二次創作小説(新・総合)

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【twst二次創作】続 リドル・ローズハートと監督生の忠告談
日時: 2022/01/23 09:01
名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)

こちらは【twst二次創作】リドル・ローズハートと監督生の忠告談 の続編となります。
そちらに飛んでからこちらに来た方が、話の辻褄が合うと思います。


<初めに>
こちらの二次創作小説を目に留めて下さって本当にありがとうございます。
処女作シリーズを人知れず書いている途中の筆休めですが、以下の注意事項が平気だよ! という人であればどうぞ楽しんでいって貰いたいです。どうか生温い瞳で見届けて頂ければ幸いです。


<前提>
主な登場人物:リドル・ローズハート率いるハーツラビュル軍
       オリジナル監督生 ユウ(性別不明・本名 水風藺雨)
       オリジナルキャラクター 華お婆ちゃん

ディズニー・ツイステッドワンダーランドの二次創作となっております。
ちょっと無理って人は今直ぐ此処でブラウザバックを推奨し、後々何かを不快思われてもその全てが自己責任となりますのでご留意下さい。

1、2が前座、3が本編で4がおまけです。4のおまけはレオナ・キングスカラー身代わり説を仄めかしているので嫌な人は其処だけ読まないのもアリです。


<注意>
ジャンル:二次創作
腐、姫、恋愛要素、夢要素などは含みませんが人の感性は人それぞれですので、ここ注意事項と違うじゃん!という人も居らっしゃるかもしれません。それら全てを含み自己責任です。書きたい所だけなのでどっから始まってんだよ…って思う人やここで終わる!? って思う人も居らっしゃるかも。筆休みなのでねしょうがないね。
また、圧倒的語彙力の無さと中二病感、深夜テンションで書き上げた筆休めである事を頭の片隅に置いておいて下さい。
そして7000文字じゃ入りません。writening.net/page?jfeZbXに飛ぶのをお勧めします。
続編としても良いかも知れませんが、絶対↑で見た方が早いです。登録とか要らないですよ。
また、雑談スレの方でツイステの雑談スレを開設しています。興味のある人は飛んでみて下さいね。

では、以上がOKな方のみスクロールをお願い申し上げます。





3.監督生の過去

 ———ヒュウゥゥ、と寒々しく風の吹き曝すオンボロ寮の三階、人一人しか並べないような、小さな小さなベランダにて。

「~♪ ~♪」

 自分でも何の曲か分からない、勝手に出ていく題名も無い曲をハミングに乗せて、柵に腕をかけ、ただ星夜空を見上げながら、ユウは今日の出来事を思い出していた。

(……)

 ふ、とユウの目が曇る。本当に微かに眉が寄り、瞳は暗く翳った。

(夜は寒いな)

 思ってもいない事を心の中で呟きながら、ユウはしっかりと、だが何処か覚束ない、今にも消えてしまいそうな雰囲気を纏って、屋内へ入っていく。

 ユウの物思いはリドルの癇癪オーバーブロットでは飽き足らず、自らの過去すらも追憶を始めていた。他人に忠告しておいて、どうして自分がそんな事を出来ようか。そう首を振っても、思いとは裏腹に、頭は思考を止める事を許してくれない。

 ——自分の過去。今日のリドルの暴れ様。
 ——自分の過去の姿。今日のリドルの傲慢さ。
 ——自分の過去の声。今日のリドルの横暴さ。

 全てが点と成り、線を成す。トンと適当な壁に凭れて背を付くと、何もない虚空を見つめ静かに息を吸う。また静かに息を吐いて目を瞑り、顔を地面に向けると、ユウは更に深い回想の海へ浸っていくのだった。





「うわああああああん!!」
「ちょっと! 何でお友達の玩具を取るの!」
「と、取ってないよ! 転がってたから使ったんだよ!!」
「違う!!! 取ったんだよ、タケルくんが取ったの! 取ったんだってばあ!!」

 気に入らない事、思い通りにならない事があると、直ぐ泣き喚き蹲る。原因を指差し指差し指差して、無意識にでも悪役に仕立て上げていく。それが、私の幼稚園時代。
 友達がお気に入りの玩具を取った、朝か昼か夜の食べ物がお代わり出来なかった、気になっていた物が売り切れていた……。流石に高学年になって泣き喚く事は無かったが、それでも何の知も無く理性も無く、言葉を覚えた厄介な獣。それがユウの——自分の過去。

 この暴れ様が。



「——今日はこの服着ていくもん!」
「藺雨、今日は運動会の日よ。張り切っていたじゃない」
「……着てくの!!」
「そのお洋服は友達に見せられないわ、汚れてしまうかも知れないのよ。恰好良いって言って貰えないわ」

