二次創作小説(新・総合)
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- Re:脱出ゲーム
- 日時: 2021/04/25 18:10
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
第1話 ななもり。編
「ハァ、ハァ、ハァッ…」
俺は雨の降るなか、傘もささずに走っていた。なんでこんな状況になっているのか。話は1時間前にさかのぼる。
1時間前。
俺はやらないといけないことを全部終わらせ、寝ようとしていた。寝室に向かって、明かりを消してベッドにもぐりこんだ時、外から音が聞こえたんだ。この家は周りにほとんど何もなくて夜はものすごく静かだから物音がしたらすぐに分かる。窓からこっそりのぞいたら、車が1台、停まっていた。男たちがぞろぞろ出てきた。一人が持ってた懐中電灯が車を照らしたとき、俺は青ざめた。その車は、俺たち変色者が敵対している秘密警察の車だったから。ドアを閉める音で我に返った俺は父さんの形見である懐中時計と母さんの形見であるペンダントを掴んで寝室に作っておいた小さい出入口から外に逃げたんだ。
…そして今に至る。俺の唯一の居場所だったあの家がやつらの汚い手で荒らされていると思うと胸が痛む。でも、俺があの家に戻るにはまずやつらから逃げ切らないといけない。だから俺はずっと逃げて来たんだ。思わずペンダントを握って今はいない父さんと母さんに心の中で問いかけた。
『父さん、母さん、俺、どうすればいい?』
返事はない。でも、聞きたくなるんだ。こうやって父さんと母さんに問いかけて俺の思う正解へと進んできたんだ。とりあえず休もう。そう思って隠れられる道を探した。しばらく歩いた時、とてもよさそうな脇道を見つけた。俺はその脇道に入って座り込んだ。胸元のペンダントの鎖がカシャリ、と音を立てた。懐中時計を取り出して時間を確認した。今は12時過ぎ。家を出たのが11時くらいだったから1時間くらい逃げてたのか、俺。そう思った瞬間、今までたまってた疲れが一気に襲ってきた。眠いし、疲れたし。でも、寝たら多分やつらに捕まる。俺は呼吸を整えて立ち上がった。行こう。同じとこにずっといるのは危ないかもしれないから。俺はゆっくり立ち上がると脇道から出て歩き出した。
「いたぞ!追え!」
嘘だろ。俺が後ろを振り向くとやつらが追ってきていた。どこで俺のことをかぎつけたんだろう。俺は猛ダッシュで走り出した。でも、相手は大人。俺はあっという間に追いつかれ、周りを囲まれてしまった。
「もう観念したらどうだ?」
やつのそんな戯言に、俺はなぜか冷静でいられた。
「いやだと言ったら?」
「力ずくでやるのみだが?」
俺はいつ来るか分からない攻撃に身構えた。ペンダントを握るとやつらをキッとにらみつけた。すると真ん中にいた男が隣にいたやつに何か言った。言われたやつがうなずく。それと同時に俺はめまいを覚えた。頭がくらくらする。上手く立っていられない。マズい。ここで座ってしまったら俺は多分もう立ち上がれないだろう。頭が痛い。もう立つことだけで精一杯だ。俺は素早くあたりを見回し、その目が銃らしきものを捉えた。なるほど。く、薬か…。俺はここまで考えて意識を手放した。
- Re:脱出ゲーム ( No.1 )
- 日時: 2021/04/28 22:24
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
脱出ゲーム 第二話 るぅと編
『しつこいなぁ、あいつら。いいかげん諦めてくれないかな?』
僕は細い路地を走りながら思った。横道に入って一息ついた。僕は座り込んだ。自分の髪が目に入った。思わず顔をしかめた。だって、この髪が僕の人生を狂わせてるから。僕の髪は鮮やかな黄色。目も琥珀色だから、変色者と呼ばれて嫌われ、裏切られ、いじめられた挙句親にも捨てられた。僕の親は一般人だった。僕を15まで育てて捨てたんだ。もう、過去のせいで誰も信じられない。僕が信じているのはこの世に1人だけ。でも、その人とも別れた。今、その人がどこにいるのかも僕は知らない。いわゆる孤独っていうやつ。特に何とも思ってないけど。僕の親は僕に対する態度はひどかったし、いじめられてもいたから僕の性格はものすごくゆがんでいるんだ。信頼しているあの人は僕のそんな醜いところもすべて、受け入れてくれた。だから僕は今、僕でいられて、壊れることが無いんだ。
