二次創作小説(新・総合)

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ようこそ! トラチャンズカフェ
日時: 2022/10/31 21:10
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: Hh73DxLo)

説明文

 ここは、とある世界にある小さな喫茶店。扉を開ければカランカランと心地いいベルの音。
 あなたを出迎えるのは穏やかな店員さん、ちょっと無愛想な店員さん、ちょっと挙動不審な店員さん、そして…

「ようこそ、トラチャンズカフェへ!」

 小さな小さな、トラチャンです。

※こちらは現パロ、学パロな原作のげの字もないクロスオーバー二次創作になります。
※クロスカプもあります。作者がクロスカプ厨だからです。
※イライとは別に、『人間になりたい虎』を着た小さな何か、『トラチャン』が存在しています。
※なるべくキャラクターは原作に沿うように書きますが、現パロ、学パロのため原作に100%忠実に沿うことはできず、オリジナル設定を足すことも多々ございます。
※作者に味のレポや飯テロを期待しない方が吉です。
※『綴られし日々-作者とキャラの日常-』とは別の世界線とお考えください。
※コメント等は歓迎しておりますが、誹謗中傷、露骨な宣伝行為はお控えください。また、過度な更新の催促もお控えください。

ご予約用紙 (準備中…)

目次(お話のみ)
ぷろろぉぐ >>1

目次(キャラクター紹介など)
尾形、ピアソン、イライ、トラチャン+α
>>2

Re: ようこそ! トラチャンズカフェ ( No.1 )
日時: 2022/10/31 21:13
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: Hh73DxLo)

ぷろろぉぐ
『もとしゃちくのおがたさん』
※ブラック企業描写あり。少ししんどい。

 やっちまった、とは思った。
 偉そうに踏ん反り返っていた上司に「クソが」と吐き捨ててしまった瞬間に、自分は床に倒れていた。殴られて倒れたのだと理解する前に上司は罵詈雑言、そして、お前はクビだというある意味の決まり文句を吐き捨てたのを見て、なんとなくぼんやりとやらかした、と思ったのを覚えている。
 尾形百之助の人生は、最初からあまり恵まれたものではないように思う。父親はどこかの大企業の社長で、母親はその父の『愛人』。自分を産んでから、捨てられたと言う。母は常に、父に似ている自分を通して未だ未練がましく愛している『父』を見ていた。だからだろうか、母はとうとう精神を病み、入院した。祖父母も孫の世話と、母の世話でとても苦労していたのを覚えていた。
 だからか、尾形は早々に家を出て、とりあえずと就職した先が所謂ブラック企業であった。サービス残業、土日の出勤に無意味な出勤前の出勤は当たり前。気に入られた社員はセクハラの対象で、気に入られなかった社員はパワハラと搾取の対象。尾形は後者に入った。
 転職先を見つける暇すらない毎日。家に帰っては申し訳程度のシリアルバーなどの味気ない食事とぼうとするだけの風呂、その後に布団に沈んで気絶するように眠り、うるさい目覚まし時計で目を覚ましてまた出勤。ほとんど使うことのない金ばかりが口座に貯まっていくのを見ても虚無しかなかった。仕送りをしても有り余る金はただの数字の羅列だ。
 それでも、と何故かそこにしがみついて、しがみついて。結果、今日うっかりやらかして無職となった。
 しばらく暮らすこと自体に不自由はしない。しないだろうが……。
「どうするか……」
 転職先を探せてもいない、という事実が少しばかり不安だった。ゆっくり探すということにしたって、最初があんな会社だからかどういう所へ行きたいのかすら分かっていない。
 ぽつ、と頬に何かが落ちる。見上げれば次から次へと空から水が落ちてきて、それは雨となって尾形を容赦なく濡らしていく。
 ああ、傘持ってきてなかった。思うのはそれだけで、濡れることに不快感も何もない。ただふらふらと歩いていた。すれ違う人々は焦って走ったり折りたたみ傘を差しているからか、尾形をじっと見てはそのまま去っていく。
 しばらくそう歩いていた。が、目の前が揺れ、足がもつれた。起き上がろうにも、力が入らない。
「……あー……」
 なるほど、まともに食事をしていないせいか。何故か妙に冷静な頭は答えを即座に弾き出す。
 これはダメかもしれない。そう思った尾形はそっと目を閉じた。ふと、昔のことを思い出す。まるで、あの捨て猫だと。
 小さい頃に、箱に入れられて捨てられていた子猫。ざあざあと降る雨の中、みゃあみゃあと鳴いていた。けれど遠出していた尾形の家は遠く、とても拾ってやることはできなかった。
 そういえば、あの猫は拾われたのだろうか。どっちにしろ、尾形がその先を知ることはできないが。
「えっ、だ、大丈夫ですか!?」
 後ろから声がした。それに振り返ることすらできず、尾形は意識を手放した。


