二次創作小説(新・総合)

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.259 )
日時: 2020/10/01 20:01
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: A7M9EupD)

子どもビーチは危険がいっぱい!〜王様は保護者〜
何故我オレが保護者などせねばならん」
 腕を組み、今にも舌打ちしそうな顔をしたギルガメッシュ(弓)は滝のように汗をかいて目を逸らしていながら気まずそうにしている立香と六花を見下ろしていた。
「じ、実は……」
「この島で、他に保護者をできる人がもう王様以外いなくって……」
「他の島から呼べばよかろう」
「ジャックを始めとする子どもたちが早く早くって……」
「下手すると何人か犠牲になるかもで」
「では貴様らは」
「この後、別の用事が……」
「ではこの島にいた保護者に適した……ふむ、源頼光と言ったか? 其奴は」
「ついさっき別の島に発って」
「キャスターの我は」
「さっき出会った経営者のご夫婦と経営談議に花咲かせてます」
「蘭陵王も付き添ってます」
「本当に我しかおらぬではないか」
 はぁ、とため息を吐く。確かに暇ではあるが二人には今読んでいる本が見えないのだろうか。いや、見えていてなおかつ本当に申し訳ないとは思っているのだろう。
 いくら見た目が幼いとは言え子どもたちだけで海で遊ぶのは確かに良しとはできない。もう一度ため息を吐いて本を閉じた。
「良い。此度は特別に聞いてやろう」
「!! ありがとう王様!!」
「これ、子どもビーチに行く子たちのリストです!」
「うむ。……ん? これを作るくらいならば近くの島から呼び出せば良かったのではないか?
いや、これを作る最中にでも呼び出せば良いのではないのか」
「「あっ」」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.260 )
日時: 2020/10/01 20:07
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: A7M9EupD)





