二次創作小説(新・総合)
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- スマブラ戦記 ロリポップキャンディ(完結)
- 日時: 2023/05/31 23:10
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
【任天堂世界の、裏の真実がここに。】
スマブラ戦記過去編第3弾は、軽い弾みから始まった平和プロジェクトだが、裏の勢力にうっかり巻き込まれてしまったばっかりに……なお話となります
【注意】
任天堂作品以外の作品も出てきます
ゲームを能力として使う。
過去編(ビーストバンチョー、サテラビュー、ロリポップキャンディ他)は全てバッドエンドが確定しています
- Re: スマブラ戦記 ロリポップキャンディ(完結) ( No.1 )
- 日時: 2023/05/31 23:11
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
『任天堂世界』に招かれた人間はいつも最初は同じだ。
地面が雲で出来た未知の空間に、いつの間にか倒れている。
前後の記憶は無い、そして……必ず自分の前に長蛇の列が出来ている。
不思議とその列に自分達も並び、そこで任天堂戦士という肩書きと能力を与えられ、驚異と戦うために選ばれたと言われる。必ずそこから始まる。
そう、能力者になる。
間法凪は考えた、能力者ということはつまりここに居るのは特別な存在であるということ。
「魔法少女もいるはずだ」と考えた。
だが周りを見渡す限り魔法少女らしい格好の人物はいない。
ただ目の前に行列があり、自分はその最後尾に並んでいて、前に進むにつれどんどん人数が増えている。そして何やら騒がしい。
(いきなり訳分からないかも知れないが、聞いて欲しい)
この男、間法凪は簡潔に言えば魔法少女が好きなのである。
待って欲しい。彼はロリコンでなければオタクという訳では無い。あくまで一般的な趣味嗜好を持つ一般人であり、どちらかと言えば女性が好きであったし今もそれは変わらない。
しかし魔法少女は別だった。彼にとっては神のような存在であり、もし魔法少女に会うことが出来るなら結婚してもいいと思っていたほど好きである。
「能力者が山ほどいるなら、それをどうにか魔法少女という扱いに出来ないだろうか」
「あわよくば世界を救って本物の英雄としてプロデュース出来ないだろうか」
かくして、凪の魔法少女チーム結成の野望が始まったのである。
「さあ皆、俺と一緒に戦おうぜ!」(キリッ!)
というポスターを早速作り、広場の掲示板に張りつけた。そしてその日から、彼はあちこちを探し回り、それっぽい候補を見つけて奮闘していた。
何が起こるかわからない危険なところではあるはずなのだが、そんなことは知ったことは無かった。
「一番最初の魔法少女といえばやっぱりピンク服、しかも変身した時スカートひらりが必須条件だからな」
魔法少女を見つけるべく凪は自分の能力をフル活用し続けていたのだ。そして見つけた2点同船し及び魔法少女候補達は……全て女の子であったが……、どうにも違うように感じてしまう。
凪の任天堂戦士としての能力として選ばれたゲームは『千年家族』、これは見習い神様となって1つの家族を見守りつつ手助けして千年発展させる事を目的とする作品だ。
このゲームを能力にすることで凪は対象のキャラクター達に様々な形で干渉することが出来るようになる。
ただし一度に1人しか選べないうえ、1人のキャラクターにつき3回までという制約があったのだが……。
凪はこの能力を用いて、少女達を自分の思い描くようなヒーローへと変えていく計画を立てていたのである。
「とは言うが、まだ候補すら見つかっていない……」
凪には焦る理由もあった。彼は能力を使って魔法少女を探すにあたり、「自分から名乗り出るくらいじゃ無いと意味がないよな?」という考えのもと能力を使ったのだが、実はもう既に魔法少女を名乗るものが居るのでは?という可能性が出てきたからである。
「俺もそこまで馬鹿じゃない。こんな能力で見つけ出せるのはあくまで能力者だけ。普通の人間には見えないだろうからな」
能力者の素質のある人間はある程度限られているが、その分見つかる可能性が高いと言えるだろう。
そして遂に……
「!!」
本能で感じた、魔法少女の素質(といっても既に能力者だが)がありそうな人間が近くにいる気がする。