気に入らない事、思い通りにならない事があると、直ぐ頑固になって涙を浮かべ意地を張る。口を噤んで噤んで目を瞑り、意識的に自分の主張を「正」とした。それが、自分の小学校低学年時代。
 この傲慢さが。



「——ねえ、今日カレーのお代わり無いの?」
「あ……うん、その、配膳終わったし……」
「……そう」
「うん、その、…ご、ごめん」

 気に入らない事、思い通りにならない事があると、直ぐには行動しない悪賢さが身に付いてしまっていた。そして後から後からじりじりメンタルを削っていく。“いじめ”ではなく“報復”として、と言い聞かせて。

 親が学校に多額の寄付をしていた。少なからず自分の為では無かったのだろうが、結果的には悪かったのだ。煙たがられても尚、独りでも、自分は自分の“国”を作り上げて行った。それが、自分の小学校高学年時代。

 この横暴さが。



 まあ、ずっとこうだった訳ではない。何が原因かと言えば、親が仕事でよく家を空け、幼い頃はベビーシッターに、四つにもなれば学堂に預けられた自分の、些細な自己主張。高学年にもなれば、癇癪も癇癪と言うより“全てを支配する自分に酔っていた”と言わざるを得ない。年がら年中そうだった訳ではない、が。それがあったと言うのもまた事実で。自分の過去が、小さな過去が、一欠片のピースとなってパズルが作り上がっていく。リドル・ローズハートと繋がる、繋がってしまうようなパズルが。この暴れ様が、この傲慢さが、この横暴さが。全てのピースは、また、彼ら寮生に煙たがられ嫌われていた彼に似通っていく。

 満たされない。どうしても腹の底から沸き上がる不快なナニカが抑えきれなくて、そのナニカはグルグルと腹底で蜷局を巻く。ふとした何かがあるとソレは底から胸の辺りまでにせり上がってきて、空っぽな虚無感に苛まれたかと思えば、それが何故だかどうしても受け止めきれなくて、そのナニカが嫌で嫌で仕方が無くて。何時までも空ろで満たされない、ナニカを抱えていた。



 中学に上がる頃の三月、両親が死んだ。新たな中学校(土地)で、国を如何作ろうか考えていた最中の事だった。

(それじゃ、―は如何 此処を支配すれば良いの)

 親が死んだ事も自分の未来も、何もかもを無視して頭に浮かんだのは、この思いだった。彼は親が全てで、親が世界で、親の為に生命活動を行っていたような人間だ。私は逆。自分が全てで自分の世界で、ただ自分自身の為だけに生きてきた。更に忙しくなる両親の仕事は、一年に一回、私の誕生日に一時間、顔を合わせられるかどうかで。地球の反対側に出張ともなればそうだろうが、そのお陰か小学四年で金さえあれば一人でも暮らしていける程になった。親が教師を雇って教わらせたのだ。三年から習ったから、一年で大体をマスターした事になる。器量が良い方ではなかったが、何かと生活にも文句を出してくるので、面倒ながらもやっていたのだと思い出す。

 親が死んだのは自分の誕生日の事だったそうだ。事故があったのだと言う。誕生日は日本で言う三月で、残りの小学校生活は免除になった。その間の勉強は自分で先取りした。私が勉強をしている間に、大人の間では自分をどうするかが話し合われていたらしい。葬式では沢山の人が泣いていた。同時に、私を憐れむ目と声が大量に降ってくる。そんな人たちに「私はお金さえあれば一人でも生きていける」と答えれば、彼らは私の頭を撫でて「強がらなくていい」と言う。可笑しな人たちだなと思った。

 ただ、親が“あいされて”いる事を知った。愛とは周りの沢山の人にいつくしまれ、同時に周りの沢山の人をいつくしむ行為なのだと言う。無償の厚(好)意なのだと。あの時の私は、親が無償で悲しまれていたから、それを“厚意”なのだと思ってそう考えたのだろうが。事実では理解出来ても、特に愛しむ、慈しむって所が分からない。

(愛って、あいって、何だろう)





 中学に上がると、自分の生活は一変した。もう此処は“国”じゃない。やれと言われた事はやらなきゃいけないし、やるなと言われた事はやれない。私のペラペラなプライドや誇りが一瞬にして消え去った。自分の噂を流す同じ小学校だった人たちは、自分の陰口を沢山言っていたけれど、自分の親が死んだ事も同時に噂していた。だからかは知らないが、いじめというものに遭う事は無かった。陰口を言っていたのは知っていたし、わざと聞こえるように言っていた人も多く居た。それに関して私は何も思わなかったが、ただ漠然とした“信じられない”という思いだけが胸に残っている。偶に足を引っかけられたり、二年の時には水をかけられたりしたけど、今思えばそれで済んでいたのが奇跡だったのだろう。

