二次創作小説(新・総合)
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- 【二訂版】もしもの! プリキュアオールスターズ【もしプリ】
- 日時: 2022/04/19 17:45
- 名前: 広村伊智子 (ID: I3friE4Z)
私はいくつ改訂していけばいいのだろうか(白目)
内容はかなり変えると思われまっしんぐ。
2022/4/18 19:00 開始
ジャンルは、SF・シリアス・ファンタジー・アクション。
系統は、オリ主、原作キャラ死亡。
*息抜きで書いています。
*感想くださると喜びます。
旧題【プリキュアオールスターズ!If物】
(初版@2017)
www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=103
(改訂版@2018)
www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=255
【目次】※順次更新予定
一気見 >>1-
《イメージイラスト》
汀: >>4
《訪問者編》
プロローグ: >>1 >>2 >>3 >>7
- 訪問者編 プロローグ 1 ( No.1 )
- 日時: 2022/04/19 01:55
- 名前: 広村伊智子 (ID: U9CqFAX7)
「――あなたたちは選ばれた子。しっかり皆のために命をかけて尽くすのよ」
私たちは、大きくて白いボールの中で育てられた。
*****
そのボール――正式名称・乙女の箱庭。
私――汀と、同じ誕生日・同い年の70人あまりの少女たちが、この箱庭の中で育てられた。
外の世界のことは知らないが、職員の人たち曰く、この建物の外観は、通称通りまさに巨大な白ボール。
だから、私たちも『ボール』と呼んでいる。
ここが私たちの世界の全て。
『外』の人たちは、なんと『地球』という大きな球体の上に立っているらしい――そんな物に乗ってバランスを崩して倒れでもしないか心配だ――が、私たちはボールの中。
内外問わず、世界はいつだって丸いのだ。
「本当に、『地球』の人たちの仲もトゲトゲしてないで、地球みたいに丸かったら良いのにね」
私と同じく『乙女の箱庭』で育った、黒髪の少女が憂鬱そうに笑う。
――今からおよそ172年前、この世界に深い闇の帳が覆い被さった。
当時、地球や宇宙を守っていたという伝説の戦士『プリキュア』が彼らに命を賭して応戦したものの、激戦の末に敗れ、彼女らは全員亡くなってしまった。
そこから、世界中の政府が秘密裏に進めたプロジェクトが、『乙女の箱庭計画』。
計画は二世紀近くもかけて進められ、こうして今、『選ばれた子』として育てられているのが、私たちだ。
「ほんとに、ね……」
私はその子に言葉を返し、もうほとんど目立たない胸の手術跡を服の上から撫ぜる。
学習に訓練に。
私たちは、これまで沢山のことを頑張ってきた。
地球の皆のために尽くせ――そう、ずっと教えられてきたから、その役目を果たすために、過酷なメニューにも一心に打ち込み、耐え忍んできた。
「もし、プリキュアが負けていなかったら、私たちも普通に、中学2年生できてたのかな」
私の茶毛のポニーテールが、ふわりと揺れる。
「ダメよ、そんなたらればの話なんか。私たちは、ここにある今を戦うだけ」
黒髪の彼女が「めっ!」と叱るように、人差し指を突き出してきた。
「大丈夫よ、汀。これまでずっと努力してきたんじゃない。きっと勝てるわ」
そうやって笑う彼女の顔はどこか儚げで、体をギュッと抱き締めたくなる衝動に駆られた。
「――だと、いいよね」
彼女に、私が今できる目一杯の笑顔を見せた。
- 訪問者編 プロローグ 2 ( No.2 )
- 日時: 2022/04/19 00:34
- 名前: 広村伊智子 (ID: U9CqFAX7)
勝てるだなんて、内心思ってない。
だって、数々の世界滅亡の危機を乗り越えてきた歴戦の戦士をくだしたんだよ?
170何年も、水面下でしか動けないくらい強いんだよ?
しかもこの闇の濃い世界で、年々力を増してるんでしょ?
70人の女の子だけで、そんな脅威に勝てるの?
『地球』の人たちの、見えない期待が重い。
息が詰まる。
想像しただけで、あまりの重みに、体ごと潰されて圧死してしまいそうだ。
それでも、2年前に胸に埋め込まれた強化装置、『キュアーズ・コネクター』をよすがとして、私たちは戦っていくしかない。
戦っていくしか、ないの。
父も母も誰だかわからない。兄弟だって、誰がいるのかもわからない。
でも――国が、世界が私たちを手塩にかけて育てたのなら、それでいい。育てた目的が、何であれ。
これ以上の愛はいらない。
元より甘えなんて見せようとも思わない。
私は、育ての親のために死力を尽くすだけ。
育てられた恩を、体を張って返すだけ。
- 訪問者編 プロローグ 3 ( No.3 )
- 日時: 2022/04/19 00:36
- 名前: 広村伊智子 (ID: U9CqFAX7)
最近は、別のプロジェクトも同時並行で進めているという。
その内容は――タイムマシンの開発。
聞いた瞬間に、馬鹿だな、と思った。
私たちが誰に教育されたと思ってんの?
あんたたち科学会トップレベルの権威者だって、その教育係に混ざってるのよ。
タイムパラドクスとか、光速を超えることについてとか、そんなの私たちが知らないとでも思った?
どこか冷めた目で漠然と、「遂に気でも触れたか」と思ったが、それはあながち間違いでも無いのだろう。
皆、切羽詰まっている。
不可能に近しくてもやれることはやろうと、『常識』や『理論』をかなぐり捨ててまで問題に取りかかっているんだ。
――そこまで思い至った途端、なんだかもうあの人たちを馬鹿に出来なくなってしまった。
私もやらなきゃって気分に、否が応でもなってしまった。
これも、政府機関に調教されて出来上がった思考回路なのだろう。
笑えてくる。
だけど、例え『一般家庭』に育っていたとしても、誰かから何かしらの影響を受けて、子どもは思考を形成していくのだろうと思えば、私たちの状況も誤差に思えてきた。
それに――他の70人、皆が頑張ってる。
私だけ、手を抜けるわけ無いじゃない。
適当にやれば、きっと私は後悔する。
そんでもって、頑張れば勝てる希望も見えてきたりして――そんな妄想に等しい夢を、頭の中で思い描く。
思い描いて、自主特訓に励む。
――こんな無味乾燥な夢、持ちたくなかった。
心の内で、嘆きながら。
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