのでせうか?」
ルフレ「変な言い方はやめろ。別に俺がどこにいても問題はな……」

 予想外な事に戸惑う当麻をいさめようとルフレが言おうとするも、扉の先に漂う物々しい雰囲気に気付いて言葉を止める。

ルフレ「……おい……この扉から漂う強い威圧感はなんだ?」
当麻「最初はお前とトクマがいつもの喧嘩だと思ったんだが……」
ルフル「あ、お兄様と上条さんどうしました?」

 ルフレと当麻が扉の威圧感に審議しようとしたら、二人の後ろからルフルとアリスが近付いてくる。しかし、やはり扉の雰囲気を感じて足を止めた。

ルフル「……なんですか……この扉の先から溢れ出る威圧感は……」
アリス「……逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……」

 普段は思わない威圧感に戸惑うルフル。アリスに至っては予想外な事に慌てている……いやこれ、慌てているのか? エヴァのワンシーンみたいになってるけど……

当麻「ラスボスは……流石にいないよな……」
ルフレ「開けてみればわかるだろ」

 戸惑う当麻にルフレは扉を開けようとする。このまま審議を重ねても良いが、一向に進まない事を考え、扉の先にいる原因を確認する事にしたようだ。

ルフル「一体、誰が……」

 重くギギギ、というラスボスの部屋の扉の如くゆっくりと開く扉。

 その先に広がる光景は――
























































美琴「………」
シュルク「……」
シレネッタ「……」

 隠れてある方向の様子を恐る恐る確認しながら警戒する美琴達。

ドレディア「…………」
ピーター「…………」

 何故かうつ伏せで床に倒れ、ピクリとも動きを見せないドレディアとピーター。

シュネー「……ひっくッ……ぐずっ……ううぅぅ……」
シャドウアリス「……生まれ変わったら……アサリになりたい……」
ネス「……鬱だ……人類滅亡……」

 部屋の隅でネガティブオーラ全開で号泣するシュネー、見た事もない落ち込み様で体育座りのシャドウアリス、死んだ魚のように仰向けで力なく呟くネスがいた。
 この一角だけでも普段はトクマに生意気な態度を取るシュネー、イタズラ組筆頭とも言える鋼のクソガキメンタルのシャドウアリスとネスが異常とも言える様子だと一目見て、わかる。
 しかし、一番の異常は部屋の中央に存在した。

トクマ「………………」
サンドリヨン「…………………」

 部屋の中央で攻撃的な威圧感を放つトクマとサンドリヨンがいた。
 普段はポヤッとして温厚な様子のサンドリヨンがトクマを睨み付け、トクマはいつものやる気なさそうな様子が消えて不機嫌な顔で獰猛な威圧をサンドリヨンに向けていた。
 しかも、二人が放つ威圧感にはルフレにも向けていない圧倒的に強く濃い敵意と殺意が混ざっていた。

ルフレ「……えぇ……」
アリス「……どうして、こうなったの……?」

 あまりキレなさそうな二人の異常事態にルフレとアリスは立ち尽くすしかなかった。


 まだ続くから、コメ待っててね!

踊る愛ZO捜査戦線 ( No.434 )
日時: 2020/12/01 19:06
名前: トクマ (ID: JbPm4Szp)


 その後、困惑するルフレ達に美琴が招き寄せ、現状まで至った事の顛末を説明した。

 事の発端は些細な口喧嘩だった。
 サンドリヨンがこっそりと食べてしまったデザートについてトクマが怒った。
 サンドリヨンは素直に謝れば良かったのだが、何故か下手に誤魔化してしまい、その行動にトクマの怒りの火に薪をくんでしまった。
 サンドリヨンも反省しており、本来なら終わるハズだった……しかし……

トクマ『あーあ、誰かさんのせいで最初からだ』

 いつも以上にピリピリしてたトクマの余計な一言にサンドリヨンがムッ、と眉を潜める。

サンドリヨン『確かに黙って食べた私が悪かったですが、少し言い過ぎではありませんか?』
トクマ『オレがあれにどれだけ長い時間をかけたと思ってるんだ?』

 サンドリヨンの反論にトクマが不機嫌に返答する。その様子にサンドリヨンの心が熱湯の如く熱く震える。

サンドリヨン『最近アリスさんやリンさんから、トクマさんが寝てる事が多くて遊んでくれないと報告がありましたが……何か企んでいませんか?』
トクマ『……人聞きの悪い事を言うな……知っててもお前達には話さない』

