二次創作小説(新・総合)

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マジカルストーリーFINAL(5)
日時: 2019/12/27 20:20
名前: 3104&休日トリオ (ID: tzg9ExdF)

3104:やーーーーーーーーーーー!!!

アマノカナタ:なんだなんだ!?

3104:やっと最終話です!

ユウザキルリ:なんだかんだ言って、二年近く書き続けてたんだね

ユウザキマコト:そりゃあ疲れるわなオリジナルもだいぶ考えたし

3104:続編書くんでこれからもよろしくお願いします!

休日トリオ:しまーす!!!

Re: マジカルストーリーFINAL(5) ( No.1 )
日時: 2020/01/31 17:16
名前: 3104&休日トリオ (ID: 6DNfJ1VU)

 蘇りの緑 LAST・ADVENTURE

ー……あの日……あの時から、この世界から魔法は消えた。たった独りの人間に負けた三闘神は、ちからを失い、世界から消滅した。オレたちに負けた大魔導士、ケフカは幼児化し、なんとか助かったけど、ケフカが世界にもたらした破壊は、尋常ではなかった。世界の人々の約三分の一が、たった独りの人間相手に還らぬ人となっている。……あの日から、この世界では二年近く経った。向こうの世界では、どれだけ経ったのかな……。あいつは、どうしているかな……ー。
   ★
 幼児化したケフカは、まだ傷だらけのまま、遊び疲れて眠ってしまった。
「………」
「……」
 その横顔を、黙って見つめるロック。
 どこか寂しげな表情が、夕日に照らされて輝いた。
「……すまない……許してくれ……オレも、許してやる……とは言えないけど……ごめん……」
「……」
 その言葉には、誰も応じない。返事の代わりに、ノックが返ってきた。
「……誰?入ってよ」
「……『誰』って何だよ、オレだよ。」
「ピカチュー!」
 入ってきたのはサトシとピカチュウだった。二人(一人と一匹?)は、ロックを心配そうに見つめて歩いてくる。
「…サトシ?なんだ?そんな顔して……」
「お前、だいぶ寂しそうだったからさ、みんな心配してたんだ。」
「……」
「みんなロビーにいるぜ。ケフカが起きたら行くといいよ」
「……うん。」
 とは言ったが、ロックは下を向いている。なんというか……苦しそうだった。
「…どうした?」
「……何でもない。お前には関係ないよ。気にしなくていい」
 何のことか分からない。
 もしかしたら、ケフカのことを気にしてるのか?
 ……こいつ、人の『死』が怖いみたいだから……。
「……うぅ…」
「…あ、起きた」
「なら、行くか」
 サトシたち三人は、ロビーに向かった。
   ★
 三人がロビーに着くと、みんながケフカに声をかけた。何でも、言いたいことがあるみたいだ。
「…あの…ケフカ…」
「……?」
「…この前はごめんね。私たち、あなたのこと…」
「……何のこと…?僕、なんか悪いことを……」
 やはり……。
 …記憶がない。そういうことだろう。今までの悪行も、自分のちからの強大さも、全て忘れているのだ。
 …と、どこからか光が差してきた。一同が光に目を灼かれている時、
「……なっ何だ!?…うっ…」
「……キャアッ…!」
「……助けて…みんな……」
「……レイチェル……また…」
 サトシ、セレナ、ケフカとロックの声が聞こえた。
 光が消える前、ロックは気になる言葉を残した。

『…また……何もできないまま……オレは、泣くしかないの……?』

 光が消えた。
「…何もできないまま…?」
「……泣くしかない…?」
「……あれ…?四人はどこに…」
「もう何なんだ!?どうなってんだよこの世界は!」
 エドガーの声が、マッシュの喚きにかき消された。
   ★
「……おい!ロック!」
「………ぅぅう……」
「みんな無事ね」
「……ここ、どこ?」
 四人は、見知らぬ場所に着いていた。一面に白い花々が咲き誇り、神秘的な雰囲気を作り出している。

