二次創作小説(新・総合)
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- コスモスプリキュア【オリキュア】
- 日時: 2021/10/17 01:46
- 名前: 時雨 ◆GU/3ByX.m. (ID: 66mBmKu6)
『ワタシとあなたは、違うから楽しいんだよ』
初めまして、時雨です!
こちらは、数年前に書いていたプリキュア作品のリメイクになります。オリキュアなので、オリキャラばかりですが楽しんで頂けると幸いです。
イメージとしてはプリキュア世界で、ドラクエっぽいことをやろうとした感じです。
注意事項
・数年前のリメイク作品。
・オリキュアです。オリキャラしか出ません。
・更新遅いです。月に一回が目安。
ストーリー
序章 呼ばれた世界
>>1-
- Re: コスモスプリキュア【オリキュア】 ( No.2 )
- 日時: 2021/10/17 05:27
- 名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)
初めまして。
ドラクエっぽい世界観だと聞いて、いてもたってもいられず来てしまいました。
この序章を見るところ、まるで最初のDQかDQ3の冒頭をイメージしますね。
これから彼女たちがどんな旅をするのか、楽しみです。
体調管理に気を付けながら、更新を続けて下さい。
あ、私もお話を描いているので参考にして下さい。
今描いている小説名を、載せて置きますね。
「戦士たちの新しい日々 part3」
今までのシーズンも描いていますので、よかったら読んでみて下さい。
私の事は、「女剣士」で構いませんので。
それでは、また来ますね。
- Re: コスモスプリキュア【オリキュア】 ( No.3 )
- 日時: 2021/10/17 12:51
- 名前: 時雨 ◆GU/3ByX.m. (ID: dFWeZkVZ)
『めでたし、めでたし』
パタン、と絵本が閉じられる。振り向くと、母親が優しく微笑んでいた。
――もう一年近く見ていない、母親の笑顔。ようやく見ることが出来た。幸せでたまらない。しかし、彼女は理解していなかった。母親が笑顔を向けているのは、『今』の彼女ではない。
『昔』の彼女である。これは、夢なのだ。
優しい過去の記憶、彼女を閉じ込める為の偽りの夢。檻である。
風で揺れる白のカーテン、柔らかい陽光。
ベッドに座る母娘。
幼い彼女が母親の膝に乗せられ、絵本の読み聞かせをして貰っていた時の記憶だ。
『おかあさま、闇はこわいですの』
そう言って幼い彼女は涙目になり、母親の服の袖を引っ張る。母親はくすくすと笑い、幼い彼女の頭を優しく撫でてくれる。
『あらあら、相変わらずあなたは甘えん坊さんね』
『おかあさまやおとうさまが、すいしょうの中に閉じ込められたらアスナは嫌です』
不安が残るのか、幼い彼女は泣きそうな顔になっていた。『頭』の耳がしゅんと下がった。すると、母親は幼い彼女の手をそっと握る。
『闇が来ても大丈夫よ、アスナ』
『どうしてですの?』
『プリキュアがいるからよ。お話に出てきた女の子たちを覚えてる?』
『はい』
幼い彼女は頷いた。
国を救うため立ち上がった娘と、空の上から来た娘。二人が闇と戦う場面は子供ながらに、わくわくしたのを覚えている。――子どもながらに、と彼女は一瞬思ったがすぐに忘れた。
『プリキュアは、世界が闇に包まれた時に現れる伝説の戦士。きっと、彼女たちが助けに来てくれるわ』
『プリキュアが……』
絵本で勇敢に戦った彼女たちなら、来てくれそうだと幼い彼女は思った。安心させるようにゆるく抱きしめてくれる母親。――嗚呼、嬉しくてたまらない。幸せだ。もう、この幸せから離れたくない。
『もし闇に包まれるようなことがあったら、プリキュアを呼ぶのよ。大丈夫、彼女たちは来てくれるわ』
『プリキュア、かっこいいですわ』