 珍しく顔に不機嫌な態度を見せるトクマにサンドリヨンの心の導火線に火が着き始め、険悪な雰囲気に気が付いた美琴達は静かにトクマとサンドリヨンから離れた。

サンドリヨン『……最近、電波が届かない圏外にいたり、朝帰りが増えていますが……?』
トクマ『……答える必要は、無い』

 まるで浮気を疑う妻と塩対応する夫のような険悪な雰囲気に周囲の空気が震える。その空気に耐えられずシュネーがサンドリヨンに声をかける。

シュネー『お、お姉様落ち着いてください。ほ、ほら、笑ってーわらー』
サンドリヨン『邪魔です』

 シュネー・ヴィッツェン、膝から崩れ落ちる。
 いつもの優しさに溢れたサンドリヨンではなく、鋭い刃物のような言葉に彼女の心は砕けて倒れた。
 さめざめと泣く彼女シュネーを美琴が静かに回収できたと同時にネスとシャドウアリスが乱入し、コント『進撃のトムとジェリー』を披露した。
 完成度は高かったが、トクマの反応は『失せろ』と言わんばかりの無表情かつ無言の圧だった。この時点でシャドウアリスは心を握り潰されて崩れ落ちた……しかし、ネスは健在。流石はスマブラ初代メンバーの一人。最後の意地として鉄板である滑らない話を披露し、トクマとサンドリヨンを笑わせようとする。

トクマ『話は終わりか』
サンドリヨン『話は終わりですか』

 しかし、帰ってきたのはロシアの吹雪よりも冷たい反応だった。マリオも受けた自信作だった故にダメージも大きく、ネスは二人にKOされたのだった。
 まさに大惨事……シャドウアリスが倒れ際に『これはこれで……イィ……』と呟いたように見えたが幻聴だろう……

ルフレ「……なるほど……それで、今に至る訳か」

 そして、今に至る。
 美琴やシュルクによって回収されたネス達の傷は消えずに残っており、かなりの落ち込み様から時間がかかるとルフレは判断する。

当麻「ものすごくピリピリしてるな……」
リーフ「声をかけようにもあの雰囲気だから、かけずらいのよね」
ルフレ「……ん?」

 普段とは違う様子の仲間に戸惑いを見せる当麻とリーフ。ふと、視界の端で動く何かを捉えたルフレ。

トレ子「……」
マック「……トレ子さん?」
ルフレ「何でいるんだ?」

 何故かトレ子がトクマとサンドリヨンの方へ歩いてくる。嫌な予感が流れるルフレだが、トレ子はトクマとサンドリヨンの間で止まり、何かを取り出した。

ルフレ「……鶏肉?」

 それは、手羽先だった。
 名古屋コーチンのようなタレは浸けられておらず、シンプルに塩コショウで下味された生の手羽先を取り出した事にルフレ達は一瞬だけ思考停止となる。そして、トレ子はルフレ達に気にせずそのまま……

トレ子「……どーん」
ルフル「……焼いた……!?」

 トクマとサンドリヨンが睨み合う視線の間を遮るように手羽先を下げた。
 あまりの熱視線たからなのか、手羽先からバチバチ、という音と共に焼けた臭いが部屋に漂い始める。

