二次創作小説(新・総合)
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- G clef Link 読み切り版 ボカロ二次創作
- 日時: 2020/01/18 21:25
- 名前: History of HM (ID: KG6j5ysh)
- 参照: https://piapro.jp/hidekifxdwg
【G clef Link】
私が小さいころ、お父さんが教えてくれたことがある。光と闇はいっしょになれないけど、いつかお互いにわかり合える日がくると思うんだ。
いつも争ってばかりだと良いことなんて何も起きないし未来へ進むこともできない。難しい問題だけど、お互いを認めあって助け合える日がくれば良いな……って、僕は思うんだ。
「おとうさんは、ヤミがこわくないの?」
恐いよ…すごくね……。
「ふふふふっ、おとうさんもヤミがこわいんだ〜っ。あっ!だったらね、ミクが大きくなったらおとうさんとおかあさんをヤミからまもってあげるよ」
ありがとう。はやくミクが大きくなってくれる日を僕は待っているよ。
「うんっ!おとうさん。ミクが大きくなるのまっててね!!」
夜空の星が輝く屋根の下で眠ろうとするなかでの会話だった。でも、小さい頃にしたお父さんとの約束は果たせなかったの……。
†プロローグ†
光と闇は表裏一体である
光は人々に勇気と希望を与える
闇は人々に恐怖と絶望を与える
光は世界に平穏と復興をもたらしてくれる
闇は世界に不穏と破壊をもたらしてくれる
世界はひとつだけではない
さまざまな世界が光と闇を通して繋がっていく
光と闇が衝突する時、世界は異界から変革する
G clef Link
ジークレフ・リンク
闇の勢力が力で光の世界を混沌に陥れようとする時、繋がりを持つ光の者たちが闇へと立ちむかうのだ
これは、繋がりがきっかけで世界を巡る旅をする少女たちの物語…………。
- Re: G clef Link 読み切り版2 ( No.1 )
- 日時: 2020/01/18 07:41
- 名前: History of HM (ID: Me0ud1Kf)
それはミクが16歳になった日のことだった。
「朝よ〜っ、おきなさい。わたしの可愛いミクや〜っ」
「うっうぅ〜ん……zzz」
小鳥たちの囀りが響くとともに窓から入る朝の優しい太陽の陽射し。一日の始まりには、うってつけな今日のこの頃。ログベッドの上に敷いたフカフカな羽毛布団のなかは、ヒトを眠りから覚めにくくする魔の領域だ。
そんな状況のなか、優しく我が娘を起こそうと健闘するお母さんの姿があった。
「ミクちゃ〜ん。今日はあなたにとって大切な日なのよ〜っ」
「zzz…zzz……おやす〜みなさい〜っ♪」
※元ネタはOSTER projectさん【おやすみのうた】※
「ほっんと、この子ったら…しょうが無いわね」
布団のなかは夢いっぱい、夢みる娘は寝言で朝問答。お母さんの思考回路は即座にコマンド【はぎとる】を選択し、わが子が眠る魔の領域を0.3秒ですくい上げた。疾風を斬るが如く、素早い手捌きで剥ぎ取った布団が部屋の宙を舞う。
するとどうだろう?。ドシンッ!? という音が寝室に鳴り響くと同時にミクはログベッドの上から落ちてしまったのだ。
「イタタタ…タッ、あっ! お母さん」
パジャマ姿で腰を擦りながら頭を見上げると、両腕を組んで佇むお母さんの姿がそこにはあった。
「おはようミク。お母さんね、さっきのコマンド【はぎとり】のおかげで熟練度レベルが99に上がったわよ」
「すっ…すごいねお母さん。私、お母さんを尊敬しちゃうわ」
「ほんとにもう、布団をはぎ取る熟練度なんてお母さん、上げたくなかったわよ」
「そっそうなんだ…私は早起きの熟練度をあげなくちゃね」
「そうよ、今日からあなたは旅立たないといけないのにお寝坊さんのままじゃ、いっしょに旅をしてくれるお友だちに悪いわよ」
「うん…そだね……」
ここでお母さんの言う「お友だち」とは、同じ村のなかで住んでいる幼なじみのことである。
