二次創作小説(新・総合)

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.340 )
日時: 2021/03/22 17:37
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: UK8YjfXC)

※新ジャンル歓迎会恒例、セリフの前に名前が付きます。
※今回は裸族設定のキャラは『裸族』としては出ませんが通常バージョンでの登場となります。出ないキャラもいますが。
※タイトルに関してはツッコまないで…遅いのは自覚してますので…←

新年は新ジャンルと共に!
 空中宴会場。畳が敷かれている一室にて。
柊「えー、昨年もいろいろありましたが、本年も頑張って、そして楽しく参りましょう!
さあさあ、新ジャンル歓迎会と新年会、盛り上がっていこーう!!」
全員「いえーい!!」
 全員が手に持ったコップや猪口を掲げる。
 柊の側には白形と黒形、後ろには新ジャンルのメンバーがいた。
柊「では早速新ジャンルの発表だ! 今回に関しては前々から出てる面々だから知ってる気はするけど!←
あ、今回もそれぞれの代表から挨拶をもらったら好きにどんちゃん騒ぐことを許可するっ!!
まずは、『ラブライブ!』からμ'sの高坂穂乃果、南ことり、園田海未、小泉花陽、星空凛、西木野真姫、綾瀬絵里、東條希、矢澤にこ!
ちなみに推しは全員好きだけど凛ちゃんが一番かな!」
凛「ほんと!? 嬉しいにゃぁ!」
柊「アッカワイイ(瀕死) だ、代表は穂乃果ちゃんよろしく!」
穂乃果「はいっ! 高坂穂乃果です! 異世界の人たちとの交流は初めてなので緊張していますが、よろしくお願いしますっ!」
柊「(多分ほとんどの人がそうだと思う)はい、ありがとうございました〜!
次は! 『ひぐらしのなく頃に』から前原圭一、園崎魅音、園崎詩音、竜宮レナ、北条沙都子、北条悟史、古手梨花、古手羽入!
代表は圭一くん、よろしく!」
圭一「おうっ! 前原圭一です、よろしくお願いします! 今日の新年会兼歓迎会も、これからも楽しんでいきたいと思ってます!」
柊「はいありがとうー!! さあさあさくさく行くぜなんでこんなさくさく行くんだろうねマジで分からないの!!
次は、『プロジェクトセカイ』から星乃一歌、天馬咲希、日野森志歩、望月穂波、花里みのり、桐谷遥、日野森雫、桃井愛莉、白石杏、小豆沢こはね、東雲彰人、青柳冬弥、天馬司、神代類、鳳えむ、草薙寧々ー! え? ニーゴメンバー? 断られましたね!!(血涙)」
陸奥守「え?」
柊「(冷静に考えればまふゆ以外はほら、外に出ない、夜間定時制の生徒、不登校じゃん??? ぶっちゃけまふゆもまふゆで親がアレじゃん??? いきなり異世界がどうのこうの言っても多分NGくらうじゃん???
正直断られるのは目に見えてましたよねつらい)」
陸奥守「(おんし……脳内に直接……!?)」
柊「(ここでだけ紹介しとく。宵崎奏、朝比奈まふゆ、暁山瑞希、東雲絵名ー!!)」
陸奥守「(なんか虚しいのぉ)」
長谷部「(二人だけで完結するな)」
柊、陸奥守「(こいつ……脳内に直接……!?)」
 そんな茶番はさておいて。
柊「代表者はー」
司「当然!! この未来のスター、天馬司が」
柊「ほい、一歌ちゃん」
一歌「えっ」
司「んなぁっ!? ……し、仕方ない、ここは妹の友人に、花を持たせてやろう!!」
冬弥「(さすが、司先輩だ)」
 何故かこくこくと頷く冬弥には誰も気付かず。一歌が緊張しながら前に出る。
一歌「星乃一歌です、以前はお世話になりました。これから交流を深めていければ、嬉しいです。どうか、よろしくお願いします」
柊「はい、ありがとうございましたー!!
さあめちゃくちゃサクサク終わった後はどんちゃん騒ぎだ、騒げ、好きに騒げぃ!!」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.341 )
日時: 2021/03/22 17:42
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: UK8YjfXC)

花陽「あっ」
桑名「やぁ、小泉さん」
 ひらひらと手を振る桑名に花陽はぺこりと頭を下げて挨拶した。お久しぶりだね、と言いながら彼が歩み寄ってくる。
花陽「は、はい、お久しぶりです。また会えて嬉しいです」
桑名「うん、僕も。ところで、それ美味しい?」
 桑名が指したのは食べていたサラダだ。ドレッシングもそうだが、野菜そのものが美味しいと感じられる一品と思っていたところだった。
 急にそんな話を振られ、首を傾げながらもはい、と答えれば彼は顔を明るくした。
桑名「良かった、それ、僕が作ったんだよ」
花陽「え? サラダを、ですか?」
桑名「ううん、野菜」
花陽「えええ!? す、すごい……こんなに美味しいお野菜を作れるなんて!!」
桑名「ありがとう。ぱらでぃーすの時もそうだったけど、小泉さんは本当に美味しそうに食べるねぇ」
花陽「あうっ、は、恥ずかしいです……」
桑名「? なんで?」
花陽「だ、だって」
桑名「僕、あの時の顔を見て『あんな風に食べてもらえたら作り手冥利に尽きるなぁ』って思ってたんだよぉ」
花陽「えっ」
桑名「だから、その顔が見られて嬉しいな」
 目が隠れているにも関わらずはっきりと喜んでいると分かる。それについ目を奪われた。
 最後に別れた時からそうだ。何故か彼の表情に目を奪われてしまう。その上何だか心臓がドキドキして。
 それが何なのか、花陽は気付いていた。けれど、『スクールアイドル』として、それに気付いてはいけないとも考えていたのだ。こちらではアイドルであるボーカロイドたちも自由に恋愛をしているようだが、まだ花陽にはその勇気は出なかった。