美琴「え、なに、あれ、焼けるの!?」
当麻「上条さんに聞くなよ! 俺も知らないのだから!」

 まさかのクッキングに戸惑うリーフと当麻、そんな二人の反応を他所にこんがりと焼けた手羽先に笑みを見せるトレ子は恥もなくかぶりついた。

マック「……食べた……」

 もう傍観するしかないと判断したマックは暫く手羽先を食べるトレ子を見つめていたが、急にトレ子の表情が険しくなり、まるでボタン電池を誤飲した猿みたいな顔になった。

シュルク「吐き気に苦しんでる……生焼けだったんですかね……」

 手羽先を見ると表面は焼けていたが、中までは焼けていなかった様で赤身の肉が目立っていた。そのままトレ子は落ち込んだ様子でゆっくりとルフレ達の方へと歩いてくる。

ルフレ「お前は何がしたいんだ」
トレ子「……空気を……和らげたくて……」
マック「それ以前に鶏肉が焼ける事に驚いたッス」

 トレ子なりの優しさだったようだが、わかりづらい事を指摘する。しかし、トレ子の優しさを感じたシレネッタとアリスが覚悟を決めた。

シレネッタ「……よし! 私、いってくる!」
シュルク「シレネッタ! 無茶は……」
アリス「私もいってきまーす!」

 シュルクの制止を振りきり、シレネッタとアリスがトクマとサンドリヨンに向けて歩み寄る。

シレネッタ「ハロートクマ! 聞きたい事があるけどいいかしら?」
アリス「サンドちゃんサンドちゃん! 聞きたい事があるの!」

 二人の行動にハラハラとしながらも見守るルフレ達。そんな二人に対し、トクマとサンドリヨンは視線を向けた。

トクマ「……どうしたシレネッタ?」
サンドリヨン「なんでしょうかアリス」
シレネッタ「あのね、実は丁度良い草木が見つからなくて……」
アリス「布をたくさん売ってる店って知らない?」

 さっきと違って威圧が弱まり、二人の話を聞こうとする真剣な二人にルフレ達は驚いた。意外にも会話は弾んでおり、先程までの雰囲気が嘘のように消えていた。

マック「おぉ! 普通に話せてる!」
ルフレ「流石はコミュ力に優れた二人だな。この調子ならサンドリヨンとトクマも大分和らぐハズだ」
シレネッタ「わかったわ。ありがとう」
アリス「わかったー! サンドちゃんありがとうねー!」

 この調子なら近い内に治まると判断するルフレとマック。聞きたい事が聞けたのかシレネッタとアリスがこちらに向けて帰ってくる。二人の勇気を褒めようと声をかける瞬間--

 ピタッ(二人の動きが止まる音)

 ドサッ(二人が膝から崩れ落ちる音)

 バタンッ!!(二人が勢いよく倒れた音)

シュルク「シレネッタさん!?」
当麻「アリスゥゥゥゥゥゥゥ!?」

 --まるで糸の切れた人形のように床へ倒れた。
 受け身を取らずにそのまま倒れた二人を心配し、体を起こすと震えていた。

ルフレ「二人とも急に倒れてどうした!?」
シレネッタ「……ヤバイよ……みんな……あの二人の前にいるだけで、空気がピリピリして……胃が、もたない……」
アリス「にこやかに笑ってるけど、笑ってなかった……立ってるだけで……しんどい……」

 どうやら、威圧が消えたのは見た目だけで、実際は消えていなかったようだ……油断して至近距離でくらったシレネッタとアリスは件の二人の威圧から解放された反動で床にうつ伏せで倒れてしまったようだ。
 ルフレはふと、入ってきた始めの時にドレディアとピーターがうつ伏せで倒れていた事を思い出し、あれはこの二人のように反動で倒れたと理解した。

リーフ「だ、大丈夫? 二人とも?」
シレネッタ「もう絶対に行きたくない! 私、床の住人になる!!」
マック「二人仲良くうつ伏せになる程ッスか」
美琴「その前に床の住人ってなに?」

 謎の駄々を捏ねるシレネッタに苦笑しながら、これからについて会議する為に輪になって現状について話し合いを始めるルフレ達。

シレネッタ「なにあの空気……これ以上居たくない気持ちで一杯なんだけど……あの二人って怒るとヤバいなんて知らなかったわよ」
ルフレ「方や邪心を幽閉した監獄の継承者、方や休職してるが現役バリバリの傭兵部隊隊長……温厚で能天気だから忘れてたが、怒らせるとヤバい部類だったな……」
リーフ「どうする? 声をかけるだけでこれじゃあ……」
ドレディア「……アー……」

 ふと、後ろからドレディアの声が聞こえ、振り向くとドレディアは心配そうな表情でこちらを伺っていた。
 なお、ピーターはまだうつ伏せになっている。

ルフレ「……原因を解明したい所だが、今の二人は一触即発だ。下手に触れたら飛び火する……となると暫く様子見で少し弱まった所を狙って聞き出すのがベストだ」

 心配そうなドレディアに目線を合わせる為にしゃがんだ体勢で頭を撫でるルフレ。草花と甘い香りが漂い、肩の力が脱力する。

ルフレ「まぁ、あの二人だ。三日後には治まるだろ」

 ドレディアをこれ以上、心配させまいとルフレは気丈に言った。


 まだまだ続くよ!

