二次創作小説(新・総合)
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.248 )
- 日時: 2020/09/03 18:33
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: kG5vJqWm)
※ギャグ回
※裸族注意、っていうか一部が大暴走する
※ToLOVEる的ラッキースケベ展開注意
※サラッと新ジャンルのキャラクターが登場してる
南の島、砂浜騒動!?
「着いたぞーっ!!」
パラディースプライベートジェット専用中央空港。柊サイド一行はカラッと晴れた晴天の下、小さく歓声を上げた。
プライベートジェット専用、ということで一般の客が使う空港の方は今いるところよりかなり大きい。それ以外にも見える海が美しく、自然豊かな島だった。道はきちんと道路が舗装されており、移動には困らないだろう。
「今から海に行くけど、少し時間があるから中央空港の方ちょっと見てきても平気だよー。あと今日と最終日は全員同じホテルに泊まるけどそれ以外は基本自由!! 好きに泊まってよし!! ただし人数は決まってるからその日の朝までには決めて連絡入れてね。ダメだったら空いてるホテルとか教えるから。
まあ一人や二人なら融通してくれるとはどのホテルも言ってるからあまり難しく考えなくていいよー。
行動も今日と最終日だけ基本集団行動するけど、それ以外は自由だから! ただ何かトラブルがあったら報・連・相、絶対。なかったらどうなると思う!? 私が泣く!! 大人気なくギャン泣きする!!」
「なんじゃそがな脅し文句」
「いい歳したやつが人目憚らずギャン泣きしてんだぞ、嫌だろ???」
「おまんの人権」
「まあいいんじゃね」
「そういうとこじゃ」
「とりあえず一度散!! 三十分後までにはバスに乗り込んでね!!」
そうして何人かはプライベートジェット専用空港で駄弁り、何人か暑いからとバスの方へ、そして残りは中央空港へ帰りに買っていくつもりであるお土産やその店の下見に行くようだ。
イソップは隅っこの方でゆっくりしていようとしたのだが、ミクに見つかり、彼女と話すことになってしまった。(とは言え嫌というわけではないが)
「おや、ミスター・カール!」
「あ、どうも」
「こんにちは、ミクさん」
「こっ、こんにちは!!」
搭乗口の方から、以前会ったダールマン夫妻がやって来た。相変わらず仲の良さそうな夫妻だ。
「ミスター・カールもパラディースにバカンスに?」
「まあ、そんなところでしょうか。貴方もバカンスですか?」
「それもあるが、ここに一つホテルを建てようと思っていてね。今までのホテルよりは小さいが、今までのホテルに負けないサービスをしていくつもりだよ」
「ミクさんも楽しんでちょうだいね。このパラディースは本当に素敵な場所だから」
「は、はい!」
そんなちょっとした会話をしてダールマン夫妻と別れる。……見るとすでに出口に高級そうな車と運転手、その上付き人までいた。
「さ、さすがお金持ち……!」
「ですね。僕としてはお断りですが」
そう息を吐いて、そろそろバスに向かっておこうと足を動かす。それにミクも気づいたらしく、彼女はイソップの後を追いかけた。
一方、パラディース中央空港。一般客で賑わうそこを、桑名江は早歩きで歩いていた。江派の四振りで来ていたのだが、珍しい野菜に気を取られてだいぶ離れてしまっていた。全員で珍しい物に気を取られているらしい。
とにかく早く追いつこう、と足を早めようとした時、どん、と誰かにぶつかってしまった。
「きゃっ」
咄嗟に誰かを支える。誰か……少女は驚いたように桑名を見ていた。
「ごめんね、大丈夫?」
「あっ、だ、大丈夫ですっ、ありがとうございます」
「それなら良かった。じゃあ僕はこれで」
桑名は少女を離し、そのまま早歩きでまた三振りの方へ向かっていく。
少女も特に気にする様子もなく、少し離れたところからおーい、と友人に呼ばれて慌ててそちらを見る。そして少しだけ走った。
「かよちん早くー」
「ま、待ってぇー……!」
