二次創作小説(新・総合)
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- 戦闘中~鬼~【完結とお知らせ】
- 日時: 2020/04/16 21:25
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
戦闘中頂上の決戦!過去最大の参加者、1兆円という破格の賞金の獲得を夢見て、数多の者達が頂上を目指す! 賞金を手に入れるのは誰なのか。
参加者一覧
高坂穂乃果 園田海未 南ことり 小泉花陽 星空凛 西木野真姫 矢澤にこ 絢瀬絵里 東條希
高海千歌 渡辺曜 桜内梨子 黒澤ルビィ 国木田花丸 津島善子 黒澤ダイヤ 松浦果南 小原鞠莉
上原歩夢 桜坂しずく 中須かすみ エマヴェルデ 宮下愛 優木せつ菜 天王寺璃奈 近江彼方 朝香果林
月野うさぎ 火野レイ 水野亜美 木野まこと 愛野美奈子 天王はるか 海王みちる 土萌ほたる ネフライト
ケンシロウ ラオウ トキ ジャギ レイ シュウ ジュウザ サウザー ユダ
キン肉マン テリーマン ロビンマスク ラーメンマン ブロッケンJR ウォーズマン キン肉アタル キン肉マンマリポーサ キン肉マンゼブラ
花形満 オズマ 星飛雄馬 ミスタークエスチョン ミスターX 嵐虎之介 タイガーザグレート ザサード オスカル
相田マナ 平光ひなた 青木れいか ルールーアムール レジーナ 沢泉ちゆ 東せつな 花寺のどか 天ノ川きらら
ねこ娘 ゲゲゲの鬼太郎 目玉親父 一反木綿 砂かけ婆 ねずみ男 ぬりかべ アニエス 犬山まな
シャガール 保登心愛 鹿角聖良 鹿角理亜 綺羅ツバサ 翠星石 薙切えりな ユニ シエル
鋼鉄参謀 ドクロ少佐 ドクターケイト 狼長官 ジェネラルシャドウ 岩男爵 隊長ブランク マシーン大元帥 ヨロイ騎士
不動仁王 カイザー ジャドウ メープル 星野 美琴 ラグ マロン
ヨハネス
クロノスエボル エイジア 港未来ひいろ おろさん ウィオ 新田 ヘキサ konakun モンブラン博士
応募用紙>>1
予選は普通のドッジボール
球は1人につき1球
命中するか球が地面に落ちたら脱落とする
外したら狙われる確率と脱落率が非常に高くなる
本戦
生き残った参加者たちでバトルロイヤル。つまり普通の格闘戦。
本戦対戦表>>48
- Re: 戦闘中~鬼~参照1000突破! ( No.96 )
- 日時: 2020/04/16 20:02
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
エイジア「正直言って俺はここまでの2試合で体力を殆ど使い果たして、属性技の応酬ができそうもない。だから観客の期待を裏切るかもしれないけどよ……
青木れいか、いや、キュアビューティ! 俺はお前に真っ向勝負を挑みたい!」
ビューティ「あなたがそう仰るのでしたら、その流儀に応えましょう」
エイジアはアイアンオーラで鉄の塊を剣に変化させます。ビューティも同じく氷の刃を形成します。両者はゆっくりと、けれど確実に歩みを進め詰め寄ります。
剣と鉄。男と女。育った環境も何もかも違う2人が、次の試合へ進むべく決闘します。どちらともなく剣を振り下ろし、鍔迫り合いになるエイジアとビューティ。
摩擦で火花が散り、どちらも歯を食いしばった厳しい顔で打ち合います。
一合、二合と剣を合わせる彼らに言葉による交流はありません。その代わり、打ち合いという形でコミュニケーションをしていました。息が弾み、汗が流れ、滑り合い、接近しての剣戟が続きます。
何度目かの剣を振り下ろしたエイジアでしたが、ビューティはそれを受け止め、薄いはずの氷で機械の剣を弾いてしまいました。これでエイジアは無防備です。
しかし彼は闘志を衰えさせることなく鉄拳を見舞いますが、ビューティは跳躍し膝でもって拳の初動を止め、空いている左足を伸ばし少年の顎を蹴り上げます。完璧に食らった少年は怯みますが、まだダウンをしません。
ギリギリで踏ん張り耐えています。
これができるのも、闘志が燃えているからです。
「はああああああああッ!」
ビューティは勇ましく吠えますと、少年の頬に全力の蹴り。少女のブーツの先が頬にめり込み、少年は遂に横転しました。
試合終了の鐘が鳴らされ、ビューティはほうと息を吐き出しました。
額には薄っすらと汗が流れ、気が抜けた様子が見て取れます。