「ほら、身支度をしてあげるから顔を洗ってきなさい」
ミクは言われたとおり、立ち上がってから洗面台にへと歩んでいく。
朝の日課、洗面台で鏡チェック。翡翠色をした自身の長髪が寝グセで所どころハネあがっており、だらしなさを演出している。おまけに瞼は寝ぼけ眼だ。
「あっ‼ 魅力がマイナス10になってる」
このままではいけない。すぐさま水で顔を洗って歯を磨き、髪の毛を手入れしようとすると。
「はいはい、セットはお母さんがしてあげるよ」とお母さんが協力しにきてくれた。
翡翠色の長髪をヘアブラシで梳かしてくれるお母さん。それは優しさと愛情が合わさったものだが、同時にブラシで髪を梳かす手には寂しさが見え隠れしている。
特別な日だと言う今日は、娘を家から送りださないといけないと言うことでもあるからだ。
「できたよミク」
「ありがとうお母さん」
ミクの髪型が左右対称のツインテールになった。オマケに防具として、おでこから後頭部にかけてバンダナを巻いてくれた。
[ミクの魅力が15あがった]
服装も旅にでるためパジャマ姿から動きやすいものへと変わり準備が整っていく。さらにお母さんは、あるモノを手渡してくれた。
「あとはコレよ。死んだお父さんが残していってくれたお守り」
そう言ってお母さんが渡してくれたモノは首飾りだった。首飾りはト音記号と呼ばれるモノの形をしており、首から巻くとちょうど心臓部の前にくるようなっている。
また、エメラルドに輝くこの首飾りはお守りであると同時にミクにとって大切なモノでもある。
「あなたの旅は、このジークレフが導いてくれる。ほらっ、さっそくジークレフが震えだしたわよ」
ジークレフがミクに装備されると共鳴と共振がはじまっていた。なにかの道しるべなのか?
ジークレフの反応は次の目的を示している。
- Re: G clef Link 読み切り版3 ( No.2 )
- 日時: 2020/01/18 07:44
- 名前: History of HM (ID: Me0ud1Kf)
「まずはお友だちのお家に行くのよ」
「わかったわ」
ミクが家をでると向かう先は、自宅より約12.27メートル離れた位置に建つ1件のお店。そのお店はこの村で唯一の食堂であり、しかも昔から家族ぐるみで付き合いのある友人。ミクはまだ営業の始まっていない食堂の出入り口の前に立つと扉をノックした。
『コンコンコン』
「ごめんください。薬屋からきましたミクです」
「はーい」
ガチャ……と扉の開く音がすると出迎えてくれたのは、お友だちのお母さんである。
「あら、ミクちゃん。ウチの双子があなたを待っていたわよ」
「それはすみません。私、ちょっと寝坊しちゃいまして」
ミクはお友だちのお母さんに受け答えながら頭をポリポリ掻いて恥ずかしそうにしている。
「あなたが旅だったらサキちゃんも寂しくなるわね。私も、ウチのなかが静かになるから寂しいわよ」
「そうですか。アサミさんも寂しくなるんですね」
「そうよ。わが子との別れは寂しいもの。けど、旅がツラくなったら何時でもウチに来てね。お代はいただくけど、なにか美味しいモノを食べさせてあげる♪」
「はっ…はい」
ミクは思った。いくら家族ぐるみの付き合いのある食堂だと言っても都合良くタダ飯にありつける筈はないとだ。そうこう会話を交えていると食堂の二階からお友だち2人の会話が聞こえてくる。
「ちょっと早くしなさいよ、あんた。お迎えがきてるんだからさ」
「まっ待ってくれよ。なんで僕がリンのぶんまで荷物を持たないといけないんだよ」
「あったりまえでしょ。レン、あんたは男の子なんだからレディの荷物を持つのは当たり前なのよ」
「理不尽すぎるよ。これから同じ旅をするのに」
階段から降りてきたのはミクの幼なじみである双子の姉弟リンとレン、歳は14歳。お転婆でいつも勝ち気な姉のリンと少し控え目な性格だけど冷静沈着なレンからなる2人。
小さい頃から仲良く遊んでいた2人が、同じ旅をする仲間だと思うとミクは心強くなっていた。
