二次創作小説(新・総合)
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.352 )
- 日時: 2021/03/29 20:37
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: 6Nc9ZRhz)
甘い束縛
亀甲貞宗とクリスマスベゴニアは恋人だ。団長である柊の紹介で初めて会った時に、クリスマスベゴニアが彼に一目惚れ。積極的なアプローチに最初は妹のように見ていた亀甲も次第に彼女を一人の女性として見るようになり、亀甲からの告白で付き合い始めたのだ。
亀甲はクリスマスベゴニアに愛すること、愛されることを教えた。両親の歪んだ教育によって愛し方を一つしか知らなかった彼女は彼によっていろんな愛し方を教えてもらった。
彼は愛をたくさん与えてくれる。甘く蕩けるような優しい愛を。でも、自分は何もあげられていない。与えてもらうばかりだ。
だから常々何でもしてあげたいと、何か言って欲しいと言っても彼はただ「キミが隣にいてくれるだけで僕は幸せだよ」と微笑むだけ。それでも嬉しかった。そう、嬉しかったのだけど。
段々と不安が押し寄せてくる。本当は、自分では満足できないと思っているから何もさせてもらえないのではないか、と。誰に相談してもそんなことはないと言われるけれど不安は拭えるどころか積み重なっていくばかり。
「亀甲さま……」
彼は優しいから。だから何も言わないだけで本当は不満を募らせているのかもしれない。そんな『かもしれない』を勝手に想像して胸が痛くなる。
彼のためなら何だってできる。だけど、彼と別れることだけは、できない。離れたくない。顔も知らない婚約者との結婚も嫌だが、それよりずっとずっと嫌だ。
ポロポロと勝手に涙が溢れる。幸せなのにこんなにも苦しい。いいや、幸せだからこそ、なのかもしれない。
「っく、亀甲、さま、亀甲さまぁ……」
どうしても離れたくない。離してほしくない。不安だけが募っていく。
「クリスマスベゴニアさん?」
「!!」
振り返る。涙を溢す自分を見て目を丸くした彼はすぐにこちらへ駆け寄り、視線を合わせるようにしゃがんでくれる。その優しさに、また涙が溢れた。
「どうしたんだい? 何かあった? まさか、ご両親が来たのかい?」
「いい、え、いいえ、亀甲さま、わたくし、わたくしっ……どうしても、どうしても亀甲さまの望むことを、してあげたいのですっ……」
「クリスマスベゴニアさん……僕は、キミに無理をしてほしくないんだ。本当にキミが側に居てくれる、それだけで僕は」
「分かって、分かっています。ですけど……ううっ……ごめん、なさい、こんな、ワガママ……ばかり……嫌わないで、嫌わないで亀甲さまぁ……」
「クリスマスベゴニアさん……」
ああ、こんなにワガママばかりでは、どんなに優しい彼でも幻滅してしまう。なのに口は止まらない。どうして、こんな。
「……分かったよ。それほど言ってくれるなら……一つだけ、お願いを聞いてくれるかい?」
「!! は、いっ、何でも、何でも聞きます、貴方を、痛めつけることでもっ……」
「ありがとう。それじゃあ、一旦僕の部屋に行こうか」
「はいっ」
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.353 )
- 日時: 2021/03/29 20:42
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: 6Nc9ZRhz)
亀甲の部屋は、とても綺麗に片付いている。緊張のあまり忙しなく部屋を見渡してしまう。そんなクリスマスベゴニアに彼はくすりと笑って少し座って待っていて、と声をかけてくれた。
ちょこんと座り、彼を見つめる。彼は何かを探して、あった、と言ってからこちらへ戻ってきた。その手にあったのは……可愛らしい、赤いリボンだ。
「わあ……可愛いリボンなのです!」
「気に入ってもらえて嬉しいよ。お願いというのはその……これで、僕を縛ってみてくれるかい?」
お願いを聞いてきょとりとしてしまう。可愛らしいリボンだが、彼を縛るには到底長さが足りなかった。それとも、自分は試されているのだろうか。この短いリボンで、亀甲が望むように縛ることを。
戸惑うが決意を固める。何でもしてあげたいと言ったのは自分なのだから。
「分かりましたなのです! では亀甲さま、どのように縛れば……」
「キミが好きなように縛ってみて?」
「えっ?」
「何か体勢とか、指示したいことがあれば言ってね。その通りにするよ」
「え、ええとっ」
完全に想定外だった。そもそもクリスマスベゴニアはこういうことに関しては全くと言っていいほど無知である。いや、もしかしたら両親に教え込まれていたかもしれないが……生憎と嫌だ、怖いという感情が大きすぎて全く記憶にない。
リボンを手におろおろしていると亀甲は大丈夫、と優しく声をかけてくれた。
「いきなり難しい縛り方をしてほしいわけじゃないんだ。それに知識がない人がやると怪我したり、危険だからね。……まあ僕としてはそれもやぶさかではないんだけれど……そうするとクリスマスベゴニアさんが悲しいだろう?」
「亀甲さま……」
彼の優しい笑顔に再び決意を固める。亀甲に手を合わせてもらい、その両手を軽く握り拳にしてもらう。そのままゆっくりと、そっと両手首をリボンで巻いていく。
けれど、きつく巻きすぎてはいけないという思いが強すぎて、結局、何回か巻いて蝶々結びにしかできなかった。
申し訳なさで顔が上げられない。
「これは……」
「ごめんなさい、亀甲さま……痛く、ないですよね」
「ううん。……これが、キミの愛なんだね」
とろりと蕩けるような声に、思わず顔を上げた。
赤く色づいた白い肌、蕩けた目、はぁっ、とほんの少し艶めいた吐息に、滲んでいる汗。
何だかまるで見てはいけないものを見てしまったような気がして……クリスマスベゴニアも顔が赤くなっていくのが分かった。心臓がうるさくてどうにかなってしまいそうだ。
「さっきも言ったように、僕は最初から難しい縛り方をしてほしかったわけじゃないんだよ。初めてで、何も知らないのだから無理もない。
それにね? 僕はこれが嬉しくて堪らないんだ」
「こ、れが、ですか? どうして……痛くないのですよ……?」
「うん。……クリスマスベゴニアさんが、僕を想って、僕のために、僕を縛ってくれた。この事が何よりも嬉しくて、何だかドキドキしてしまうよ……」
「っ……」
うっとりと彼は蝶々結びのリボンにキスを落とす。それが何だか艶かしくて。
「痛みもいいけれど、優しい愛も大好きだよ。おかしくなりそうなくらいに……。
ねえ、クリスマスベゴニアさん。また、してくれるかい?」
「は、い、しますのです……」
そう頷けば亀甲は笑ってくれた。それが美しくて……。もしかしたら自分はもうこの行為に堕ちてしまっているのだろうか。
……彼とならば、それもいいな、なんて。
亀甲の腕に潜り込めば、距離は殆どない。そんな状態で、彼と見つめ合う。
「亀甲さま……」
目を閉じ、唇を差し出す。そうすればふふ、と笑って彼は優しくて甘いキスをくれた。
「大好きだよ、クリスマスベゴニアさん」
「わたくしも、わたくしも、大好きなのです、亀甲さまぁ……」
蕩けたこの声は、彼の耳だけに届いた。
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