二次創作小説(新・総合)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 【呪術廻戦二次創作】クマツヅラの廿楽さん
- 日時: 2022/03/13 18:15
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
ここは特に読まなくて良い所です。作者の戯言が乗ってます。
SSめの本編は返信欄へ。
それから気軽に返信&リツイート(友達にこれ読んでみーみたいな)しておkです。
というかして欲しいです。宜しくお願いします。
それから、これは違うスレで他作品と共に掲載したものを一つのスレにまとめたものになります。
キャラ崩壊入ってるかもしれないからお気を付けて(高専時代の家入さんの口調が全く分からなすぎて諦めかけた)。
ああ あと、ツイステ・ブレワイ・東方project・蟲師の微クロスオーバー有ります。キャラは出て来ません。ツイステユニ魔ネタバレあるのでお気を付けて。
↴長いし読まなくても全然OKな設定
名前:自称『廿楽』。偶に関西弁が出るようだが都会暮らしの都会育ち。
「名前? あー……廿楽だよ。呪術師。忘れてくれて構わない」
―――偽名である。
術式:自称『魔法』。周囲からは「よく分かんねーけど何かやべーし何かすげー」。
簡単に言えば「想像の具現化」だが実際にはちょっと違う。対象が物理的に存在していない殆どの場合、使おうとする『魔法』を物理現象に持ってくる過程に呪力を使っているだけで『魔法』の行使自体には魔力or聖なる力が必要なので呪力は其処まで必要じゃない。
ちな魔力or聖なる力は必要なだけで使ってない。あくまで“必要である”という“印象”なので。心の底から思っている“印象”がそうなのであれば魔力も聖なる力も必要無い。
「呪力はねえ、まあ普通だよ普通。……多分」
―――呪術そのものをよく分かっていないので呪力感知に乏しい。残穢は見える。
その術式の正体は「印象の具現化」である。
例えば剣を使おうとすると、彼の中でその剣がどれ程強いのか、どのように使うかなどの深く根付く「印象」がその剣に適用される。どれ位の切れ味?振り上げる?突き刺す? のように。
これは対象が物理的に存在している時のみで、彼の言う『魔法』を使おうとするとその魔法がどれ程強いのか、言うなれば“信用”によって威力・効果は異なる。
更に『魔法』の正体とは、『現実世界から飛ばされてきた彼の魔法』である。何が言いたいかと言えば――それは例えば<フェアリーテイル>。例えば<まどか☆マギカ>。例えば<ドラゴンボール>、<ワンピース>、<僕のヒーローアカデミア>――。ゲームで言うならば<ゼルダの伝説>、<ツイステッドワンダーランド>、<東方project>など。他にも沢山あるが、彼らが使う様々な『魔法』、若しくは『聖なる力』、若しくは『能力』。その印象を使う。
(エルサの第六の精霊の力とか、ラプンツェルの治癒の力とかも使って欲しい)
「つまり、強くなるにはどれだけ常識の枠を超えた思考回路してるかって事さね」
―――皮肉なものだ。
戦闘方法:手数が何よりの武器。その手数故パワーバランスも良く、戦闘・潜入・援護など大体の状況に対応出来る。反転術式など全く以て出来る訳ないが治癒能力はある(ブレワイのミファ―とかラプンツェルとか)。
腰の背中側に【残心の小刀】を模した短刀を携えており、切れ味は呪具の中でも抜群。『魔法』を使いながら接近してきた敵を斬る、というのが板についている。偶に違う剣を携えている事や、何処からか槍や大振りな武器・日本刀・苦無や弓矢、銃などを持ち出したりもする。
【残心の小刀】の印象がリンクが使ってる所だから彼にもそれが反映されて、リンクと似たような事するし破茶滅茶に強い。