 沙都子は固まっていた。何故なら。
日本号「おーい、追加の酒持ってきてくれー! あとこの嬢ちゃんのジュースもな」
長谷部「貴様……北条沙都子を膝に乗せているからと俺を小間使いのように使うな!!」
 そう、何故かたまたま近くを通りかかったら手招きされ、警戒しながら近付いたところ、あれやこれやといつの間にか日本号の膝に乗せられていたのである。兄の悟史もいつの間にか日本号の隣でやたらと世話を焼かれていた。
那智(艦これ)「日本号がすまないな、大丈夫か」
悟史「い、いえ」
沙都子「…………」
 那智(艦これ)の気遣う言葉に返事すらできない。今の沙都子にとって、この状況は恐怖が大きかった。
 沙都子は、ある日をきっかけに叔父と叔母に引き取られた。しかし、叔父と叔母は沙都子と悟史を虐待し、今でもその恐怖は消えていない。叔母は何者かに殺害されたが、叔父は今のところどこで何をしているかも分からない。
 今、自分はその叔父よりも大きく、逞しい男の膝の上。いざとなればいつだって『沙都子に暴力を振るえる』状態なのだ。しかも酒を大量に飲んでいる。もしこれで機嫌を損ねたら。
宗三「飲み過ぎですよ日本号。沙都子も怯えているじゃないですか全く」
 ひょいと。軽々と持ち上げられ、今度はアンニュイな美人、宗三の膝の上にいた。
日本号「おいおい怯えてるたぁ心外じゃねえか」
宗三「事実なので。そもそも貴方のような、それも酒をがぶがぶ飲む大男に抱えられて怯えない子がいますか。すみませんね」
沙都子「いっ、いえ……大丈夫ですわ」
江雪「……日本号さん……幼気な子どもたちを怯えさせるのは……感心できません……」
日本号「そんなつもりはねえって!!」
 江雪、宗三と何やら口論を始める。混乱しているとひょこりと小夜、太閤左文字が近づいてきて小声で話し始めた。
小夜「大丈夫だよ、どっちも本気でそう思っていないから」
太閤「それと、日本号っちは沙都子っちを殴ったりしないよ〜」
沙都子「え、ええと……」
小夜「僕は小夜左文字。こちらは、太閤左文字」
太閤「よろぴくぅ〜!」
沙都子「よ、よろしくお願いしますわ。それで、さっきのは」
小夜「ちょっとしたじゃれあいだよ。……主から、あなたたちの過去を聞いたんだ」
沙都子「!」
太閤「それ聞いたらさ〜、日本号っちってば甘やかしてやらないとな〜なんて言ってたんだよ。だから今のは甘やかしの一つってわけ!
まあいきなりだし何も言ってないから怯えさせてたけどね〜」
沙都子「……そう、だったんですの?」
小夜「うん。それに、僕としてもあまり放って置けないと思うから」
太閤「それは儂も思う〜。ってことで! 少なくとも日本号っちと小夜っち、儂は沙都子っちと悟史っちを全力で甘やかしちゃうから覚悟しておいてほしいな!」
悟史「え、あ、あれ、僕も?」
 いつの間にかこちらに座らされていた悟史が思わず、と言った風に口に出した。
 二振りはそんな悟史に頷くだけだ。
宗三「僕も甘やかしますからね」
江雪「……私も、そうします」
日本号「おいおい俺だって甘やかしてたんだぞ」
那智(艦これ)「日本号、場合によってはあれは犯罪の絵面だったぞ」
日本号「那智まで言うか!?」
 そんなやりとりに悟史と沙都子は顔を見合わせ、そしてくすりと笑った。……雛見沢での生活は苦しくはない。だけどまだどこか大人たちはよそよそしく、中には少し刺々しい態度を取る大人もいる。
 それに時々、沙都子は叔父と叔母のことを夢で見ては深夜に悲鳴をあげて起きることがあった。今二人と共に暮らしている梨花、羽入が起きて慰めてくれるが未だにあの過去から完全には立ち直れていない。
 けれど。仲間たちに加えて彼らもいてくれるなら、もしかしたら。そんな未来に、二人は少しだけ心を弾ませた。


宗三(にょた)「待ちなさい、僕たちも甘やかす側にしてください」
江雪(にょた)「……日頃甘やかされている分、甘やかしましょう……」
江雪「……貴方たちも甘やかされてください……」
宗三「そうですよ、僕たち貴方たちに対しても甘やかし足りないんですから」
宗三(にょた)「解せません」
宗三「解してください」