「そんなわけで今日一日貴様らの保護者をするギルガメッシュだ。くれぐれも我に心配をかけさせるでないぞちびっ子たちよ」
「「「はーい!!」」」
 子どもビーチ前。ギルガメッシュ(弓)は今日面倒を見る子どもたちの前で注意事項などを読み上げていく。皆元気よく返事をするものでギルガメッシュ(弓)も良い!!!!!! と返してしまうほどだ。
「では、そろそろ向かうとするか。着替え終わっても先走って海に行くでないぞ、特に愛染国俊に蛍丸」
「そんなことしねーよ!!」
「しませーん」
「それならば良い」
 全員で子どもビーチへ入っていく。だがふと、少し離れたところで何やら騒ぎがあった。放っておいてもいいが、その騒ぎが妙だった。故にほぼ好奇心でギルガメッシュ(弓)はそちらへ近づいて行く。
 妙、というのは、子どもと大人がまるで一枚の壁に隔たれているかのように分かれており、実際に壁があるように大人たちはこちら側に入って来れないようだったからだ。
「何があった」
「あ、あの、子どもビーチに大人が入れなくって……」
「何?」
「何か壁みたいなものが遮って……ってあれ!?
貴方、どうして……」
 一人の女性の声に全員がギルガメッシュ(弓)を見る。明らかに大人たちが入れないはずの場所に立っている。
 ……そういえば入った時に何やら妙な感覚はあった。ほとんどはそれに気づいたらしいが、特に害もないから放っておこうとしていた。
「あ、あの、大変申し訳ないのですが……ここに入れるまでの間、うちの子の面倒を見ていただけませんでしょうか?」
「何?」
「あ、あのっ、うちの子も!」
「うちの子もお願いします!」
「待て、何故我がそのようなことを」
「あ、あの、ギルガメッシュさん」
 アーチャーの英霊、パリスに袖を引かれ、彼の指す方を見れば……何人もの子どもたちが今にも泣きそうな顔でこちらを見ていた。
 その内「うみ〜……」「あそびたいよぉ」と泣きそうな声が聞こえてくる。
「……ええい泣くでないわ!! この我にかかれば造作もないことよ!! 全員纏めて面倒を見てやろうではないかちびっ子たち!!
して貴様らはここの管理人に連絡し、早急に対策を取ってもらうが良い」
「あ、ありがとうございます!!」
「ありがとうおじちゃん!!」
「フハハハハハこの我に向かっておじちゃんとはなかなか肝が座っているな! 良いぞ!!」
 ギルガメッシュ(弓)はそう言って砂浜へ歩いていく。それに子どもたちも付いていき、保護者たちは急いで管理人に連絡を取っている。
 増えた子どもたちに改めて注意事項などを読み上げる。多少の改変はしているが、どうということもないだろう。
 しかし、先程はああ言ったが一人で大勢の子どもを面倒見るのは厳しいものがある。できなくはないが。
 ふと、あることが頭に過ぎる。そしてこれならば平気かという確信を持ってある人物へ連絡を入れた。その人物は快くOKの返事をくれて、後は子どもたちが危ない目に遭わないように見張りつつ読書でもしようと、少しばかり離れたビーチチェアに腰掛けようとした時。
「へへへ……まあ子どもだけってのが少し気に食わんがいいか。ここを見るも無残、いや見るだけで大泣きするような場所に変えてやろうじゃないか……ウィリディス様のために……!!」
「………………」
 少し離れたところでにやにやと砂浜にいる子どもたちを見ている不審な茶髪の、ボサボサ頭の男。なるほど、これが変質者か、いわゆるもしもしポリスメンか、と思い、もう一度スマートフォンを取り出して警察に連絡しようとする。
「ん? どぁあああ!? な、何故大人が入ってきている!? 入ってこれないように細工してあったはず!!」
「貴様こそなんだ。不審者か。つまり宝も同然の子どもを害そうとする輩であろう。とっととお縄に付いていろ」
「待て待て待て待て!! どうせ警察に突き出そうとしているんだろうがそうはいかないぞ!!
何故なら妨害電波が発生しているからな、無意味なんだよ!!」
「先ほど連絡取れたが」
「えっウッソマジか……。いやそれでもやめろ!! 俺は別にウィリディス様の発明品の威力をここのビーチで試そうなどしていないし、何の罪もないぞ!!」
「貴様めっちゃ口滑らせているぞ」
「しまった!! くっ……お前っ、何をした!?」
「いや貴様が勝手に口を滑らせただけだろうが。我に責任押し付けるでないわ。
……む? 警察に繋がらんな」
「ほら見ろ!! 無意味なんだよ!!」
「なら我直々に貴様を葬るとするか」
「え……何急に……? こわ……」
「解せん」
 不審者とコントのような言い合いを続けるギルガメッシュ(弓)はその間もちらちらと子どもたちを見ている。が、さすがにギルガメッシュ(弓)に任せきりなのはいけないと思ったらしい何名かは率先して自分より小さな子どもたちの面倒を見ていた。その中に蛍丸と愛染がいることは正直予想外だが、多少楽になるならば問題なんてなかった。
「ふん、何にせよここで俺を始末するのは危険だぞ? このビーチに仕掛けられた罠、それを解除するか全て乗り切るかしなければ、これから先もこのビーチは危険なままだ」
「……ほう? では、この我がその罠とやらを壊してやろう」
「ずいぶんと強気だな。ああ、早速一つ目だ。海を見てみろ」
 そう言われて海を見る。子どもたちがはしゃいでいて、微笑ましい限りだ。だが、『それ』に気付いたギルガメッシュ(弓)は目を見開いていた。
 海面に見える、いくつもの背びれ。あれは間違いなく、サメだろう。このビーチは子どもたちが沖に流されないように仕切りが付けられている。逆に沖から入ってこれるはずがないサメたちはどう見ても仕切りの中に入っていた。
「あれは仕切り内に移動させた人喰いザメ。あんなガキで腹が膨れるとは思わないが、大惨事だなぁ?」
「ほう」
「さあどうす」
 男が言いかけた時。金色の鎖が一気にサメを襲った。それにより大波が起きたが子どもたちはきゃー! と喜んでいた。
 なお、サメは沈んでしまったようだ。
「」
「たかがサメごときで我の目の前にいる子どもらを害そうなど片腹痛いな、害虫よ」
「害虫!?」
「いや、雑種と呼ぼうと思ったが冷静になってみると雑種にも及ばんなと。ならば何が最適解か。害虫であろう」
「何でそうなるんだよ!?」
「我がそう思ったからだ」
「自己中かよ!?」
 まああながち間違ってはない……気がする。なんせ一部からは『人類最古のジャイアニズム』と言われているのだから。
 男は早々に気づくべきだった。目の前のギルガメッシュ(弓)には到底敵わないと。しかし悲しきかな、男には目の前の彼よりも心酔する者がいた。その男の方がよほど優秀だ、彼の発明品に敵うはずがないと、信じて疑わなかったのである。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.261 )
日時: 2020/10/01 20:13
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: A7M9EupD)

