二次創作小説(新・総合)
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- RE:ダンガンロンパ ad lib. 〜絶望の林間学校〜
- 日時: 2023/05/25 11:32
- 名前: アルズ (ID: uwSO6KOF)
- 参照: https://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=26831
初めましての方は初めまして。
お久しぶりの方はお久しぶりです。アルズと申します。
この小説はダンガンロンパのオリジナルストーリーです。
オリキャラのオンパレードであり、原作で登場した肩書も登場します。
そちらが嫌という方はブラウザバックを推奨いたします。
亀並みのスピードで、気分次第で書き上げるのでそちらが耐えきれないのという方はリメイク前のURLを載せますので、そちらをご覧ください。
基本的には事件もイベントも変わりはしません。
ご了承ください。
chapter0 プロローグ
- chapter00 プロローグ ( No.1 )
- 日時: 2023/05/25 12:04
- 名前: アルズ (ID: uwSO6KOF)
ぼんやりと上を眺める。
そこには巨大ともいうべき学園がそびえ立っていた。
そう、そこが世界の中心というように…。
『私立希望ヶ峰学園』
そこは、あらゆる分野の一流高校生を集め育て上げることを目的とした、政府公認の超特権的な学園…。
何百年という歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい。
国の将来を担う“将来”を育て上げることを目的とした、まさに、“希望の学園”と呼ぶに、ふさわしい場所だ。
この学園に入る条件は二つ。
1つ、“現役の高校生であること”
2つ、“各分野において一流であること”
新入生の募集は一切行っていない。
学園側にスカウトされた生徒のみがその入学が許可されるのだ。
そんな超すごいと言わんばかりの学園の前に、俺は立っていた。
俺はパンフレットを片手に悠々とそびえ立つ建物を眺める。
想像していたよりも遙かに大きい。 恐らく、世界共通でここまで大きな教育機関は存在しないだろう
「…やっぱり場違いかな、俺は…。」
そう呟きながら俺に届けられたパンフレットと共に届けられた招待状を見た。
それは先週、学園から俺へ宛てられた一通の手紙であった。
『水上 翼様、今回我が校では平均的な学生の中から、抽選によって一名を抽出しました。
その結果、当選したあなたを“超高校級の幸運”として我が校に招き入れる事になりました。』
ということだ。
噂によればスカウトされた人数が多い、一流の学生と普通の高校生との違いを観測するため、などと言った理由で78期生でもう一人だけ“超高校級の幸運”を入れよう。という目的で今回は特別にその人の他に俺が選抜されたというわけだった。
その人と俺はとても幸運だと、そう思った。
だって、全平均的な高校生から一人、更に一人くじ引きで特賞を引き当てたんだ。幸運以外に言い方があるだろうか。
そうだ。俺の自己紹介を忘れていた。
俺は『水上 翼』。
これといって特徴らしい特徴…しいて言うならば、ここに来る前の学校は国立だったことぐらいだろうか。
運動は得意ではない。あまり体力もないし、足も速い方ではない。
国立高校に通ってた以外では、至って普通の生活を送っていた、普通の高校生だ。
これ以外に特徴を述べよ。と言われても、特に思いつかない。それぐらい平凡な奴なのだ。俺は。
「にしても、うまくやっていけるのかな…。」
希望ヶ峰学園に選ばれた人間は、その分野では知らぬものはいないほどの超一流の高校生ばかりで、ここに入るとわかった時、興味本位でどんな人が入るのか調べていた。
実際に調べたところ、どの選抜者も平均値から一脱した知名度も実力も高い“超高校級”の面々ばかりだった。
例えば“超高校級の陸上選手”として入学するのは、世界記録を塗り替えるほどの記録を残す活躍したことや…
“超高校級の天文学者”として入学するのは地球に似た惑星を見つけ、新たな星雲を見つけたということや…
“超高校級の不良”として入学するのは、喧嘩負けなし、無傷で関西一帯を占める暴走族を相手にして勝利したことや…
他にも「マジシャン」、「舞踏家」、「案内人」、「新聞記者」、「空手家」、「大富豪」、「バスケ選手」、「画家」、「音楽家」、「デバッカー」、「テニス選手」、「ゲームクリエイター」と、そうそうたるメンバーが揃っている。
「よし。そろそろいくか。」
入学初日。緊張と楽しみで歩く足が軽やかだった。
そしてそのまま校門を潜り抜けた瞬間
「…!?」
ぐるりと視界がゆがんだ。
動悸がする。息が苦しい。
まるで誰かに首を絞められているような感覚がする。
ヒュー…ヒュー…と喉からか細い声を発しながら、俺は、
そのまま倒れた。
気づけば真っ暗な視界で、息をしているかという感覚もなくなっていた。
死んだのだろうか?