『……フフフ……お久しぶりですね、バンダナさん。』

 突然、聞き覚えのある声が響く。この少しおどけたような調子の声は、かつての宿敵の声だった。
 つまり、ケフカの声。
「……ケフカ!」
「……あれは……僕…?」

『……ご名答。フフフ……この世界に私は一人で十分です……。消えてください、もう一人の私』

 そう言ったケフカは、四本の光の矢を、ロックたちに向けて放った。
 もう……ダメだ……!
 ロックがそう思った時……誰かが、四人の前に立ちはだかった。
「!」
「……く…あっ…!」
 甲高い声……幼児化したケフカだ。
「…ケフカ…!」
「……嫌……嫌だ…!」
 倒れたケフカを見て、サトシが名を呼び、ロックの息が上がる。
 もう……耐えられない……。
 ケフカに続き、ロックも倒れた。
「…ロック!」
「……嫌……嫌だ………」
「しっかりして!」
「………嫌だ………怖い…………」
 セレナの声に、ロックは同じことを繰り返す。幼児化したケフカとサトシを見て、涙を流して。セレナはその背中をさすりながら、モンスターボールを投げた。
「…テールナー、『かえんほうしゃ』!」
「テルニャー!」

『無駄です!もう私の目的は果たしました。帰りなさい』

「…待て!オレたちをここに連れてきた理由は何だ!?」
 サトシの声に、ケフカは答えた。

『簡単なことです。あなた方に……最期に会いたかった……。私は、己の悪事に気付いた。』

「…どういうこと…?」

『…さようなら、バンダナさん。そして、異世界の住人たち。』

 ふっと、ケフカの姿が消えていく。
 子供の姿のケフカも、スッと消滅した。
「………嫌…………嫌だ……………」
「……ロック……」
 目の前の景色が真っ白になって、セレナに抱えられたロックがふっと気を失う。
 その体重を支えきれず、セレナの身体が傾ぐ。慌ててサトシがセレナを支える。その間に、元の飛行船に戻ってきたようだ。
「……?」
「…ロック…サトシ…セレナ……?…どうした!?」
 突然現れた三人(と一匹)を、驚きの目で見る仲間たち。
「……ケフカが……殺された……」
「!?だから、ロックは……」
「……ああ。発作が起こったんだ。寝かせよう。」
「…発作…?」
「詳しい事情はあとで。今はこいつを落ち着かせることが最優先」
 双子が何か知っていそうなので、とりあえずはロックを休ませることにした。
   ★
「…ロックは、レイチェルを亡くした時から、人が傷つくのを異常なほど怖がるようになった。そのせいで精神的なダメージを受けると、あんな風にいつも発作を起こした。だから、あまり刺激しないようにしていたんだが……今になって思い出したのかも……とにかく、そっとしておいてやれ。また目覚めて泣いて、疲れてしまうかもしれないから。」
 エドガーの話に、サトシとセレナ、そしてマッシュを除く仲間は頷いた。ロックはマッシュがそばにいると安心するようなので、マッシュはロックの部屋にいるのだ。
「……大丈夫なのかな……?」
「平気だろう。泣き疲れることは仕方ないが、しばらく休めば良くなるだろうし」
 セリスの声に、セッツァーは言った。セッツァーの頭には、なぜかモグが乗っている。
「…せめてもっと泣かない人でいてほしいクポ」
「…そんなこたぁ関係ねえよ!」
 ……なんなんだこのでこぼこコンビ……と、サトシとセレナ、ティナは思う。ピカチュウも、呆れ顔で見ている。
「…まあ、あいつが元気になるまで、そっとしとこう」
 サトシが言い、一同は賛同した。
   ★
 マッシュはロックを見る。
 先ほどよりはかなりマシだが、まだ荒い息を繰り返している。
「…変わんねえな、お前。」
 そう、変わらない。その容姿も、輝く銀髪も、涙も……。何も変わらない。
 ただ一つ、変わったことがある。こいつは強くなった。もう負けない。もう簡単には泣かない、諦めない。
 マッシュは、ロックの胸に手を当てる。あの時と同じようにして。
 あの時と同じ、とくん、とくんと少し早めの鼓動が伝わってくる。
「……」
 眠っているはずのロックの手が、マッシュの手を包み込む。
 そう、これもまたあの時と同じように。
 とく、とくと少し遅くなった鼓動が、なおも伝わってくる。やはり、あの時と同じように。
「…本当に、変わらない。なにも変わらないな」
 とっ、とっと正常になった鼓動。
 静かな寝息。
 やはり、マッシュがいると、安心するのだ。