少女──小泉花陽は、手を振っている星空凛の元へと駆け寄って行った。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.249 )
- 日時: 2020/09/03 18:39
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: kG5vJqWm)
そして、しばらく経って。パラディースにはいくつものビーチがある。その内の一つ、エメラルドビーチに柊サイド一行は降り立っていた。
海で遊ぶメンバーはすでに借りたり自前の水着に着替えていた。事前に海で遊ぶための注意事項等は連絡してあり、何週間も前から長谷部、博多、陸奥守と話し合いながら作ったしおりにも書いてある。なので着替え終わったメンバーから次々と海へ向かう。
「はー、エメラルドビーチってだけあって海がエメラルドグリーンだなぁ」
柊も水着に着替えていた。上は水色で、右下には白くハイビスカスが描かれている。下はショートパンツタイプで、パーカーを着ていた。
「司令官さん!」
振り向くと、そこには第六駆逐隊の駆逐艦娘がお揃いの色違いのワンピースタイプの水着を着ていた。暁は黒に近い藍色、響は白、雷は薄めの黄色、電はピンク。下にはスカートのようにフリルが付いており、とても可愛らしい。
「かーわーいーいー!!」
「ふふんっ、司令官が選んだんだもの、当然よ!」
「司令官、私たちの水着を一緒に選んでくれて嬉しかったよ。Спасибо」
「でも四色色があるなんて驚いたわ、ねっ電!」
「はいなのです。でも、みんなでお揃い嬉しいのです!」
「あーみんなが可愛いー……」
「しかして響たその水着は白、雷たその水着は薄い黄色、すけすけワンチャンあるのでは」
「ねえよ。私がそこら辺の対処してねえと思ったか髭」
突然後ろに立ってどう足掻いてもアウト発言をする黒髭に臆することなく言い返す。そしてさりげなく暁たちを黒髭から離す。
「何故ー!? こんなんすけすけチャンスじゃないでつかー!!」
「ざっけんなぶっ飛ばすぞ」
「できるならどうぞー? まあできないでしょうがなwww」
「レンタルスキル発動宣言『肉体強化』許可求む」
「いやこんなことでやらないで!?」
「世界さーん」
「あ、物吉くん」
世界も水着に着替えてビーチへ繰り出していた。彼女に駆け寄ってくる物吉も水着に着替えている。その後ろには海パンを履き、きっちりとパーカーを着た亀甲と同じく海パンの太鼓鐘、水着に着替えた花騎士のクリスマスベゴニアとシオンだった。
「世界さん、よく似合っています!」
「あ、ありがとう」
満面の笑顔で褒めてくる物吉に、少しだけ気恥ずかしくなる。……お試しで付き合ったはずなのに、なんだかんだその期間を延長してダラダラと今日までお試しの恋人という関係を続けていた。
確かに物吉の隣は心地いい。誠と違い、彼はいろいろ気にかけてくれて、肉体関係もお互いに良いと思えたら、と言ってくれた。……後者に関して、誠にはこちらが誘惑したようなものだったが。けれど誠との関係や、未だに未練があることで完全に踏ん切りを付けられずにいた。
「亀甲さま、わたくし、海でぷかぷか浮きたいのです!」
「じゃあ、浮き輪を借りてこようか。僕が押してあげるよ」
「嬉しいのです、ありがとうございます亀甲さま!」
「あの、太鼓鐘くん。何をしましょうか」
「しぃ姉のやりたいことでいいぜ! 決まるまで砂浜でのんびりするのもありだしな!」
「……ありがとうございます」
亀甲とクリスマスベゴニア。太鼓鐘とシオン。亀甲とクリスマスベゴニアは付き合っていて、太鼓鐘とシオンは未だに太鼓鐘の片想い。だがシオンも彼に好意を抱いているように見える。
最初は相手が逆なのでは、と思ったが今ではこの二組が羨ましい。
「世界さん、僕たちも海で泳ぎませんか?」
「う、うん!」
「じゃあ行きましょう!」
さりげなく手を取られ、二人で海に向かう。
……そういえば、亀甲は『秘密』をどうしたんだろうか。
「あ、亀甲兄さんの『秘密』はさすがに解いてきましたよ!」
