二次創作小説(新・総合)
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.317 )
- 日時: 2020/12/10 17:39
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: OiQJLdzt)
出会いは夢の中にて(第一印象は考えないものとする)
キーラ側に属する女……ケイラはかつての恋人に酷い裏切りを受けた。影で浮気されているならまだ可愛い方。それを問い詰めたら開き直り、その上で彼女は男に売られ、何度も乱暴をされた。恋人は嗤いながら元々このつもりで近付いたのだと。
ケイラは幼い頃から男にはいやらしい目で見られ、女には嫉妬の目で見られ、母も義父たちも助けてはくれなかった。そんな中で唯一信じ、好いた男だったから悲しみ、苦しみ、憎んだ。それを助けてくれたのが、ミラベルだった。
彼女はミラベルが信仰するキーラの力を授かり、その男たちに復讐を果たし、キーラを信仰する組織、通常『光の教会』に入った。
今でも男は怖くて、ガッド、エディー以外とはミラベル、郁江、シルヴィーがいなければまともに話せない。ただ、それは『現実』での話である。
彼女はキーラの力により、夢を自由に操作することができるようになった。その結果、男たちから生気を夢越しに奪うことも可能になったのだ。それを使い、キーラに渡すための力を下衆な男共から奪っていた。夢なら汚されても関係ないから怖くない。そもそも無理やりそうできないように細工してある。
代わりに『イイ夢』を見せてやっているのだから構わないはずだ。ギリギリとはいえ生きられる程度に抑えているのだし。まあその『イイコト』に至るまではケイラはケイラで楽しむのだが。
今夜も下衆な男共を夢に集める。たまに善良な男も混じるのだが善良な男たちは何もしない。巻き込まれた人間に手を出すほど困ってもいないし。
「ふふ、こんばんは♡」
甘ったるい声を出せば殆どの男が鼻の下を伸ばす。いつもならもっさりして痛んだ髪はサラサラでキューティクルな髪になっているし、目も多少は見えるようにしてある。欲に溺れるようなやつらならこの程度でころりと堕とせる。
「今日は私、ケイラの夢に来てくれてありがとう♡歓迎するわ。
今から、私とイイコトしましょう?」
「ま、待って」
戸惑った声に振り向けばそこには黒い髪に青い瞳を持った青年が一人。その隣にはオレンジの髪をした派手な青年がいる。オレンジ髪の青年はケイラの話に乗ろうとしているようだが、黒髪の青年は違うようだ。
「(ああ、巻き込まれたのね。じゃあこの子は弾いとくかなー)
なぁに?」
「そ、その、イイコトって」
「ふふふ、イイコトはイイコトよ? あ、そうだわ。何なら何でも言うこと聞いてあげちゃう」
そう言えば黒髪の青年以外がおぉぉ、と歓声をあげた。たまに使うのだが、これもわりと効果抜群なのだ。
今日もばっちり搾り取らせてもらう、と口元が歪んだ時だった。
「何でもとは本当かな、素敵なメカクレお嬢さん!!!!!!!!」
「何でもだな!? 本当に何でもいいんだな!? つまり姉上に関することでもいいんだな!?」
突然、黒髪の青年の後ろから褐色肌の美青年とロングヘアの美少女にも見紛いそうな美少年が現れる。
思わぬ出来事に全員が固まる。
「……え、誰???」
ケイラも思わずそう言ったが、無理もない話だ。だって、本当に何もないはずの後ろから出てきたんだから。
夏の旅行最終日前日、立香が目を覚ましたら複数の男たちと隣のダリル、そしてそんな男たちを誘惑しようとしている女を見た。一瞬混乱したが流石にここまで異様な雰囲気であれば分かる。これは夢だ。
女──ケイラの発言に思わず口を挟む。イイコト、というのはつまりそういうことだろう。その上何でも言うことを聞くと何でもなさそうに言う彼女に胸が痛んだ。何故かは分からないけれど、悲しかったのだ。
それはダメだ、そう言おうとした時だった。
「何でもとは本当かな、素敵なメカクレお嬢さん!!!!!!!!」
「何でもだな!? 本当に何でもいいんだな!? つまり姉上に関することでもいいんだな!?」
真後ろからめちゃくちゃ聞き覚えのある声がした。見れば予想通り、褐色肌の肌の美青年、バーソロミューと美少女にも見紛う美少年、織田信勝がいる。
誰もが固まる中、やっと口を開いたのはケイラだった。
「……え、誰???」
ほら混乱してるー。そう言いたかった。
「ああ失礼、私はバーソロミュー・ロバーツ。海賊さ。ただの、そう、メカクレが好きな、ね」
ね、じゃない。ウィンクするな。
「……僕は織田信勝。かの織田信長の!! 弟だ。あの!! 偉大な!! 姉上の!! 不出来な弟だ」
姉上の時だけテンション爆上がりしてる。周りも引いてる。
「……あ、ああ。そう。ま、まあいいわ!