踊る愛ZO捜査戦線 ( No.435 )
日時: 2020/12/01 19:13
名前: トクマ (ID: JbPm4Szp)

ルフレ「何時まで喧嘩してやがんだァァァアアァァァァァアアアアアアッッッ!!!!

何が『まぁ、あの二人だ。三日後には治まるだろ』じゃブッ殺すぞ過去の俺ェェェエエェェェェェェェェェェエエエエエッッッ!!!!

タイムマシーンがあったらぶん殴ってるぞクソがァァァァァアアアアアアッッッ!!!!」

シュルク「ブチギレたプロレスラーみたいな怒鳴り方だ……」

 午前十一時。
 太陽が真上に昇る前の時間帯に、ルフレの怒号が部屋の一部に響く。
 一応、ルフレ本人が無言で設置した音声遮断の効果がある結界によって、声は外に響かないが、うるさいことには変わりない。
 ……然り気無い本人の配慮なのか、結界の近くにいたシュルクを除く他のメンバーの耳に届いてない。
 一通り叫びたいことを叫んだのか、ルフレは一呼吸おくと、ルフル達に向き直った。

ルフレ「あれから一週間も経ってるのに仲直りもしないなんざ、両者ともキレてるな」
ルフル「声帯どうなってんですか?」

 ……あれだけ叫んだ後に、そんな普通に喋れるものだっけ?

 ルフレの驚異的な喉の強さにリーフが首をかしげながら、とある場所に視線を向ける……そこには、いまだに威圧感を放つサンドリヨンがいた。
 件のトクマは朝早くから出掛けており、それを知っているのかサンドリヨンの表情が険しい。

ルフレ「そうだった。あの二人は頑固だった……なんで忘れてたんだ……オレ……」
ドレディア「ディーアー」
美琴「どうするのよ……素直に原因を話してくれるとは思えないわよ」

 自身の考えが甘かった事を後悔するルフレをドレディアが慰めているが、状況は変わらない。なんとか次の手を考えるルフレ達たが、思い付かない。
 
マリオ「そこで集まって、どうした?」

 後ろから声をかけられ、振り向くとマリオとリンク、ゼルダ姫の三人がこちらを心配そうに見ていた。
 このまま隠すよりも相談して知恵を借りようとルフレ達はトクマとサンドリヨンの喧嘩について話した。

リンク「なるほど。一週間も前から険悪な雰囲気なのは、そういう事だったワケか」
ルフル「……はい……幸いにもトクマさんは出掛けている事が多くて屋内の衝突は無いのですが……」
マック「サンドリヨンが無意識に放つ威圧感に子供組の一部が不安そうな表情になってるのが問題だな……」
ゼルダ「まぁ、大丈夫でしょう……下手に刺激すれば取り返しのつかない事になります……それにあの二人が至近距離でかち合う事なんて滅多に無いハズですよ」
ルフル「しかし、解決策を見つけないと時間稼ぎにしかなりませんし……どうすれば……」