「この辺りに魔法少女(になれそうな子)がいる……少〜中学生くらいで、ピンク衣装が似合って、穏やかな心を持つ女の子!」
繰り返すが凪はロリコンではない、あくまで好みの範囲である。決して小さい子供にしか興奮できない性癖の持ち主でもなければ、そもそも幼女相手にそういう感情を抱くことは無い。むしろそういった人達に対して「お前ロリコンか?」と軽蔑しているタイプだ。
それはさておきそれっぽい少女を本能で発見した……
発見したのだが……
「おお……うん……」
その魔法少女候補らしき少女は……もっちりしていた。
断言するとデブではない、ぽっちゃり体型と言っても許されるぐらいの体つきだ、だが顔も体も丸っこくて全体的に柔らかい印象がある。
ただその柔らかさと反比例するように彼女の纏う雰囲気はとても穏やかだ。そしてとても落ち着いていた。そのせいなのか彼女は見た目よりも少し歳上に見える程大人びているように見える。
そして何より特徴的な髪型をしていた。
「ほう、ポニーテール!そして……まさか、ツインテだと!?」
そう、彼女もまた2種類の髪型をしていたのだ。
(この子しかいない!!この子が魔法少女に向いている!)
間法凪が運命を感じた、ちょっと太ってても案外ウケるかもしれないしこれはこれでアリだ。
「き、君の名前は……」
「あ…その、私は、飴野知世子といいます……どうかしましたか?」
「………俺は、間法凪」
「単刀直入に言おう、任天堂世界に入る時に全員が言われた、驚異に立ち向かう為に戦士になってくれという言葉……」
「俺はそれの手助けをする者だ……」
そう言って凪はポケットから紙を取り出し、知世子に渡した。そこにはこう書かれていた。
【任天堂世界魔法少女クラブ『ロリポップキャンディ』会員募集中! お友達紹介特典あり、詳しくは下記のURLまで!】
知世子は渡されたチラシをまじまじと見つめている。そして数秒後に口を開いた。
「ロリポップ…キャンディ…?」
「そう、現状は君が魔法少女として戦う時の名称だ」
「専用の衣装も用意してある」
………
「この格好はちょっと…」
ピチッピチッ…という効果音の聞こえてきそうなコスチュームに身を包む。いや、よく見ればその服装が体にフィットしていて、胸の大きさも尻の肉付きの良さもよく分かる、かなり扇情的な格好をした感じになってしまった。
「流石にこのサイズは想定外だった……また後で合わせたものを用意しなくては」
「あの……この衣装は」
「ん?オーダーメイドだがどうかしたのか」
「あ、はい……それで、魔法少女になって戦うってどういう……」
「俺たちは…いや、ここに居る全ての人間は唐突にここに送られた」
「最初に言われた驚異もあるが……人間同士の争い、未知の怪物、災害……問題が山ほどある」
「その中で、魔法少女に変身する特殊な人々を知らしめて安心感を……」
「そ、そんなこと言われても……魔法なんて使えないし…」
「そこら辺は任天堂戦士としての能力で誤魔化しが聞く!」
凪は自信満々だ、知世子や他の魔法少女候補がどういった能力を得ているかも知らないのにでもある。
しかし凪には考えがあった。
(千年家族の能力で、関係者のプロフィールは全て繊細に分かる……知世子の全てが俺の脳内に入ってくる)
(なるほど……彼女の能力名はカービィのグルメフェス…聞いたことないゲームだが、それさえも繊細に頭に入ってくる。)
『カービィのグルメフェス』巨大なケーキを舞台にして、カービィを転がしてイチゴを食べさせながらゴールを目指す、アスレチック・レースゲームだ。
能力としては自分の体重と体力を増やしたり、主にイチゴをエネルギーに変換する能力である。
(それにカービィなら、何かしらコピー能力として魔法っぽいことが沢山出来るはずだ……)
「あの……魔法少女になると言われても、私は何をしておけば……」
「何?気にする事はない、こういう物は探しても向こうから湧いて出てくるもので……」
「うわーーっ!!た、大変だー!!」
突如向こうから騒ぎ声が聞こえる、凪がちょっと歩いて声を聞いてみると……
「移住区の方で火事だ!あちこちの家が焼けているらしい!」
「消化しようにも下の方から燃えていて手が付けられないらしい!」
「………」
「来たぞ」
「えっ!?」
「最初は宇宙怪獣とか悪の怪人倒すよりはこういう下済みの方がいい、人助けをしたとなれば宣伝にもなるし親しみも増える」
「何より……」
善意で人を助けるのは、最ッッ高に気持ちがいい!!
