二次創作小説(新・総合)
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- マジカルストーリーFINAL(1)
- 日時: 2019/09/14 13:18
- 名前: 3104&休日トリオ (ID: KQ9whZis)
3104:こんちは皆さん!タイトル見て、『タイトルが途中までじゃね?』とお思いでしょうが、前文の後載せますんでよろしくお願いします!
ユウザキルリ:やっとここまできました。FINAL編!このお話も、あと五話で終わりですよ…!
ユウザキマコト:さあ皆さん、『妖しく星は乱れ舞う』…
アマノカナタ:ご一緒に、楽しみましょう!
- Re: マジカルストーリーFINAL(1) ( No.1 )
- 日時: 2019/10/10 18:17
- 名前: 3104&休日トリオ (ID: BL8fZ.Pl)
妖しく星は乱れ舞う ACT I ~神々の怒り~
「…ロック…!起きて!」
「…ん…うっ…ケホッ!…ケホッ!…」
朝、セリスは小さく息をしていたロックに声をかけて起こした。セリスには嫌な予感がした。このままロックが寝込んでいたら、みんなが戻ってこなくなるかも…。
「…み…んな…は…?どこ?」
「…瓦礫の塔に行くって。私は、あなたの見張りみたいなことを頼まれて…でも、ロックが目を覚ましたら来いって言われたから…ごめんね、起こして。」
瓦礫の塔…。ロックはハッとした。その塔には、神と恐れられているケフカがいると、どこかで聞いたことがある…。
「…瓦礫…?…オレも…行きたい…みんなを見捨てて…こんなこと…ケホッ!ケホケホッ!」
「あ…もう。無理しないで。だいたい、そんな体であいつに勝てるワケないでしょ!私、みんなの応援に行くから、ゆっくり休んでね」
起き上がろうとして咳き込むロックに、セリスはそう言って、部屋を出ていった。
☆
「…クポ~ッ!イヤだクポ~!ボクはあんなヤツと戦いたくないクポ~!おっかないクポ~!」
「ちょっとは落ち着けよ、モグ。オレだってあんな卑怯なヤツとは戦いたくないぜ」
瓦礫の塔の階段をひたすら上っていたサトシたちは、あと残り半分のところで逃げようとするモグを引き留めた。
「…じゃあ、もしケフカがそんなに怖けりゃ逃げればいいさ。でも、その時は俺たちも逃げる。そうしたら、お前のせっかく助けたロックがどうなるかは、分からないぜ?」
「…それなら、ボクが逃げてみんなが逃げないならついて行くクポ」
「ハハハ!そんなに逃げたいか、モグ。お前もマッシュと同じで頼りないな!」
「なんだとぉ~!」
エドガーとモグの会話を聞いたセッツァーが、マッシュの方を向いて笑った。マッシュがセッツァーを小突き、いでっ、と声をあげる。その様子を、女子三人は微笑ましく見ていた。
「…なんか、いいよね、ああいうの!」
「うん。仲良しって感じがして」
「…それなのに…戦うために集まった仲間だなんて…」
いつの間にかみんなのところに戻っていたセリスも、ティナの言葉を聞いて複雑な顔をした。セレナも、どこか悲しげな表情になる。
☆
一方、ロックは突然苦しくなって、呼吸すらできなくなっていた。何が起きているのか、自分でも分からなかった。
「………!………………………」
…どうして、こんなことになってしまったのだろう…荒い息をつきながらそんなことを考えていると、ロックの体に痛みが走った。
「………!!」
必死に耐えようとしたが、次第にそれもできなくなっていく。
「……サ…トシ…助け…」
☆
「…ロック…?…今、呼んだ…オレのことを…」
「…?…」
「…どうした?急に…」
いきなり呟くサトシにセレナは首を傾げた。立ち止まったサトシに合わせて、みんなも立ち止まる。すると、急にサトシがフラつき、エドガーにもたれかかるように倒れてしまう。
「…どうしたんだ!?大丈夫か!?」
「…ロックの声が……消える………!」
「クポ!平気クポ!?少し休むクポ!」
モグが叫ぶ。一同は、ひとまず休むことにした。
☆
『……起きなさい…私は、あなたと話がしたいのです…』
「…う…う…くぅ…っ…」
聞き覚えのある声が響き、ロックは目を開けた。その瞳が、燃えるように赤い。
ロックの目の前にいたのは、以前とは違う姿をしたケフカだった。
「…ここ…どこ…?…その…声は…ケフカ…でも…優しい声…うっ…ケホッ…!」
『大丈夫ですか?私はケフカ…ケフカ自身の中にある優しさ、といった方が分かりやすいでしょうか?優しさは、誰にもかかわらずあるモノですから』
ゆっくり立ち上がり、ぼさっとしているロックに、六枚の翼をはためかせたケフカの優しい声が届いた。
『…いいですか?私の話をしっかり聞き入れて下さい。今、あなたの仲間は、私のもとに向けて塔を上っています。私は、皆さんのことを傷つけたくはない…。でも、ケフカ自身は感情をコントロールできません。命を奪いたくない…。あなたがあの方たちの所にいなければ、あなたの仲間はいずれ倒れるでしょう。お願いです。ケフカを止めて下さい』
ケフカの言葉に、ロックは呆然として、そして俯いた。こんな…弱い自分に…なにができるっていうんだ…。
「…オレ……できない……だって…オレだって…お前と…一緒なんだから…。…できれば……お前とも…戦いたくないよ…」