けれども、これが“絶望の学園”の始まりだとはだれが予想しただろうか。
- chapter0 プロローグ ( No.2 )
- 日時: 2023/05/25 20:25
- 名前: アルズ (ID: uwSO6KOF)
そよそよとした風が肌をついた。
心地良い暖かさと、心地よい風で、目を開けることを放棄した。
と、その時だった。
「おーい。」
そう、少年の声が聞こえた。
目を開けてみれば、目の前には木々が風に揺られ、葉が擦れ合っているのが見えた。
そんな中、ひょこりと俺と同じぐらいの少年が、俺の顔を覗き込んでいた。
「よかった! 死んじゃってたのかと思ったぞ!」
「…。えーっと…」
俺は確か希望ヶ峰学園にいたはずだ。
それがどうしてこんな自然あふれる場所へ?
そんな疑問が頭を支配する。
「僕もここがどこだかわからないんだ。
えーと、一先ず…。 君、名前は!?」
「み、水上…翼。」
「翼! よろしくな!」
と手を掴んでブンブンと振る。力が意外に強かった。
「僕、風空! 風空 来未!」
風空来未…確か、100m走で9.04秒、走り幅跳びで9mジャストを叩きだしたオリンピック有力者『超高校級の陸上選手』!?
力が強いのも頷ける…。相当鍛えているんだろう。
「そうだ!みんなもういるんだよ!
一緒にいこ!」
「あ、ああ。」
引き起こされて、彼に手を繋がれたまま坂を上がる。
カサカサと落ち葉を踏む音がする。
登り終えると、少し疲れて息切れを起こした。
「軟弱だなー。
ほら、みんないるよ!」
そういって手で差された場所には俺達を含めた16人の人間がいた。
「ねぇ、風空。その子で最後?」
「うん!周りには翼以外いなかったよ!」
「…じゃあもう一回自己紹介したほうがいいかな?」
と、朗らかそうな男の子が言うとみんなは一斉にこちらを見た。
「えっ…と、水上翼です…。よろしくお願いします…。」
「聞いたことないなー。…ネットとかにあったかー?」
「いえいえ!私のデータベースにはございませんでした!
ということは…表立って宣言できない肩書か、幸運かのどちらかではないでしょうか?」
「…えっと…。」
俺はあたふたした。というかなぜ俺が『超高校級の幸運』だというのがわかったのだろうか?
「そうだ。言っとかないとね。
ここにいるみんな、希望ヶ峰学園に入学しようとしてここに連れてこられた人なんだよ。」
「と、ということは…」
「そ。一応自己紹介しておかないとね。
私、湖川 魅琴。よろしくね。」
湖川魅琴…。関西一帯を牛耳っていた暴走族を無傷で一掃した『超高校級の不良』だ…。
その後の喧嘩も負けなし怪我なしと謡われているのだが…。
まさかこんな華奢な少女だと誰が予想できただろうか。
「よ、よろしくお願いします…!」
「いいよ敬語も礼儀も。同学年でしょ?