母親の腕の中で幼い彼女は、純粋にプリキュアへの憧れを大きくしていた。かっこよく、勇気あるプリキュア達はこの国では子ども達の憧れの的だ。彼女もそんな子どもの一人だった。――そして、こんな恥ずかしいことを思った子どもだった。
『カナリ、大きくなったらプリキュアのような女王様になりますわ。アスナが、おかあさまとおとうさまをお守りますの』
突然の幼い彼女の思い付きに、母親は困ったように笑った。自分を片腕で抱き、反対の手で幼い自分の髪を梳きながら話しかけてくる。
『あらあら、あなたみたいな甘えん坊さんに出来るのかしら?』
『できますわ』
むっとする幼い自分に、そりゃ笑われますわと突っ込む。あの頃の自分は怖がりで、いつも母親に甘えてばかりだった。守るなど夢のまた夢だろう。
『おいエルマ、アスナと何話してるんだ? 二人だけで盛り上がってずるいぞ』
そこへ不機嫌そうな声がして、父親が部屋に姿を現す。父親は、彼女がいない所で話を盛り上げると機嫌を悪くするのは、昔から変わらない。
『おとうさま』
『あら、アーサー。ねえ、聞いてちょうだい。アスナったらプリキュアのような女王様になりたいそうよ』
父親の姿を認めると、母親は慈愛に満ちた笑いを浮かべて。幼い彼女の頭を撫でながら、母親は会話の流れを説明する。幼い彼女の宣言に呆れていたのか、困ったような声音だった。
『プリキュア? ああ、あのフローナス童話に出てくる戦士か』
言いながら、父親は母親の隣に腰掛けた。
『その絵本をアスナに読み聞かせてたらね、この子ったら。プリキュアのような女王様になりたいって言ってたのよ』
『あはは、女の子なら誰もは一度でも憧れるよな。エルマもそうだったろう? 相変わらず、アスナは可愛らしいなぁ』
よしよしと頭を撫でる父親を見て、母親は苦笑する。
小さいが自分がからかわれていることに気がついた彼女は、怒ろうとして。ふと、思い出した。
(わたくし、何か……)
何かすべきことがあったような。
そんなことを思うが、両親と共にいる幸福感がその考えを奪う。余計なことを考えてはいけないと、彼女は母親に身体を預けた。
※
暗闇の中で唯一の光源は、その水晶だった。人間を余裕で見下ろせる程の高さがあり、キラキラと輝きながら暗闇を照らす。
「ふふ、この狼さえ捕えてしまえば。もう邪魔者はいないわ」
水晶の中には、一匹の狼がいた。
銀に青を混ぜたような不思議な色合いの毛並みを持つ狼だった。狼は静かに目を閉じ、身体を丸めている。ぴくりとも動かない。眠っているのか、死んでいるのか。よく分からない。
「これで、プリキュアを誕生させる者はなくなった。後は早くこの王国を全て滅ぼせばいい」
闇の中で誰かが笑った。
- Re: コスモスプリキュア【オリキュア】 ( No.4 )
- 日時: 2021/10/17 13:14
- 名前: 時雨 ◆GU/3ByX.m. (ID: dFWeZkVZ)
>>謎の女剣士さん
初めまして。コメントありがとうございます。
勇者と魔王みたいな、ドラクエ的な世界観で書けるよう頑張ります。
作品読ませて頂きましたが面白かったです。今後も更新頑張って下さいね。
- Re: コスモスプリキュア【オリキュア】 ( No.5 )
- 日時: 2021/10/18 11:41
- 名前: 時雨 ◆GU/3ByX.m. (ID: ErSo6VVm)
私はとても優しい夢を見ていた。
穏やかな陽射しが差し込む昼下がり。カーテンが白い風に揺らされ、踊っていた。そんな部屋の中で。小さな女の子がお母さんに読み聞かせをしてもらっていた。お母さんの膝に乗り、お互いに微笑み合う姿は見ているこちらの胸が暖かくなる。私もこんな時があったなーなんて、少し自分のことも回想したりする。
ただ、この女の子とお母さんは変った見た目をしていた。お揃いの銀に青を混ぜたような不思議な髪とアイスブルーの透き通った瞳。――そしてお揃いの、獣の耳と尻尾。姿は人間なのに、この親子には獣の耳と尻尾があった。頭には髪と同じ色の三角の耳、腰にはやはり髪と同じ色をした尾。初めは、犬かと思ったけれど。あんな立派な尻尾を持つのは、狼だ。狼の耳と尻尾だと。私は思う。なんで、こんな獣の耳と尻尾を持った親子の夢を見ているのか。改めて不思議に感じた。