「なッ……強くない!! 俺は強くないよ!!? いや彼らはとっても強いのだけどね!!!」
―――(呪術の子達にとっては)意味不明な言動を口走る事が多い。
手の内は簡単には見せられないので命を賭けた戦闘でも先の事とか考えちゃって本気出せない事が多々あるし、どれだけ身近な人も数種類の『魔法』しか知らない。
よく自分に縛りを設ける。これめっちゃ便利とは彼の言葉。「○○のこんな能力のみしか使わない代わりに能力の底上げと呪力消費を抑える」という縛りをめちゃくちゃ使う。手数が凄いからこそ効果も凄い。○○に似合った紋章・マーク・光などが身体の何処かに浮かび上がる。印象が強かったら口癖とかも偶に移る。
(ここが一番初めに思い付いた設定。呪術廻戦の世界でツイステのユニーク魔法使わせるにはどうしたらいいか考えてる時に、例えばオフウィズryってる時、頬とか手の甲とかに薔薇の色付の刺青みたいなんが体に浮かんだら面白くない? と思って。
縛りを使ってる時は寮章が浮かべばいいなー。あとハーツラビュルで縛ってる時は、「勝負の切り札はハートのエース…ってね」とか、何か教えてた時に「…お分かりだね?」とか言って変な目で見られてて欲しい。他寮でも同様)
「『魔法』が何なのかって? 面白い事を訊くね。魔法は魔法、それ以外の何物でもない」
―――中二病を拗らせている。
等級:二級行けそうな三級。本編開始の時は二。これ以上上がらないように頑張っている。準一飛ばして一級いけるが命が惜しいので評価されないよう気張っている。
「待っ、待っっ?? 御上から通達来たな思たら我二級??? は?????」
―――こうなるのは原作が始まる約二年前くらい(ちなみに「ふざっっっっけんなよ!!!!」と届いた紙を地面に投げつけ叫ぶのはお察し)。
容姿:特に整ってない一般的な二次元の顔面だけど三次元から見れば二次元のモブは美形。性別がハッキリしないので美女かイケメンか分からないがマジで一般的。目は特に特徴の無いアーモンドアイ、睫毛も普通で二重。髪はストレートで、結べそうだけど結べないなー位のショートボブ。偶に前下がりボブにしてる事もある。
元は黒髪黒目だけどちょくちょく目の色とか髪色とか縛りの影響でほんのり変わるかメッシュぽくなる。目は片目だけだったり瞳孔だけ・水晶体だけなどあるが結構がっちり変わる。
服は中性的。膝下まであるブラックのメンズスカートを履き、グレーのタイツを下に履いている。上は真希さんのトップスをだぼっとさせた感じの服を着て、下にブラックの長袖ハイネックを着ている。夏は冷気を纏わせ服も通気性を良くしているが見た目は同じ(暑苦しいと不評)。靴は機能性抜群のハイカットスニーカー、よく汚れるのでベージュとネイビーどっちも持ってる。両方とも靴紐は白。
色が暗く地味でボディラインがハッキリしない服が多く、また露出が少ない服を好む。休日などに外出する場合は、夏なら通気性の良いスカイブルーのシャツブラウスにダメージジーンズ、透明度が高く涼やかなクマツヅラのイヤリング(服は変わるがイヤリングはしょっちゅう付けている)。冬なら鍔の付いたブラックブラウンの帽子にホワイトベージュのオーバーコート、スタイリッシュなスリットニットパンツとヒール低めのキャメルブーツ。他に私服としてカシュクールブラウスやタイパンツなどを持っている為、矢張体付きがよく分からん服が多い。
右耳の近くに、縦型の全ての蕾が開花したクマツヅラの髪留めをしている。淡い桜色をしたクマツヅラの花が何列も連なっている髪留めは、黒髪に似合う彼のトレードマーク。状況によって前髪を留めている事もある。
「周りの顔面パンチ力が強過ぎてどっかのムスカ並に視力削られたんどうしてくれる??」
―――目がッ、目がァッ!!