仲良くしようよ。」
とニッと笑った彼女の鈴のピアスがちりんと鳴った。
そう。彼女は普通の高校生…なのだ。
「うん。よろしく!」
と笑えば彼女は一層笑った。
みんなのことを知ろうと思い、他の人に声をかけようとし、目に留まったのはヘッドフォンをしている子だった。
目にクマができていて、不健康そうだった。
「あの…名前…」
「…。
星鎖希 仔夜。」
星鎖希仔夜…銀河を知り尽くす勢いで次々と天文学の解明をしている凄腕の『超高校級の天文学者』だ。
新たな惑星の発見、星雲の発見、未来の偉人に載るとまで言われている。
「用済んだ確率85%。…あっちいって。」
「…はい。」
変わった口調をするんだなあと思った矢先にあっち行けと言われたので大人しくいく。
当の本人は髪をいじり、素知らぬ顔で別の方向を見ている。
…人が嫌いなのかな。
「えっと、名前を聞いてもいいかな?」
と話しかけたのは金色の髪をしたシルクハットを被っている女性だった。
オッドアイが特徴で、その見た目はまるで…
「私?…久地先 鈴兎。」
そう、マジシャンだ。
彼女は『超高校級のマジシャン』。彼女の開催するショーは人が大勢集まり、彼女の美貌見たさに海外からやってくるファンもいるようだ。
まるでアイドルだ。…超高校級のアイドルって入学予定だったよな。そういえば。
「なにか手品できる?」
「…ポケットにいいもの入れといたわ。それでもなめてなさい。」
「え…?」
言われた通りポケットを漁ると中からキャンディが出てきた。
「いつの間に…。」
「種も仕掛けもないわよ。」
と彼女は微笑むとどこかへ立ち去って行ってしまった。
さて次に、というところで俺はどんっと背中を押された。
「うわっ」
「おぉっとごめんなさい。大丈夫でしたか?」
「う、うん。」
「それにしても貧弱ですね~。もうちょっと鍛えたらどうですか?」
とノンストップで話してくる彼女。黒いツインテールが特徴的だった。
「えぇっと…。」
「名前ですね!
こほん、私は東野 文子といいます!以後お見知りおきを!」
東野 文子…『超高校級の新聞記者』だ。
彼女の書いた記事はかなりの人気を博している。とある飲食店の事を書けば行列ができ、ボランティアのことを書けば参加率を倍増させる。
それに反して暗い記事は書かない。彼女なりの流儀だとインタビューでそう言っていた。
「水上さんは、結局のところ肩書はなんですか?」
「こ、幸運だよ。一般枠で抽選で…。」
「ふむふむ。他にもいるようですよね。調べてみなくては!」
一人で燃える彼女を置いて俺は別の場所へと向かうのであった。
ふと、綺麗な金髪が目に入った。
ロングで、風のお陰で更に綺麗に見える。
「あら、お初にお目にかかります。」
「こ、こちらこそ…初めまして…。」
「わたくし、桜雪 紫蘭と申します。以後お見知りおきを」
そう彼女はスカートの裾を掴み、お辞儀をした。
可憐で綺麗な動作…。
ではなく、彼女の詳細だ。
桜雪 紫蘭。『超高校級の舞踏家』。幼いころから海外で舞踏を習っており、様々な人を魅了し、ファンを作り上げた。
『超高校級の日本舞踏家』と比ではないほどの人気を有しているようだ。
「水上さんは…」
「うん?」
「日本舞踏を嗜みにはなっておられるのですか?」
「西園寺さんのは見たことあるかな。あ、もちろん桜雪さんのも!
どっちも優雅で綺麗だったなー。」
「そうですか。ふふっ。」
と彼女は笑い、喜んでいた。
もしかして日本舞踏にも興味があるのだろうか?
そうおもいながら、俺は桜雪さんと別れた。
次に温厚そうな男性に声をかけた。
「やあ。水上君だっけ?」
「うん。水上翼っていうんだ。君は?」
「俺は春風 楓。ゲームクリエイターをしているんだ」
春風 楓。『超高校級のゲームクリエイター』。彼の作ったゲームはあまりの面白さ、やりこみ度の高さ、その完成度から完売するまでに至るまで売れ、生産が追い付かないらしい。
一回だけやったことあるがあれは神作だった。あんまりゲームやらないのに、あそこまで感動するとは…。
「水上君はゲームする?」
「一回だけしたことあるよ。君の…5作目だったかな?