そうよ、何でも言うことを聞いてあげる、でも、みんなの言うことを聞いていたら私が持たないから……」
ケイラがそこで言葉を切ると突然ケイラの周りだけが迫り上がる。彼女はいつの間にか現れた豪華な椅子に腰掛けた。
「みんなにもちょっとしたゲームをしてもらいたいの」
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.318 )
- 日時: 2020/12/10 17:46
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: OiQJLdzt)
「ゲーム?」
「そう。ゲーム。とっても簡単よ、そうねぇ、四人まで! 四人まで減らしてくれる? ゲームは、バトルロワイヤルなんてどう?」
「バトルロワイヤル!?」
「ってことは武器なり何なりで倒していきゃいいんだな?」
ダリルの質問にケイラは上機嫌に頷いた。その瞬間に男たちはお互いに敵意を向けた。その中でも無害だと思われたのか、立香に多くの敵意が向けられている。
バーソロミューと信勝はそれを気にかけていない、どころか気付いていない。むしろ自分の獲物に集中していた。唯一気付いたダリルが自分の武器である斧を構えてさりげなく後ろに庇ってくれている。
「だ、ダリルさん」
「はっ、ついでだからよ、後ろに隠れてろ。男を守るよりボインなねーちゃんの方がいいけどな」
「ふふっ、もうみんな獲物見つけちゃったの? 早いなぁ♡
じゃあ合図するよぉ、さーん、にぃー、いーち、すたーt」
「メカクレェエエエエっ!!」
「アネウエェエエエエっ!!」
「ぎゃぁあああああああ!?」
「うぎょあ!?」
「は?????」
ほぼ同時。立香に襲い掛かろうとしていた男たちもダリルも呆然とするしかない。
バーソロミューと信勝のスタートダッシュによって。それぞれ一発で男を沈め、ゆらりと立ち上がる。
「「次ィイイイイイイイイイ!!!!!」」
「メカクレっ!! メカクレっ!!」
「アネウエっ!! アネウエっ!!」
「メカクレ!!!!」
「アネウエ!!!!」
「メカクレ!!!!」
「アネウエ!!!!」
「メカクレェエエエエエエ!!!!!」
「アネウエェエエエエエエ!!!!!」
「ぎぃやぁあああああああああ!!」
「あびょぉんんんんん!!」
次々と男たちを倒していく。まだバーソロミューは分かる。しかし信勝までもがその拳と蹴りで男たちを倒していくのは立香には予想外だった。
もう、立香もダリルも戦う必要すらないくらいに二人は男たちを瞬殺していく。
ダリルなんてもはや現実逃避か「メカクレとアネウエってなんか似てねえか」と問いかけてくるほどだ。正直ちょっと思ったので頷いて返しておいた。
「え、えーと……ちょっといい?」
「あ、はい」
「ん、なんだねーちゃん?」
いつ降りてきたのか、ケイラがこそこそと話しかけてきた。彼女はチラチラとバーソロミューと信勝を見ている。
「この勢いだと二人とも生き残りそうだし、先に何して欲しいか聞いておこうと思って……」
「ああ、うん、確かに……」
「何気にこっち来ねえしな。っつってもあいつら見てたら色々そういう気も失せたから俺は遠慮しとくわ」
「うん、俺もいいかな」
そういえば立香はともかくダリルの答えには予想外だったのか少し目を丸くしていた。が、すぐにまた口を開く。
「そ、そっか。……あの人たちやばくない?」
「「それは思った」」
「メ カ ク レ ! ! ! !」
「ア ネ ウ エ ! ! ! !」
フィニッシュだと言わんばかりに打ち上げられた二人の男に、三人で思わず合掌していた。
なお、ぶっ飛ばした二人はめちゃくちゃいい顔をしていたと言う。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.319 )
- 日時: 2020/12/10 17:52
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: OiQJLdzt)
「さあっ! メカクレお嬢さん!!」
「約束を守ってもらうぞ!!」
「あ、ああ、うん。ふ、二人は何がいいの?