そして剣を収め、まだ気絶しているエイジアに優しく微笑み。
ビューティ「エイジアさん、あなたの作者さんとしての意地、見せて貰いました」
第1試合
青木れいかVSエイジア
勝者 青木れいか
- Re: 戦闘中~鬼~参照1000突破! ( No.97 )
- 日時: 2020/04/16 20:38
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
ラーメンマン「うおわあああああああ~ッ」
第2試合、試合がはじまってたったの5秒後、心愛が放ったジャンピングパンチがラーメンマンの両膝を突かせました。戦闘中が開始されて初めて彼が膝を突いたので、観客達は何が起こったのかと目を合わせます。困惑したのは心愛も同じでした。パンチが当たったかと思ったらいきなり絶叫したのです。ラーメンマンが左こめかみを抑えています。よく見ますとぼんやりと4つの穴が浮き出てきました。それは次第にはっきりとした形になっていきます。4つの穴の正体は嘗てラーメンマンがウォーズマンと戦った際に彼のスクリュードライバーによって抉られた古傷なのです。無敵と思われるラーメンマンですが、左こめかみだけはそれ以来、唯一の弱点となっていました。七転八倒するラーメンマンに、心愛はゆっくりと近づいてフォール。
審判「1、2.3!」
あっさりとフォールを奪い、試合時間35秒で勝利を手にしてしまいました。
心愛「大丈夫ですか!?」
ラーメンマン「心配してくれてありがとう。助かったよ」
心愛「私こそ知らないこととはいえ、古傷を狙ってすみませんでした!」
ラーメンマン「謝ることなど何もない。相手の弱点を狙うのは格闘技者として当然の事。君が責められることも、謝る必要もない。胸を張って、準決勝に進むんだ」
心愛「ありがとうございます。あの……これ、せめてものお礼ですっ!」
少女が渡したのは醤油味のカップラーメンでした。
それを貰ったラーメンマンはニヤリと笑い。
ラーメンマン「いい物を貰った。私はラーメンが大好物でな。これは1兆円にも勝る価値がある。ハッハッハッハッハ」
敗北したものの、どこまでも大人なラーメンマンでした。
第2試合
ラーメンマンVS保登心愛
勝者 保登心愛
- Re: 戦闘中~鬼~参照1000突破! ( No.98 )
- 日時: 2020/04/16 20:59
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
愛「かなちゃんと戦うことになるとはね」
彼方「同好会メンバー同士だけど、勝ちは譲れないのさ~」
愛「わかってるって。かなちゃんがシャガールにした約束はさ。
でも、もし愛さんが勝ったとしてもその約束はしっかり引き継ぐから安心して?」
彼方「それなら嬉しいよ~。でもまだ彼方ちゃんも負けるって決まったわけじゃないからね~」
愛「そっか。そうだよね。アハハ」
和気あいあいとした空気の中で試合が行われました。
彼方はこれまでと同じように愛の拳や蹴りを消力で無効化します。
どれだけ殴っても血の一滴さえ流さない恐るべき防御術です。愛は間合いをとって腕組をして考えました。この分だとどれだけ殴っても有効打にはならないし、自分が疲れる。打撃は無効化できるけど関節技ならどうだろう。
愛は飛び掛かってフライングヘッドシザーズで彼方を押し倒し、すかさず腕をとって腕ひしぎ逆十字固めに極めようとします。しかし彼方も両手をしっかりとクラッチさせて腕が伸び切らないように防いでいます。暫く力を入れ続けた愛でしたが彼方の組まれた手の頑強さに技を外し、肩を竦めてやれやれといった風に諦めたポーズをしました。正面からの打撃もダメ、関節技も通じない。
選択肢が封じられていく中で、愛は誰も思わなかった戦法を考えました。
愛「おりゃああああああ!」
彼方の腕を掴むと渾身の力で上空に投げ飛ばします。
自らもそれを追いかけますと、彼方の腹にボディブローを炸裂させます。
思い切り腹に拳がめり込み、唾を吐き出す少女に愛はニカッと笑いました。
愛「空中では消力は使えないっしょ?」
彼方「痛いところを突かれたみたいだねえ~」
首と膝を掴んで固定し、彼方の腹に自らの膝を突きたて落下していきます。
地面に激突すると膝の槍が彼方のお腹に多大なるダメージを与えていました。
彼方「きゅうぅ~」
軽く血を吐き、目を回して気絶する彼方に愛はにっこり笑って。
愛「お疲れさん! あとは愛さんに任せてゆっくり休んでいてよ!
