二次創作小説(新・総合)
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- ご都合血鬼術 ~水・恋の入れ替わり~
- 日時: 2022/07/08 22:52
- 名前: ハル (ID: EDXcI6jL)
鎹ガラスからの連絡を受け、恋柱である甘露寺蜜璃は夜の暗闇の中を走っていた。目的地に到着し、今回一緒に任務にあたる人物を待つ。
「…待たせたな」
「あ、冨岡さん!!私も今来たところなんです」
「そうか…」
「あの、今回の任務って十二鬼月が出るんでしょうか…」
冨岡はしばし考えた。
(俺の鎹ガラス、そんなこと言ってたか…?)
「冨岡さん?…私の話、聞いてますか?」
「(俺はカラスからそのような情報は)聞いていないが」
「えっ……!?」
蜜璃はムッとした。
(そんなにはっきり言っちゃうんだ……)
冨岡は少し、いや、かなり言葉が足らない。そのため、周囲から誤解されたり、怒らせることが度々ある。無論、冨岡に一切の悪気はない。冨岡はなぜ甘露寺が怒っているかも分からぬまま、鬼の目撃情報が出ている場所に向かった。
目的地に着き、二人は静かに鬼の気配を探り始めた。ふと、冨岡は甘露寺の様子が気になった。待ち合わせをした時から思っていたのだが、何となく落ち着きがないというか…。
「おい、どうした」
「えっ……、えっと、何がですか?」
「先ほどから落ち着きがない。ずっとそわそわしている」
「あ……」
甘露寺はこの様子を気づかれたことに驚いた。
(冨岡さん、よく見てくれているのね)
「あ、あのっ、その、実は…、明日柱合会議があるじゃない?それが終わった後にね、伊黒さんとお食事に行く約束をしてるの。…だ、だから、今回の任務で怪我でもして行けなくなったらヤダなあ~って……」
なるほど、と、冨岡は合点した。
(それで十二鬼月の事も聞いてたんだな)
動揺している甘露寺には分からないだろうが、冨岡は先ほどから鬼の気配を感知していた。甘露寺は顔を赤く染めている。
「…安心しろ。俺が行けるようにしてやろう」
そう言って、冨岡はゆっくりと日輪刀を鞘から抜いた。背後から鬼が爆速で近づいてくるのを感じる。
「水の呼吸、壱の型、…水面斬り!」
冨岡の刀は鬼の首へまっすぐに引っ張られていき、見事に鬼を一撃で仕留めた。一瞬の出来事に甘露寺は驚き、瞬きをするのも忘れていた。
「……!!冨岡さんっ、あっ、ありがとうございます!…って、ヤダ私ったら!刀も抜かずに…」
「別に気にするな」
(冨岡さん、本当にカッコいいわ!!!)
鬼が塵となって消える直前、冨岡は少し違和感を感じた。しかし、どこにも異常はないので気にしないことにした。
「任務は終わりだ。鬼は一体だけだと聞いている。十二鬼月じゃなくて良かったな」
冨岡がそう言ったが、甘露寺はどこか腑に落ちない顔をしている。
「どうかしたのか」
「…鬼って一体だけなのよね。十二鬼月でもなかったし、術を使うわけでもなかったし、…こんなことで柱が二人も呼ばれるのかなって……」
確かにそうだ。柱が呼ばれる時は鬼が複数体いたり、十二鬼月などの強い鬼がいるときである。今回の任務でわざわざ柱が向かう理由があったのか…。 そんなことを考えている二人に突如、睡魔が襲った。