二次創作小説(新・総合)
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.1 )
- 日時: 2019/01/17 22:11
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: FOqQFS6Q)
※いきなりちょいシリアス
『始まりの158』
「──よって、今この瞬間より、彼女をこの白梅大陸の統治人とする。おめでとう、そしてこれからよろしく頼む」
「謹んで、お受けいたします」
「さて、まずは……そうだな、お前の好きな者たちをこの世界に呼び寄せるといい。どの世界から行く?」
「……それでは、どうしても行きたい世界が、どうしてもいの一番にこちらに招きたい者がおります」
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.2 )
- 日時: 2019/01/17 22:16
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: FOqQFS6Q)
──この世界は、きっともうすぐ終わっちゃう
くったりとほんの少しだけ残った地面に倒れているのはワニノコ。ワニノコの周りは黒ばかりで時たまある色は崩れかけていた。
ここは何年も前に作られた世界。最初からこの世界にいた生き物も、外からの人ももういない。
──あの子はもう来ないよ。もう諦めて、一緒に行こうよ。
トレーナーであるあの子を、ワニノコは待っていた。分かっていた。あの子はもう来ないということを。
それでも、諦めたくなくてずっとここにいた。
ワニノコの周りの地面も徐々に崩れている。ここが崩れればワニノコも『崩れる』だろう。
──待ってるよ。ずっと、ずうっと、待ってるよ。
かつてはオーダイルであったワニノコは、世界が崩れるに従ってどんどん小さくなって、アリゲイツに戻って、それでもまだ小さくなって、今のようにワニノコへ戻った。
お腹が空く。喉が渇く。近くにあったきのみの木はすでに消えた。いや、むしろまだ残っていたことが奇跡的だったと言える。
──迎えに、来てくれるかなぁ。
飢えを、渇きを誤魔化すために目を瞑る。目を瞑っていれば、時間はかかってもいつか眠りにつく。
今日も、いつ消えるか分からないワニノコは迎えを待つ。
「ワニノコ」
ふと目を開ける。地面もない場所に、その足はあった。
「ワニノコ」
もう一度呼ばれて顔を上げる。目に入ったのは、かつてのあの子。今はすっかり成長していたけれど、すぐに分かった。
あの子はワニノコを抱き上げてよしよし、とワニノコの頭を撫でてくれた。
「ごめんね、待たせて。ありがとう、待っていてくれて。
……一緒に行こうね」
ポロポロと涙が溢れて、ぎゅっと抱きつく。もう手は回らないけれどしっかりと抱きつけばあの子は振り返って走り出した。
微かに見えていた地面は、崩れた。
「ワニノコ、キミに新しい名前を付けたいんだ。ここから出たら、私は一応『おや』じゃなくなるから。
新しい名前は──」
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.3 )
- 日時: 2019/01/17 22:22
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: FOqQFS6Q)
「予想外ではあった。彼女は初期刀である陸奥守吉行を最初に迎えに行くと思っていたから。
けれど同時に納得もした。あのワニノコは正真正銘、彼女が『初めて』選んだ。だから思い入れが強いのだろう」
「彼女は今どこにいるか? この世界、この中央館に、どの統治人よりも近い街にいる。本丸で、刀剣男士らと共に住んでいる」
ひんやりとした空気。ひんやりとした廊下。すれ違う男の人たちで、靴下とか『たび』と呼ばれるものを履いてない人たちはほとんど早歩き。そんなひんやりとした廊下を自分は何の抵抗もなく、むしろ快適に思いながら歩く。
ぺたぺたぺた、ある部屋の前まで歩く。
目的の部屋に着いたら障子をぐいぐい引っ張って開け、中に入っていく。部屋は畳が敷いてある和室で、その中央で布団をかぶって寝ているのは女の人。
自分はぺたぺたと歩み寄って布団から出ている顔をぺちぺち、と叩いた。
「……うぅ、ん」
その人の眉間にシワが寄るけれど関係なしにぺちぺち叩く。
うっすら開いた目が何度か瞬きして、彼女は起き上がった。
「あー……おはようジウ……」
「わにゃー!」
「今日も元気だねぇ……くぁぁ……」
彼女が立ち上がり、伸びをする間に一旦出て行く。少しだけ座って待っていれば障子が開いた。
「じゃあ行こうか、ジウ」
彼女が自分を抱き上げ、廊下を歩いて行く。
時々すれ違う男の人たちと挨拶を交わし、彼女はある部屋へたどり着き、中へ入って行く。
「おはようさん主、ジウもおはようさん」
「おはよむっちゃん」
「わにゃ!」
初期刀、陸奥守吉行に挨拶をして『くりや』から匂う朝食の匂いにしっぽをつい振る。
楽しみかー、なんて頭を撫でられたから返事をすれば小さな笑い声がして。
ワニノコ──現在、ジウと柊、そしてみんなの一日が、始まりを告げた。
『始まりの158』終
いかがでしたでしょうか、一応プロローグにあたるお話です←
これから、こちらの小説でもよろしくお願いします!