二次創作小説(新・総合)

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永久異想楽園 【■■■■】
日時: 2021/11/25 02:44
名前: 柊 (ID: bD140njr)

どうも、またスレ立てした柊です。
こちらは私の別作品『綴られし日々-作者とキャラの日常-』の設定を多分に使用したクロスオーバー二次創作になります。
そちらの作品から派生した『if』となります。

※注意事項※増える可能性大
※クロスオーバー
※クロスカプがあるかもしれない
※ぐだマシュあり
※基本、終始シリアス気味です。目標の一つに【目指せ、FGO風のストーリー】があります←
※『Fate/Grand Order』メインストーリー、第二部五章『星間山脈都市オリュンポス』までのネタバレを多く含みます
※作者の知識不足による原作との矛盾、違いがある可能性があります
※上記の通り、作者の別作品の設定を多分に含んでいるため、クロスカプやクロスコンビ等は読んでいないと分からない可能性があります(なるべく避けます)

以上が大丈夫な方はどうぞお楽しみください。

執筆開始日時 2021/11/24

ジャンル
・Fate/Grand Order
・刀剣乱舞
・Identity_V
・文豪とアルケミスト
(※随時追加の可能性あり)

──其れは、あり得たかもしれない世界を想う物語。

目次
プロローグ >>1-3

Re: 永久異想楽園 【■■■■】 ( No.1 )
日時: 2021/11/24 23:52
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

プロローグ
『捕らわれたマスター』

──嗚呼、なんて悲しかろう。
 余りに小さく儚く、淡い存在にんげん
 その人間に押し付けられた、余りに大きく、重く、悲しい責務じゅうあつ
 嗚呼、嗚呼。
 ただでさえ、大切な妹や大切な存在たちを守っていると言うのに。何故。何故。何故。
 何故、彼だけが。

 あれ程までに、辛く悲しい運命を辿っているのだろう。

 無論、彼だけではないけれど。彼の妹も、大切な存在たちもそうなのだけれど。
 それでも。彼に掛かる責務じゅうあつは。目を逸らして尚も哀しく。

「嗚呼、嗚呼──」

 これは、愛した我らの世界への裏切りと知っている。愛した我らの世界へ、滅びろと言っているような物だと知っている。
 それでも、それでも──。

「私は──」

 彼を、救いたいのだ。

Re: 永久異想楽園 【■■■■】 ( No.2 )
日時: 2021/11/25 01:54
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

「藤丸立香が、目を覚さない?」
 はい、と目の前の女──マシュ・キリエライトが困ったように頷く。いや、困っているのはこちらだ。
 はぁとため息を吐きながらフレディ・ライリーはじろりと彼女を睨むように見た。
「何故、そんな話を俺に持ってくる。専門外もいいところだ。大体、そっちには医学に関しても魔術に関してもエキスパートがいるだろうが」
「それは、そうなのですが……」
 そう言って彼女は目を少し伏せた。一体何だというのか。
「その……実は、どうしてもミスター・ライリーに来て頂かないといけない事態になってしまっていて……」
「はあ?」
 全くもって理解ができない。自分は魔術など知らないし、医学に関しても一般的な物以外はほぼ無知に等しい。医学ならあのエミリー・ダイアーの方が余程力になるだろうに。魔術なんてこの世界に来てから初めて見た。
 そんな自分が、どうしても行かねばならない事態とは何だというのか。
 はっきり言って断ることは簡単だった。しかし、どうしたことかそれをする気にはなれなかった。
 またため息を吐いて、連れて行けと言えばマシュはありがとうございます! と頭を下げた。側にかけてあったコートに袖を通し、マシュと共にまだ真新しい事務所のドアに外出中の札を掛けて出かける。
 もうすぐ十二月。寒くなり始めた街はクリスマスに向けて少しずつ着飾り始めていた。


