「あっ!ミクちゃん。おはよーっ」
リンはミクの姿を見ると元気よくハイタッチしてきた。これは彼女なりの挨拶で、とくに仲の良いヒトにしか行わないリアクションである。
「おはようリンちゃん。今日も元気いっぱいね」
「あたしはいつも元気よ。ほらっ、あんたもハイタッチで挨拶なさい」
リンはレンに挨拶を催促した。
「おっ…おはよう……」
だが、その挨拶には第三者が見ても恥ずかしさがあるのがわかる。
「おはようレンくん」
同じようにハイタッチを交えるが音に響きがない。
「レンッ‼ あんたね、挨拶の魔法も知らないの?。そんなんじゃ、ミクちゃんに失礼よ」
「うっ…うるさいな。僕はまだ寝起きだから調子がでないんだ」
「寝起きって言うけど、あたしより早く起きていて寝起きはおかしいわよ」
「おかしいのはそっちだろ?。朝から僕がリンを起こして身支度も手伝ったし、おまけに荷物はぜんぶこっち持ちだ。リンのお世話で僕は疲れたんだよ」
「なによそれ?。自分が挨拶しないのも、あたしのせいだって言いたいわけ?」
「そうだよ。リンのせいで朝から元気ないんだ」
「このダメ弟っ!!」
なんと!?、これから仲間になるお友だち2人が姉弟喧嘩をはじめてしまった。突然の展開にミクは“あたふた”するだけで何もできない。
しかし、この姉弟が喧嘩をするのも、よくあるパターンなのでミクは喧嘩が終わるのを待つことにする。
「あんたたちっ!!」
とつぜん響きわたる怒鳴り声、それは双子のお母さんの口からだった。ギクッ!?と身体を震わせ反応する2人にこう言った。
「村の長老が、あんたたちを待っているからとっとと旅立ちなっ!。それにお守りも忘れないのよ!」
とお母さんが双子にイエローのジークレフペンダントを手渡した。
「ミクちゃんのと違って半分になってるけど、それは2つで1つだって意味だから仲良く行きなさいってことよ」
『はい…わかりましたお母さん』
双子らしく声を揃えて反省するリンとレン。姉弟にとって怒ったお母さんの存在は絶対的恐怖であり、逆らうことなんてできない。
反抗期真っ只中の年齢でもあるが、お母さんは女手一つで今日まで育ててくれたヒトでもあるので無駄な迷惑はかけたくないと実はひっそり思っている。
「ゴメンねミクちゃん。これからウチの子らが、あなたに迷惑かけると思うけど許してね」
「いいんです。賑やかな2人がいっしょに居てくれたら、私の旅も淋しくありませんから」
「そう?ならよかった。じゃあ、リンとレンをよろしくね」
ミクの旅にリンとレンが加わった。すると3人がお守りとして首から提げるジークレフが輝きだした。キラキラと静かに光りを放ち、聴く者に静かで癒やしを与える旋律が流れていく。
3人は目を閉じてジークレフから鳴る音色を聴いた。旋律の音色は初めて聴くが懐かしさを与え、優しさと思いやりの心を育んでゆく。
「……長老さんのところへ行こっか?」
「うん、行こうよミクちゃん」
「長老さん、村一番の早起きだから早く行ったほうがいいと僕は思うよ」
こうして3人となったミクたちは食堂をあとにし、村を治める長老と呼ばれるヒトの家へ向かうことにした。
- Re: G clef Link 読み切り版 ( No.3 )
- 日時: 2020/01/18 07:48
- 名前: History of HM (ID: Me0ud1Kf)
食堂を出てから3人は村を治める長老の家についた。中へ入るとハゲ頭で白く長い髭を足下付近まで垂らした長老が椅子に座って待っている。
「おお〜っ、待っておったぞ聖者たちの子よぉ〜っ」
力弱く擦れた声で椅子から立ち上がる長老は、身体を『“プルプル” “プルプル”』と震わせながらミクたちに歩み寄ってくる。膝から下は『“ガクガク”』で今にも倒れそうな勢い。
「おじいちゃん、年なんだからムリしないのよ」
「こらっリン。長老さんに失礼だろ」
「えぇんじゃレン。リンはわしにとって可愛い孫みたいなもんじゃ。リンに限らず、レンやミクも可愛い孫みたいなもんじゃ。いや、このニルスの村すべての住民がわしにとって孫みたいなもんじゃ」