「そ、そうだよね! ……ちょっと安心した」
「ふふっ」
優しく微笑む彼を見て心が暖かくなる。……後で、柊の好意で招待した幼なじみの清浦刹那にも紹介したいなんて、思い始めていた。
言葉はパラソルの下、浦島とのんびりとしていた。先ほどまで蜂須賀、長曽祢もいたのだがそれぞれ飲み物と食べ物を買ってくると言っていなくなった。
「海って緑色にもなるんだね!」
「ええ、綺麗ですね」
「うん! 青い海もいいけど緑の海も綺麗だ!」
言葉も水着を着ているが、浦島が来てくれるまでチラチラと他の男性客の視線が刺さっていて、少し辛かった。それに気付いたらしい浦島が自分のパーカーを羽織らせてくれて、少し休もっか! とここまで連れて来てくれたのだ。
浦島だけでもそこそこ牽制できるが、蜂須賀、その上長曽祢もいるからか男性たちはこちらに興味を示さなくなってホッとしていた。
「言葉さん、浦島、飲み物を買ってきたよ」
「ありがとう蜂須賀兄ちゃん!!」
「あ、ありがとうございます」
と、渡されたのはやけに丸っこく大きなグラスで、中身は透き通った青の、よくイメージされるような飲み物だった。ストローが差され、パイナップルと綺麗な花が添えられている。
「うわぁ俺こんな飲み物、マンガとか以外で初めて見た……っていうか本当にあるんだ」
「ですね……私も初めて見ました」
「店主の方曰く『イメージ通りの南国を届けたかった』らしいよ」
「あっわざわざ作ったんだこれ!?」
すごいなー、なんて言いながら浦島が一口飲む。言葉も一口飲んでみると、爽やかな甘さが口いっぱいに広がった。
蜂須賀はペットボトルのお茶を飲んでいた。見るともう一本ある。
「おーい、とりあえずふらんくふるとを買ってきたぞ。言葉殿もほら」
「長曽祢兄ちゃんもありがとう!!」
「ありがとうございます……」
「ふん、南国に来たというのにふらんくふるとか。いやふらんくふるとに罪はないが」
「ほら蜂須賀のもあるぞ」
「当たり前だ。ふん、贋作と言えど熱中症になられたら敵わないからな、というか運ぶ手間がかかる。俺たちよりかかる。受け取れ」
無愛想に投げられたペットボトルを難なく長曽祢は受け取る。
「おーありがとな」
「ふん。ああそうだ、贋作、主を一人にはできない。貴様が護衛でも務めてこい」
「ん? 主は今一人なのか?」
「そうだ、だから行け、早く行け、今すぐ行け」
「そう急かさんでも」
ずいずいと背中を押していく。言葉も知っているが、本丸ほぼ全員で進展のない恋を応援しているというのもなかなかないのではないかと思わずにはいられない。
ある程度柊の方へ行かせたのか蜂須賀はすぐに戻ってきた。
「二人とも、飲み終わったらぐらすを返しに行くからこのくーらーぼっくすの上にでも置いておいてくれるかい?」
「うん、分かった!」
「え、わ、私が返してきますっ」
「いいや、言葉さんのような女性を一人にしたら下世話な輩が近づいてくるかもしれないから俺が行くよ。浦島はその間、言葉さんを守るんだ」
「分かってるよー」
そんな会話に言葉はくすりと笑う。浦島と蜂須賀は言うまでもないが、蜂須賀と長曽祢も以外と仲がいいから、微笑ましく感じる。
その少女たち──スクールアイドルのμ'sは波打ち際でキャッキャとはしゃいでいた。ポーン、と跳ねるボールは強い日差しが反射してまるで宝石のようだ。
しかしボールは逸れて彼女たちから離れてしまう。誰もが取りに行こうとするのを二人──綾瀬絵里と高坂穂乃果が止めて取りに行く。
ボールはそこまで遠くに飛んだわけではないようだ。誰かの足元に転がり、それを誰かが拾い上げ……そこで二人は固まってしまう。
パッと見、どこからどう見てもヤの付く自由業の方々。しかも頭と見られる男の方には腕に刺青がされていた。
二人は知る由もないが彼らは山鳥毛、日光一文字である。
「あ、あの、すみませんっ」
「ん? 何か……?」
「そ、そのボール、私たちが遊んでいたら、飛んでいってしまって……本当にごめんなさい」
「ふむ、そうだったか。持ち主がすぐに見つかってよかった」
そう言って彼は絵里にボールを渡す。ありがとうございます、と受け取る。ふと彼らは穂乃果に目を向けた。