「で。何でこいつらまで?」
「うはははは! まあそんなに嫌そうな顔するなふれでー」
「フレディだ、一文字則宗」
「ああそうだったな。僕は兎に角、横文字に弱いらしい」
 嘘つけ、この間別のやつの名前はすらすら言ってるの見たぞ。そう思いながら睨むに留める。
 カルデア、そこの一室に集められていたのは刀剣男士の一文字則宗、文豪のヘミングウェイ、そして同じサバイバーのナワーブ・サベダーとイライ・クラークだった。
 無論、それ以外にもマシュに加えて小さい体のレオナルド・ダヴィンチ(ライダー)とシャーロック・ホームズ、こちらの世界でたった二人のマスターの片割れである藤丸六花、そしてカルデアの新所長であるゴルドルフ・ムジークがいる。十人(それも体躯のいいヘミングウェイと太いゴルドルフがいる)が入っても尚余裕のあるその部屋の隅のベッドで眠っているのは……もう一人のマスター、藤丸立香であった。
 穏やかに眠る彼を見ていると目を覚さないなど信じられない。……ありとあらゆる機械に囲まれていなければ、であるが。
「さて、急に呼び出してしまって、すまなかったね」
 ダヴィンチが口を開く。それとほぼ同時に全員の視線が彼女に向いた。
「キミたちを呼び出したのは、どうしてもキミたちでなければ解決できない事態になってしまったからだ」
「俺たちにか?」
「見たところ、僕らに共通点はないのだが……」
「うん。だから私たちも分からないんだよ」
「分からない?」
 ヘミングウェイが思わず口を挟む。無理もないし、彼が口を挟まなければ自分が挟んでいたところだ。
「でもね、そこのイライくんがたまたまここに来た時に『適性』があると分かったのさ。それでこちらで調べたところ、現在キミたち五人に『適性』があると判明した」
「適性?」
「……立香くんの夢と混ざった、『特異点へのレイシフト適性』だ」
「!!」
 レイシフト。それは過去へ飛ぶ技術。詳しいことは分からないがそれには適性を持っていなければならないという。しかし……そんな物が自分たちにあるとは思えない。
「まず、キミたちには普通のレイシフト適性はない。だけどどうしてか、今回の立香くんの夢と混ざった特異点へのレイシフト適性があると分かったんだ。
そして、それは限られた者にしかなくてね」
「なるほど」
 だから『自分たちでなければ解決できない』か。
 だが。
「そもそも、藤丸立香の夢と混ざった特異点とはどういう事だ」
「それは私から説明しよう」
 ホームズが口を開く。
「今朝、微小な特異点の発生が確認された。放置していても問題ないような、そんな小さな特異点だ。
しかし、それと同時にミス・キリエライトからマスターが目を覚さないと報告を受けた。
どうにも嫌な予感がしてね。調べていったところ、どういう訳かその特異点は彼の夢と混ざっていることが判明した。
しかも厄介なことに、放置していれば彼はいずれ、『そちらに引き摺り込まれる』。
……だから我々もすぐに準備を整え、その特異点へレイシフトし、藤丸立香奪還に動いたのだが……全員、弾かれてしまったんだ。藤丸六花ですら、ね」
「本来ならありえない。けれど実際に起きてしまった。全員で方法を模索していたところに彼、イライくんが来たんだ。
そこで神霊と言った面々を筆頭に彼を調べて欲しいと言われて調べたところ、今回の特異点にのみだがレイシフト適性が100%と出たのさ。
……流石に全員分はまだやっていないけれどね。
どうか、彼を助けてはくれないかな? サポートは万全にする。だから……」
「勿論、構わないよ」
 と、言ったのはイライだった。……想定内過ぎてむしろ言葉が出ない。少なからず、このイライという男はライリーには理解できないほどのお人好しだった。他人の為であれば、自分の犠牲は厭わない……と言うほどでもないが、出来ることならば本当に何でもしようとするほどに。どこぞの慈善家を自称している男とは比べ物にならない。