そこのキミはお姉さんに関することだっけ?」
「ああ」
「ふぅん、じゃあ……お姉さんとの『イイコト』かな?」
ケイラは挑発的に微笑む。しかし。
「は?????」
「ひっ!?」
急に真顔+ハイライト無しの目+低音ボイス+頬に青筋が浮かんだ信勝にケイラは悲鳴をあげた。ぶっちゃけこっちも少し怖かった。
「姉上とそんなこと望むわけないだろ頭沸いてるのかお前」
「ひ、ひどっ!? え、じゃあ何を望んでるの……?」
「幼い頃の姉上と僕を出せ」
「は? え? お、お姉さんだけならまだしも、キミも?」
「ああ。さっさとしろよ」
「わ、分かったから!! そのハイライトの無い目で近付かないで怖い!!」
ケイラが念じると信勝の前に小さな黒髪赤目の姉弟が現れる。二人は首を傾げてキョロキョロと見渡し、弟の方は周りに見たこともない人間がいると分かると姉にひしっと抱きついた。
うるうるとした目で姉を見ている。本当にこれなら可愛いのに。
「なんじゃ信勝、こわいのか?」
「あ、あねうえ……」
「しっかりせんか、わしがおる! ところでそこの信勝に似た男よ、なんで泣いておる?」
「うぐっ、ううううっ……あ゛ね゛ゔえ゛」
「あ、あねうえはぼくのあねうえですっ」
「わがっ、わがっでる、ぐずっ」
「なんじゃなんじゃ、信勝に似て泣き虫な男よのぅ! ちょうど良い、二人で暇しておったのじゃ、わしらの遊び相手をせい!」
「はい゛!!」
信勝は幼い信長と幼い信勝と離れていく。終始だばだば涙を流す信勝になんとも言えない空気が流れた。
「さて次は私だ!!!!」
空気読まねえ。死ぬほどいい笑顔でケイラを見る。
「あ、あなたは何を?」
「そうだね……お嬢さん、キミの姿を記録に残させて欲しい」
「……ふぅん? 撮りながらシたいってこと?
意外とイイ趣味持ってるんだね♡」
バーソロミューの言葉にまた挑発的な笑みを浮かべる。しかし。
「あっそういうのいいんだ」
「はい???」
「もっときっちり言うべきだったね、失礼。
キミの姿をチェキで撮らせてほしい!! そこにピンクはいらない、メカクレがあればいい!!」
「えええ……? いや、いいけど……」
「では早速!! そうだねまずは」
と、バーソロミューはケイラに細かいポーズの指示をしていく。どうやら服装も自由になると気付いたのか服装まで指定して。さらに背景も弄れると聞いて背景まで指定し始めた。とても生き生きしている。
「いいよ! とてもいい!!」
「ナイスアングル!!」
「ナイスメカクレ!!」
「素晴らしい!! 『見えそうで見えない』メカクレをここまで実現してもらえるとは!!」
「ところで風は起こせるだろうか!? 起こせる!? ではほんの少し風を!! それで、ああそう!! ナイス!! いいよ!!」
「無理、尊い!!!!!」
「最&高だ!!!!」
ものすごいシャッター音。テンション爆上がりすぎる。ちょっと語彙力もなくなっているし。ふとケイラを見れば彼女もどこか嬉しそうな、楽しそうな顔をしている。
もしかするといつも体に関しての望みで、こんな望みは初めてなのかもしれない。
思わず立香も頬が緩む。
「んな楽しいか?」
「はい、見てたらこっちまで楽しくて、嬉しくなって」
「ま、分からなくもねえかな」
そう言ってダリルはさっさと目覚めねえかな、なんてぼやいた。そんな彼に笑っていた時。
「きゃあっ!?」
「え?」
突然の悲鳴。バーソロミューが何か、と思いかけるが流石にそれはないだろう。ならばと見れば倒れていたはずの一人の男がケイラに抱きついてその体に手を這わせていた。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.320 )
- 日時: 2020/12/10 17:58
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: OiQJLdzt)
どうして。混乱しきった頭では考えは纏まらない。体を這ういやらしい手にケイラは怯えていた。こんなことできないように細工してあったはずなのに。
男たちに乱暴された記憶が蘇る。ダメだ、これでは現実に影響が出る。そう分かっていても恐怖はケイラを支配して離さない。
男の息がかかる。ひ、とまともな悲鳴にもならない。手が下半身へ向かった瞬間。