山鳥毛がふむ、と呟いたかと思えば傍にいた日光にアレを彼女に、と指示した。すぐに御意、と日光はパーカーのポケットに手を入れ、何かを取り出し、穂乃果に近付く。
「これを。そして日陰に行き、水分とともに摂るといい」
「えっと……塩飴?」
「うむ。苦手であるならば塩タブレットも用意している。……いいや、この際どちらも渡しておこう。
塩飴はグレープフルーツ、塩タブレットはスポーツドリンク味、それほどまで摂りにくくはないだろう」
「あ、ありがとうございます……?」
「そろそろ休むつもりだったのかもしれないが、もう少し早く休むように。顔が真っ赤になっている」
確かに穂乃果の顔は赤い。絵里もそれを見てそろそろ休憩を入れようと先ほど言っていたのだ。後一回だけ! とお願いされて後一回なら、と了承していた。
そういえば、水分補給のために水やスポーツドリンクは買っていたが塩分補給のための塩飴やタブレットは買っていなかったような気がする。ふと見れば彼は穂乃果の両手一杯に塩飴とタブレットを渡していた。
「あの、本当にありがとうございます。御礼ができればいいのですが……」
「否、この程度で礼は不要だ。それに弟分たちのためにとまだ買い込んでいたからまだある。問題はない」
「ああ、気にしないでほしい。それでは我々はこれで。キミたちも気を付けて海を楽しみなさい」
そう言って二人はそこを離れて行った。
「……すごくいい人たちだったね!」
「ええ、すごく、すごくいい人たちなんだけど……けど……!
って、そうだわ穂乃果。さっきふらついてたような気がするのだけど?」
「えっ、そ、そうかなぁ?」
「もう……塩飴とかもたくさん頂いたし、どこか涼しい場所で休みましょうか。確か食べ物を持ち込める休憩スペースで冷房を効かせているって聞いたから、お昼ご飯も買ってそこに行きましょう。穂乃果はそこで休んでるのよ?」
「うん!」
そうして、μ'sは一度ビーチから離れた。そのおかけで、のちの騒動に巻き込まれることはなかったのだ。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.250 )
- 日時: 2020/09/03 18:45
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: kG5vJqWm)
「あーーーなんで僕だけ……」
クマ吉はがっつり木に縛り付けられていた。というのも、女性陣の着替えを覗こうとしてバレ、柊から指示を受けた景光りゅうこに縛られていたのだ。自業自得である。
基本的に見張りが立っていて、今は御手杵だったのだが「あ、喉渇いたよな? 飲み物買ってくるから待ってろよ」と離れている。優しさ。
しかしそんな優しさに触れてもクマ吉は反省していなかった。
「いや無理でしょ、あんなぷるぷるの楽園があるのに見るの我慢しろって無理があるよ、無理が極まってるよ」
裸族たちは周りから見えないように存在するヌーディストビーチに行っているらしい。どうも噂ではそこには裸族ファンが集まっているという。行きたかったなぁとボヤく。
「それでもぷるぷるな楽園を覗くなとか無理だよね。なんで僕縛られてんだろ」
「そこのキミ」
「ん???」
「もしよければ、拘束を解くから実験に協力してくれないか?」
罪木とソハヤは波打ち際で水を掛け合うという、どう見てもカップルがやることをしていた。とは言え、罪木は若干ビクビクしているが。
「ぷあっ、ふゆぅう、ソハヤさん、そろそろ休みませんかぁ……?」
「そうだな、そろそろ」
その時。シュッ、という音がして……罪木の水着のトップスが、消えた。
「……は?」
「え? …………っき、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
罪木の悲鳴を皮切りにするように、ビーチのあちらこちらから女性の悲鳴が上がり始めた。
「な、何がっ」
「ひぇええええええん、どどど、どうしましょうソハヤさぁん!!」