 碌に物を食べず、最高で二日に一、二食が限界だった。ガリガリに痩せこけた私を見て、自分を引き取ってくれた親戚は心配そうにしていた。それを栄養失調症で倒れる寸前の私は、

「あー私、心配されてるんだな。それは厚意なのかな。厚意、好意って何だっけ。あーー、でも、もし、そうなら……私、あいされて、るのかな」

 と思いながら倒れたのだっけ。一人称が“私”なのも、何方かと言えば丁寧で女性的な言葉遣いも、なるべく中性に見られるよう意識した結果なんだっけか。今になっては馬鹿馬鹿しいと笑えるような事だけれど。




 中学三年に上がるまでに、自分は精神的に芳しい成長を遂げた。栄養失調症で倒れ、短期間の入院にまで至った私は、その期間で親戚から“あい”を——を学んだのだ。親戚と自分はかなり良好な関係を築け、隠し事すら無いような関係になっていった。

 中学三年の後期、愛すべき親戚が――華お婆ちゃんが死んだ。自分の誕生日の、前日の事だった。
 自分が初めて愛を感じた人。自分が初めて愛したいと思った人。よりにもよってそんな人が、凄く優しくて誰に対しても平等で、時には叱ってくれて、でも強くて格好良くて、尊敬すべき彼女が、よりにもよって、よりにもよって……私の、誕生日の、前日に。交通事故だったのだと言う。

(顔も覚えてない……母親と、父親と、…同、じ……)

 どれだけの馬鹿でもそれくらいは分かる。

自分の両親が自分の誕生日に飛行機事故に巻き込まれて死んだ。そ、って感じ。

 自分に流れる血より繋がりが薄いお婆さんが、自分の誕生日の前日に交通事故で死んだ。何で? 何で華お婆ちゃんが死ななきゃならなかったの? 他の人でも良かったじゃん。それならただの穀潰しだった自分が代わりになったって良かった。華お婆ちゃんじゃ駄目だった理由は何? 誰が殺したの? 誰か殺したんでしょ? そうじゃないと辻褄が合わないよね。何で偶然で、神様の悪戯ってやつで華お婆ちゃんが死ななきゃならなかったの? 他の人じゃ駄目だったの? 私じゃ駄目? 近所の人は? 其処の、…私が、私がよく行く本屋の……客じゃ、駄目? 駄目、ダメ、だっ…た……? …………って、かぁんじ。

 違いは何、何なの? ……其処で気が付いた。心優しい華お婆ちゃんがよく言っていた言葉、“愛”って単語。

「この世で一番大事なものは、実は目に見えなかったり手で触れられないもの。心には頭じゃ理由も分からない感情があるもんなんだよ」

 愛…それは感情の一種。私だって感情が無い訳じゃない。感情が何かというものは理解出来ている筈だ。だが、“愛”が、“愛する”事が、“愛される”事が、どういう事なのかいまいち理解に及ばない。そんな事を思うと決まって、とある日に言われた、酷く懐かしく、愛しく、何かが込み上げる声が、深い言葉が、心の中で、頭の中で、何度も何度もこだまするように反芻する。

「“愛する”事は『愛してる』って言や伝わるし、“愛される”事はそれが全て。それ以外の何物でもない。“愛”なぞ、見えなかろうが何だろうが、意外と簡単で単純なものなのさ」
(——愛が無くても生きられてる)

 言われた時はそう思っていた。でもあの時の私は彼女の言う通り、死んでいたのだろう。愛を与えられず、愛に飢えている事にすら気付かず、死んだまま生きていた。でも今では、何処かの方言を含んだ彼女の言葉が、何時でも自分に力をくれる。希望を、光をくれる。心の中に、彼女はまだ生きている。

「人生でいっちばん大きな幸せは、“愛されてる”って確信出来る事なんだよ。あんたは、それを知るべきだ」

 でも。

(初めて私を愛してくれたのは、両親だったのでしょう。けれど、初めて私が、私から人を愛したのは……華お婆ちゃん、貴女が初めてだったんだよ)

 愛に無意識に飢えていた私に、初めて明確に与えられた愛情。彼女は言っていた、“愛される”事はそれが全てであると。そう、私にとって初めての体験だったんだ、“愛”に触れたのは。“愛”を理解したのは。触れられたのも、理解出来たのも、全ては彼女のお陰。私にとって、彼女は全てだった。全てが、世界が、何の前触れもなく、消えた。死んだ。無くなった、亡くなった。

 その日からか、もう少し経ってからだったか。私は今の私になった。暴れないし傲慢でもない。私は私に成った。だからか、かは分からないけれど。

(リドル・ローズハート……)

 彼と初めて言葉を交わしたあの日から、私は、彼から目が離せなくなったんだ。

(——私のようになっちゃいけない)





【twst二次創作】続々 リドル・ローズハートと監督生の忠告談  に続く!!!


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