「ふ、ふん! ならば次だ! 空を見ろ、あの空中に浮かぶドローンのような機械は特殊な電波を発し、それはじわじわと毒のように体を蝕む!!
子どもなんて一時間もしない内に体を蝕まれて海底に」
「だからどうした」
 まさしく瞬殺。瞬きする間にその機械は墜落させられた。攻撃に使った武器を早々に、そして余裕そうに宝物庫に回収している。
 あまりの速さに男の口から「ええ……」と落胆と困惑が混じった声が漏れたのは仕方のないことと言えよう。
「これではただゴミを増やすだけではないか。環境に良いものでも作っていろ。土に埋めると分解されて土に良い物とか」
「ぐうの音も出ない正論やめろ!! それに後で回収するから問題ないぞ!! くそっ!!」
「律儀か」
「俺が害したいのは子どもであって環境じゃないからな!!!!」
「害したいのは子どもという言葉がなければいい話だったな」
「ぐぬぅううう……!! つ、次こそは……!!」
 しかし。男の思惑とは裏腹にギルガメッシュ(弓)は次々と機械を破壊していく。その場から動かずに、だ。
 だいたい八割くらい破壊された頃か、男はやっと、しかし薄らと気が付いた。
 あれ? もしかしてこれ勝てないのでは? と。ほんのちょっぴり気付くのが遅かった。ただそれでも男は己が心酔し、崇拝する者の造った機械が負けるはずがない、とそれを認めなかった。
「ふ、はは、ははは」
「どうした、頭でもやられたか」
「ドストレートにそういうのやめろ!! 今度は無理だと思ってな」
「?」
 男はかちり、とボタンを押す。その瞬間、ビーチバレーをして遊んでいた子どもたちが跳ね上げたボールが一瞬だけブレたように見える。
「ははははは!! あれはボールのように見えるが実際は爆弾!! ほんの少しの衝撃で爆発を起こす代物だ!!
落としても触ってもドカン!! あのままではガキどもは死ぬなぁ!?
……って、あれ? いない」
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ええええええもう行ってるぅううううう!?」
 ギルガメッシュ(弓)は走った。とにかく走った。どうやらボールは遠くへ飛んで子どもたちは取りに行けないようなのが幸いだ。
 スライディングするように飛び込み、その足に爆弾が落ちる。
「戯けめぇええええええええ!!!!」
 そのまま砂浜に手をつき、爆弾を蹴り上げた。一気に上空へ上がった爆弾は大きな音を立てながら爆発する。
 子どもたちはその爆発をギルガメッシュ(弓)の魔術か何かだと思ったのかすごーい、と無邪気な歓声を上げていた。
 そして。男はドン引きしていた。
「ええええええ何あいつ何の躊躇いもなく蹴ったぁ……こわぁ……引く……」
 この男もわりとドン引きされるようなことしているのだが完全に自分のことは棚に上げている。
「って引いてる場合じゃなかった!! こ、これで後は一つじゃないか……いやそもそもあれは若干疲れてハイになってた時に造ってそんでもってもはやノリで設置した、『俺の』発明品だぞ……!?
だ、だが、あれはなかなか良い出来でもあった……。次から疲れてハイの時に発明でもしようと思うレベルに!!
……信じろ、俺!! 俺自身を!!」
 とても熱く、そして良い話のように振る舞っているがこの男の目的は子どもたちを害することである。騙されてはいけない。
 もう一つのボタンを押す。するとビーチやその周辺が大きく揺れ始めた。子どもたちは悲鳴を上げている。
 ザパァン、と大きな音を立てて海から何か出てきた。それは、巨大なロボット。しかし子どもたちが夢見るようなロボットではなく、黒を基調とした不気味なロボットであった。
「さすがにそいつを簡単には壊せんだろう!!
いけぇ!!」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.262 )
日時: 2020/10/01 20:18
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: A7M9EupD)




「全く面倒なものを作りおって!!」
「ギルガメッシュさん、手伝います!!」
「俺たちは子どもたちを避難させてくる!!」
 ギルガメッシュ(弓)と同じくアーチャーであるパリスやキャスターのナーサリーと言った遠距離攻撃が可能な面々はロボットと対峙し、それができない面々は他の子どもたちを避難させていく。
 早々に壊れるだろうと予測していたロボットは意外にもタフで、硬いらしい。今までの武器が跳ね返されていく。パリスたちの攻撃も同様で、唯一ナーサリーの攻撃だけが微々たるダメージを与えている。
「くっ……!!」
 後ろの方から男の高笑いが聞こえる。何とも憎たらしい。何ならいっそ間違えたフリして武器で貫いてやろうかとすら思う。
「おのれぇええ……!!」
「ギルー」

──ズドォオオオン!!