賞金獲得してシャガールにきっちり渡しておくからさ!」
第3試合
宮下愛VS近江彼方
勝者 宮下愛
- Re: 戦闘中~鬼~参照1000突破! ( No.99 )
- 日時: 2020/04/16 21:17
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
入場してきた狼長官はこれまでと雰囲気を一変させていました。当初の弱気さは何処へやら威風堂々とした風格と足取りでリングに上がります。顔を覆うプラズマを模した飾りからは青白い光が放たれ、眼光の鋭さも増しています。
キン肉アタルは即座に長官の身に起きた変化が只事ではないと見抜いていました。容易に近づけない危うさを秘めているのです。長官はステッキをポンポンと軽く手で鳴らし、威厳のある口調でアタルに語ります。
狼長官「俺を最後の順番にしてくれた運営には感謝している。ここまで待って、ようやく全力を大衆に見せつけることができるのだからな」
アタル「成程。お前はこれまで道化を演じていたわけだな」
狼長官「左様。俺は狼男の魔人。従ってこの体内にプラズマエネルギーが満ちる満月の夜こそ私はデルザー軍団最強の魔人としての本領を発揮できる!」
全身から放出される巨大なプラズマエネルギーをリング全体に纏わせ、狼男は冷酷に嗤いました。相手は超人それも最強と名高いキン肉マンソルジャーを前にしても全く自信が崩れる様子はありません。余程満月時のパワーを信頼しているのでしょう。ゴングが鳴ると長官は牙の形をした爆弾を投げつけました。
狼長官「歯形爆弾!」
大爆発が起き、リングが破壊されます。
狼長官「お前の流儀に則りリングの上で戦おうと考えたが、気が変わった。
俺の戦いは大規模なものになるからな。狭いリング如きでは抑えられん」
ステッキを振るい、高圧電流をキン肉アタルに降り注がせます。
アタル「グッ……この力は」
狼長官「流石は超人。下賤な人間どもとは少しは異なるようだ」
アタル「ベルリンの赤い雨!」
盟友ブロッケンJRの技を使い反撃をするソルジャーですが、狼長官は鋭い手刀をまともに食らっても傷一つ付いていません。
アタル「バッファローハンマー!」
同じくソルジャーチームの一員であるバッファローマンのサポーターを付けた太い腕を喉元に食らわせますが、狼長官は微動だにせず。
アタル「阿修羅稲綱落としーッ!」
空中で自分の両膝と相手の両膝を合わせ、自分の体重を乗せて落下することで大ダメージを与えるアシュラマンの技を発動すると、狼長官は堅いコンクリートに直撃寸前に両手を突いて逆立ちの恰好となり、脳天の激突を阻止します。
狼長官「我にこのような技は効かぬ。無駄なことはやめろ」
アタル「ここでお前を準決勝に進ませれば、多数の犠牲者が出るのでな。
それを食い止める為に俺は参戦したのだーッ」
フライングクロスチョップを受けた長官は冷笑し。
狼長官「下らぬ。下賤な人間など我がペットの餌に過ぎんのだよ」
アタル「同僚と足を引っ張ってばかりのお前にはわからんだろうな。仲間を思いやる絆など」
アタルの全身が黄金色に発光し、元祖友情パワーとも言われる力が発動します。
アタル「業火のクソ力~!」
釣り鐘固めを長官に極め、その体勢で猛回転し急上昇。そして一気に降下し、コンクリートの床に激突させました。
アタル「パナームストレッチ!!」
今度は新田に放ったものとは異なり全力かつ業火のクソ力解放状態で、しかも地面は堅いコンクリートなので威力は数十倍にも増しています。彼が技を解くと、カウントが数えられ始めます。
審判「1、2、3、4……」
コンクリートには巨大な亀裂が走り、うつ伏せに倒れ全身を痙攣させていた長官でしたが、ゆっくりと起き上がり、服に付いた埃を払います。
