二次創作小説(新・総合)

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Fate/Crossed
日時: 2020/12/22 15:16
名前: ハロー (ID: rGbn2kVL)



____聖杯とは、あらゆる願いを叶える願望器。
 
 過去に存在した英雄を『サーヴァント』として召喚し最後の一騎になるまで殺し合う。そしてその勝者は、聖杯を手にする権利が与えられる。
 異なる時代、異なる物語を生きてきた英雄が、現代に集結し覇を競う。それが____『聖杯戦争』だ。



 ここに、新たな聖杯が顕現した。『聖杯戦争』を始めよう。






________________________


※Fate/、その他型月世界の設定などを使用しておりますが作品を知らなくても問題ないと思います。
※オリジナル設定、オリジナルサーヴァントなどで溢れています。ご了承ください。
※配慮はしますが流血描写など多々あるかと思います。苦手な方は気を付けてください。
※一部サーヴァントの容姿や能力などで他作品のキャラを参考にしている部分があります。
※真名当て、質問、感想、批評など大歓迎しておりますが、できるなら1レスにまとめていただけると幸いです。

Re: Fate/Crossed ( No.1 )
日時: 2020/12/22 17:48
名前: ハロー (ID: rGbn2kVL)


 確か、夏だったか、太陽に苛ついていたのだけは覚えている。ただ止まらない汗に不快感を覚えながら帰路についていた。
 家の近くの公園の前で、ふと立ち止まった。特に誰かがいたわけでもないし、むしろ人の気配を感じなかったのに何かが気になって仕方がなかった。
 
 平日の夕方とはいえ夏の公園に誰もいないということには違和感があるしその時点で立ち止まるのをやめてさっさと家に帰るべきだったんだろう。
 それでも、俺はその場から動かなかった。何かに憑依されたように一歩も動かず公園を見つめていた。





「____何を見てるの、坊や」

 後ろから声がした。底冷えするような柔らかい女性の声だった。腕を流れているこの汗が先ほどとは違うものということだけがわかっていた。


「...あら?どうしたのかしら」


 ようやく体を動かした。結局一度も女性の方を向かないまま家まで走った。息を切らしながら玄関を開け、いつもと変わらない空間に安堵した。あの女性に失礼なことをしてしまったなどと考える余裕すらでてきた。




「...痛っ」 

 突如右手に激痛が走った。帰る途中にどこかにぶつけでもしたのかと楽観的に考えていた。やれやれ傷口はどうだと確認したとき、俺はもう一度冷や汗をかいた。

「なんだよ、これ」

 右手の甲に赤い色をした紋章が浮かび上がっていた。
 慌ててそこをさすっても何もない、まるで初めからあったものかのようにそれは鎮座していた。頭の中で整理が何もされずその体勢のまま固まっていた。



「大丈夫でしょうか?マスター、酷い汗ですが」



 

 その日は、俺にとって忘れられない日になるだろう。
 俺の平凡でささやかな毎日をいとも簡単にぶち壊した忌々しくも素晴らしい日だ。




「......へ?」

「サーヴァント、セイバー。召喚に応じ参上しました。マスター、貴方が私のマスターですね?」


 俺が彼女と出会い、全てが始まった日だ。
 その日は紛れもなく、俺の、俺たちにとっての運命の日なんだろう。







Fate/Crossed


__それは、明日を取り戻す物語

Re: Fate/Crossed ( No.2 )
日時: 2020/12/23 13:20
名前: ハロー (ID: rGbn2kVL)


【夕方/家】
 

 わけのわからないことが多すぎる。手の甲に変な模様がついていると思えばいきなり変な格好をした女の子に話しかけられるとか夢でも見てるんだろうか?

「あ、あの...どちら様なんでしょうか」

 目の前の女の子をじっくりと見てみる。透き通るような金髪に美しい顔立ち、華奢で小柄な体には鎧が身に付けられていてまるで物語の登場人物のようだった。

「どちら様とは...?マスターが私を召喚したのではないのですか?」

 マスター?召喚?この子は何を言っているのか。そういうロールプレイでもしているコスプレイヤーなのか。そう考えていると女の子は首をかしげながら俺の右手を指さした。

「その令呪がマスターの証です。この聖杯戦争を戦う7人のマスターの内の一人であるという何よりの証拠、そのはずですが」

「令呪?聖杯戦争?なんなんだよそれは、ちゃんと説明をしてくれよ!」






「それは私がするわ、セイバーのマスター」

 目の前のとは違う女性の声がして反射的に振り返る。そこに立っていたのは茶髪の女性、俺と同じくらいの年に見える。


「魔力反応があって慌てて来てみれば...。セイバーは取られて、しかもそのマスターが何も知らない一般人なんてね、ついてないわ」

 そう呟くと女性はずかずかと家の中に入っていき俺はあっけにとられながらもなんとかついていく。何が起こっているのか一つもわからないが、この女性が信用できそうなのはなんとなく感じていた。
 ちらりと女の子を見ると、おずおずと俺の後ろをついてくる。その様子が少しかわいらしくて、ずっと張りつめていた緊張感が和らいだ気がした。