「とりあえず蜜柑は上隠してろ目のやり場に困る!! 兄弟!! 俺のパーカー持ってきてくれ兄弟ー!!」
「丸めて投げればいいのか」
「それで頼む!!」
大典太からパーカーを受け取り、すぐにそれを罪木に被せる。そうしてからやっと周りの状況を冷静に見られた。
次から次へと、女性の水着のトップスが消えていく。しかしその際に何かが目に見えない速さで動いているのをソハヤの目は捉えた。
「一体どうなって」
「あーッはっはっはっ!!」
突如響いた笑い声に誰もがそちらを見る。そこにいたのは、縛られていたはずのクマ吉と、一体どこから来たか分からない、よくマンガなどで見るような太かったり細かったりするオタクな男たちだった。
しかもその男たちとクマ吉は水着のトップスを被っていたり持っていたりして、この事態がクマ吉たちによる物だと分かった。
「よくも僕を除け者にしてくれたな!! まあそれはわりとどうでも良くて、今よりここはトップス禁止、なんだったら女の人は水着禁止のビーチにしてやる!!」
「意味がわかんねえ!?」
「もうぶっちゃけるとぷるぷるの楽園見たいんだよね!!」
アホか!! つい思ってしまったソハヤは悪くない。
しかし先ほどから動いていたのはクマ吉たちだとでも言うのだろうか。だがそれではあの素早さに説明が付かない。
「僕らは、ついさっきある人から薬を貰ってね。それを飲んだら」
そう言葉を切ったクマ吉が消え、また女性の悲鳴が上がった。
それとほぼ同時にクマ吉がまた現れ、手には女性の水着のトップスが。
「こんなに早くなったんだよ……!! ぷるぷるの楽園も夢じゃない!! その上、ラッキースケベ運向上の薬も飲んだんだ!! 行こう同士たち!!」
「おおおおおおおお!!」
クマ吉たちが消え、次々と悲鳴が上がり始める。
「きゃー!!」
「いやぁあっ!!」
「くっそ……!」
捕まえようにもうまく行かない。だが速いと言っても完全に捉えきれないわけではない。その証拠として。
「捕まえたぞ貴様」
「まだまだ、俺からしてみりゃ遅いぜ!!」
「狙うところが分かるなら、後は簡単だよねぇ」
長谷部、豊前、桑名が何人かの捕縛に成功している。ところで長谷部は金剛が狙われたからかめちゃくちゃ手に力が入っているように見えるが気のせいだろうか。いや、絶対気のせいではなかった。うん。
それ以外にも極めた短刀たちも次々と捕縛に成功している。が、捕まえられる者よりも相手が多すぎて対処しきれていない。その上、スケべ心が煽られたのか何人かの男性客がクマ吉たちに加勢してより劣勢になっていく。
「大典太さん、私たちは大典太さんの側から離れませんね。ONEもこっちに」
「うん、お姉ちゃん」
「そ、そうだな。こちらに来た方がいい」
「マイペースだなお前ら!?」
少しビーチから離れたBBQエリア。そこで膝丸とイバラギドウジ(一血卍傑)、そして茨木童子(FGO)は借りたBBQセットを使って肉や野菜を焼いていた。本来ならばあまり仲良くないはずの三人はわりと仲良くやっていた。
「幼子の茨木童子、とうもろこしが焼けたぞ」
「うむ! しかし汝、めちゃくちゃ焼くのうまいではないか!」
「そうか?」
「ああ、わりと上手いと思うが」
「む、イバラキドウジにも言われるならばそうなのか……ならば兄者に出しても問題はないな」
「しかしこう暑いと喉が渇く……飲み物でも買ってくるか」
「ではついでに、金を渡すから俺の分も頼む」
「ならば俺も」
「パシるでない!!」
「余った金で氷菓子を買ってきてもいいぞ」
「うむ仕方ないから買ってきてやろう!! 何がいい!!」
「麦茶を頼む」
「血だ」
「男の吾怖いのだが? そもそも血は買えぬ。男の吾も麦茶で我慢しておくがいい」
そう言って茨木童子はビーチサンダルをペタペタと鳴らしながら海の家へ歩いていく。
少し離れた所で、彼女の前に二人の……それもビーチを騒がせている連中が現れた。
「む? 汝ら邪魔だぞ、退かぬか」
「でゅふ、ロリ……!」
「金髪ロリの鬼っ娘たそ、キミの水着のトップスを下され!」
「とっぷ……ああ、なるほど。しかし残念だな汝ら。吾がそれを渡すことはない。何故なら!!