「あなた、だあれ?」
視線を感じて顔を上げると、女の子がじっと私を見つめていた。お母さんは相変わらず絵本を読み聞かせていた。プリキュアとか言う、伝説の戦士の話らしい。
「私? 私は杏花だよ」
「きょうか様は、人間なのですか? 獣の耳と尻尾を持たない種族だって、教わりました」
変なことを聞く女の子だなあ、と思いながらも私は答える。
「そうだよ、人間だよ」
「に、ん、げ、ん……」
女の子が一言一言噛みしめるように呟いた、瞬間。世界は黒に染まる。
- Re: コスモスプリキュア【オリキュア】 ( No.6 )
- 日時: 2021/10/20 12:58
- 名前: 時雨 ◆GU/3ByX.m. (ID: 66mBmKu6)
ガラガラ、と積み木が崩れていくような音を立て。世界は崩れていく。色が崩れ去っていき、全てを黒に塗りつぶしていった。――一体、何が起こっているんだろう。不安から私が辺りを見渡していると、
「思い出しましたわ。お母様は連れ去られ、お父様は目を覚まさず。そして国は滅んでしまったのですわ」
足音が聞こえ、狼の耳と尻尾を持つあの女の子が私の前に姿を表した。え、と思い私は女の子をじっと見てしまった。あの女の子は、何故か急成長していた。年の頃は十代後半から二十代前半くらいか。私より少し年上くらいかな。お母さん譲りの青みがかかった銀色の髪は、一本一本が銀糸でできているようで。まっすぐ背中まで伸ばされていた。可愛らしい顔立ちの面影はあったけれど、大きくなったことで凛々しくなっていた。強い意志の宿った綺麗なアイスブルーの双眸が、じっとこちらを見やる。背筋が凍るほど、綺麗な娘さんだった。
「わたくしは、人間を、あなたを探していたのです」
「あなた、は……」
「わたくしの名前は、アスナと申しますわ。キョウカ様」
そう言ってカナリさんは、洋服の裾を掴み頭を下げた。洗練された動きについ私は見惚れてしまった。美しい容姿といい、作法といい、どこかのお姫様のように思えた。
「えっと、アスナさん。でしたっけ?」
「時間がありませんわ。キョウカ様、一方的になってしまいますがお話を聞いて下さい」
アスナさんは必死な顔で私を見てくる。すごい迫力に気圧されてしまい、私は頷くことしかできなかった。
「キョウカ様、どうかこの国をお救い下さい」
「す、救う!? そんな冗談を」
よくあるファンタジーのゲームみたいだ。お金と武器あげるから、魔王倒してこいみたいな。――まあ、夢だから何でもありなんだろうけど。
私は冗談としか受け止めていなかった。けれど。アスナさんは、祈るように両手を握り真顔で私を見据えた。そこに、冗談の雰囲気は一切感じられない。
「冗談ではありません。わたくしの国は既に滅び、わたくし自身も囚われの身。……聞いて下さい。あなたは、この世界の最後の希望。あなたが敵に倒されてしまえば、全てが終わってしまいますわ」
「私で何とかなるの? 私、別に魔法も剣もできないけど」
そう要求されても、私は普通の女の子だ。武術や剣道はやってないし、運動は平均。そんな力、どこにもない。
――その時、不意に闇が動いた。
「……敵が異変に気がついたようです。さあ、行って」
アスナさんが私を突き飛ばすると、突然足元の感覚がなくなった。そのままアスナさんがどんどん遠ざかっていく。いくら手を伸ばしても、届くことはない。
「大丈夫、キョウカ様なら。わたくしは信じていますから」
「アスナさん!」
両手をぎゅっと握り、祈るアスナさんの姿。たくさん手を伸ばして、たくさん名前を呼んだけれど。とうとう、意識が途絶えた。
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