 イライの言葉にぱぁ、とダヴィンチが顔を明るくする。それとは反対に彼の肩の相棒フクロウはため息を吐いていたが。
「俺は辞退させてもらう」
「えっ、ナワーブさん?」
「……申し訳ないが、今ここで返答はできない」
「ヘミングウェイさんまで……」
「いいや、二人の意見は間違ってはいないさ。現に僕も、即答はしかねるからな」
 ナワーブ、ヘミングウェイ、則宗が言う。それ幸いとばかりに自分も辞退を申し出ておく。とは言え、多少予想はしていたのか全員暗い顔はしても声を荒げることは……。
「いやいやいや! 辞退など許さんぞ!」
 あった。ゴルドルフだ。じろりとナワーブとヘミングウェイが睨むように見ればひぇっ、と情けない声を出して黙ったが。
「報酬も無しに、そんな危険な真似ができるか。サーヴァントも行ける奴がいるか分からないんだろう?
そこで敵サーヴァントとの戦闘がないと言い切れるか? サーヴァント相手に、人間の俺たちが戦えと? 無謀にも程がある」
「概ね同意だが、俺は別に使命がある。分かるだろう? せめて、館長か司書である彼女の許可があれば話が変わってくるが……」
「僕はヘミングウェイとほぼ同じだな。刀剣男士としての役目がある。……まあ、助けてやりたくはあるんだが」
「俺も、報酬がなければそんな危険な真似……いやあっても受けたくない」
「……報酬。許可。少なからず、ナワーブ・サベダー、ヘミングウェイ、一文字則宗はそれがあればいいんだな!?」
 と、ゴルドルフは指を差しながら叫ぶように言う。それに全員首を傾げたが、彼が取り出したのは二枚の紙。文章はほぼ同じだが……そこにされた署名は、館長と柊、そしてもう一枚は柊のみの物だった。
「なっ!?」
「これは……『レイシフトにおける同意許可書』?」
「そうだとも! 流石に我々とて無許可で行けとか言うか! いや言いたかったが!
事前にそれぞれから許可を取った。レイシフトしている間の仕事は免除する、ただしこちらはヘミングウェイ、一文字則宗の命の保証及び、二人の同意を得ることが条件だがな!
ナワーブ・サベダー、貴様には私のポケットマネーから報酬をくれてやる! それでも足りなければ他に追加しても構わん! 無論イライ・クラーク、貴様にも報酬は渡そう」
「えっ、私はいらな」
「受け取っておいて!!」
「あ、はい」
「……ほう? その追加とやら、何でもいいのか?」
「構わん!!」
「本当に? 『何でも』か?」
「…………私に出来る範囲でなら」
「ほう、ほう。分かった。……引き受けてやる」
「!!」
 ホッ、とゴルドルフが息を吐く。そして次にヘミングウェイと則宗を見た。
「さて、どうする? やるか、やらないか。
勿論お前たち二人にも報酬は用意する!」
「……ぶふっ。うはははははははは!! こいつは一本取られた!!
いいぞいいぞ、引き受けようじゃないか! ああ、報酬もいらん。それでもくれるなら主にでもやっといてくれ!!」
「おい、則宗」
「まあまあ、いいじゃないか。少なからず僕とヘミングウェイ、ナワーブはそれなりに戦える。それでも尻尾巻いて逃げようと言うなら僕は止めないが」
「……何だと?」
 あ、もしかして、と思ったと同時に。
 いつもより低くなった声で引き受けようじゃないか、と言った彼に則宗は非常に機嫌良さそうに、イライとナワーブは頬をひきつらせて苦笑いしていた。
 そして視線は、自分に向く。
「…………」
「僕としてはここで断るとほら、気まずいぞ〜?」
「分かった、受ければいいんだろう受ければ!! このクソジジイめ!!」
「うはははは、坊主たちに言われるならまだしもお前さんにも言われるとはな!!」
「ありがとうございます、皆さん!」
「立香をお願いします……!」
 マシュと六花に頭を下げられ、もう後戻りできないな、とライリーは深いため息を吐いた。