─────────────


「……ん」
 ゆっくりと目を開ける。視線の先には、見慣れぬ天井。数回ぱちくりと瞬きをして、のそりと起き上がる。
 ベッドに小さなテーブルと椅子、ソファ、本棚、いくつかの観賞用植物にクローゼット。緑のカーテン越しに差す陽の光。ソファにはタオルケットがかけっぱなしになっていた。明らかに自分の片付いていない安アパートの部屋ではいない。
 ここは一体と首を傾げ、そこでやっと服が変えられていることに気が付いた。灰色のスウェットで、胸元にはフクロウが小さく描かれている。……少し大きい。自分も決して小さい方ではないはずだが。
 部屋のドアが開く。そちらに目を向ければ、焦茶の髪に青い瞳をした青年がいて、尾形を見てあっ、と声を溢した。
「良かった、気が付かれたんですね」
「……あの。ここは」
「私の家で、職場です。驚きましたよ、昨日の夜、あなたがここの前で倒れていて」
「ああ……」
 助けてくれたのか、と問う前に調子はどうですか、と聞かれた。
「問題は、ないです」
「そうでしたか。昨日、知り合いのお医者さんにも診ていただいたんですが……本当によかった」
「……えっ」
「?」
「わざわざ、医者を?」
「はい」
「……ありがとう、ございます」
「いいえ、お礼を言われるほどのことではないですよ。あっ、お腹空いてませんか? お医者さんによると、あまり食べていないんだろうって……」
「いや、そこまでは」
 と、言いかけて腹の虫は遠慮せずに大声で鳴いた。お互いに固まり、青年はふふ、と微笑んだ。
「よろしければ、食べていかれませんか?」
「……オネガイシマス」
 ベッドから立ち上がり、二人で部屋を出る。階段を降り、ドアを開けるとふわりとコーヒーの香りが鼻をくすぐった。
 木製らしい天井や床、手入れがきちんとされているテーブルに椅子、お洒落な照明に窓には小さな植物が置かれている。カウンターもあり、サイフォンや小さなボードがあった。
「……喫茶店?」
「ええ、小さな店ですが、大切なお店です」
「お、おい、クラーク。そいつ、起きたのか?」
 突然した声にびくりと体を震わせる。見た先にいたのは、ヒョロリとした男だった。短いながらもボサついた茶色の髪、同じ茶色の瞳に、髭。彼はじとりとした目でクラークと呼ばれた青年と尾形を見ている。
「ピアソンさん。はい、先程」
「……そ、そうか。お、おい、お前」
「……なんだ」
「な、何か食べるんだろ。か、簡単なものなら、すぐ作れる。何がいいんだ」
「……は?」
「な、なんだよ!?」
「お前が作ってるのか?」
「なぁっ!?」
「あ、あはは……ピアソンさんは、結構料理上手なんですよ」
「…………髭とか髪、入れるなよ」
「入れるかぁっ!!」
 なんなんだ、失礼なと憤慨しながらカウンター奥のキッチンへと引っ込んでいく。
 苦笑いしたまま青年は近くの席に腰掛けると尾形のことを手招きする。向かいに腰掛け、ぽつぽつ、と話しているとピアソンと呼ばれた男がマグカップを四つ持って席まで来た。
 四つ、と首を傾げると、ピアソンはそれぞれの椅子の前に置く。三つはコーヒー、一つはミルクだ。奥行けよと言われ、渋々移動するとピアソンはどかりと腰を掛けた。
「ピアソンさん、サンドイッチをとってください」
「!?」
 三人の誰でもない声に勢いよく周りを見渡す。しかし、誰もいない。
 困惑しているとピアソンがテーブルの下に手を伸ばして四人分のサンドイッチを取っていた。……一人分だけ妙に小さい。青年がおいで、と声をかけてまたテーブルの下に手を伸ばすと……虎のような服を着た、二頭身くらいの何かが、出てきた。
「!?!?!?!?」
「わあ、目に見えて困惑してる……」
「そ、そりゃあ、そうだろ」
「トラチャンにおどろいてますね」
「? ……???」
「声すら出てない……」
「あ、当たり前だ」
「トラチャンみるとたいていのひとはおどろきます」
「だ、大丈夫ですか? えーと」
「お、おい、クラーク、まさかお前、な、名前聞いてないのか?」
「あ、はは……正解です」
 青年の答えにピアソンは深いため息を、トラチャンと自称する何かはぱちぱちと拍手し、やさしいです、と言っていた。
 ただ、それで尾形も自己紹介をしていないことに気が付き、お互いに自己紹介を済ませることにした。
「では、まずは私から。私はイライ・クラーク。一応このカフェ『トラチャンズカフェ』のオーナーです」
「く、クリーチャー・ピアソンだ……。お、主に、料理とか、つ、作ってる……」
「トラチャンです。『うぇいたー』けん『ますこっときゃらくたー』です」
「……尾形百之助。昨日無職になった」
「「「え???」」」
 固まる三人(?)をよそに、尾形はサンドイッチを頬張った。レタスはシャキシャキとしていて、ハムの味とからしマヨネーズのほんのりとした辛味が舌を刺激する。
 こうしたまともな食事は久しぶりかもしれない。そう思いながらサンドイッチをもう一口頬張った。