ゲームやってて泣いちゃったよ。」
「そうなんだ! そんなに喜んでくれるとは俺も嬉しいよ。」
と笑顔で話す彼。
温厚だし、すぐ仲良くなれそうだった。
彼と別れ、
「あの」
と声をかけた先はベレー帽を被った女の子だった。
彼女はびくりと肩を震わした後、スケッチブックで顔を隠しながら
「あ、あぁあの…私に何か御用ですか…?」
「えっと…自己紹介をと…。」
そういうとスケッチブックを下ろし、目を泳がせながらこう言った。
「千絵…一色 千絵です…。」
一色 千絵。『超高校級の画家』だ。
写真と見間違うほどの絵を描き上げ、絵画コンクールでは必ず金賞をもぎ取ってくる。
超高校級の画家という肩書自体、最近名が挙がったらしい。
「えっ…えぇっと…。」
「…えっと」
「ご、ごめんなさい…私、何も持ってないです…。」
「た、たかってないから安心して!」
「本当ですかぁ…?」
「うん!」
そういうとホッとして「他の方とお話しなさってください。」とへにゃりと笑った。
言われた通り、他の人と話すことにしたが…。
「…。」
「…。」
「…。」
「…なんだ。」
威圧的な外人。第一印象はこうだった。
外人の通り顔が良い…。羨ましい…。
じゃなくて
「いや、自己紹介をと…。」
「…アルフレッド・エインズワースだ。」
アルフレッド・エインズワース。『超高校級の大富豪』だ。
持っている個人資産は10憶を超える、欲しいものは何だって手に入るという正真正銘のお金持ちだ。
幼いころからそんな生活を送っていたんだとか。
「貴様に構っている余裕はない。早く去れ。」
「う、うん…。」
従わなくてはいけない…そんな雰囲気が出ていた。
俺は大人しく、他の人に挨拶に行こうと歩き出した。
「アルフに追い返されたんだろー」
「あ、…うん。そうだよ。」
「あいつ気難しいんだよなー。
あ、初めましてだったな! あたしは暁 朱利だよー」
暁 朱利。『超高校級の空手家』だ。
全国の空手の大会で日本代表で出場し、圧倒的な力を見せつけ優勝した。
現霊長類最強の大神さくらとやり合えるのではないかという噂が立っているほどだ。
「水上は、ひょろひょろだなー」
「ま、まあ…運動は苦手だし…。」
「アルフだって割と鍛えてるんだぞー!
水上も習ったらどうだー?」
「教えてもらうなら風空君がいいかな…。」
と苦笑いして答える。
高級なスーツの下には筋肉がついてるのかあの人…。意外だ…。
と、見ていたらギロッと睨まれたので見るのをやめた。
暁さんと別れ、目が合った人に声をかけた。
「初めましてー!」
「は、初めまして。水上翼っていうんだ」
「あたしは雪柳 暦。よろしくね!」
雪柳 暦。『超高校級のテニス選手』。
弱小チームだった母校を全国大会に出場させるほどのエースだし言われている。
彼女のお陰で母校はテニスの強豪校になったという伝説があるらしい。
「しかし、ここはどこだろうね?」
「どこ、だろう。森って割には見晴らしがいいから…山?」
「山かー!懐かしいなぁー!合宿で来てたっけー!」
「や、山で合宿!?テニスなのに!?」
「うん。足腰鍛えるためにね。
楽しかったよー」
二ャハハと笑う彼女は能天気そのものだった。
こんな状況でそのような態度がとれるだなんて、すこし羨ましい。
雪柳さんと別れ、別の人に声をかけた。
染めている、と一目でわかる金髪。一言で言うとチャラい人だった。
「おー!初めましてだな!」
「初めまして…水上翼です。」
「そう固くなるなよ。
俺は城ヶ根 司!
バスケ選手してんだ!」
城ヶ根 司。『超高校級のバスケ選手』。ディフェンス、囮、アタック、全てをこなすエース的存在。
彼が入った後の高校はバスケでは敵なしだったという。
「水上~教えてくれよ~」
「な、なにが?」
「どんな子が好みかって話だよ!