穂波「あの、準備を手伝ってもらってありがとうございます」
岩融「がはははは! 気にするな!」
ウィリアム(第五)「演奏、楽しみにしてるぜ!」
 岩融、ウィリアム(第五)に準備を手伝ってもらっていた一歌たち【Leo/need】は二人に頭を下げ、一応楽器の確認などを始める。この歓迎会は新年会も兼ねているため、何人かは芸などの出し物をする。一歌たちはバンドをしているということで一曲披露することになったのだ。
志歩「うん、全部問題ないね」
咲希「楽しみだけど、緊張してきちゃった……!」
一歌「ふふ、そうだね。……何か飲み物でも貰ってこようか」
穂波「一歌ちゃん、わたしも行くよ」
一歌「ありがとう穂波」
 二人がその場を離れていく。そして一つ曲がり角を曲がった時だった。
 ドン、と誰かにぶつかる。後ろに転びそうになった時、その誰かに支えられた。
??「失礼、お怪我は?」
一歌「あっ、だ、大丈夫です。ありがとうございます」
 見上げると、青く長い髪に深く青い瞳の美青年が。だが人間ではないようで、彼の頭には二本、角が生えている。目尻は青く、アイシャドウをしているのだろうか。
 元々この世界には人外の者もいると聞いていたもののやはりまだ慣れずに思わず角を凝視してしまう。
 が、彼も一歌を凝視している。青い瞳が一歌を写している。
一歌「あ、あの?」
??「っ! し、失礼。お怪我がないようで何よりです」
一歌「本当にごめんなさい、前を見ていなくて……」
??「いえ、こちらこそ不注意でした……あの、お、お名前をお聞きしても?」
一歌「あっ、星乃一歌と言います」
??「イチカ……。っあ、そ、そちらのお嬢さんもお名前をお伺いしても?」
穂波「望月穂波です、よろしくお願いします。あの、貴方は……?」
??「失礼しました。私の名は水蓮。一応龍と人間のハーフです」
穂波、一歌「りゅ、龍!?」
 水蓮と名乗った青年ははい、と頷く。確かに人外とは分かっていたが、まさか龍とは思わなかった。
 思わず穂波と凝視してしまう。
水蓮「柊から異世界よりまた新たな客人が来ると言うことは聞き及んでおりますが、龍が珍しい世界なのですね」
穂波「め、珍しい、というより、いない、ですね……物語の中にしか」
水蓮「なるほど。ならばその反応も無理はありませんね。……っと、私は柊に挨拶に来たのでした。お二人も何か用事があったのでしょう、引き止めて申し訳ありません」
一歌「いいえ、大丈夫ですよ。そうだ、もし時間があったらこの後、私たち一曲歌うことになっているんです。良かったら聞いていってください」
水蓮「よ、よろしいのですか? ……では、お言葉に甘えて」
 一言二言言葉を交わし、一歌たちは水蓮と別れる。この世界は本当に不思議だね、なんて言葉を交わしながら。





水蓮「……イチカ、イチカ。……なんて……






なんて、可憐な──」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.342 )
日時: 2021/03/22 17:48
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: UK8YjfXC)

鯰尾「はいどーも、司会進行の鯰尾です!」
骨喰「同じく、骨喰藤四郎だ」
鯰尾「今からいろんな出し物をしていくから、みんな楽しめよー!?」
 鯰尾が言えば殆どがいえーい! と返してくる。
鯰尾「では一番手! えーと」
骨喰「チーム……『黒猫にょろにょろ』。黒猫のパンケーキ作りだそうだ」
鯰尾「じゃ、チーム黒猫にょろにょろどうぞー!」
 ステージに出てきたのはアビゲイル、バニヤン、ナーサリー・ライム、ジャック・ザ・リッパー(FGO)、菜々子に心、いたる、そして、『人間になりたい虎』の衣装を着たイライと煌びやかな『チェシャ猫』の衣装を着たナワーブだ。イライとナワーブ以外は猫耳カチューシャを付けており、全員お揃いのエプロンを着けている。
 前半の子どもたちはまだしも、後半の二人についざわついた。ついでに猫耳カチューシャのロリたちに興奮した黒髭、アークロイヤル(アズレン)は薙刀メンバーと大包平、長門(艦これ)に抑えられていた。まるで突然興奮する患者のようである。
アビゲイル「皆さん、頑張りましょう!」
バニヤン「うん!」
ナーサリー「菜々子、いたる、心、何かあったら言ってね?」
ジャック(FGO)「火を使う時は私たちに任せてね!」
菜々子「うん!」
いたる「はーい!」
心「むー、私は平気なのにぃ……」
ナワーブ「準備してたら突然連れてこられた」
イライ「まあまあ、さすがに子どもたちだけで火を使うのは、ね? ……ところで、私のこの衣装は虎なのだけど……」
ナワーブ「中身も相まってほとんど無害な猫のようなもんだろ」
イライ「ええ……」
ナワーブ「それに一部じゃ猫って言われてんぞ」
イライ「えっ誰に……???」
 密かにショックを受けているイライを後目にアビゲイルたちはせっせと準備をしていた。
 パンケーキの素と、必要な材料を混ぜていく。混ぜ終わったらあらかじめ温めておいたホットプレートに生地を流していく。じゅわぁ、という音とふんわりと優しい甘い匂いが漂う。
 微笑ましい。微笑ましいのだが、いまいち盛り上がりに欠ける。何枚か焼ける頃には何人かはそう思い始めていた。
 そして、全員が粉ふるいを持ち、パンケーキに何かシートを乗せてからココアパウダーをふるう。
アビゲイル「黒猫とパンケーキ作る♪」
ナーサリー、ジャック「みゃん♪」
 全員がざわついた。あまりの可愛さに。
アビゲイル「パンケーキに黒猫乗せる♪」
心、バニヤン「みゃん♪」
アビゲイル「黒猫のパンケーキっ、できあがりっ♪」
 そう歌ったアビゲイルたちが持って見せたのは、ココアパウダーが猫の形になったパンケーキだった。
菜々子「黒猫パンケーキ♪」
いたる「みゃん♪みゃん♪」
 ほとんどは沸いた。可愛さに。何人かはヤムチャしていたり、心臓を押さえてぶっ倒れた。

イライ「あのナワーブさん、すごい、すごくココアパウダーが砂塵みたいになってる、力を抜いて、力を、けほっ!!」
ナワーブ「……」(ボスボスボスボスボスボスボスボスボスボス……)
 ナワーブは無心でココアパウダーをふるっていた。