アタル「何ッ」
狼長官「驚いたか。だが、これは現実だ」
狼長官は胸にAの文字すら刻まれることなく服が汚れただけで立ちがってきました。
狼長官「今の技、普段の俺なら確実に絶命していた。否、俺だけに非ず。ドクロ少佐、ドクターケイト、ジェネラルシャドウと言えど、落命は免れなかっただろう。しかし、満月の光を浴びた俺はお前の技のパワーを吸収し、こうして生き延びる事ができた!」
狼長官「食らえ、プラズマ光線!」
頭部から放たれた光線を受けたアタルはパッタリと倒れ動かなくなりました。白眼を向いて心臓の鼓動は完全に停止しています。
狼長官「グククククク。俺が俺の本気ということだ」
キン肉アタル 敗退
勝ち名乗りを受けた狼長官は掌を掲げ、無数の雷撃を観客席に浴びせます。
たちまち大混乱となり逃げ惑う客達に長官は高笑いをしました。
狼長官「脆弱な人間を甚振るというのはやはり快感だな」
???「お待ちなさい!」
狼長官「お前は」
ビューティ「あなたの身勝手な振る舞い、見過ごせません!」
狼長官「準決勝がはじまるまで大人しくしていれば良いものを。言っておくが、俺はモンブランのように甘くはないぞ」
ビューティ「承知の上です。狼長官、あなたが第1試合から最後の順番に拘り、ルールーを昔の姿に戻したのも全てはこの為だったのですね」
狼長官「左様。試合は少しでも時間を伸ばし、満月まで大会を持たせる為。
ルールーを都合のいい機械人形に戻したのはエイジアと戦わせる為。奴は機械だから電気に弱い。その事実に気づけばエイジアは必ずや電撃を放つと踏んだ。
そして狙い通り放ってくれたよ。彼のおかげで俺は予備のプラズマパワーを充電することができた……万が一、満月まで試合が持たずともある程度の力は発揮できるようにな」
ビューティ「卑劣な……」
狼長官「策士と呼んでくれたまえ」
ビューティ「許せません!」
怒りで突撃するビューティの両肩に長官は触れ、高圧電流を放出します。
ビューティ「きゃ……あああああああああッ」
狼長官「水は電気をよく通すことは知っているだろう。俺はお前にとって天敵なのだよ。水属性を手にした己を後悔するといい。お前は誰も守れぬまま朽ち果てる。ここでな」
ビューティ「わ、私はここまで戦ってきた皆さまの為にも、生徒会長として、プリキュアとして道を進む為にも負けられは――」
狼長官「綺麗ごとでは何も救えんよ」
ビューティ「……ッ」
ビューティの両の眼から透明な雫が流れました。彼女は悔しかったのです。
自分が無力なせいで大勢の人が怪我をしてしまった。この男を止めることができない。みなさん、ごめんなさい。私は道を示すことができませんでした。
青を基調としたスーツは焼け焦げ、腕や足の力は抜け、最後にはガクンと首を垂れました。変身が解除され、ごく普通の女子中学生となったれいかを幾度も踏みつけます。
狼長官「下等な人間の分際で高貴なる俺に逆らったことを後悔するがいい」
ズタボロのれいかを更に蹴飛ばし、壁に激突させます。
既に立ち上がる気力はなく完全にれいかは気絶し、口の端からは血を一筋流していました。上空を雨雲が覆い、バケツを逆さにしたかのような豪雨が降り注ぎます。少女の細い体躯を冷たい雨は容赦なく濡らしていきます。
その時です。駆け足で愛が試合場に飛んできました。
れいかの身体に雨具を被せ、おんぶをして歩き出します。
愛「キミ、随分と悪いことするんだね~」
狼長官「グクククク。俺に怯え、恐怖するがいい。
保登心愛は感謝しても良いのだ。俺のおかげで準決勝を行う手間が省けたのだから」
愛「心愛ちゃんもキミには感謝しないと思うよ。だってれいかちゃんと戦いたかっただろうからさ。人の楽しみを奪うなんて、結構悪い性格してるね」
狼長官「準決勝は俺と争うのだ。せいぜい恐怖に怯え、棄権するがいい」