 マッシュは起こさないように、そっと手を引いた。
「……まるで、あの時に戻ったみたいだな。」
 独りにすると、また泣いてしまうのだろうか。それとも、このまま眠っているだろうか。
 あれから八年か……。
 信じられないほど早く、時は経つ。双子がロックと出逢った時より、ロックは遥かに成長していた。
   ★
 二日後。
「…だいぶ落ち着いたな。もうそろそろ目を覚ますだろう」
「……エドガーは、ロックが怖がっていることを知っていたの?」
 ロックの部屋で、セレナはエドガーに問う。ロックの部屋には全員が揃っている。
「…まあ、長い付き合いだからな。こいつの得意なこと……嫌いなこと……ほとんど把握しているとは思うな。」
「…つまり、ロックが発作を起こすことも知っていた?」
 ティナが言う。エドガーはマッシュと顔を見合わせ、苦笑した。
「…そんなわけないさ。昔からこいつはこうだったんだ。だから、あらかじめ予想はできた」
「……へぇ……」
「……ぅぅうぅ……」
 ふいに、ロックが声を漏らす。目を覚ましたのだ。
「…ロック!どうだ?」
「……うん、もう大丈夫。」
 とは言うものの、悲しい表情である。本当に大丈夫なのか、ちょっぴり不安だ。まあ、仕方がないのかもしれないが……。
 体は大丈夫そうなので、サトシとマッシュを残し、仲間たちは解散した。
「……ねえサトシ」
「…ん?」
「……いつまでここにいるの?」
「……うーん……お前が元気になるまで、かな。帰り方は…分からないけど」
「……!」
 サトシの言葉に、ロックは下を向いた。マッシュが言う。
「…誤解するなよ。別に死んじまう訳じゃないし」
「……」
 トラウマがある者は、それに関するものには実に敏感なものだ。
 別れの話に耐えきれなくなり、ロックは跳ね起きて駆け出した。目を閉じて、部屋の外に出る。
「おい!どこ行くんだ!?」
「マッシュ、オレ追いかける!みんなを呼んでくれ!」
 ロックを追い、サトシも駆け出す。マッシュはその背に叫んだ。
「頼む!」
   ★
「……ハァ……ハァ………ハァ……」
 ロックは走り続けた。肺が痛くなるまで息は上がり、苦しい。それでも走り、あるところで立ち止まった。
 出逢いの日の、鏡の前で。
「……ゼェ……ゼェ……ゼェ……」
「…ロック!!」
 胸元を押さえ、鏡の前で立つロックに、サトシが追い付いた。ロックの体を支え、優しく声をかける。
「大丈夫じゃないじゃん。ほら、帰るぞ。歩けるな?」
「……うぅ………」
 涙を流すロックの肩は、激しく上下していた。サトシはロックの背中をさすり、ゆっくりと歩く。ロックに歩調を合わせ、ゆっくりと。
「………っ……」
「…ごめんよ。余計に無理させて。もうすぐみんなが来るから、頑張ってくれ」
「………う……」
 サトシの耳元で、ゼェゼェという激しい呼吸音が続く。泣き声も続く。
「…おーい!!」
「…みんな!」
 セッツァーの声に、サトシは立ち止まった。
「…ロックは!?」
「…無事だよ。走ったから、疲れてるみたいだ」
 一同は急いで戻り、ロックを休ませた。
   ★
 泣き声が響く。いつまでもいつまでも続きそうなペースで。
 その様子を、サトシとマッシュは見つめている。もういい加減倒れそうなロックを。ほんと、そろそろヤバいんじゃないのか。
 エドガー含める仲間たちはロックを慰められず、肩を落として去っていった(特にエドガー、なに言っても聴いてくれない)。
「……困ったなぁ……」
「…ん…まあ、分かるけどな……」
「……ぅぅ……」
 もう目が真っ赤である(ほんとの意味で)。頬も体温上昇で赤い。マッシュはロックを横にさせ、またその胸に手を当てた。
 こういう時はこれが一番手っ取り早い方法である。
「……っ!」
「…平気だ。今ここで、何も怖いことなんて起こっていない。泣かなくていい」
「……」
 無言になったらこっちのもんだ!
 何も言わなくなったということは、こいつにとって眠くなった合図……。これでしばらくは、倒れる心配もない。
 ことんとロックが眠った。
「………」
「…よし。なんとかなった。ほんとこいつって……何というか、しつこいというか…?」
「……ていうか、ロックに何したんだ?急に寝たけど」
「ああ、これ……なんか、昔からこいつ、オレにだけ妙に懐いててさ。こうやって胸に手を当てると、安心してすぐ眠っちまうんだ。兄貴がやったことあるけど、ぎゃんぎゃん泣くばっかりで何も変わらなかった。」