心「わー! ナワーブさん止まってー!」
アビゲイル「こ、困ったわ、これでは黒猫のパンケーキじゃ……」
エミヤ「おっと、偶然にも作っていたチョコレートがあるので差し上げよう」
ジャック(FGO)「ありがとー!」
バニヤン「でもいつの間にいたのかなぁ……?」
ナーサリー「早速このチョコレートを使って……できたわ!」
菜々子「黒猫さんのパンケーキ、二つ目!」
いたる「ふたちゅー!」
 偶然()にも三角形のチョコレート二つと細く短めのチョコレートを六つ持ってきていたエミヤからそれらを受け取る。耳とヒゲに見立てればまん丸顔の黒猫パンケーキの完成だ。
 可愛らしいその出し物に全員が温かな拍手を送る。何人かは後ろの方でブラボー!! ボーテ!! とか叫んでいた。なお作者はツイステほぼ未履修である。
アビゲイル「では、こちらのパンケーキを……マスター立香さん、召し上がって!」
ジャック(FGO)「じゃあ私たちの黒猫パンケーキは、六花おかあさん、食べて!」
ナーサリー「前田君おうじさま、私の黒猫パンケーキを食べてほしいわ!」
バニヤン「えーと、えーと……あっ! えむさんー! 一緒に食べよー!」
心「お姉ちゃん、浦島さん、三人で分けよ!」
いたる「おにーちゃ! おにーちゃ!」
菜々子「お兄ちゃん、お父さん、食べて!」
イライ「ふふ、みんなそれぞれ好きな人に食べて欲しいんだね。私たちはどうしようか、ナワーブさ」
ナワーブ「ん?」(もぐもぐもぐ)
イライ「あっ自分で食べるんだね……?」
 すでに口いっぱいにパンケーキを頬張っていたナワーブに苦笑いしながら、イライは近くで目を輝かせていたパリスにそのパンケーキをあげていた。余談だが後日、アビゲイルたちに黒猫のパンケーキを共に作ろう、というお誘いがしばらく絶えなかったという。
 そしてささっと片付け、準備を終えたステージの上には鯰尾、骨喰の他にはLeo/Needのメンバーたちがいた。
鯰尾「お次は! Leo/Needのメンバーによるバンドだよ!!」
骨喰「曲名は『アスノヨゾラ哨戒班』。それでは、どうぞ」
 演奏が始まる。一歌がすぅと一つ息を吸った。

♪アスノヨゾラ哨戒班

『気分次第です 僕は敵を選んで戦う少年』
 一歌の歌声とLeo/Needの演奏がその部屋に響き渡る。息がぴったりな演奏も、一歌の歌声も気分を盛り上げていく。
『──そんな僕を置いて 月は沈み 陽は昇る』
 そんな一歌の歌声に誰よりもうっとりと聞き入っていたのは挨拶を終わらせてこの演奏『だけ』を聞きに来た水蓮だった。ほぅ、と感嘆のため息を溢し、一歌だけを見つめている。
『空へ舞う 世界の彼方 闇を照らす魁星──』
 その一曲は終始盛り上がりを見せ、終わった瞬間に拍手喝采となる。
 志歩はいつも通りクールだがどこか嬉しそうな顔をして、一歌と穂波は照れながらも頭を下げる。咲希は嬉しさを隠さずに手を振っていた。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.343 )
日時: 2021/03/22 17:54
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: UK8YjfXC)

鯰尾「はい、ありがとうございましたー!」
骨喰「素晴らしい演奏だった。手を抜かずに練習しているのがよく分かる。
……次だ。次は複数による『コスプレ連弾』とのこと。
では一番手」
 骨喰が淡々と進める。そしてステージに出てきたのはスーツを着た大般若と、『月相』の衣装を着たイライだった。そこ、またかとか言わない。
 イライの足には作り物の足枷、手枷が嵌められて横たわっており、大般若は大きめのワイングラスを持ち、中の飲み物を優雅に揺らしていた。
鯰尾「大般若さん、これは……」
大般若「ふふ、分かるかい……? 題名は、『闇オークションのオーナーと売られた人』」
イライ「あーれー」
 瞬間、吹き出す者が複数。確かに大般若が実装された際、『闇オークションのオーナーしてそう』という呟きが審神者界隈でちらほらあった。イライの衣装、『月相』に関しても売られる側で似たような呟きがあった。
 その上で若干のほほんと「あーれー」などというものだから耐え切れなかった者も多かった。
骨喰「ワインは何を飲んでいるんだ」
大般若「おっと、こいつかい? 美味そうだろ?