俺的には桜雪さん!湖川もいいな~。星鎖希もあり…。」
「城ヶ根…ボクは男だ…。
後で覚悟しろ…。」
固まっている城ヶ根を放置して他の人の元へ行こうと思った。
「どうも初めまして。」
「わわっ。初めまして…。」
マフラーをしている赤い髪の女の子にひょこっと現わられ、びっくりする。
「失礼いたしました。
私、紅杏 音葉と申します。よろしくお願いします」
紅杏 音葉。『超高校級の音楽家』だ。
あらゆるジャンルの作曲をこなし、ミリオンを優に超える再生数を誇る。
見た目の通りおだやかな曲を作るかと思えば、ハードでロックな曲を作るときもある。
どれも良いものなので根強いファンがついている。
「水上さん、音楽はどんなものがお好きですか?」
「うーん…。クラシックをよく聞くな…。
本読むときにかけると落ち着くんだ。」
「確かに落ちつきますね。 でも自然の音もいいと思うんですよ。」
「あー…。解る気がする。…音楽?」
ふふ、と彼女は笑う。
つかみどころがない子だ。そう思った。
彼女と立ち話を済ませた後、まだ顔を合わせていない子に話しかける。
「あの…。」
「…雨唄…蛍」
自己紹介してくれた…じゃなくて
雨唄 蛍。『超高校級のデバッカー』。
どんなバグを見逃さないプログラムの監督…と呼ぶべき人物だ。
バグが発生する前に見つけ、すぐさま直す。そのおかげで彼が監修したゲームなどはバグが一切見つからないと評判らしい。
「…あのさ、なんで前髪で目を隠しているんだ?」
「…いいだろ別に」
「…そうだね…。」
なんか深く聞いてはいけない気がして口を閉ざす。
もしかしたらそこには傷がいっぱいあるのだろう。それは見せれないな…。
「ねーねーねー…」
とバンカラの格好をした小柄な少年が話しかけてくる。
「どうしたの?」
「僕が最後だし名前言おうと思ってー…」
「そうなんだ。僕は水上翼。」
「僕は深海 光矢。 案内人だよー…」
深海 光矢。『超高校級の案内人』だ。
マッピング能力に長け、地元や地元から離れた都会でもその猛威を振るっている…いわゆるガイドだ。
知らない道に放り出してもちゃんと帰ってくるらしいという伝説を持つようだ。
「案内人ってガイドみたいなことするって聞いたけど…」
「んー…。たしかにそうかもー…。
まあ、案内する人だし案内人でいいんじゃないー…?」
それもそうか。と思って自分で納得させた。
- chapter0 プロローグ ( No.3 )
- 日時: 2023/05/26 15:22
- 名前: アルズ (ID: RSJSTTwv)
全員に挨拶が終わった後、俺たちは改めて状況をまとめようと集まった。
「み、水上さんはどうやってここへ…?」
「うーん…気づいたら、かな。
校門を潜ったら眩暈と動悸がして…。」
「あ、僕もー…。
気づいたら木にもたれかかって寝ていたんだよねー…。」
と、皆のここに来るまでの状況が同じのところでふと。
「そういえば、さ。荷物とかってあるか?」
そう城ヶ根が言うと俺たちは一斉にポケットを漁る。
「な、ない!携帯がない!」
「確かにマジックに使う道具がないわ。
…持ってきたはずなのに。」
「ボクの本も。…何故?」
数々の疑問の声にふん、とアルフは鼻を鳴らす。
「慌てていても、答えは見えてこない。
…そうだろう?」
その言葉にみんなはぐうの音も出ず、下を見る。
「おい、アルフレッド。お前の下がこんな状況にしてるんじゃないの?」
と、湖川さんはアルフに突っかかる。
「まさか。お前らみたいな貧民を誘拐して何になるっていうんだ。」
「私たちは仮にも“超高校級”だ。
集めても何になるになるに決まっている。」
「ふん…。ならばぼくもいる意味が解らない。こんな山の中、集めたってぼくたちがどうするかなんてわかりきったことだろう。」
「それは…。」
「言えないだろう。誘拐するならもっと閉鎖的な場所だ。
それに、その手の者ならもっとうまくやるさ。」
そう、断言した瞬間だった。
キーンコーンカーンコーン…
『マイクテス、マイクテス!