 話し合いは進むが解決には至らず頭を悩ますルフレ達。
 そんな事を知らないサンドリヨンは部屋を出ようと扉に手をかけようとして、勝手に開いた。

トクマ「……ん?」

 そこには、ドアに手をかけて開いたスーツ姿のトクマがいた。

ルフレ達『『『言ったそばから出会ったァァァァ!!』』』

 絶対に会ってはいけない二人が出会ってしまい、ルフレ達は響いてはいけないゴングの幻聴が聞こえた気がした。

サンドリヨン「……何しに来ました?」
トクマ「携帯を忘れたから、引き返してきた」

 ピリピリと空気を小さく震わせながら会話するサンドリヨンとトクマ。いつ爆破するかわからない恐怖にある者は冷や汗を垂らし、ある者はハラハラとした心境で見守っている。

トクマ「……連絡は無しか」

 トクマは小さく呟き、部屋から出おうとした瞬間に突然ガラスで出来た剣を向けられる。

リーフ「ちょ、さ、サンドリヨン!?」
サンドリヨン「あなたは、何をしているのですか?」

 突然の行動に狼狽えるリーフだが、サンドリヨンは気にせずトクマに質問を投げた。

トクマ「……答える必要はない」
サンドリヨン「…………ッ!!」

 言外に『お前に言いたくない』と発言するトクマにサンドリヨンは奥歯を噛み締める。
 その様子にルフレ達はサンドリヨンから不協和音が響いたように聞こえた。

サンドリヨン「……ならば……あの子達の顔を見ましたか……?」

 その質問に部屋の空気が沈黙する。
 トクマに剣を向けるサンドリヨン、無表情でどこかを見るトクマ、緊迫した空気にルフレ達は一分が長く感じた。

トクマ「……それは『ヘイ! セイ! ヘイ! セイ! ヘイ! セイ! ヘ・ヘ・ヘイ!!』……すまない電話だ」

 答えようとした瞬間にトクマの携帯からマヌケな着信音が鳴り響いた。重苦しい空気が急に軽くなった事でルフレ達は体中の力が脱力する。
 しかし、携帯の画面を見たトクマは一瞬だけ目を大きく開き、電話に出た。

トクマ「ミャデェミャデェ、アビリェファン」
美琴「何て!? それ何語!?」

 突然トクマの口から謎の言葉に出た事にツッコミをいれる美琴だが、トクマの目は真剣だった。

トクマ「フォフェ!? ラムジャウショ!?」
マック「……なんて言ってんだ……何か重要な事なのか?」

 言葉がわからず首をかしげるばかりのマックだが、トクマの反応から只事じゃない事を少なからず予想する。

トクマ「コショジュジョ。デュシュンフェミュショウ!」

 そう言って、トクマは電話を切った瞬間にサンドリヨンを押し退け、急いだ様子で部屋を飛び出して行った。

アリス「……行っちゃった……」
ドレディア「……ディア……」

 サンドリヨンの質問に答えるよりも大事な用だったのか、風のように去ったトクマを呆然と見ていたアリスとドレディア。
 ふと、ルフレは何か気付いたのか思案している。

シュルク「……ルフレさん?」
ルフレ「……あいつ……携帯を回収する際に連絡を確認してなかったか……?」
ルフル「そういえば、してましたね……」

 そう言ったルフレに同じように聞こえていたルフルも答える。

美琴「そういや、いつものジャージじゃなくてスーツだったわね」

 美琴の気付いたトクマの特徴を皮切りにルフレ達はトクマの変化を挙げていった。

当麻「いつから、あんな感じになってた?」
アリス「あ、私覚えてるよ! クマちゃんの体からフルーツの香りがした一ヶ月前だった!」
トレ子「確か……シュークリームやプリン等のデザートを私達にプレゼントし始めたのは一ヶ月前ですね」
美琴「……ここまで来ると偶然には出来すぎておない?」

 当麻達の証言を元手に考えうる仮説を脳内に構築するルフレ。そして、一つの仮説が浮かび上がった。

ルフレ「時期的に重なってて、俺達に対して……いや、下手すればスマブラメンバー全員に対して秘密にしている……」
当麻「おいおい、まさか……」

 ルフレの考えを察したのか当麻は引きつった笑みを見せ、間違いだと願いながらも頭に浮かんだワードを口にした。
 奇しくも、それは全員と同じだった。




















































ルフレ達『『『女性との密会!?』』』































































 静寂。

 その言葉を口にした全員が互いの顔を見合わせ、自身の言葉を脳内で復唱する。

ルフレ「ま、まさかな……」
当麻「流石に……無いだろ……」
美琴「そうね……考えすぎ……うん。考えすぎね」
アリス「やだなぁ、みこちゃんたら……」

 馬鹿馬鹿しい仮説だと一蹴して苦笑いをするルフレ達。どこかぎこちない笑いだったが少しずつ大きくなろうとした瞬間、トラックが衝突したような轟音と震動が響いた。
 あまりの轟音に反射的に振り向いたルフレ達はすぐに後悔した。

サンドリヨン「………………………」

 何故なら、その轟音の正体がサンドリヨンだったからだ。
 彼女の拳は壁に激突してクモの巣状のヒビを作り、彼女の足元には浅いクレーターが出来ていた。
 ルフレ達の視線に映るサンドリヨンは後ろ姿しか見えず、どんな表情になっているのかわからない。

アリス「……さ……サンド……さま……?」
サンドリヨン「……うふふ、様で呼ばなくて良いですよアリス……少し、出掛けて来ます」
当麻「ど、何処へでせうか?」

 思わず様付けで呼んでしまったアリスを優しく注意するサンドリヨン……その姿に思わずリーフは小さく悲鳴をあげる。
 当麻が行き先を訪ねると、サンドリヨンはこちらを振り向き、花のような笑顔で--
































































