「あのさ、おじいちゃんの話ってちょー長いから早くすましてくんない?」
「ほおぉっ!? ひ弱な年寄りにも容赦なくツンツンしとるとこが、また一段と可愛いのぉ〜っ」
村の長老が喜んでいる。かなりヤバいヒトじゃないのか?と云う印象をレンに与えていた。
「おほんっ! では可愛いリンのリクエストに応えて言うぞ。おまえさんら3人の両親たちはなその昔、光りの聖者として闇の勢力と戦ったんじゃ。ミクのお父さんであるクリスはエメラルドジークレフの持ち主として世界の枯れた大地へ緑を与えた。リンとレンのお父さんであるガイアはイエロージークレフの持ち主として人々に陽気を与えた。つまりじゃ闇側が光側に何かしら悪さを仕掛けてきたら、世界は混乱に満ちてしまう。それを防ぐのがジークレフを持つ者の使命であるんじゃよ。それにジークレフを持つ者は、お前さんらの住むこの世界だけではない。かつての賢者たちもジークレフの導きに従って、いろんな世界を旅し仲間を手に入れたんじゃ」
ジークレフの持つ力は光り側の世界に平穏をもたらせることにあると長老が説明した。お守りとしても意味があるジークレフの力は、選ばれし者にしか力が働かないと力説する。
「そういえばミクちゃんさ、おこづかいとか貰ってる?」
「ううん、私は貰ってないよリンちゃん」
「それはちょっと困ったわね」
「わしからの大事なお話し、聞いてないし〜っ。おじいちゃんショックだよ〜っ。巷で話題の老後資金問題よりショックだよ〜っ」
※この物語に老後資金問題なんてありません※
「あっそうだ♪」
リンは、なにかいいアイデアを思いついた。
「ねえ、おじいちゃん。これから、あたしたち旅をするんだけどお金がないの。だからお金ちょうだい!」
リンは【コマンド】から特技【おねだり】を選択した。特技コマンド【おねだり】は、年上の男性から自分たちの必要なモノを貰うことのできる特技。魅力が高いことと独り暮らしで寂しい男性からだと成功率があがる。
「むむっ!? しかたない。これはわしからの餞別じゃ」
リンのおかげでミクたちは長老から39Gのお金を貰うことができた。
「お前さんら3人は、わしからのお小遣いが安いっ!と思っておるかもしれんがお金を稼ぐことは簡単ではないぞ。バトルで敵となるモンスターを倒したとしてもお金は手に入らない。敵を降参させて和解するか、特技を使ってなにか貰うかせんとダメなのじゃ。それに職業安定所へ向かって仕事の依頼を受けねば、安定した収入などこの世界に存在せんからな。さらにまた……」
「あのさ、おじいちゃん。さっきも言ったけど話ながすぎだから、あたしたちもう行くね」
「クスン…もう行ってしまうのか……?」
「うん。おこづかいを貰ったら、おじいちゃんに用はないしね」
「……わかった。ならばもう一つ、わしからの餞別をやろう」
長老はついに別れのときが来てしまったと悟り、涙ながらにミクたちへ綴りになった1冊の書物を手渡した。
[旅の手引き〜これであなたも立派な冒険者]
「この書物には、わしが伝えたかった事がすべて書いてある。旅の途中で?マークが頭に浮かんだなら、その書物を開いてじゃな……」
「ありがとう。じゃあねバイバーイ」
ミクたちはリンが先陣をきって長老の家をあとにした。貰うモノを貰ったら“次の行動は素早く”と考える彼女なりの判断だ。
「ふむっ……わし、必要じゃったか?」
長老がミクたちを見送る後ろ姿には哀愁の風が囁いており、寂しさで胸が締め付けられそうである。そんな状況を尻目に自分たちの育ったニルスの村から外の世界へ一歩踏みだした3人。ミクがリンとレンの2人にこう言った。
「私、やっぱり長老さんの言ってたことが気になるから旅の手引を読んでみるわね」
「それ僕も気になってたんだ」
「じゃあどうぞ、読んでくださいミクリーダー」
ニルスの村から外へ出た瞬間に[旅の手引き〜これであなたも立派な冒険者]の1ページを開いた。
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