愛「それなんだけどさ、愛さん考えたんだよね。準決勝はやらないことにして、
アタシと心愛ちゃんの2人でキミと戦うってのはどうかな?」
狼長官「俺は1度に2人あの世に送ることができるということか。
よかろう、その案飲むとしよう」
愛「サンキュー」
宮下愛は表情こそいつもの笑顔でしたが、その心の中には嘗てないほど怒りの炎が燃え滾っていました。これ以上ないほど傲慢で強大な力を振りかざす狼長官は絶対に許すことのできない相手でした。控室を歩きながら、愛はニッと笑って小さく呟きました。
愛「見てろよ狼長官! 散々バカにした人間の凄さってモンを教えてやるからな!!」
第4試合
狼長官VSキン肉アタル
勝者 狼長官
敗退 青木れいか
- Re: 戦闘中~鬼~参照1000突破! ( No.100 )
- 日時: 2020/04/16 21:22
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
運命の決勝戦。108名という過去最大の人数が参加した戦闘中で、いよいよ頂点が決まるのです。狼長官が暴れたこともあり半分にまで観客は減ってしまいましたが、その熱気は高まるばかり。完全決着を望むべく、リングの設置はありません。試合開始と同時に狼長官が手を真上に掲げた瞬間、宮下愛のエルボーと保登心愛のボディアタックが同時に炸裂し、雷撃を落とさせません。
愛「キミの手は読まれているんだよね」
心愛「ですっ!」
狼長官「小癪な!」
プラズマ光線を放ちますと、両者は別々に散って標準を定まらせません。
狼長官「おのれチョロチョロと……」
心愛「あなたの頭は1つしかありません。だから同時に2人を仕留めるのは難しいだろうと思ったのです」
狼長官「所詮は浅知恵に過ぎぬ事を思い知らせてやる」
再び手を掲げ、愛に雷撃を食らわせます。
狼長官「保登心愛とか言ったか。お前は単なる雑魚だ。このチームの頭脳は宮下が務めている。奴さえ片づければお前など恐れるに足りぬ」
心愛「倒せたら、ですけどね」
愛「そうそう」
狼長官「何だと。貴様は俺の雷撃を受けたはず……!」
並の人間ならば一撃で全身を丸焦げにされ命を落としてしまう狼長官の電撃を受けた愛でしたが、その身体には全くダメージは見られません。不思議に思った長官は2度、3度と愛に雷撃を放ちますが、その度に彼女は立ち上がります。
全身が黄金色に発光していないので友情パワーを使ったわけではなさそうです。
一般人のはずの彼女がどうして電気を耐えることができたのでしょうか。薄気味悪さを覚えていますと、愛が謎のタネを明かしました。
愛「アタシの服、キミと戦う前にゴム製にしておいたんだよね」
狼長官「成程、ゴムは電気を通さない。人間にしては少しは知恵の回る――」
心愛「反撃です!」
心愛はにこを倒した時のように幾度も剣を振って竜巻を起こし、長官に突撃します。剣先が胸板に刺さっているのですが男の身体は流血も貫かれる気配もありません。
狼長官「馬鹿め。俺がパワーを吸収する体質に変化したことを忘れたか。お前のエネルギーを全て吸収してやる」
心愛「いえ、計算通りです!」
愛「そういうこと」
いつの間にかバックに回った愛は、両足を長官の足に絡ませ、チキンウィングを極めました。これはウォーズマンの得意とするパロスペシャルです。
全身の関節が軋む音に思わず唸る長官でしたが、汗を流しながら顔には余裕の笑みがあります。
狼長官「こんな技、力で外せば良い」
愛の技から逃れるべくもがきますが、力を加えれば加えるほど増々関節が悲鳴を上げていくのです。
愛「パロスペシャルは力で返そうとすればするほど地獄を味わうことになるんだよ」