Re: 永久異想楽園 【■■■■】 ( No.3 )
日時: 2021/11/25 02:43
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

──さあ、おいで。哀れなる仔たち。

 何も、彼だけではない。私が救いたい仔は何人も何十人もいる。
 ゆっくりで構わない。少しずつで構わない。おいで。おいで。この夢へ。

「ここならば」

 永久だから。優しい、優しい永久なる夢だから。
 キミたちの悲しみを、包もう。キミたちの苦しみを、払おう。キミたちの罪を、赦そう。
 キミたちは、ここから彼を救おうとしているようだけれど。

「救われるのは、キミたちだ」

 安心してほしい。私は決して切り捨てたりなんてしない。だから。
 どうかどうか、優しい夢を、永久に。

















 何かが、聞こえた気がした。眩い光。それと同時に、意識が浮上する。そして、目にしたのは。
「わぁ……」
「一度にこんなに召喚して、お前大丈夫なのか?」
「あ、うん、大丈夫だよ!」
 呆れた目を黒髪の少年に向ける銀髪の少年。彼の目の下には深いクマがある。
 だが、それではない。それではないのだ。
 黒髪の少年が、自分たちに手を差し伸べる。『変わらない笑顔』で。
「初めまして、俺は、『藤丸立香』。あなたたちのマスターです!」
 絶句する。『初めまして』? いや、それ以前に、『マスター』とは。どういう、ことなのか。
 理解が追いつかない。左右に視線をやれば同じく動揺しているレイシフトメンバーが目に入る。
 いつまでも黙り込んでいる自分たちを不思議に思ったのか、目の前の『藤丸立香』は首を傾げる。
「あの?」
「おや、ここにいたのかい立香にカドック」
「あ、キリシュタリア!」
「ヴォータイムか」
「彼らは、新しく召喚したサーヴァントかな?」
「うん、そうだよ。ええっと、名前は……」
「ああその前に、ちょっとクラスを当てても構わないだろうか」
「またやるのか、それ……よく飽きないな」
 カドック、と呼ばれた少年の呆れた目がキリシュタリア、と呼ばれた男に向く。ヴォータイムとも呼ばれていたから、どちらかが名前でどちらかが苗字……ファミリーネームなのだろう。
 ずい、とキリシュタリアの整った顔が目の前に来る。なんだと口を開きそうになった瞬間、彼の口が動いたことに気がつく。
『私が言う事に、同意だけしていてほしい』
と。
「貴方は……そうだな、【キャスター】じゃないかな?」
「あ、ああ、そうだ」
「よし、当たった!」
「凄い!!」
「いや、凄いも何も……もういいか……」
「ふふふ、では次だ」
 そう言ってキリシュタリアは次から次へと顔を近付けて全員のクラスを当てていく。おそらく、同じようなことをしているのだろうが。

「貴方は……先程の彼と同じ、【キャスター】かな。愛らしいフクロウを連れているんだね」
「そ、そうです。この子は私の相棒でして……」

「貴方はそうだな……【アサシン】!」
「あ、ああ。正解だ」

「ううん、一番難しいかもしれない……釣竿、釣竿……ううん……自信はないが、【ルーラー】では?」
「そ、うだな。よく思われるようだ」

「最後の貴方は……【セイバー】か」
「ああ、そうだとも。まあ流石に僕は分かるか」

「凄い凄い! キリシュタリア全正解だね!」
「ふふん、凄いだろう?」
「はぁ……。とにかく、真名を聞かないといけないだろ。子どもみたいにはしゃぐな」
「……むぅ」
「拗ねるな」
 ちらりとカドックに視線で促される。
 ……ここは、とりあえずサーヴァントとして乗り切った方が良さそうだ。
「あー……【キャスター】のフレディ・ライリーだ。まあ、よろしく頼む」
「【セイバー】、一文字則宗。一文字、則宗、好きに呼ぶといい」
「【キャスター】、イライ・クラークです。どうかよろしくお願いします。……マスター」
「【アサシン】、ナワーブ・サベダーだ。面倒な文句クレームは付けてくれるなよ」
「……【ルーラー】、アーネスト・ヘミングウェイ。どうかよろしく頼む」
「はい、よろしくお願いします!」
「立香、私はカドックと話があってね。その間、彼らを案内してあげてはどうだろう?」
「そうだね、じゃあ着いてきて!」
 にっこりと笑った彼に、少し戸惑いつつも着いていく。そして、最初にいた部屋を出たさ先に、全員が再び絶句する。
 写真でしか見たことはない。だが確かにここは。
「改めて。ようこそ!




『カルデア』へ!」

 滅ぼされる前の──カルデアだった。





 ──時代 A.D.20⁇
 ──人理定礎値 ??

 ──特異点名、確定。

 『永久異想楽園 【カルデア】』

プロローグ
『捕らわれたマスター』 終
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