サンドリヨン「ジェガジュジャ、ジャシュミョデョムカグルンジュシャバリャデェフェ」
ルフル「なんて!?」

 --謎の言語を発した。
 そのままサンドリヨンは外へ飛び出していった。
 あまりの展開に呆然とするルフレ達だが、ようやく起動したルフレが声をあげる。

ルフレ「…………はっ!? サンドリヨンを今すぐ止めるぞ!! 今のアイツがトクマと出会ったらヤバいことになりそうだ!! 具体的にはサスペンスドラマ的な事が起こる気がする!!」
マック「やべぇぞ! 急ぐぞ当麻!」
当麻「待てよマック! 置いてくな!」
美琴「私達も行くわよ」
ルフル「はい。行きましょう」
アリス「うん!」

 遅れてサンドリヨンの後を急いで追うルフレ達。ドタバタと大きな音と共に去っていった頃にはマリオとリンク、ゼルダ姫の三人が残された。

リンク「……忙しいやつらだな」
ゼルダ「もうすぐ十二月だからじゃないですか?」
マリオ「さて、俺達も打ち合わせでもするか」


 まだまだ! まだまだ続くよ!

踊る愛ZO捜査戦線 ( No.436 )
日時: 2020/12/01 19:19
名前: トクマ (ID: JbPm4Szp)


 スマブラファイター達の拠点であるスマブラ邸から少し離れた所には『64ストリート』があり、小さな駄菓子屋から大型ショッピングモールまで幅広いジャンルの施設があるので生活には困らない。

店員「アリアトヤシタァー!」

 その商店街にあるオシャレな看板が目印のお店からスーツ姿のトクマが現れた。お店の方へ会釈した彼はそのまま64ストリートを闊歩する。

トクマ「なんとか間に合うな……久々に空いた時間だから、どこかで茶でも飲むか……」

 そう言って彼は近くに喫茶店がないか携帯で調べ始める。サンドリヨンと対峙した時と違って鼻唄をハミングする所から上機嫌のようだ。

 ……--『……ならば……あの子達の顔を見ましたか……?』――……

 上機嫌だったが、不意にサンドリヨンの言葉が脳裏に過り、足を止めて表情を曇らせる。

トクマ「……そんなの……知ってるに……ん?」

 ふと、商店街の路地裏から聞きなれない音が聞こえ、トクマは確認の為に耳を済ます。

トクマ「……金属音? 何でここで?」

 間違いではなかったらしく、注意深く音のする方へゆっくりと足を運ぶと複数の忍者に囲まれた髪を二つに束ねた青年と肌色が悪そうな男とつばぜり合いをしていた。
 唯一の共通点は青年は黒の、肌色が悪そうな男は藍色の忍び装束を着ており、肌色が悪そうな男は複数の忍者を従って青年を襲い、青年は孤軍奮闘で足掻いているが防戦一方である。

忍者?「どうした! 貴様はその程度か!!」

 肌色が悪そうな忍者は黒の忍者を挑発するが、黒の忍者は黙って対応するも徐々に押されていく。
 やがて、つばぜり合いに負けた黒の忍者の刀が遠くまで弾かれてしまい、肌色が悪そうな忍者に刀を向けられる。  