吾の水着は上下に分かれてないからなぁ!!」
そう、今の彼女の水着は所謂第二再臨時の物。ストラップレスのワンピースタイプなのだ。これでは確かにトップスを奪われることはない。
茨木童子はふふん、と鼻を鳴らして胸を張っているが、二人はぐふぐふと笑い始めた。
「む、何がおかしい」
「いやぁ、それなら」
「トップスがないなら水着を下ろせばいいじゃないというやつですぞ」
「……は???」
「水着を全部下ろして水着ごといただきましょうぞ!!」
「覚悟しなさい金髪ロリ鬼っ娘!!」
「ぴえ」
じりじりと近づいてくる二人。その変な威圧感に圧された茨木童子は踵を返す。
「にゃーーーーーーー!!!!!」
「待ってー!!」
「ロリの水着プリーーーーズ!!」
「やめぬかーーーー!! 来るなーーー!!」
あまりの速さに涙が出そうになる。しかしすぐに膝丸とイバラギドウジのいる場所へと戻ってこれた。
「助けろぉおおおおおお!!」
「む?」
「なんだ?」
「ロリぃいいいいいいいいい!!」
「ぴゃぁあああああああああああ!!」
「……なるほど」
「よく分かった」
膝丸とイバラキドウジの後ろへ茨木童子が隠れる。男たちは薬で得た力で自信でもあるのか二人に突っ込んでくる。
が。膝丸はハイキックで、イバラキドウジはその拳を鳩尾に叩き込んだ。得た力と言っても速さのみ。当然その一撃に耐えられるはずもない。
「いくら妖といえど、幼子を泣かせるのは感心せんな」
「まあ同意だ。特に別の世界とは言えど俺でもあるからな」
「ぐふぅ……」
「き、金髪ロリ鬼っ娘の……水着を……剥ぎたい、人生だった……」
「そんな人生は早急に終わらせた方がお前の身のためだぞ」
「イバラキドウジ、言い過ぎではないか?」
「ならお前は同意できるのか?」
「できんが」
「だろう」
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.251 )
- 日時: 2020/09/03 18:51
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: kG5vJqWm)
「わぁああ!! あっ、霧島後ろ!!」
「はっ!! 榛名、危ないっ!!」
「こ、これでは海で遊べません……!!」
比叡、榛名、霧島は複数の男たちに狙われていた。なんとか避けているものの、いつ取られるか分からない状況。一瞬たりとも油断はできなかった。
その上、体力も徐々に削られている。とてもではないがこれ以上来られるのは厳しいものがある。
と、榛名の後ろから一人が襲いかかる。しかし気付くのはだいぶ接近を許してしまった後だった。
「榛名後ろっ!!」
「え、きゃあぁっ!!」
「はっ!!」
ドス、と鈍い音を立てて男が倒れた。その後ろに立っていたのは何やら分厚い本を持っていた日光一文字と妙高型の艦娘たちだ。その中でも羽黒は涙目で今にも倒れそうになっている。
「あ、ありがとうございます、日光さん」
「構わん。弟分の恋人……その妹たちは我が妹分も同然。守るのは当然だ」
「あっ、えっと、はい……???」
「私たちはいいって思ったけど、羽黒がすごく怯えちゃってねー。お言葉に甘えちゃった!」
「足柄は襲い来る男どもをバッタバッタと背負い投げしていたからな」
「終いには『もっと歯応えのある人来なさーい!!』と言っていたからね……」
妙高と那智がはぁ、とため息をつく。それに霧島と榛名は苦笑いしていたが比叡だけは「四人とも恋人か片想いしてる人が暴走しそうだから日光さんGJ」と呟いていたと言う。
「どっせい!!」
「あ、主、あまり前に出るな!!」
「大丈夫ですよ長曽祢さん、私は絶対に狙われないです!」
柊も弓を使い、ぶん殴って男たちを気絶させては捕縛していた。パーカーはたまたま近くにいてトップスを取られた女性に被せている。
近くではレパルスが取られた女性たちを集めてタオルや上着を配っていた。
「狙われないという確証がどこにあるんだ!?」