口調:オタク語りは披露しないがオタクの口調ではある。一人称が定期的に変わる。都会育ちなのによく関西弁になっているが特に深い意味はない。立場が下・対等の場合どう思われるかは知ったこっちゃねぇと何も気にしないが、立場が上の場合は大分丁寧な言葉遣いにジョブチェンジ。クソ上層部も例外ではなく、しかし心の中では罵詈雑言が飛び交っている。
前世で二次元に触れ過ぎて口調がブレブレ。五条みたいに喋る時もあれば夏油みたいに話す時もある。それに加えて縛りによる口癖移りがある為、術師きっての変人という認識。
「更に中二病こじらせてるからさ、もー自分でも何が何だか☆」
―――自覚はある模様(故に自制は利く)。
境遇:転生者ではなく、転世者。作者がいつ、彼が“転生した”と言っただろうか。彼は“飛ばされてきた”のだ。身一つで術師に昇り詰めるまでの時間を考えると、彼がどれ程の齢で飛ばされたのか見当も付かない。
「みたいにシリアスしてるけど言うて苦労してないで」
―――推しの部屋の壁or床希望だった彼は、このようにシリアスをぶち壊す事は少ない。
所属:ほぼフリーランスのような生活しているが一応高専所属。任務も他方から受ける。
「私、高専に通ってた頃もほぼ登校出来なかったじゃん? 適当に流されてるのが楽だよ」
―――嘘である。
その他:推し活以外だと乗馬と読書と料理が好き。好きな食べ物はモンブランと南瓜たっぷりのほうとう、嫌いな食べ物は蒟蒻。夢・腐・姫・二次全てに精通し、ピュアっピュアの王道からグッッロい悲劇、Rが付くゑちな物まで何でも見る。漫画・アニメ・小説・ゲームなど方法を選ばず、SF・恋愛・ファンタジー&ダークファンタジーその他諸々全てを受け付ける地雷が無いオタク。ただ自己投影はしないタイプ。全部ひっくるめるなら“二次元オタク”と言え、他に声優オタクでもある。
オタクと言えども術師やってる位にはイカれてるし忍耐力もある。基盤はまともで真面目、正義感のある術師だが色々と狂っている。基本自分本位だが推しの優先度は大分高い。見た事のある作品の殆どを箱推ししており、今回飛んだ次元も例外ではない。
「この世界直ぐ人死にそうだし…推しに悲しい思いも痛くて辛い思いも、IFを除いてして欲しくないから」
―――良い事言ってる風だがIFでは良いのか、IFでは。
裏設定:クマツヅラという花から着想を得たキャラクター。最初に思い付いたのは「クマツヅラの廿楽さん」という語感の良い詩で、そこから性癖を含めながら妄想を広げて行ったらこうなった。何でや。クマツヅラは10月26日の誕生花で彼の誕生日。趣味の乗馬は“馬鞭草”という別名から。
古代ローマでは“聖なる花”とされ、止血・消炎作用及び通経・黄疸・下痢に効果があるとされた。ヨーロッパでは解毒・婦人病・皮膚病に効く薬草とされ、キリスト教のキリストの出血を止めた草。潜伏任務の場合は姿を変え“バーベナ”と名乗る。これはクマツヅラの英名である。
元々ああいう術式使う子書きたいなーと思ってて、そのイメージが魔法だったから「魔法」の花言葉を持つ花を調べていたら出会った花。他に“魔法の力”“魔力”“魅惑”“心を奪われる”の花言葉を持つ。これから呪術廻戦の子達が魅了されて心を奪われるかは知らん。
「一般的に“雑草”とされてるみたいだけどね、クマツヅラ……」
―――そうそう。あの髪留め、クマツヅラを模しているだけあって“何か”があるみたい。
○書きたい事
・初めて術式見せた時
・ユニ魔(詠唱、縛り含む)
・英傑たちの加護(縛り含む)
・救済
・肉体派じゃない主がバリバリに近接戦闘する所
・怪我した誰かを治癒する所
・“バーベナ”としての主
・歌
・ディズニープリンセスの魔法
●ちょっと細かく
・ユニ魔(詠唱、縛り含む)
縛り ― どこか寮のユニ魔しか使えない代わりに呪力消費を抑え威力が向上する。
寮章が体の何処かに浮かび上がり、寮やキャラによって目・髪色や口癖が反映。
寮章や目・髪色の異変が常時起こる訳ではなく、状況による。私の匙加減。
↳ ハーツラビュル→左目の近くの頬に、皆のフェイスペイントのように寮章が浮かぶ。
発動→皆のマークが描かれたトランプを投げる。
体→隣接した毛束にエデュの赤青のメッシュが入る。発動時以外、目は普通。
サバナクロー→左腕上腕辺りに寮章が浮かぶ。おまけで聴覚・嗅覚もちょっと上がる。
発動→背後に何れかの動物が出現し(透けてる)、対象に向かっていく。
体→瞳がレさんの緑に、髪は一部ジャックのがインナーカラー入るけどほぼ見えない。
オクタヴィネル→鎖骨の中心辺り。サバナもオクタも普段見えないけどシチュで誤魔化す
発動→伸ばした手から何れかの魚達が出現し(透けてる)、対象に向かっていく。
体→リーチ兄弟の髪色でメッシュ入る(フロと同じ位置)。発動時以外、目は普通。
スカラビア→左側の首筋に浮かぶ。横に居ると蛇に睨みつけられるよ☆
発動→カリの場合は清らかな魔力の渦が天に昇り雨が降る。
ジャは赤くなった瞳に蛇のマークがぽっと浮かび、片方がジャミの目色になる。
体→瞳がカリの真っ赤に、髪は殆ど変わらないけどよく見たらジャミの色になってる。
ポムフィオーレ→右手の甲に浮かぶ。絶対しないけど近く行くと何かの香りがしそう。
発動→浮かんだ寮章を対象に翳す。これは寮服に書いてあるマーク故手首までいってる
体→ヴィみたいに下からグラデかかってる(色はエペの髪色)。瞳の色は特に変わらん。
イグニハイド→ユニ魔不明なんで保留!