『…私…ケフカがなぜ、何度も戦ったあなたに、留めを刺さなかったか、分かりますか?同じ生き物…人間です。あなたたちも、ケフカも…。」
そう言ったケフカは、ロックに向けて腕を伸ばした。
「少し休みなさい。仲間が待っています…」
途端に、あの痛みが押し寄せた。しかし、ロックは顔を上げたまま言った。
「…い…今まで…ごめん……。…ずっと…一人で…困ってたんだな…。…お前の…ためにも…やってみせる…!」
だんだん暗くなる視界の隅っこで、ケフカが優しい瞳を見開いたのが分かった。
☆
「……う…ごめん…ごめんよ…オレ…うっ…ケホッ…!」
いつの間にか戻ってきたベッドの上で、ロックは泣いた。咳き込んで倒れない限り、涙は止まらないみたいに、言葉にできない気持ちが、ずっと胸の辺りで溢れ出ている。
「…う…う…う…っ…ケホッケホッ…!」
ロックが泣き疲れて倒れるころには、みんなはもう、塔の最上階に着いているだろう。
☆
ここは、瓦礫の塔最上階。塔と言うからには建物かと思っていれば、岩が二つ浮遊したような場所だった。
「…ようこそ、宿敵たち…。ずっと待っていましたよ。」
「どこまでこの世界を脅かすんだ!?」
岩の中心で光っていたものから、見下したような声が聞こえた。マッシュが叫び、一同が返事を待つ。
「…フフフ…誰も私にはかないません。世界で一番の力を、私は取り込んだのですから。もはやあなたたちに勝ち目はないのです。」
そう応じたのは、以前とは全く違った姿をしたケフカだった。紫色の体、背中には特徴的な六枚の翼…どこにも、人間といえる部分はなかった。
初めて見る『神』の姿に、一同が呆然としていると、マッシュとエドガーの体が浮いた。
「…う…何…だ…?」
「…兄貴…体が…動かねぇ…!?」
「私がなぜ、ここまで破壊を愛したか分かりますか?お前たちだって分かるはずです。人はいつか死ぬ…なのに、今生きようとするのでしょう?そんなのおかしいじゃないですか。それだけは仕方のないこと。どんなにあがいたって、逃れることはできません。」
フィガロの双子が操られて動けない中、ケフカは岩の一つに目をやった。二人が転がり落ちる。
「…目覚めなさい。神々の像よ…彼等に裁きを受けさせるのです。」
「…神々の像?」
サトシたちが不思議がって、岩の一つに目を向けると、岩から衝撃が伝わってきた。
「何かいる!?」
「…さあ、行きなさい!魔神、鬼神、女神!」
その岩は、サトシたちの目の前で、一体の魔物に姿を変えた。
☆
ベッドの上で眠っていたロックは、夢を見てうなされていた。
「…うぅ…」
まだ涙の跡が残る頬には、新たに一筋の涙が流れ、ロックは苦しそうに顔を歪めた。
「…う…ん~………」
「…?クポ?」
逃げ出したはいいが、一体どうしたモノか…。
モグは心配して、ロックの部屋に来ていたのである。
「……うっ……」
「…!ロック!クポ!」
「………?…うわぁ!………え……なんだ…モグ………。……うっ………」
「…ごめんクポ…ちょっと、見てから帰ろうと思って。大丈夫クポ?頭、痛いクポ?」
ぎゅっと目を閉じて頭を抱えるロックに、モグが優しく問い掛ける。
「……悲しい……オレ……オレ……………なんで………。助けて…辛いよ………」
「平気クポ…全然…。なにも、悲しいことなんて起きないクポ。戦うことが辛いのは、誰でも一緒クポ。誰でも…」
モグが言ったことは、どうやら逆効果だったらしい。ロックはさらに寂しそうな顔になった。
「…オレ…もう…戦いたくない………。あんなに……あんなに楽しかったみんなも……戦うために集まったんだもん……。………もう……オレ……ケホッ!…うっ…」
「無理しなくていいクポ!ごめんクポ!…でも、ロックにとっては…苦しいものかもしれないクポね。…ロックは、優しいクポ」
慌てて慰めるモグは、ロックの頭を優しく撫でてやった。そう。悲しい戦いは、みんなしたくない。誰だって…。
「…うぅ~…!…助け…て…!…オレ…イヤ…だ…!…こんなの……イヤ……!こんなことになるなら……オレは……」
「…ダメクポ!…やめるクポ…!ロックがいなくなって、寂しがる人は沢山いるんだクポよ!?」
隣に置いてあった剣を手にするロックを、モグは必死で止めた。咄嗟に、ロックの手から剣を奪う。弾みでロックが倒れてしまった。
「…!」
「…クポ…!…大丈夫…クポ?…?…ロック…!?」
「……………うぅ……………」
「…!!ロック!?返事するクポ!」
「……………み………ん…………………………な……」
「…クポ!立てるクポ!?ごめんクポ!痛いクポ?!ボクがしばらくここにいるクポ!平気クポ!」
「………………………うっ………」
(……立てそうにないクポ…?)
床に倒れたままのロックを見て、モグはさらに慌てた。ロックの息が荒い……体に触ってみた。
「…熱、上がってるクポ…!?あぁ~…!ボクのせいクポ!」
「…………………………ハァ………ハァ………」
どうしよう、どうしようと、モグはめちゃくちゃに騒いだあと、ロックがベッドに戻れるよう手伝った。
その後だった。ロックが急に、大人しくなったのは。
続く
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