ブドウジュース」
 耐え切れなかった者がさらに増えた。なおこのブドウジュースのやりとり、多少改変しているが作者が友人と本当にやったことである。
 特に鯰尾のツボに入ったのかひぅっひぅっとまともに息もできていない。
骨喰「なるほど、ブドウジュースをワインに見立てているのか。ありがとう。
次に行ってもいいだろうか」
大般若「ああ、構わない」
イライ「あ、待って私立ち上がれないよ」
大般若「お姫様抱っこでもするかい?」
イライ「できれば普通に運んで欲しいなぁ」
 そんなイライの些細な願いは叶わず。さらりと横抱きにされてステージを降りていった。なおブドウジュースは骨喰に渡された。
 何でもないようにそれを飲み、次のメンバーを紹介する。
骨喰「次はイソップ・カール。ハムレットだ」
 ステージに、かなり嫌そうに立ったのはイソップ。衣装『ハムレット』を身に纏っている。
骨喰「よく似合っているな」
イソップ「どうも……というか、これ衣装なんですけど……コスプレじゃないんですが……」
骨喰「……!」
イソップ「……?」
骨喰「盲点だった」
イソップ「嘘でしょう???」
骨喰「本当だ」
 イソップが頭を抱える。どこからか、かっこいいよイソップくーん! というミクの声が聞こえた。そちらをちらりと見て少しだけ手を振っておいた。
 そこから何人かがコスプレ(一部はコスプレというよりも単純な衣装披露だった)が披露していく。中にはそのままちょっとした芸を披露する者もいて、その場は大いに盛り上がっている。
鯰尾「えー、次がラストかな?」※復活した
骨喰「ラストはサーヴァントの円卓の騎士。……これは。間違っていないか?」
鯰尾「間違ってないよー。えー、衣装は『メイド服』です!!」
 ざわ……ざわ……となったのも無理はない。現在確認されており、カルデア側に召喚されているのは各種アルトリア、その並行世界の存在であるアーサー、モードレッド、ガウェイン、トリスタン、ランスロット(剣、狂)、ベディヴィエール、そしてガレスだ。何人かは問題ない、むしろ良く似合うことだろう。しかし……問題はガウェインとランスロットであった。
 どうぞー! と呼ばれて出てきたのは。
アルトリア(剣)「我ら円卓の騎士」
ガレス「皆様に頑張ってごほu」
 ザッ、と音がして。アルトリア(剣)とガレスの前に立ったのはガウェイン、ランスロット(剣)、トリスタン、ベディヴィエールであった。
 トリスタンとベディヴィエールはクラシックなロングスカートのメイド服で、よく似合っていた。ベディヴィエールは顔と髪型で美少女と見られてもおかしくはない。(体型は別とする)トリスタンも長い髪に整った容姿からむしろ似合っていた。
 モードレッドも体は女である以上、似合わないはずがなかった。とは言え、それを口にすれば激怒するのは目に見えていたから誰も言わない。今だって目に見えて分かるほど機嫌が悪い。
 アーサーも少し恥ずかしがってはいる。その容姿から女に見えるわけではないがクラシックなロングスカートのメイド服が似合わないわけではなかった。
 が、問題はアルトリア、ガレスの前に立ち塞がったガウェインとランスロット(剣)である。体格が良い二人のメイド服はピッチピチ。その上、なぜかこの二人だけミニスカートであったのだ。フリルなどもふんだんに使われており、正直な話、これをアルトリアとガレスが着ていれば相当愛らしかっただろう。
ガウェイン「我ら円卓の騎士メイド隊」
ランスロット(剣)「皆様に命を賭してご奉仕いたします」
ガウェイン、ランスロット(剣)「ただし我が王とガレス卿に不埒な目を向けた者は容赦なく両断させていただく」
アルトリア(剣)「ガウェイン卿、ランスロット卿、これでは我々が見えません」
ガレス「お二人とも、どうしてそんなに怖い顔をなさっているんですか?」
ガウェイン「これで良いのです、ガレス、我が王」
ベディヴィエール「……た、確かに、そのような姿の王を見せるわけにはいきませんね……」
トリスタン「ああ……私は悲しい……」(ポロロン)
アーサー「まさか僕もこの格好をするとはね……けれどみんなが楽しそうで何よりだ」
モードレッド「……」(むっすり)
鯰尾「ある意味大事故!!」
骨喰「俺はそのちゃれんじ精神を評価したい」
鯰尾「そうだね(適当)!! さあさあ、次はMORE!MORE!JUMP!による『アイドル新鋭隊』だー!!」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.344 )
日時: 2021/03/22 17:59
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: UK8YjfXC)

 瞬間、ステージの前に数人が並んだ。その速さにMORE!MORE!JUMP!のメンバーも少しだけ驚いていた。
 並んだのは黒髭(サイリウム六本持ち)、オムライス(サイリウム四本持ち)、ノートン(ポケットから金貨が落ちている)、柊(モモジャン命鉢巻装備+サイリウム二本持ち)だ。その後に篭手切(サイリウム二本持ち)がわくわくした面持ちでやって来た。
鯰尾「早っ」
骨喰「ノートンは何故前に出てきたんだ」
ノートン「一緒に応援しないかと言われてね。せっかくだからと……」

ほわんほわんほわんキャンベル〜

ノートン『え、嫌だけど。なんでやらなきゃいけな』
黒髭『報酬』(袋いっぱいに入った金貨)
ノートン『任せてほしい、完コピでいい?』

鯰尾「見事にお金に釣られてるんですけど」
ノートン「お金なんかに釣られクマー」
クマ「ノートン、それクマのプリチーな語尾クマー!」
 そんなコントじみた会話をしていると、曲が流れてくる。

♪アイドル新鋭隊

『More More』
前列「フッフー!!」
『More More』
前列「フッフー!!」
『More More』
前列「フッフー!!」
『More More
JUMP!! 限界超え』
前列「みのり!!」
『完全無欠スターを 目指せ
JUMP!! 元気をシェア』
前列「遥!!」
『負けない者の女神よ』
 リズムよく、そしてテンション高く合いの手を入れていく前列(ノートンだけテンションは低めだった)。
『消せぬ絆で結ばれた』
前列「モーモージャーン、命!!」
『我らアイドル新鋭隊』