発動→
体→発動時のみ髪がシュラウド兄弟と同じく青に燃え上がる。
ディアソムニア→上に同じく!
発動→
体→目がマレさんの色に、右側にセベのメッシュが入りちょっと八重歯に。常時眠い。
ここまで読んでるヤツ居るーー!? 居ねぇよなあ!!?(ツンデレ)
――5400文字
- Re: 【呪術廻戦二次創作】クマツヅラの廿楽さん ( No.1 )
- 日時: 2022/03/13 18:23
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
○ワンクッション○
一番上に書いてあるやつ読みました? 読んでないと地雷踏むかもよ? 平気?
平気なんですね?
分かりました。でもお勧めは「・怪我した誰かを治癒する所×初めて術式見せた時(灰七)×英傑達の加護(縛り含む)」とか「・ユニ魔(詠唱、縛り含む)×サバナクロー×蟲師 ※別世界線、謎時空」とかです。そっちの方が長いしシンプルに小説としての完成度が高い。
ちなみにこれはSS。
・怪我した誰かを治癒する所×初めて術式見せた時×歌
大人数で行った任務で大多数の負傷者が高専に担ぎ込まれる。運悪く、前日今日と負傷者が多く呪力も気力も最悪のコンディション。救援を求められるが、まだ一年の家入には到底荷の重い任務。飄々とした態度が崩れ、汗を流し肩で息をする家入を見兼ねた五条と夏油がドクター()ストップするが、このままでは術者に命は無い。絶体絶命!(ここまであらすじ)
「治癒」
突如として凛とした声が響き渡り、床に巨大な緑の魔法陣が展開された。声の主は分かり切っている。勢いよくそちらを振り返ると、そこにはベッドに寝かされた負傷者に向かって腕を伸ばしている廿楽の姿が。
「今…術師廿楽の名に置き、此処に縛りを設ける」
そう静かに呟き、伸ばしていた腕を上に掲げる廿楽。その表情は何を映している訳でも無い無表情だ。廿楽の言っている意味が理解出来ず、家入は眉を寄せる。自分の中で呪力の流れが途絶えている事に気付いて、慌てて反転術式を構築し直した。
――途端、背後でぶわぁっと呪力が溢れるのを肌で感じる。再び呪力の流れが途絶え、無意識に体の動きが止まった。目が見開かれ、指先一つ動かない。コツ、コツと踵を鳴らしてこちらに近付いてくるのを理解した頃には、既に廿楽が家入の隣に立っていた。膝を折って体を屈め、座っていた家入の背を優しく撫でる。
「……もう無理しないで良いよ、家入」
恐る恐る横を見遣ると、声も顔立ちも廿楽なのに、呪力量と艶やかな髪色が違う別人が、優し気な顔で微笑んでいた。耳の近くに付いている特徴的な髪留めと言いカスタマイズされた制服と言い、廿楽そのものなのに。家入は捉えどころのない違和感を感じていた。疲労で朦朧としている頭を叱咤してどうにか動いている状況下では、理解出来る物も出来ない。
「後は私が何とかするから。家入は休んでいて」
言われた途端、途轍もない眠気が霧がかるように頭を支配し、家入は半ば気絶するように眠りについた。最後に目に映った、輝かんばかりの美しい金の髪を記憶に残しながら、ガクンと倒れた体を誰かが支えるのを、家入は確かに感じていた。
廿楽は家入を五条と夏油に任せると、先ずは此処からだと家入の残穢を感じる男に向き直る。深く息を吸って吐いて、そして再び吸うと、軽やかで伸びの良い歌声が部屋中に響き渡った。
―――Flower, gleam and glow Let your power shine
そう歌い出し、廿楽の背後に居た五条と夏油の二人は大きく目を見開く。黒髪が突如として金髪に変わったのもそうだが、その金の髪が風も吹いていない室内で大きく靡き淡く光を放ち始めた事に、これ以上に無い驚愕を感じていたのだ。
―――Make the clock reverse Bring back what once was mine
髪はより光を増し辺りを照らす。低く重厚になった声に共鳴するように呪力が周りに溢れ出し、伏せられた廿楽の瞳がゆっくり開かれる。
―――Heal what has been hurt Change the Fate's design