「は???」
「???????」
「お待たせ、ギル」
 盛大な音を立てて、ロボットを貫いてビーチに降り立ったのはエルキドゥ。ランサーのサーヴァントにして、ギルガメッシュが生前唯一無二の親友としていた『泥人形』である。
 しばらく呆然としていたギルガメッシュ(弓)であったが突然、ああ、と納得したように声を上げた。
「なるほど、『人よ、神を繋ぎ止めよう(エヌマ・エリシュ)』か」
「うん。キミはともかくとしても、他の、それも子どもは死んでしまうと思ったから」
「フハハハハハハ!! さすがの思い切りの良さ、それでこそこの我の親友よ!!」
「それで、僕も頼まれた通り子どもたちの面倒を見ればいいんだね?」
「ああ。……む? いや、今お前が来たことで結界が壊れたようだ。とは言え、あの子どもらの親がいつ気付くか分からん。共に面倒を見よ」
「うん、分かったよ」
 エルキドゥは同じくぽかんとしている子どもたちの前にしゃがみ込み、優しく微笑みながら「初めまして」と声をかける。その微笑みに子どもたちは頬を染めたりはじめまして! と元気に返したりしていた。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.263 )
日時: 2020/10/01 20:24
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: A7M9EupD)






 一方、男は。
「???????????」
 スペキャ顔、宇宙猫顔と言われるような表情をしていた。無理もないね。
「え……は……??? あんなのあり???
って、あ゛ー!! 結界装置もこわれてやがるぅうううううう!?
なっ、なんで!! これ負担かけねえように『子ども以外入れない』って設定だったのに!?
あ、あああ……ウィリディス様の発明品……か、顔向けできない……」
「ここにいたか、フェセク」
「ひょえぇえっ!?」
「あははは、変な声なのだ〜!」
 フェセク、と呼ばれた男は顔を青くしながら振り返る。そこにいたのは、クマ吉に謎の薬を渡したあの銀髪の男……ウィリディスと、見た目はどう見ても十代前半だと言うのに胸が大きい金髪の、メガネを少女だった。
「う、ウィリディス様……と、日菜子」
「むー、ひなのこと呼ぶ時だけテンション低いのだ〜」
「うっせ。お前なんかこのテンションで充分だ。ってそんなことよりも申し訳ありませんウィリディス様!! 貴方様の発明品を勝手に持ち出した挙句、壊され……!!」
「あー。やっぱり父様が造ったあの『失敗作』持ち出したのフェセクだったのだ〜!」
「そう、その失敗さ……え? 失敗作?」
「そうだ。あれは近々廃棄予定の失敗作だ」
「そ、それじゃあ俺……失敗作を試そうと……?」
 ウィリディスの代わりに日菜子と呼ばれた少女が頷く。フェセクは頬を引きつらせ、がっくりと肩を落とした。
「お、俺、何のために……」
「どんまいなのだ〜」
「うっせぇえええ!!」
「騒がしいなお前たちは……。しかし、ここを遮っていた結界……ふむ」
「あ、そ、そういえばあいつらなんで入ってこれて……」
「人外、あるいは半神半人だったからだな」
「え?」
「……人外などには反応しなかった。それだけの話だ」
「えええええ!? そ、そんな落とし穴かよぉ……」
「次からやるのであれば、人外にも反応するようにしておけば良い。結界自体は強力で使える」
「!! う、ウィリディス様っ……!!」
「だけど、フェセクー」
「なんだよ日菜子。俺は今、ウィリディス様のお言葉に感動してそれ以外の音は何にも耳に入れたくないんだが」
「もしあの金髪おにーさんがいなかったら子どもたちを遠くから見守ってたのだ?」
「……まあそうなるんじゃねえか?」
「だったらフェセク、変質者なのだー!」
「ガハァッ!?」
 がっくりと崩れ落ちるフェセク。どうやらやっと自分が怪しい(子どもたちにハァハァしている的な意味で)人物に見えていたのだと気付いたらしい。遅すぎる。
「へん、変し……おれ、俺が?? 変質者……???」
「わー、フェセク大ダメージなのだ!!」
「全く……戻るぞ、お前たち」
「はーい父様!!」
「変質、変……」
「フェセク、戻るのだー」
「うっるせぇえええええええ元々はお前が変なこと言うからだろ!!」
「きゃー! 怒ったのだー! 逃げるのだー!」
「待てっ! このっ、クソガキィイイイイイイ!!」
「……はぁ」
 日菜子は笑いながら、フェセクは怒りながら黒い空間へと入っていく。
 ウィリディスはため息を吐き、ゆっくりとそこへ入っていった。

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