『別れたけどもう1回会いたい…。』
やっぱりそう思ってしまう。僕が唯一信頼したあの人だからかもしれない。あの屈託のないはじけるような笑顔も、明るく輝く目も、すべてが懐かしい。
「さよなら。僕の大切なひと。」
僕は立ち上がって横道から出ると走り出した。雨が降り出して、僕の髪や服を静かに濡らす。もともと濡れるのはあんまり好きじゃない。でも、今はそんなこと気にならなかった。ただ逃げ切ること。そのことしか考えてなかった。
「いたぞ!逃がすな!」
マズい。見つかった。僕はさらにスピードをあげて走った。だけど、やつらの方が1枚上手だった。僕は回り込まれて退路を断たれた。本当に詰んだ。どうしよう。
「!?」
「後ろに気をつけな。」
「くっそ…。放せよ!」
「そんなことできるか。お前は捕らえられるべき人種なんだ。この状況で、どっちの立場が上なのか分からないのか?」
「そんなの分かるわけないだろ。僕はお前らに従う気は一切ない。」
「ほう。」
やつはそう言うと僕を殴った。
「ゔっ…」
「分かったか?お前は抵抗できない。明らかにこちらの方が立場は上だ。」
「分かりませんね。あなたたちはただ暴力しただけじゃないですか。そんな生ぬるい1撃で僕が屈するとでも?甘いですよ。」
「じゃあこちらはこういう方法でやるが?」
やつが取り出したのは…注射器。それを持って近づいてくる。僕は拘束されている腕をほどこうとしたけど無理だった。奴は僕と同じ高さに顔を持ってきて言った。
「さようなら。次会うときは拘置所だな。」
やつは僕の首筋に針を刺した。不思議な感覚がして、僕は薄れていく意識に身を任せた。
- Re:脱出ゲーム ( No.2 )
- 日時: 2021/04/29 18:24
- 名前: RAM・SHERRY (ID: CxgKVnkv)
脱出ゲーム 第3話 さとみ編
俺は家でゲームをしていた。誰も何も言ってこない。だって俺は一人暮らししてるから。してる理由は特にないけど俺は「変色者」で、嫌われてるからか。俺はピンクの髪に群青の目を持って生まれてきた。それで嫌われた。嫌われて、ありもしない噂を流されて家から追い出された。今は郊外の寂しいとこに建ってたちっさい家に住んでいる。こっそり持ち出したゲームとある程度の生活用品はあるから生活することはできる。でも、俺のような変色者たちが敵視しているのは「秘密警察」。変色者を捕らえるために作られた組織らしい。俺の幼馴染も変色者だ。アイツ、元気にしてんのかな。捕らえられてないといいけど。俺はゲームを終わって、片づけにはいった。いや、入ろうとした。
「!?」
いきなり電気が消えた。どうやらブレーカーが落ちたみたいだ。俺はスマホを取り出して、ライトをつけようとした。
「…っつう!」
スマホを持っていた手にしびれが走って、思わずスマホを落とした。床に落ちたスマホがカツン、と音を立てた。腕がしびれててうまく動かない。スマホをとろうとして伸ばした腕がなぜか掴まれた。
「フッ。捕まえた。」
「誰だ?」
俺がそう言った瞬間腕をねじり上げられて床に押さえつけられた。痛い。電気が復旧した。まぶしくて思わず目をつぶった。ゆっくり目を開けるとそこには例の「秘密警察」のやつらがいた。俺を押さえつけてるやつとその周りに何人か。少なくとも15人はいる。
「放せよ。いてぇな。なんでここに来た?お前らはここに来る理由なんて無いはずだ。」
「あるんだよ。お前は1週間前の深夜0時ごろに起きた殺人事件の犯人だろ?」
「は?そんな事件知らねぇよ!」
「もういい。連れていけ。」
やつは周りにそう命じた。その瞬間、俺はスタンガンの電気をくらって意識を失った。
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