「さて...何から話しましょうか」

 まるで自分の家のように自然に椅子に座る女性を横目に俺も対面の椅子に座る。女の子は座ろうとする気配を見せずに俺のそばに立っている。

「ま、まずお前は何なんだよ。この女の子も、急に現れて」

「......そうね、まずは自己紹介しましょうか」

 俺の言葉を聞いた女性は一瞬不機嫌そうな顔をしたがすぐに微笑みに変えて答える。

「私は七星ななほし あきら 。聖杯戦争に参加しようとした魔術師よ」

「魔術師?なんだそれ」

 そんな単語など漫画やアニメの世界でしか聞いたことがない、それに聖杯戦争という単語はこの女の子もさっき話していた。俺の知らない何かがあるということなのか。

「まぁ大体は想像通りよ。信じられないと思うけど、魔術師とはその名の通り魔術を行使するもの。ホントはそれだけじゃないんだけど、それは今必要ではないから省略するわ」

 俺の問いに答え終わったと言わんばかりに微笑みながら見つめてくる女性、七星。

「えと、俺は 天原あまはら 公人きみと 。俺は...その、よくわからないけどこの子のマスターとかいうのなんだよな、そのことについて七星は知っているんだよな」


「____聖杯戦争」


 声色が変わった。一番気になっていたそのことについての説明が今からされるのだろうか。意図せずして体がこわばる。

「あらゆる願いを叶えることができる言われている聖杯、その形とか大きさとかはわからないんだけど、それを求め魔術師たちが繰り広げる争い、それが聖杯戦争」
 
「聖杯...」

「ただしそれはただ奪い合うだけじゃない、一定のルールに基づいて行われる」

 七星はゆっくりとした動きで女の子と俺の右手を交互に指差す。

「それが『サーヴァント』や『令呪』の存在よ」

「サー、ヴァント?」

「サーヴァントとは英雄の魂、聖杯戦争の参加者がマスターとして所有を許された使い魔のこと。聖杯、もしくは令呪を与えられたマスターによって召喚されるわ」

 思わず女の子を見る。この子が英雄の魂であり俺の使い魔?いまいちその実感がわかない。

「そして令呪はサーヴァントとの契約の証であり絶対命令権。聖杯戦争中に3回だけサーヴァントに対して強制的に命令をすることができる」

「命令って...」

「サーヴァントも意思を持っているわ、命令に背くこともあるでしょう。そこで令呪を使えば、自分の思い通りに動かせるってわけ」

 そんなものが今俺の右手にあるのか。そもそも俺がマスターとやらに選ばれたのも謎だ。俺は魔術師でもなんでもないんだぞ。

「ま、待てよ、その聖杯戦争ってもちろん俺以外に参加者はいるんだよな?何人くらいいるんだ」

 七星はそんな俺の言葉に目を見開いたかと思うと声を立てて笑い出した。

「何も知らないみたいだしもうちょっと心の整理が必要かなって思ったんだけど、結構乗り気ね、あなた」

 クスクスと笑っている七星を見ながら右手の令呪とやらを見つめる。未だにズキズキと痛んでるそれを見ていると、ずっと黙っていた女の子が口を開いた。



「...聖杯戦争は、基本的に7人のマスターで行われます。サーヴァントもそれに合わせて7つのクラスにわけられそれぞれ召喚されます」

「クラス?」

「はい、マスター。召喚されたサーヴァントの使う武器や逸話に応じて聖杯はクラスを割り振ります」

 そういえばこの子はセイバーとか言っていたな、それがクラスってことか。

「そうですよね、七星とやら」

「そうよ、セイバー。さすが最優のサーヴァントね」

 最優...?セイバーのことを言っているんだろうか。

「7つのクラスはそれぞれ違う特徴や性能を持っているわ。少し説明するわね」

 そう言うと七星は懐から紙とペンを取り出し絵を描き始める。



「サーヴァントにはステータスというものがあるわ。個々によって違う能力値やスキルで構成されるんだけど、まぁゲームのキャラの様なものと思ってくれて構わないわ。
 まずは剣士のサーヴァント、セイバー。あなたが召喚したその子のクラスよ。最高位の魔力耐性や高い能力値から『最優』として扱われているわ。
 次に槍兵のサーヴァント、ランサー。最速のサーヴァントであり能力値もセイバーに次ぐ高さよ。
 次に弓兵のサーヴァント、アーチャー。宝具の強大さやその単独行動の性能が特徴よ。ああ、宝具ってのは必殺技みたいなもんよ、そのサーヴァントが持つ切り札。
 この3つのクラスは『3騎士』と呼ばれていてできるなら召喚したいサーヴァントね」