あー!あー! 聞こえてるよね? では皆さん、“開催式”を開催いたします。
二重になってるよ。まあ、いいや。皆様、至急中央のテントにお集まりください!』
と、備え付けられているスピーカーから聞こえた。
緊張感のないその愉快な声は、『恐怖』というものを俺達に張り付いていた。
「…どうする?」
沈黙を破ったのは星鎖希君だった。
物怖じしている様子はなく、ただ淡々とそう言った。
「今この状況を教えてくれるのだろう?
いいだろう。ぼくは向かわせてもらう。」
「おれも。進展があるかもだし。」
そう言ってアルフと雨唄君はスタスタと中央にあるというテントへと向かっていった。
「…行っちまったな」
「ですが、行った方がよろしいかと思われますわ。 団体行動だろうが各自の行動だろうが、行かない限りは何も進まないかと。」
後ろを見た湖川さんを宥めるように桜雪さんが言った。
「一理あるわ。私も先に行かせてもらうわね。」
と、久地先さんは一人で二人の後を追った。
「ボクも行くよ。また後で。」
星鎖希君もその後を追って歩いて行った。
「じゃあ…私たちも行こうか。
何があるかわからないからね!? みんな固まっていくんだよ!?」
と湖川さんに言われ、残ったみんなで固まって動いた。
しばらく歩くと広場らしきところにたどり着く。
そこには、先に行った4人が既にそろっていた。
「ここに何かがある…。
何があるのか用心しないと。」
「その野蛮な腕前、少しは役に立つといいな。」
「あーん? 喧嘩スっかテメェ。」
「まあまあ…。」
そうやって宥めているとガガッとノイズがスピーカーから流れる。
『うぷぷ。すごいね。仲良しこよしをこの状況でもするだなんて。』
そんな愉快そうな声が聞こえた。
先ほどのアナウンスと同じあの声が。
「な、誰ですか!? 一体!?」
東野さんがそう湖川さんの後ろに隠れる。
『ここだよ! こーこ!』
一番大きい机。 いわゆる教壇らしきところから聞こえる。
その机から出てきたのは…白黒のクマだった。
そして流れたのは…沈黙。
「えっ…えっ…なんですか?
ぬ、ぬいぐるみ…?」
「ぬいぐるみじゃないよ! 『モノクマ』だよ!」
「モノ…クマ…?」
「そう! オマエラが入学する希望ヶ峰学園の学園長なのです!」
このぬいぐるみが学園長…?
疑問が尽きない。どうやって動いているのか。どうしてこのクマが学園長と名乗っているのか。
わからない。わからずに頭を抱えた。
「どうやって動いてるのー…? ラジコン?」
「ラジコンじゃありません! ボクはNASAびっくりの…いや、これ以上は夢が壊れるので言いませーん。」
人を弄ぶような言い方に少しカチンと来たが、俺には打開策が思いつかない。
ぎゅっと握りこぶしをし、それに耐える。
「では、気を取り直して…。
皆さん!おはようございます!」
「おはよーございます!」
「暁さん、律儀に挨拶しないで…。」
「さてさて、皆さま、これからこの、『神ヶ天山』で『林間学校』の開催式を発表いたします! では、まずはボクからの一言です。
えー、オマエラのような才能あふれる高校生は“世界の希望”に他なりません!そんなすばらしい希望を保護するため、オマエラには“この山”だけで共同生活してもらいます! みんな仲良く秩序を守って暮らすようにね!」
コイツは…何を言っているんだ…?
そんな訳の分からない話のまま淡々と物事は進められる。
「えー、そしてですね…その共同生活の期限なんですが…」
「期限はー…ありません!! つまり、オマエラは…一生ここで暮らすのです!!」
そんな爆撃な発言をかませられた。
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