 それから、数ヶ月が経ったトラチャンズカフェ。一人の客がカフェの扉を開ければカランカランと心地いいベルの音が鳴った。
「いらっしゃいませ」
 穏やかな低音で頭を下げながらイライが言えば、テーブルを拭いていた尾形も無愛想に「いらっしゃいませ」と言い、たまたま表に出ていたピアソンも挙動不審ながらも「い、いらっしゃいませ」と言う。
 席は自由で、客はカウンター席に腰掛ける。その目の前にぴょこりと現れるのは、メニューを持ったトラチャンであった。トラチャンはメニューを客に差し出し、満面の笑みを浮かべる。
「ようこそ、トラチャンズカフェへ!」


 穏やかなオーナー、イライ。

 無愛想ながらの聞き上手?の、尾形。

 挙動不審ながら料理上手の、ピアソン。

 そして、謎ながら可愛らしいトラチャン。

 四人のトラチャンズカフェは、今日も平和に営業中です。

ぷろろぉぐ
『もとしゃちくのおがたさん』

Re: ようこそ! トラチャンズカフェ ( No.2 )
日時: 2022/10/31 21:17
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: Hh73DxLo)

尾形おがた 百之助ひゃくのすけ
元ブラック企業の会社員。自分でも何故かは分からないが会社にしがみつき、結果的にクソ上司にぼそりとクソが、と溢したことで解雇された。
まともな食事、休みがなかったせいで倒れたところをイライに助けられる。
あの朝食の後、ピアソンを中心に事情聴取()され、トラチャンズカフェで働くことに。意外と天職だったことが判明する。
好物はあんこう鍋と、ピアソンの作ったココア。

イライ・クラーク
『トラチャンズカフェ』のオーナー。先代が祖父で、先代が不慮の事故によりカフェの仕事ができなくなったために引き継いだ。その人柄で先代の頃からの常連を筆頭にお客を増やしている。
原作では天眼と呼ばれる眼を持つが、今作では天眼を持たず、平凡な青年。フクロウを飼っている。身長が何気に高い。
倒れていた尾形を助けた。


クリーチャー・ピアソン
『トラチャンズカフェ』の料理担当。最低最悪とも言える子ども時代を過ごした。前科あり。(窃盗)先代オーナーによってトラチャンズカフェで働くようになる。
原作ではエマ・ウッズに対し異常な執着心を見せるが、今作では少し薄れている。少し。花騎士劇団のロータス組、ハバネロとなんだかんだで仲がいい、らしい。


トラチャン
かつてイライの祖父が喫茶店をオープンする際に現れた謎の何か。何故かイライにそっくり。
自らを「トラチャン」と呼び、少々舌足らず。なお、『トラチャンズカフェ』はお察しの通り、トラチャンと出会ったイライの祖父が名付けたもの。
トラチャンズカフェにてウェイター兼マスコットキャラクターとして働いている(?)が運が良いと豆をコリコリと挽いてる姿を見られると言う。ぶっちゃけ豆を挽く作業が好きらしいのでわりとよく見られる。
なんか普通に人間の食べ物食べても平気。

○町や重要な学校の紹介○
トラチャンズカフェがある町
『ふかしぎ町』
普通の町のようで普通の町じゃない、そんな不可思議な町。
個性豊かすぎる人々が暮らしている。多分他の町からは大抵「カオス」と言われてるんじゃないかな。
ちょっと大きめの駅や学校、図書館とかある。
トラチャンズカフェはその大きな駅から徒歩20分とか離れたところにある。
SNSとかだと隠れ家的カフェと紹介されそうな感じ。なお未だにSNSで投稿されてバズったことはない。

交世学園こうせいがくえん
ふかしぎ町一大きな学校。小、中、高のエスカレーター式。敷地も大きい。
勉学や部活動はもちろん、学生寮や学食と言った面も充実しているが、毎日何かしら騒動が起こってるらしい。こちらも個性豊かすぎる生徒と教師が多数在籍。ケモミミ生えてる子とかいる。普通にいる。
シンボルは大きな桜の木。その下で告白すると想いが通じ合うというロマンチックな噂が。なお、この手の噂は校内の大きな木の下なら大抵あるぞ。

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