 説明を聞くたびに不思議な高揚感で体が満たされる。まだ現実味を帯びてないからかもしれないが俺はこの状況を自然に受け入れていた。

「次に騎兵のサーヴァント、ライダー。高い機動性と強力、または数が多い宝具が特徴ね。その名の通り高い騎乗スキルを持っているわ。
 次に魔術師のサーヴァント、キャスター。最高位の魔術能力を持っているわ。こういっちゃ悪いけど多くのサーヴァントが魔力耐性を持っているからこのクラスで勝ち上がるのは厳しいと思うわ。
 次に暗殺者のサーヴァント、アサシン。サーヴァント自体の能力値は一番低いけど高い隠密性能でマスターを直接殺すことが得意なサーヴァントよ。セイバーを持っているあなたが一番警戒すべきサーヴァントかもしれないわね。
 最後に狂戦士のサーヴァント、バーサーカー。理性と引き換えに能力値を強化する狂化スキルを持っているわ、制御が一番難しいクラスでこれを召喚するのは規格外かただの馬鹿かどっちかよ。

 ...以上、これが7クラスよ。どう、何か質問は?」


「____ええと、七星はセイバーを狙っていたんだよな?でもセイバーは俺がマスターになっていて、どうするんだ?」

「どうするも何も、私はもう不参加に決めたわ。元々命のリスクがあるものだし、セイバー以外で参加するなんてことはしないわ」

 そういいながら肩をすくめる七星。そう考えると少し悪いことをしてしまったかもしれない。何もわからない俺より七星がマスターの方がセイバーにとっても良かっただろう。


「セイバーとそのマスターの顔を拝んですぐに帰ろうと思っていたわ、だけどね」

 そういうと七星は目の前まで近づいてきて人差し指を俺の顔の前で立てる。

「あなたみたいな素人が参加してもいくらセイバーだろうとすぐに死んじゃうだろうし、それはなんかつまらないのよね。いいわ、この聖杯戦争中、サポートしてあげる。よろしく、七星君?」

 さっきのとはまた違う、小悪魔のような笑みを浮かべて七星は宣言する。
 俺がこれからよくわからない殺し合いに巻き込まれること、セイバーっていう女の子のこと、魔術師を名乗る七星のこと、わからないことが相変わらず多いけど、少なくとも汗や右手の令呪とやらは気にならなくなっていた。



「とりあえず、七星とセイバー、もうすぐ親が帰ってくるからとりあえず帰ってくれないか?」

「「え?」」

 こんな状況見られたら何言われるかわかんないし。

Re: Fate/Crossed ( No.3 )
日時: 2020/12/27 13:51
名前: ハロー (ID: rGbn2kVL)