忍者?「ふはははは! 今日こそ終わりだ!」
黒い忍?「…………」

 肌色が悪そうな忍者の刀が鈍い銀色に光り、黒の忍者は悔しそうな表情を浮かべる。その表情に肌色が悪そうな忍者は嗤う。

忍者?「それでは、死ベリアァ!?」
黒い忍?「!?」
下忍1「かしらァァァァ!?」

 しかし、突如飛来したカボチャが肌色が悪そうな忍者の頭部に勢いよくぶつかり、カボチャと共に吹っ飛ばされた。

下忍2「頭の頭部にカボチャが激突したぁ!」
下忍3「うわぁ……痛そう……」
下忍4「この顔をSNSで投稿したらバズるかな?」

 気絶する肌色が悪そうな忍者を個性ある反応を見せる隙にトクマは黒の忍者を素早く抱えて駆け出した。

下忍3「あぁ!? おい待て!!」
下忍2「逃がすな! 見失ったら頭にドヤされる!!」
下忍4「待って! せめてマヌケな顔のかしらの写真は撮らせて!?」

 急いで追う複数の忍者だが、通りに出るとトクマと黒の忍者を見失ってしまった。

下忍4「どこに行った!」
下忍1「お前達はアッチを探せ! 俺達はコッチだ!」

 手分けして探そうと別れ、去っていった様子を伺っていたトクマが近くのゴミ箱から黒の忍者と共に現れた。

トクマ「……行ったようだな。単純なヤツらで助かった」

 複数の忍者が去っていった事を確認してると、黒の忍者に早く出るように急かされる。

トクマ「おっと悪い悪い。勝手ながら手助けしたが、余計な世話だったか?」

 そう質問すると黒の忍者は首を横に振り、近くに落ちてた自身の刀を回収し、トクマを見つめる。

トクマ「そうか。それなら良かった……紹介が遅れたな……スマッシュブラザーズ所属のトクマだ。身柄に関しては警戒しなくていいぞ」

 表情が読めないが、視線から黒の忍者が自身を疑っている事を察したトクマが証明書を手渡す。
 その様子に黒の忍者は一瞬だけ驚いたが、すぐに警戒を解いた。

トクマ「……考えている事がわかった事に驚いているようだが、全てわかる訳じゃない。言葉がわからない相手に対して対話できる方法があるからだ」

 それを言い、ドレディアを思い浮かべるトクマ。同時にサンドリヨンの事を思い出してしまい、頭から離れようとすると黒の忍者が心配そうに見つめていた。

トクマ「おっとすまない。考え事をしている場合じゃなかったな……あの忍者集団が戻って来ない内に移動するとしよう」

 トクマの提案に黒の忍者は頷いた。

トクマ「そういや、お前って名前は?」

 目の前の黒の忍者に名前を訪ねると、答えてくれた。

ガル「…………」
トクマ「ふぅん。ガルって言うのか……ん?」

 黒の忍者--ガルの名に不思議な感覚に首をかしげるトクマ。

トクマ「……ガル……ガル……どこかで……?」

 初めて聞く名前のハズなのに何処かで会った既視感に熟孝するトクマ……そして、ピースが重なって、ガルに質問した。

トクマ「……なぁ……ガル……その……聞きたい事があるんだが……」
ガル「…………?」

 恐る恐る質問するトクマに疑問符を浮かべるガル。

トクマ「お前の知り合いに……プッカっていうチャイナ娘はいたり……しないよな……?」

 その言葉にガルの目が大きく見開き、驚愕の表情を見せた。
 それは、トクマの思ってた既視感の正体が判明した瞬間でもあった。

トクマ「…………マジか……」

 ガルのリアクションにトクマは力なく呟いた。
 それは、彼の先程の質問に関係する。


 『PUCCA【プッカ】』

 韓国のとある公式サイトに掲載されたフラッシュアニメが人気となり、2006年にはアニメ番組として放映が開始された……日本では2002年12月21日から2003年3月29日にとある番組内でフラッシュアニメが放映された。
 現在は日本の千葉県に存在する夢の国が運営するアニメ番組でテレビシリーズが2006年から2009年に放映され、一時的に放送されなくなったが、十一年ぶりに2020年10月24日から放映を再開した。
 
 物語のあらすじとしては、とある料理店の看板娘――プッカがある時、店の手伝いで配達している途中で出会った忍者の末裔の少年――ガルに一目ぼれして、猛アタックを開始する。
 ガルは家門再興のために修行に励み、プッカの猛攻撃をかわそうとするが、最後にはプッカに捕まって強烈なキスを浴びせられるというオチがつく。
 テレビアニメバージョンではさらに村の個性的な住民が加わり、騒動となる。
 なお、シーズン3からは『パワーパフガールズ』や『キム・ポッシブル』のようなカートゥーンアニメからゲームソフトの『トモダチコレクション』に似たアニメに変化している。

 恋敵も登場するがこれ以上の説明は黒く巨大な、まるで“ネズミ“を模したマスコットが住む国に怒られそうなので割愛して要点だけ話そう。

 トクマにとって『PUCCA』には大きな意味があった。それは自身の根幹を作り上げたとも言うべき作品そんざい

 小学生だった頃のトクマに『NL』という概念を教えた作品であるからだ。


 今回はここまで!! コメントOKです!!