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二次創作小説(新・総合)
- Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.21 )
- 日時: 2019/02/19 14:32
- 名前: 燈火 ◆flGHwFrcyA (ID: aMCX1RlF)
「ねぇ、サンチョさん! そのお勉強、私も一緒に参加して良い?」
少し高めの凛とした声が響く。ビアンカだ。どうやらダンカンと入れ違いに部屋に入ったらしい。
「おや、勉強熱心なことはいいことですな。勿論よろしいですとも」
サンチョは昨日の一幕を知らない。単純にサンチョに勉強を教えてほしいと思ったようだ。しかしアベルは不安を感じた。子供たちとかわした契約は、町の外、つまりは魔物のテリトリーへと足を運ばなければならない。ビアンカは魔物と戦う術を得るために彼の指導を受けるつもりだ。そう確信できた。
「ではビアンカ嬢、どの程度の読み書きができるか教えていただけますかな?」
「第1言語と自分の名前を第2言語で書けるくらいだあわ」
サンチョの質問にビアンカは素直に答える。内心はそんなことより魔物との戦い方を教えてくれと痛哭を叫んでいるが、そんなことを言って打ち切りになっては元も子もない。恐らく魔物と戦いたいなどという本心を言っては、彼は全力で拒否するだろう。
「成程。分かりました。となると最初のうちは読み書きは退屈でしょうな……」
何事も基礎固めは大事だ、そう言いながら、サンチョは参考書を開く。そして第1言語の項目を開き、大きめの紙に書きだす。その時間はビアンカにとって本当に退屈な時間だった。当然だ。第1言語の書き方、発音、書き順。全てビアンカは理解している。
40分程度が経過してアベルが身動ぎはじめる。どうやら集中力が切れたようだ。それをサンチョは察し本を閉じた。そして柏手を打ち、10分程度の休憩を挟む。あと1時間半も過ぎれば、正午を知らせる金がなるだろう。
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