 そこからノートンが第五人格ユーザーから『オタ芸』『荒ぶってる』など言われたエモート【舞う】をする。ちなみに作者もエモート【舞う】を偶然入手したがわりとその通りであった。隙あらばウケを狙ってやりたい程度には。
 そのおかげ(?)か、大盛り上がり。四人がポーズを決めると、大歓声が沸き起こる。
みのり「皆さん、ありがとうございます!」
 そう言ってみのりはしゃがみ……まさかの黒髭の手を両手で取って微笑んだ。その微笑みに打算などは一切ない。応援や合いの手に対する純粋なお礼だった。
 黒髭が固まっているとみのりは次々と前列にいるメンバーの手を取って一人一人にお礼を言っていく。それに倣い、遥たちも同じように手を取り、ありがとうと微笑んだ。
黒髭「この胸の高鳴り……これが」
柊「心不全ですね病院へどうぞ」
ナイチンゲール「治療が必要ですか」
黒髭「アッ問題ないでつ!!」
柊「つかお前どうせ姐さん(フランシス・ドレイク)が一番だr」
黒髭「その口閉ーじろ♡」(銃口向ける)
柊「黙ります」
鯰尾「茶番はそこまでにしておいて、次はμ's!」
骨喰「曲は『きっと青春が聞こえる』。……前列はそのまま待機なのか?」
前列「YES」
骨喰「承知した」
鯰尾「それでいいの????」
 そんなことがありつつ、ステージにμ'sが上がり、位置に着くと曲が流れてくる。

♪きっと青春が聞こえる

『素直に追いかけて』
『勇気で追いかけて』
『小さな願いが明日を作る』
 九人の歌声が響く。前列のテンションはそれぞれが振るサイリウムの動きで分かった。
 歌声もそうだがダンスも素晴らしいもので、全員が見惚れてしまう。
 曲が終われば、全員から惜しみない拍手が送られた。特に前列は指笛とかやっていた。ただし柊のみ、『ふすー、ふすー』と鳴ってすらいないが。
穂乃果「ありがとうございます!!」
 穂乃果が大きく手を振る。全員がそれぞれ小さく、あるいは大きく手を振った。
 ふと海未がある方向へ視線を向けると山鳥毛と日光が拍手してくれていることに気が付いた。特に日光は命の恩人(恩刃)といっても過言ではない。海未が会釈すると二振は気付いたらしく、山鳥毛がニコニコと微笑みながら日光を見た。それに促されたかのように日光もこちらへ会釈を返してくれた。
 どうやらそのやりとりに絵里も気付いたらしい。彼女も二振へ会釈すれば今度は山鳥毛が手を振ってくる。
 μ'sの面々がステージを降りる。目の前から次にステージに立つりせがお疲れ様! と笑顔を向けてくれていた。
りせ「すごく良かったよ! でも、私も負けないくらいみんなを魅了しちゃうんだから!」
花陽「はわぁあ〜! よく考えたら、久慈川さんの、いや、久慈川さんだけじゃなくてその後は舞園さんやミクさんたちの生ライブ……!?
ううう、すごすぎて気絶しちゃいそう……!」
りせ「ふふ、気絶しちゃダメだよ!」
 そう言ってりせは軽やかにステージに上がっていく。

♪True Story

『また今日も 胸の奥 閉ざしたHeart Beat
見てほしい 見せたくない どうどう巡り』
 さすがは現役アイドル。ダンスのキレも歌声も見事なものだった。いつものライブや歌番組ならバックダンサーがいるが、それを差し引いても盛り上げるには充分すぎた。
 花陽とにこは舞台袖から離れられないでいた。あまりに感動しすぎて。
舞園「ふふ、そんなに見ていると転んじゃいますよ」
花陽「ひゃっ!?」
にこ「ま、舞園さやか、さん!?」
舞園「りせさんが終わったら流れるように私が出る、そうりせさんと決めたんです。だからスタンバイしておかないと」
 そう言って舞園はふわりと笑った。二人が舞園の笑顔につい見惚れているとどうやら曲が終わったらしい。りせが戻ってくるのが見えたのだろう、舞園はそれじゃあ、と一声かけてステージに上がり、りせとハイタッチを交わした。

♪ネガイゴトアンサンブル

『きっとShooting Love Shooting Heart
もっと高く 高く──』
 舞園もりせに負けず劣らず、『超高校級のアイドル』と称されるのも頷けるパフォーマンスや歌声を惜しみなく披露した。
 次に出るのはミク。彼女は少しだけイソップを探すがどうやら見つからなかったらしい。けれどしっかりと前を見て、流れてくる曲を耳にする。

♪白い雪のプリンセスは

『鏡よ鏡よ鏡さん 世界で一番可愛がるのはやめてよ 棘のような視線迫る』
 緑のツインテールが揺れ、楽しそうに歌う彼女に全員が魅了されていく。軽やかなステップが彼女の心境を表しているようだ。
 最後のポーズを決めると、拍手が響いた。
 彼女は息を吐いて手を振りながらステージを降りると舞台袖にはりせと舞園、μ'sの面々やMORE!MORE!JUMP!の面々もいてお疲れ様、と笑顔を見せてくれた。
 そのままついお喋りに興じていると次の出番である那珂がステージに立ったのだろうか。曲が鳴り始める。

♪白い雪のプリンセスは

ミク「あれ?」
舞園「同じ曲、ですよね?」
みのり「間違えちゃったのかな?」
真姫「でも、少し低めじゃない?」
りせ「確かに……って、あれ!?」
 りせがステージを指す。全員がそちらを見れば立っていたのは那珂ではなく、小竜、シャルルヴィル、そしてハムレットの衣装を着たままのイソップだった。イソップだけはげんなりしているが曲は止まらない。

 白い雪のプリンセスは、改め。

♪アナザー:白い雪のプリンセスは

『鏡よ鏡よ鏡さん 世界で一番可愛いお姫様
どうかこの僕に預けておくれ』
『ノゾんだセカイへ誘う 招待状を君に送る』
『優しい彼女との [笑み]』
 三人が歌うと何人かの女性たちは完全にそちらに気を取られている。その中の一人にミクがいた。彼女の視線はイソップに釘付けだ。
 その内、曲は終わりに近づく。するとシャルルヴィルと小竜が舞台袖にやって来てミクをステージの上に連れて行く。
 残りは全てイソップが、それもミク相手に歌うという彼女にとってはとんでもない演出をするためだった。あまりのときめきにミクは顔が真っ赤になり、目がぐるぐると回っていた。
 曲が終わると同時にイソップがミクの手を取り、跪くというまさしく王子が姫にするような演出で終わり、あちらこちらからヒューヒューと鳴っていた。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.345 )
日時: 2021/03/22 18:04
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: UK8YjfXC)