【翌朝/天原家】

「夢、だったら良かったんだけどなぁ」

 右手を見ながらそう呟く。昨日は大変だった、二人ともごねにごねて結局母さんが帰って来てしまった。


『ええと...公人?ずいぶんと個性的なお友達ね、それとも彼女さんかしら?』

 珍しく戸惑っている母さんの顔を思い返すたびに死にたくなる。

「ふわぁ......。おはよう母さん、昨日はその...うまく説明できないんだけどさ___」

 朝食をとるべく言い訳の言葉を絞りだしながら食卓に向かった所で体が固まる。


「おはよう天原君。今日も学校だったわよね、私も一緒に行くわ。」

「おはようございます、マスター」

 悪夢なような光景に頭を抱える、どういうことだよ。

「...母さんは?」

「私たちがいるからって先に仕事に行ったわよ。あなたのお父さんも出張らしいし、大変よね」

 うーん、我が家が急に侵略されてる気がする。解せない思いを抱えながら俺も食卓についた。

「それでね天原君、私たちが朝からあなたの家に来ているのはただの嫌がらせじゃないのよ」

「嫌がらせって言ったよな今」

 まだ知り合ってほんの少ししか経っていないがなんとなくこいつの事がわかってきた気がする。端的に言うと俺の苦手であり嫌いなタイプだ。

「あなたは何故だかわからないけど、聖杯に選ばれて聖杯戦争のマスターになった。まずはその準備をしなきゃね」

「準備...?」

「そもそもあなた、セイバーの真名も知らないじゃない」

 真名?なるほど、確かサーヴァントってのは英雄の魂?ってやつだった。セイバーもセイバー以外の本当の名前ってのがあるのは当たり前か。

「マスター、晶。そのことなんですが、私の真名はしばらく秘密にしても良いでしょうか?」

 セイバーにそのことを聞こうとした瞬間、セイバーから提案が出される。それを聞くと七星は途端に不機嫌そうな顔となってセイバーに向き直る。

「...自分のサーヴァントの真名知ることで、戦略も立てやすくなるわ。逆に相手に真名を見抜かれた時の対策も立てられる。真名がわからないとそれらができないままただあなたを信じて戦うしかないのよ、それとも何か教えたくない理由でもあるのかしら?」
 
「それは...えーと......」

 七星に指摘されたセイバーはバツの悪そうにしている。



「私は、その...、この日本だとあまり知名度がないみたいなので...。真名を教えても誰?って思われると恥ずかしいと言うか...」

「えぇ」

 思わず声に出してしまう。俺はよくわからないけども七星の説明でなんとなく真名を知ることの大切さは理解した。もちろんセイバーも理解しているはずなんだけども...。


「天原君」

「...どうした?」

「この聖杯戦争、勝つの難しいかもしれないわ」

「俺もなんとなくそう思うよ」

「ちょっ!嘘です、教えますから!そんな目をしないでください二人とも!」



Re: Fate/Crossed ( No.4 )
日時: 2021/01/16 15:16
名前: ハロー (ID: rGbn2kVL)


【???/???】


 ___決着がついた、私の負けという形で。
 父から渡された大切な剣は既に折れ、その残骸が地面に散らばっている。......何が私に足りなかったのだろうか。力も、気持ちも負けているつもりはなかったのに、驚くほどあっさりと敗北してしまった。あぁ、なんて情けない...。


「__顔を上げて」

 その声のまま無気力に顔を上げる。全てはこの男の噂を聞き挑戦するために家を出たのが始まりだった。こんな男より、私の方が強いはずだ。そんな浅い気持ちを頼りにこまでやってきたと言うのに、その幕引きがこれでは両親になんて顔向けすればいいのだろうか。

「大丈夫。お前はここで終わりじゃない」

 そう無責任なことを言う男。ふざけるなと言いたかったが、いつまでたっても喉からその言葉はでてこない。まるで、彼が続けて何か言うのを期待しているみたいに。

「もし、これから何もすることがなかったら...」

 もし、私にとっての運命の日はと聞かれたら、迷わずこの日を挙げるだろう。



「俺の旅についてこないか?」

 忠誠を誓った、友と出会った日なのだから。



【日中/学校】


「ふわぁ...眠てぇな」

 あの後セイバーの真名を教えてもらったはいいが俺の勉強不足か聞いたこともない名前だった。もっとアーサー王とか信長とか有名人だったらありがたかったんだけどな。
 ちなみにそれを聞いたセイバーは、

『聞いたことすらないって...』

 と落ち込んでたし黙ってた方が良かったか。七星は知ってたみたいだし。

『へぇ、じゃあ宝具はやっぱりその剣なのね。“どっち”かはわからないけど』

 宝具ってのは、必殺技みたいなもんだと聞いていたけど多分そんな簡単なもんじゃないのはわかった。字面とか七星の反応とかから予想すると恐らく宝具ってのはサーヴァントが生前に持っていた有名な何か、といったところなんだろう。
 でも剣で有名なんてそれこそたくさんいるし、図書室にでも行って調べたほうがいいのか?それに七星の「どっちか」発言、まるで剣が2つあるのを前提としている言い方だ。ここまで絞れたらさすがに誰かわかりそうだけどな。



「天原クンが眠そうなの珍しいっすね、どうしたんすか?」

「色々ありすぎて頭がパンクしそうなんだよ」

 この変な喋り方の女子はクラスで俺に話しかけてくる唯一と言っていい女性、 神座琴音かむくらことね 。こいつに昨日からの出来事を喋ったところで信じてくれるわけないしなぁ、そもそも信じてくれる人なんかいないか。

「あっ、そうだ。天原クンに言おうと思ってたことあるんすよ」

「なんだよ、言っとくが今の俺は大抵のことじゃ驚かない自信あるぞ」

 家では非日常が待っているからな、こういう日常に安心する。心なしか琴音が美人に見えてきた。




「昨日サーヴァントとかいうの召喚して聖杯戦争?に巻き込まれたんすけど信じてくれるっすか?」

「はえ?」

 前言撤回。


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