「ふっ……大体、こういうピンクいハプニングは、作者にあたる存在は被害に遭わないのがお約束っつーもんです! なので私は被害に遭わない!! 証明完了です!!」
「なんだその理由は!? 完了してないぞ!?」
「大丈夫ですよ長曽祢さん! さあどんどん捕縛しましょう!!」
「テンションおかしくなってないか主!?」
「ふふふ、作者にあたる存在は被害に遭わない、なるほど、道理に適いそうですな。
その幻想をぶち壊す!!」
はらり。
それは奪われた。思い切り手を振り上げていて、目の前には長曽祢。
お互いに固まり、数秒。
「……え、あ、きゃあぁぁぁ!?」
「すすす、すまん!!」
滅多にあげることのない高い悲鳴をあげ、顔を真っ赤にして隠す。長曽祢も思い切り目を逸らしているが見てしまった事実は変えようがなかった。
「し、指揮官!? 待ってて、今……」
「そ こ だ」
「きゃーっ!?」
レパルスのトップスまで奪われる。そのままレパルスはバランスを崩し、柊、長曽祢を巻き込んで倒れてしまった。
……胸板と、顔に当たる柔らかい感触。右手にも柔らかい感触がある。
「……あっ」
「〜〜〜〜〜〜!?!?!?!?!?」
「あああ、ご、ごめんなさっ、ひゃん!」
レパルスの胸が胸板に、柊の胸が顔に、その上、柊の尻まで触れていた。どうしてこうなった、と言わんばかりの体勢である。
さすがに動揺しないほど鈍感でも、色事に知識がないわけでもない。三人とも離れ、柊とレパルスは胸を隠している。長曽祢も気まずくて目を背けたままだ。
「どうして!? どうして僕じゃないの!?」
いきなりした声にそちらを向けば非常に、とても不服そうな顔をしたクマ吉がいる。そういえば先程ラッキースケベがどうのこうの言っていたような。
「あーあ、一人は柊さんだとしても」
「ぶっ飛ばすぞてめえ」
「二つのぷるぷるが体に当たるなんて羨ましいなぁ……。しかも片方は顔とかどんな徳積めば当たるの???
ねえ長曽祢さん、感想聞かせてよ、やっぱり柔らかいよね??? いい匂いとかした??? ハアハアした???」
「てめえと長曽祢さんを一緒にすんな頭そげぶすんぞ」
「…………」
ゆらり、と長曽祢が立ち上がる。その手には、本体。
「えっ」
「な、長曽祢さん?」
「ど、どうしたの?」
「……はは。今宵のおれは血に飢えている、ってなあ!!」
「ストーップ!?」
「さ、さすがにそれはダメですよ長曽祢さん!?」
「お前の、お前のせいで、主とレパルス殿にとんだ恥をかかせただろう……!!」
「き、気にして……はいますけど落ち着いて!!」
「そうそう、落ち着いて! 真剣必殺はダメだってば!!」
柊とレパルスが必死で落ち着かせようとするが長曽祢は止まらない。しかもどちらも胸を隠すために片手での制止になるため余計だ。とは言えさすがにもう柊はしがみついて両手で止めている。隠すために密着することになるが仕方ない。
その時、二人にパーカーが被さった。
「大将、レパルスの姐さん、それ羽織ってな」
「や、薬研ニキ? ありが」
薬研の声にホッとしながら振り向くが、後悔先に立たず。
そこには一部を除いた極短刀たちが殺気立った顔で立っていたのだから。思わずヒェ、と喉から出たのは仕方ないことである。
「ふふふ、ボクと乱れよ……? ボクが一方的に乱すけど」
「わるいこはどこですかー? すなおになのりでればいまならじんつうりきをつかった【ぞうきんしぼり】でゆるしてあげまーす。
ぞうきんやくはおまえですが」
「びーちの女性たちや仲間の女性たちに飽き足らず、主君にまで手を出すなんて……許せませんよ」
「これには愛染明王だって怒るぜ」
「なるべく傷付けぬようにとしていましたが、主君に手を出したのであれば話は別です」
「ヒェッ……」
「全員に通達。
本 気 を 出 せ」
薬研の一言を皮切りに、ビーチからは打って変わって男たちの悲鳴が上がった。次々に捕獲されていく男たちを縛り上げ、あっという間に主犯であったクマ吉も吊るし上げられた。