 その後、那珂の出番がやって来て柊と黒髭が「那珂ちゃんの時は私が最前列って決めてんだよぉおおおおおお!!」「なーに言ってんの拙者が最前列なんでwwwプギャーwww」と争っていたが最前列で二人並ぶという結論に落ち着き、那珂の歌う『恋の2-4-11』を堪能していた。
 そして次はVivid BAD SQUADによる『RAD DOGS』……の、はずだった。
鯰尾「さあどんどん行くぞー! 次はVivid BAD SQUADによる『RAD DOGS』……」

♪既成事実

鯰尾「え???」
 ち ょ っ と 待 っ て ♡
 ナレーションの記憶が間違えでなければこれは確かデッドボールPによる『ちょっとアレな曲』の第一作目であったはず。一体なぜ。
 ざわざわと会場がざわめいているとヒャッハー!! とステージに出てきたのは何故かミクのコスプレをした誠、澤永、クマ吉であった。
誠「待たせたな女の子たち!!」
澤永「俺たちの美声に惚れ惚れしてくれ!!」
クマ吉「ちなみに次の出番だったビビバスの子たちはちょっと眠ってもらいました!!」

 こ い つ ら 。( ˙-˙ )スンッ

鯰尾「色んな意味で何してんの???」
骨喰「早急に無事か、なおかつ体調に異変はないか確認させる」

『わん! つー! わんつーさんはい』
鯰尾「ちょ、勝手に歌うな」
『にゃんにゃんしよ! いっぱいしよ! にゃんにゃんしよ! いいでしょ?』
長義「こら」
『ねぇいいでしょ? ねぇいいでしょ? お願ーい!』
三人「我慢しないで たくさん 出させて♪」
南泉「もう黙れお前ら」

 ノリノリで歌う三人に「お、おう」となるしかない会場。純粋な子たち? 南泉主導の元、離れた部屋に避難させました←
 しかしこれは元々別のとは言え、ミクの歌う曲だ。その上、割とギリギリなミクの絵がいつの間にかスクリーンに映されている。(鯰尾と骨喰、長義が投石ではっきり見えないようにはしているが)ちらりとミクを見れば先ほどとは違う意味で顔が真っ赤になり、涙目である。もう可哀想にも程がある。
イソップ「何やってるんですかねあの人たち……」
 ガシャ、と音がすると床から棺桶が迫り上がってくる。その中には一体の人形が入っていた。
小竜「凄いね、それどうなってるの?」
イソップ「僕にも分かりかねます」
小竜「ええ……」
イソップ「それより小竜さん、ステージの近くにボンボンがいるはずなので今から言うことを伝えてください」
小竜「いいけど……」
 イソップが手短に、それでも正確に伝えると小竜がすぐにボンボンを探しに行く。その間にも彼は化粧道具で人形に化粧を施していた。
シャルルヴィル「凄いね、まるで本人だよ」
イソップ「とりあえずもう二つ仕上げますか」
シャルルヴィル「何か手伝う?」
イソップ「ミクさんの絵をぶっ壊しといてください」
シャルルヴィル「とりあえず見られないようにしておくよ」
イソップ「お願いします」
 イソップは手を止めない。慣れもあり、あっという間に人形たちは完成していた。
 ステージに向かって手を挙げる。すると。
ガードNo.26「ゴキンセイデスゴキンセイデス、成敗シマス」
三人「ゑ???」
 ステージに上がってきたボンボンがボコン、ボコン、ボコンといつものバットではないもののそこそこ威力がありそうな音を立て、三人を気絶させていた。すると三人の姿がまるで泥のように溶け始める。
 慣れていない者から悲鳴が上がったがイソップは気にしない。目の前の棺桶もどろりと溶け始めたからだ。そこにちょうど戻ってきた小竜、シャルルヴィルが合流する。小竜がいるだろうからと持ってきた縄を持ち、スタンバイした。
誠「いててて……」
澤永「な、なんだぁ?」
イソップ「少し、反省しましょうか」
クマ吉「えっ」
 ピシャ、と縄を鳴らす。それに何をされるのか分かった三人が逃げようとする、が。小竜とシャルルヴィルもいる。後は、もうお察しの通り、逃げることなど三人にはできなかったのだった。
 その後、三人は歌仙、長義、南泉に説教されるのだがこれはまた別の話である。




 本当に眠らされていただけのビビバスの四人が改めてステージに上がる。曲が流れ始めた。

♪RAD DOGS

『ヘッドホン外して 一人きり歩く街
迷っているのか? 間違っているのか 知らない場所みたいだ』
 四人の歌声が響く。クラシック音楽にストリート音楽を落とし込んだ曲に引き込まれる。ラップ部分も難なく歌い上げ、ストリート音楽に触れたことのない者たちの気分も上げていった。
 終わる頃には歓声が上がる。それに気分が良さそうに笑う東雲彰人と、小さく微笑む青柳冬弥、笑顔で手を振る白石杏、照れている小豆沢こはねとそれぞれ反応は違っていた。