「イエスメカクレ」
バーソロミューの手が、男の頭を掴む。ギチ、と音が鳴っていた。あまりに痛かったのか
男はケイラから手を離した。
「ノータッチ!!!!!!!」
そのまま膝を腹に入れれば男は呻きながら倒れた。痙攣しているがバーソロミューはそんなの知ったことではないと腹を踏みつける。
「怯える女性に手を出すな。そもそも、彼女は今私の宝だ」
「え」
「彼女が欲しいなら、このバーソロミューから奪ってみせろ。ま、お前に負ける気はしないけれど」
そう言ってトドメに蹴り転がす。ケイラに振り返ったバーソロミューの顔は実に爽やかだ。
「さあお嬢さん!! 撮影会の続きといこう!!」
「っあ、だ、ダメ、もう、時間だから」
「ん? なんだ、体が歪んで……?」
「わ、私が、目を覚ます時間だから」
「そうだったのか……では名残惜しいけれど、ここまでだね」
バーソロミューはにこ、とケイラに微笑みかける。顔が、熱い。いや、そんなバカな。もう男なんて懲り懲りなのに。
全てが消えていく。薄れていく。
「もし叶うならば、今度は現実でお会いしたい。そして、現実で貴女を見てみたい」
「っ、それは」
「無論、これは私のただの願いだ。あ、ただ一つだけ。このチェキ、全て持って帰っていいだろうか!?」
「っか、勝手にすればぁあああああ!?」
「ありがとう!!!! 素敵なメカクレお嬢さん!!!!!!」
バーソロミューのその一言を最後に、ケイラの夢は覚めた。
「あっ、ケイラ大丈夫?」
「シルヴィー……」
「最後、すごく魘されてたから……顔も真っ赤だし、熱計る?」
「え?」
「? どうしたの?」
「あ、い、いや、だ、大丈夫大丈夫、えへへへへ」
「そう? 無理はダメだよ? 姉様たちが心配しちゃう」
「う、うん、えへへ、あ、ありがと、えへ」
シルヴィーが出て行く。そして、しばらくして……顔を抑えた。
「が、顔面偏差値恐るべし……」
思わずそう呟いていた。とりあえず、しばらくの間は髪の手入れは怠らないようにしよう、なんて考えていた。
「べ、別に、あいつのためじゃない、し……うん、そう……違う、し……」
誰に対しての言い訳か分からないことを呟いて、彼女は身支度を整え始めた。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.321 )
- 日時: 2020/12/10 18:03
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: OiQJLdzt)
バーソロミューは上機嫌だった。サーヴァントは基本的に夢を見ることはない。だが一部特例と言えるようなことがある。それが今回だったのかもしれない。
枕元にあった写真。それはあの夢の中で撮った写真だった。我ながらいいアングル、そしていいメカクレ具合で撮れたと思う。
「そういえば、彼女の名前を聞いていなかったな」
あまりにいいメカクレだったものだから、名前を聞くということ自体頭からすっかり飛んでいた。多分名乗りはしたはずだが。
とは言え、あんなにいいメカクレだ。現実ですれ違っても見間違えない自信がある。夢の中ではキューティクルな髪だったがあのタイプのメカクレは現実だと傷んだ髪でもっさり気味かもしれないがそれでも見間違うことはないだろう。(この男、何気に当てている)
というか、それはそれでいいメカクレ。
「ああ、また会いたい……」
そうぼやきながらバーソロミューは泊まっていた部屋を出る。すると、目の前には。
「う」
「あ、おはようございます、バーソロミュー殿」
フラン(狂)と、風魔小太郎。
夢に続き、朝からいいメカクレ。なんて幸福な一日だろう。
「おはよう!!!!!!!」
つい、声がデカくなったのは仕方ないことだ。
忘れてはいけない、この男、ただの重度のメカクレ好きである。確かにいいメカクレだったとしても、目の前のメカクレに反応しないわけなかったのだ。
そろそろあいつ、後ろから刺されると思いますぞ、とは腐れ縁のロリコン海賊談である。
こうして、一部は大波乱の夏の旅行がようやく、本当にようやく終わったのであった。作者としても「やっと終わった」と床に突っ伏したい気分である。
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