すっと嫋やかな手付きで腕を伸ばし、より背筋を逸らして胸を張り、廿楽は手に込める呪力を多くした。
―――Save what has been lost Bring back what once was mine
伸ばされた手から太陽を模った模様が浮かび上がる。七方に伸びた火のような物を中心に円が描かれたその模様は、負傷者の大きく抉れた横腹の上でゆっくりと回っている。
―――What once was mine
半透明だったその模様は廿楽が歌い終わった途端にカッと光を放ち、呼応して髪の発光が収まっていった。少しして模様が消え去ると、そこには切れた服から傷一つない脇腹が覗き、血色の悪かった青白い顔には幾分か血の気が戻っている。
「……は?」
五条は呟き声を洩らした。今、目の前に居るこいつは何をした? 骨までは行っていなかったにしても、拳一つ分程も抉れていた脇腹に…呪術をかけ、治したとでも言うのか。ハ、と隣を見遣ってみれば、夏油も同じく驚愕を隠していない。
廿楽は何とでも無いという風に立ち上がり、淡々と部屋の中心に向かっていく。二人は廿楽に声を掛ける事も、これが何なのか問う事も出来ずその光景を眺めていた。
「驚かないで」
感情一つ籠っていない声で廿楽が呟く。再び「は?」と声を零しそうになるのをぐっと抑えて、五条は事の成り行きを見守る。
中心に背を伸ばして立つ廿楽は、虚空を見つめた後に目を伏せて、胸上の辺りで祈るように指を絡めた。
「私の髪は魔法の髪、歌うと光る魔法の髪」
下にあった目線を上げ、廿楽は絡めていた指を解きバッと腕ごと手を後ろにやる。後ろに伸ばした腕を追うように金の髪が靡いて伸びていく。伸び続ける髪をそのままに、廿楽は腕を左右に伸ばし気合を発した。
「ッ、」
夏油が少し後ろにたじろぐ。それ程の呪力量なのだ。五条は顔を顰め、夏油は驚きに顔を染めその光景を見ていた。丁度先程の魔法陣と同じように、あの太陽の模様が部屋の壁、天井の三方に広がる。見慣れない三つの模様が部屋を囲んだ。その頃には、廿楽の髪は本人の背を抜かすまでに伸びていた。金の髪は後ろに靡き、再び淡い光を発し始めている。
「私は消えたプリンセス……」
この距離の二人にも聞こえない程の小声で呟き、横たわっている多くの重傷者の上にあの太陽の模様を出現させた。そして廿楽は、最後の仕上げにふっと目を伏せ再び開く。
……ぽつん。
右頬を伝って零れた涙が、空気を揺らして床に落ちた。瞬間、その涙を中心に、床全体に太陽の模様が広がった。四方を金色に光る模様に囲まれながら、吐きそうな程の呪力に耐え、二人は何も言わず固唾を飲んでそれを見つめる。
―――花は煌めく 魔法の花
時を戻せ 過去に戻せ
傷を癒せ 運命の川
遡れ 蘇らせろ 過去の夢―――
重々しくそう歌い、空気中の呪力濃度がより高まった時…ドサッと重い音を立て、廿楽が倒れた。ぐったりして動かない廿楽に、家入を支えていた夏油を制し五条が駆け寄る。
依然として動かないが呼吸はしているし、この眼で見ても特別異常は見受けられない。シュウゥ…と音を立て元の髪色に戻っていく廿楽に奇妙さを感じながら体の下に腕を回して立ち上がろうとすると、重力に従ってガクンと体が落ちる。起きるつもりはないようだ。
仕方無く担いで二人の元まで戻ると、心配そうな気配を押し殺す夏油と目がかち合った。恐らく自分も似たような顔をしているのだろう。
「生きてはいる」
「…そうか」
ぶっきら棒に放った言葉に、夏油がほっと安堵の息を洩らした。クラスメイトの半分―と言っても二人―が倒れた現状に思う所はありつつ、二人は今起こった事について考え込む。
「縛りとか、言ってたよな」
「ああ。多分……術式なんだろう」
その二言を交わした後、夏油はふと他の重症者に目を向ける。思った通り彼らの傷は既に塞がっていた。疑惑を感じる前に夏油が感じたのは、廿楽への明確な興味だった。
これが、廿楽がクラスメイトに初めて術式の一端を開示した瞬間である。
ね!? 短いし(3240文字)完成度高くなかったでしょ!!
まぁ私も? ミドルスクールに上がれば?? 語彙力とか??? 付いちゃいますし?????
一番のオススメは三つ目のやーつ。