そんな男たちを被害女性たちはゴミを見るような目で見ていたのは、致し方のないことである。
「はー、どれがいいか迷っちまった……おーいクマ吉、いろいろ買ってきたぞー。ハチミツとかの飲みもんそんなになかったけどいくつか買ってきたから選んで……んぁ? なんかあったのかぁ?」
「御手杵……お前……お前……」
のんびりと大きな袋を持って御手杵が戻ってきた。今まで悩んでいたらしく、騒動は何も知らない。
「御手杵さん、クマがみんなハチミツ好きだと思わないでよ、多分それ某くまの影響だよ」
「なんかよく分かんねえけどそれじゃ飲めないよなぁ。ほら、ストロー差したからこれで飲めよ。持っててやるから」
「わーありがと、ってあっま!! ハチミツみたいなジュースじゃなくてハチミツだよこれ!?」
「お、これなぁ、ハチミツ100%なんだってよ!」
「誠に残念ながらそれただのハチミツだよ!! サラサラなだけのハチミツだよ!!」
「そうかぁ……あっ、でも健康にいいって書いてあるぞ!!」
「健康になる前に過剰な糖分摂取で糖尿病になるよ!!」
「ちょうどいいじゃないか」
御手杵の後ろから、長門(艦これ)が歩み寄ってくる。そして御手杵からハチミツドリンクという名のハチミツを受け取るとそのままクマ吉の口にストローを突っ込んだ。
「むぐぅ!」
「全て飲み切れ。迷惑をかけたんだ、このくらいはできるだろう?」
「あっ、まだ四本くらいあるぞ!」
「…………せめてこの一本を飲み切れ!!」
「むごごごごごごごご!!」(優しいのか厳しいのか分かんないよ!!)
「そして御手杵、お前は何故見張りを放棄した」
「ん? 喉渇くだろうなぁって」
「ではせめて代役を立てていかないか」
「……あっ、そうだな!?」
「蜻蛉切、日本号、説教は頼んだ」
「承知」
「おうよ」
「あああ、悪かったってええ!!」
御手杵も引き摺られていく。日本号は那智が巻き込まれかけ、蜻蛉切も鳳翔が巻き込まれかけた。しばらくの間、彼も解放されないと見ていい。
こうして、ビーチの大騒動は幕を閉じた。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.252 )
- 日時: 2020/09/03 18:57
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: kG5vJqWm)
「ふむ」
遠くからビーチを見ていた一人のメガネをかけた銀髪の男はそう呟きながら錠剤を見た。青い錠剤。これが先ほどクマ吉たちに尋常ではない素早さを与えた物である。
「通常の速さがどれほどか分からないのは痛手だったが……まあどう見ても劇的に向上しているな。……となれば副作用も大きいはず、明日くらいか? 良くても筋肉痛は避けられんだろう。
とは言え、さすがに効きすぎだ。少し抑えるか」
ぶつぶつと言いながらその場を離れていく。男の歩く先に黒い空間が広がる。男は躊躇うことなくそこに入っていった。
翌日。
「あいだだだだだだだだ……!」
「大丈夫かいクマ吉くん?」
「ぜ、全身がひどい筋肉痛だよぉ……!!」
「あまり無理するな」
「今日もヌーディストビーチで裸族ファンと交流する予定だったけとやめておこうか」
「いくら言われたからって二日連続でクマ吉を除け者にしたくはないしな」
「仕方ない、今日はホテルでのんびりするか」
「賛成! ここのルームサービスでなんか食うか」
「ううう、裸友たちが優しい……」
全身が千切れそうな筋肉痛に見舞われたクマ吉を案じ、その日一日は大人しくすることにした裸族たち。なお、その後何人かがクマ吉の筋肉痛のことを聞いて見舞いに来たという。その中に昨日一日蜻蛉切と日本号に加え、同田貫、骨喰にこってり絞られた御手杵がいた。
「大丈夫かぁ? ほらこれ、昨日のハチミツのやつやるから早く良くなれよ」
「むしろ悪くなるよ!!!!」
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