二次創作小説(新・総合)

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指先は空気を掠めて
日時: 2022/02/03 20:48
名前: ao (ID: Drat6elV)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13220

注意:深夜テンションで書いて推敲も何もしておりません。展開が雑の極みです

目の覚めるようなワインレッドに、白い肌を無防備に曝す彼———茨が、真っ白なベッドの上で小さく寝息を零す。自分の隣で息をしている、ただそれだけでたまらなく愛おしく感じてしまう。気づいたらその背中に手を伸ばしていて、されどその指先は空気を掠めた。
(触れたら消えてしまいそう、だなんて)
お互いに拗らせきった想いを明かし、晴れて恋人同士になれた。
簡潔に纏めてしまえばそういうことになる。だが、まだ虫のいい夢物語だといわれた方が信憑性が高いと思ってしまって、触れるのが怖かった。夢から、醒めてしまうのが。
「………抱き締めて、くれないんですか」
ぽつりと小さく、それでもはっきりと届いたその言葉には、僅かな幼さと確かな熱が滲んでいた。
何よりそんなことを茨が言うとは思ってもみなくて、暫し瞠目する。そうして少しの沈黙が落ちたところで恥ずかしくなったのか、茨は耳を赤らめてそっぽを向いてしまった。
「愛していますよ、茨」
気付いたら自然に溢れ出ていたその言葉に、茨が僅かに肩を揺らした。それに加えてふわりと、そのさらさらな髪を撫で、ひとつキスを落とす。宛ら物語の王子様がお姫様にするかのように。
ずっと無反応を貫こうと努めているのが見え見えな茨が、たまらなく可愛らしくて仕方がなかった。そんな茨を、自分しか知らないと思うと、独占欲や優越感といったものが酷く満たされていくのが分かった。その黒い感情に浸っている間に、茨がとうとう痺れを切らしたように急に振り向いた。次の行動を予測する暇もないほどの一瞬で、一気に自分の体温は、茨の子供体温に包まれる。擦れ合う肌に、苦しいくらいの力強さに、抱き締められたことでようやく気が付いた。
ああ、こんなに近くに居た、と。
その苦しさが心地好かった。この時間がずっと続けばいいのに、なんて思ってしまうほど。
「今ならあんた、すぐ殺せるね」
そう、笑みを浮かべて言う茨のその言葉は、きっともうただの照れ隠しだから。
「あなたに俺を殺せるのでしょうか?惚れてしまった相手を…♪」
「~~~っばか。あんたはいつもずるいんだよ…」
そんな、胸やけするぐらいの甘すぎるひとときを過ごす自分たちに構うことなく、しらじらと夜は明けていった。


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