 次に歌ったのはまさかのナワーブ。それもあのチェシャ猫の衣装で『ネコミミアーカイブ』を、である。
 とても似合っていたし、踊りも傭兵故かキレが抜群で、途中で入ったブレイクダンスでは会場は大いに沸き立った。
 それ以外にも鶴丸とセルヴェ・ル・ロイの合同のマジックショー(余談だが、そのマジックショーの間ずっとウィリアム(第五)の顔色は悪かった)などもあり、時間はどんどん流れていって。
鯰尾「さあてトリは! ワンダーランズ×ショータイムによる歌とショー! なんだけど……」
骨喰「実は別の場所で準備していたらしい。一応スクリーンにも映せるが、生で見たいものは移動を頼む。
鳳えむから預かった手紙には『わんだほいなステージをやるから一緒にわんだほいしたい子は来てほしいな!』だそうだ」
 その言葉に、純粋な子どもたちを始めとした面々が次々に移動していく。沙都子や梨花なども連れられていった。
エウリュアレ「アステリオス、貴方は行かないの?」
アステリオス「……ぼくが、いくと、あたらしいひとたち、こわがる、から」
エウリュアレ「……あら、残念。私、行きたいのに」
アステリオス「え」
エウリュアレ「ねえアステリオス、お願いがあるの。そこまで私を連れて行ってちょうだい?」
アステリオス「えうりゅあれ……ぼく、こわがられない?」
エウリュアレ「それは分からないけれど、怖がられても私にとってそれは見る価値のないものだってことだもの。さあ、連れて行って?」
アステリオス「……うん!」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.346 )
日時: 2021/03/22 18:42
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: UK8YjfXC)

 アステリオスとエウリュアレがちょうどワンダーランズ×ショータイムがショーをする会場に着いた時。彼らは舞台袖から集まってきた面々を見ていた。
えむ「ふわぁ〜! いっぱい来てくれたね!」
類「これは、腕が鳴るねぇ」
寧々「今入ってきた二人、一人は小さかったけど……」
司「もう一人は……デカすぎないか!?」
えむ「? でも柊さんに写真で見せてもらったイヴァン雷帝さんより小さいよ?」
司「ああいや、あの人は……」
類「あの人は規格外だからね。とは言え、彼も僕らのショーを観に来てくれたんだ。なら僕たちは、彼らを笑顔にするだけだよ」
 類の言葉に三人は頷いた。
司「よし、やるぞ!」
えむ「おーっ! せーの!! わんだほーい!!」
三人「わんだほーい!」
 ショーが始まるブザーが鳴る。ショーの内容は、突然現れた謎の侵略者たちを、異世界の人々と協力して倒して行くストーリーだった。圧倒的な演技力、様々な機械や演者たちによる演出、そして寧々の歌唱力に全員があっという間に引き込まれていった。
 演者たちにしか分からなかったが途中のトラブルもまるで演出の一つのように魅せることで事なきを得て、そして。
司『覚悟しろ、宇宙将軍! てやぁあっ!!』
宇宙将軍ロボット『グワァアアアアアア!!』
類「こうして、宇宙将軍たちとの戦いは終わり、皆それぞれ平和な世界へと戻って行ったのでした。めでたしめでたし」
 歓声と拍手が起こる。しかし、それだけでは終わらなかった。

♪セカイはまだ始まってすらいない

『イッツショウタイム Hey Hey
イッツショウタイム Hey Hey』
『レッツゴー』
『魔法使いのキャストも トラウマ背負しょった怪物も』
『いつかみんな いなくなること知ってる』
 明るい歌に、みんなが笑顔になっていく。間奏の間に類が風船を膨らませ、それを捻ったりしていれば、いつの間にか大きな風船の花が出来上がっていた。
 それがえむに渡るとえむはぐっと風船の花を構える。
えむ「せーのっ!! わんだほーい!!」
 パッと放たれた風船の花が、宙へ浮かぶ。それは緩やかに放物線を描き、ふわりとアステリオスの手元へと舞い降りた。
 本来、子どもたちが取れれば抱えるほどの大きさであったろうそれはアステリオスには小さい。けれど、アステリオスはわぁ、と目を輝かせた。
アステリオス「すご、い! あり、がとう! えうりゅあれ、みて、おはな!」
エウリュアレ「ええ、とても素敵ね。良かったじゃない、アステリオス」
アステリオス「うん!」
 そんなやり取りを見て、四人も笑顔になる。曲が完全に終わると四人はお辞儀をして、ステージを降りて行った。
 大盛り上がりになった出し物も全て終わり、どんちゃん騒ぎは深夜になるまで続いた……。










 翌朝。柊と石切丸はある場所で剣舞を行なっていた。とは言え激しい動きはなく、ゆるりとしたものだ。
 全て舞い終わるとどちらも刀を両手で掲げ、その先にいる存在たちに礼を一つ。
マスターハンド「今年も良い舞だった。これにて統治人たちによる奉納の儀は全て終了した」
クレイジーハンド「我ら神を支えるは人々の信仰、そしてお前たち統治人。これからもよろしく頼む」
 マスターハンド、クレイジーハンドがそう言えば柊と石切丸のみではない。後ろにすでに儀を終えた各大陸の統治人たちとその補佐役など全てが彼らに頭を下げた。
 統治人たちが戻って行くのを見て神の一柱であるミズチはくすくすと笑った。
ミズチ「いやはや。滅多に顔を出せぬ妾もこの時ばかりは役得というものよ。人の子らとこのように触れ合えるのだからな」
マスターハンド「お前も、この時のみならず気軽に顔を出してもいいんだぞ?」
ミズチ「ふふ、妖精らを見守る役目がある故な。しかし、それを『エルゼ』に言ってやれば良いものを」
マスターハンド「……それは、少し考えたい」
クレイジーハンド「あのショタコン人形女神を自由に行き来させたら色々面倒だろう」
 エルゼ、と呼ばれた女神を思い出したのか、苦い声を出すマスターハンドとクレイジーハンド。それにミズチはつい吹き出していた。

コメントOK