「…不思議だな、ロックって。前から変わってないってことだろ?」
 眠ったロックの胸元から手を引き、布団を掛けたマッシュは、サトシの声に苦笑した。
 それは…変わってないけど…。
「……こいつ、すごく強くなった。もちろん今だってすぐ泣く気弱なやつだけど、出逢った時……ケフカにボコボコにされてた時より、すごく強くなってる。」
「……オレは…ロックは今でも強いと思う。ケフカと戦った時だって、あんなに弱ってたくせに、ロックは初めてケフカに勝ったんだろ?」
「……そうだな」
 そうだったんだ。きっと、そうだった。
 こいつはこいつなりに、しっかり成長していたんだ。
「……オレたち、ロックが元気になったら向こうに帰るよ。」
「…外にある鏡のことか。」
「…来るときと同じように、鏡に触ったら帰れるんじゃないかな……と思って」
「…向こうには仲間もいるだろう。ロックが起きたら言っておく。最後くらい泣かずに、な。」
 …いいや、こいつはきっと泣く。
 でもそれは、悲しみじゃない。成長の涙だろう……きっと。
 マッシュはロックの頬に触れる。暖かく、柔らかい。少しだけ、ほんの少しだけ涙で濡れているけれど、とてもとても暖かかった。
 優しさに溢れているこの少年は今、悲しみも抱えているけれど笑顔も持っている、とても強く、そして弱い存在だった。
   ★
 次の日。
 ロックが一番嫌う、別れがやってきた。鏡のそばで、泣く泣く飛行船から出てきたロックを、マッシュはやっぱりという顔で見た。
「…ロック…」
「……分かるけど、耐えるクポ」
 心配そうにロックに駆け寄るセリスとモグ。
 二人と一匹、鏡の前に立つサトシとセレナ、ピカチュウ。
「……しょうがないなぁ……」
 マッシュはロックの肩を抱き、よろける体を支えてやった。まだ全快ではないのだ。
「…なあ。泣くなよ。」
「……!」
 サトシはロックの胸に手を当てた。突飛なことに驚いたロックが一瞬、動きを止める。
 あくまでもマッシュの真似だが、これで笑顔になってくれるなら、それでいい。
 とくん、とくんという、速めの鼓動が感じられる。
「…もう会えないってわけじゃないだろう?」
「…そうよ。またいつか会えるかもしれない。」
「…………」
 サトシとセレナの言葉に、ロックの流れる涙が止まる。
 とく、とくと鼓動がスピードを緩める。
「…だから、泣くな。」
「………………うん…………もう、平気。」
「……そうか。良かった。」
「……えと………これ………」
 涙に耐えたロックがサトシに手渡したのは、青いバンダナだった。ロックが頭に巻いているものと同じ……。
「……いつでも……これで一緒にいられるね」
「…ハハッ。ああ、そうだな。」
 サトシの笑顔に、そこにいたみんなが笑った。ロックも、久しく笑った。
 セリスはセレナに星のチャームが付いたペンダントを手渡した。二人して微笑み合った。
 そして、サトシとセレナ、ピカチュウが鏡に手をかざす。あの日と同じ輝きが、辺りを包む。
 やがて輝きは消えて、ロックは名残惜しさを残しつつも笑顔を崩さなかった。
   ★
ーそう、あの日からこの世界では二か月。ロックたちはどうしているかな?あいつはやっぱり泣いているのかな?ちょっぴり心配だな……。でも、みんななら大丈夫。どんなに悲しくたって、越えていける……ー。
 ロックはサトシに、あるメッセージを残した。
 そう、あの青いバンダナに、白い文字で。
『サトシへ
いつも迷惑かけてごめん。オレとは違って、お前はすごいや。時々、辛くて、悔しくて、苦しくて、息ができなくなることがあるかもしれない。でも、オレみたいに、自分から逃げたりしないでくれよ!お前は、オレの目指す人なんだから。』
                                               
 そして、セレナにもメッセージが。セリスからだ。
『頑張れ!独りじゃないから!』
 あの小さな星のチャーム(三センチ程)に、とても小さな文字で、こう書かれていた。
 今、二人は仲間と合流し、また旅を続けている。
 別世界での思い出を胸に……。
              The END

 
 
 



 

 


 


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