二次創作小説(新・総合)
- 第1話 天才と子供と音羽館 ( No.15 )
- 日時: 2019/03/12 17:20
- 名前: 内倉水火 (ID: 8topAA5d)
名作達3人は、バタバタと館の廊下を走っていた。
突如として部屋の外が赤く照らされ、館の広間から音楽が聴こえてきたのだ。
「戦兎さん、もしかしてこれ…」
名作は、直ぐ前を走る戦兎に対して問う。
こくりと頷く戦兎。
「あぁ。もしかしなくてもこれは__ムジークだ!」
広間に着くと、其処には寝惚け眼の継義と、夕飯の支度をしていたのか、エプロン姿の歌苗、先程までベトと説教されていたモツの姿が。
そして、漆黒の燕尾服を纏って指揮をする、ベトの姿があった。
更に、彼等の目の前では、信じられない事が起きていた。
「ももも!? ロボットが踊ってるよ!」
スウィーツの言う通り、ベトの指揮するリズムに合わせて、2体の巨大なロボットが社交ダンスを踊っていた。
何処からやって来たのか、どうやって造られたのか、全く想像もつかなかった。
そして流れているこの曲は__名作が今朝奏でた曲『田園』。
「これが、ベトのムジークか…」
一同は、只その光景に目を奪われるだけであった。
情熱的なようで、優雅なこの非常事態に。
- 第1話 天才と子供と音羽館 ( No.16 )
- 日時: 2019/03/12 18:24
- 名前: 内倉水火 (ID: 8topAA5d)
「Dus ende!」
ベトの気が済んだのか、彼が何やら異国の言葉を叫ぶと、ムジークは直ぐ様終了となった。
途端に、踊っていたロボット達は姿を消してしまう。ベトの服装も燕尾服でなく、いつもの革ジャン姿に戻った。
名作達は、何だか夢を見ていたような気分で、その場に立ち尽くしてしまった。
現実では有り得ないような現象、夢のように消えてしまった事。日常とかけ離れたものを見た気がしたのだ。
名作が何も言えないでいると、戦兎が頭を掻き乱しながら呟いた。
「ムジーク…使える条件は何だ? 何であんな科学を無視した現象が起こせる?」
「戦兎さん、気になるなら調べてみたら? 音羽博士の発明品みたいに!」
スウィーツの言葉に意表を突かれたようで、一度目を見開く戦兎だったが、直後に笑顔を浮かべる。
「…そうだな、スウィーツ! よし、ムジークも博士の発明品も、俺が解明してみせる!」
「何か凄いテンション…」
戦兎のテンションに押されて、ようやく喋る事が出来た名作。
一方、継義は目を擦りながら、歌苗に訊く。
「…何でムジーク出したの?」
「あぁ、多分私が餃子の材料没収したからですね」
「意外と大人げなくない…?」
結局ベトは、継義に再び幻滅されてしまった。
ふと、広間にムジークとは別の音楽が響き出した。
音源は戦兎のスマホだったようで、彼は懐からスマホを出すと、電話に応じた。
「電話? 誰からだろう」
「もしもし、万丈。どうした?」
通話の相手は戦兎の相棒、万丈龍我のようだ。
何となく後ろめたいが、名作とスウィーツは興味本意で、電話の会話に耳を澄ませてみる。
「うん、何…は!? 遂に泊まり先を追い出された? 俺も?」
「結構迷惑掛けてたっぽい!」
思わずツッコんでしまう名作であった。
めでたしめでたし!