相手が能力に過信しパワーで攻めてきたら逆に吸収することで技の威力を高める。皮肉にも長官がこれまでやってきた戦法を意趣返しされているのです。心愛は自由に動く長官の頭部をヘッドロックに極め、頭を締め上げつつ、パンチの豪雨を見舞います。何でもないはずの攻撃に呻き、流血する長官。何かが変だと気付き、空を見上げ、その違和感の正体を悟りました。
狼長官「月が雲で隠れて――」
愛「月がいつまでも顔を出しているわけないっつーの。キミは満月を頼りにしていた時点で遅かれ早かれ負ける運命だったんだよ」
心愛「急激なパワーアップの割に持続時間があまりにも短いんですね」
狼長官「待て、待ってくれ。ま、まさか俺の関節を折る気じゃないよな!?」
愛「おっ、さっきの威勢はどうしたの? 急に弱気になったねえ」
狼長官「通常の俺がこんな技食らったらひとたまりもない。ここは平和的に話し合おうじゃないか」
心愛「散々人を傷つけておいてよくそんな台詞が吐けますね」
狼長官「俺はデルザー軍団屈指の名家だ。金なら幾らでもある。ここは見逃してくれ!」
愛「お金なら優勝したら1兆円貰えるから、キミの金なんて必要ないんだよね」
心愛「ルールーさんを悪にして、れいかさんを痛めつけた罰を受けなさい」
狼長官「嫌だ、頼む、この通りだ。何でも言う事を聞く。だから見逃してくれ」
名家のプライドも何もかも捨て助命を懇願する姿に愛と心愛は、弱い者が巨大な力を得ると増長し、力を失うとここまで醜くなるのかと思いました。けれど、それで技を解くほど2人は甘くはありません。ありったけの力を愛が加えますと。ベキベキボキと長官の腕や腰、足の骨が砕け折れ、断末魔と共に大地に倒れ伏しました。暫くピクピクと痙攣していた長官でしたが、名家の意地を振り絞り立ち上がります。
狼長官「こうなったらお前達ごと地獄へ旅立つとしようかぁ!」
突撃してきた長官を息を合わせたダブルパンチを食らわせ、上空へと打ち上げます。錐揉み回転しながら上昇していく長官は最期の言葉を口にしました。
狼長官「偉大なる星一徹コーチに栄光あれえええええええッ!!」
上空が閃光に包まれ大爆発が起きます。長官の身体は服の切れ端一つ残すことなく跡形もなく消滅してしまいました。
審判「勝者 宮下愛&保登心愛!」
愛&心愛「やったああああああああ!」
2人は108人の頂点に立ち、賞金1兆円を手にしました。
そして試合が終わり主催者の星一徹が歩み寄り彼らに言いました。
星「君達の友情と努力をわしは認める!」
頑固一徹とも言われる星一徹に認められるのは滅多にない名誉なのです。
彼に褒められ2人は少し顔を赤らめました。
愛「で、肝心の賞金は?」
一徹「安心せい。ちゃんとここにあるわい」
一徹が布をとると札束の山が顔を出しました。今まで見たこともない賞金に喜びながらも2人は自分達の務めを果たすことにしました。
まず本大会に参加した参加者全員に100万円ずつ渡しました。
次にシャガールに余った賞金を全額渡したのです。
愛「すごい量だから飛行機でシャガールちゃんの国に送るよ」
シャガール「ありがとうございます!」
愛「いいっていいって。かなちゃんとの約束だし。友達を助けるのは当然じゃん!」
心愛「私も戦闘中初参戦でまさか優勝するとは思いませんでした」
愛「こういうこともあるってことよ。誰が優勝するかわからないから戦闘中って面白いじゃん。そして終わった後は全員でパーティしない?
もちろん愛さんのお店で。ウチ、もんじゃ焼き屋だからさ。
今日はみんなに大サービスしちゃうよ!」
愛の提案に皆は大喜び。
こうしてこの日は翌朝になるまで愛さんのお店で大騒ぎをして楽しく過ごしましたとさ。
おわり。
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