「知世子!早速移住区に向かうぞ!!」
「こ、この格好でですか!?お腹が出て恥ずかしいんですけど……!!」
魔法少女の衣装のまま知世子を走らせ、移住区へと向かう。移動中も会話は途切れることが無い。
……
「思ったより状況が酷いな……」
移住区は消化が追いつかず、炎があちこちを
焼き尽くしている。辺りからは人々の叫びが聞こえる。
凪はその光景に絶句し、知世子もその惨状に言葉を失う。そして同時に……
(これならいける)
と思った。
知世子の服に付けておいた箱に手を付ける。
『コピーフード能力』、カービィのコピー能力とは別で導入されている力で、数こそ少ないが敵ではなくお菓子を口に入れることで能力を使う。
(火を消すとなると……これか)
「こ、これを私にどうすれば!?」
「問題は無い!これを使えば!」
「トルネイドソフトー!!」
「うおおおおおおぉぉぉぉっ!!!」
その雄たけびと共に現れた、ピンクと青、2色の渦が巻き起こり辺り一面を渦巻く風によって包み込む。そしてその中心にいるのは間法凪、その右手に持っているものは大きなソフトクリーム、そう……
「これを食べるんだ知世子!」
「は、はうっ……コピーフード能力『トルネイド』!」
知世子の中心から構成される竜巻が火を消し、更に凪のソフトクリームにより火の勢いを加速させた。
(これは中々……いやかなり便利じゃないか?)
「さぁ、この力で一気に片付けるんだ知世子!俺の力も貸す!やれ!」
「はい!分かりました!行きます!トルネードスロー!!!」
知世子が投げた竜巻はまるでミサイルのように回転しながら突き進む。やがて着弾した瞬間、爆音とともに激しい爆発が起こった。
………
火は消えた、火は。
とりあえず名刺だけ置いて、移住区から退散した。
………
「凪さん……これで本当にいいんですか?」
「大丈夫だ、人知れず街を救ったし、あちこちで話題になっているに違いない」
「そもそも俺が選んだ少女だ、何も問題ない」
「いやでもこの紙……」
知世子の手には凪の書いたチラシが握られている。そこには『ロリポップキャンディ、大活躍』と書かれている。
「ああ、それは俺が書いたものだ。実際にあった事を誇張して書いている、後はそれが真実になる」
「………そうですね、そうなるといいですね」
「知世子……いや、ロリポップキャンディ、この世界の平和を守り人々を安心させるにはまだまだ頑張らないといけない」
「この世界に脱出できるかはまた別として、平穏に安心して活動するために魔法少女が必要なんだ」
「でも……私に出来るのでしょうか……私なんてデブだし……この服もお腹が……お尻だって……こんなのじゃあ……」
「大丈夫だ、ロリポップキャンディ、まだぽっちゃりの範疇だしそれくらいなら好きって人もいる」
「むしろ新しいじゃあないか!ぽっちゃり系魔法少女!」
「凪さん……」
「おい聞いたか!?移住区で火事が起こったかと思えばピンク色のデブが高速回転してたらしいぞ!?」
「………やっぱり無理な気がして来ました」
「大丈夫!大丈夫だ!君はぽっちゃりだから!」
- Re: スマブラ戦記 ロリポップキャンディ(完結) ( No.2 )
- 日時: 2023/05/31 23:14
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
この任天堂世界で凪は魔法少女クラブを作り、世界の平穏のシンボルにしようと考えた。
まず最初にムチムチぽっちゃり系魔法少女候補、知世子=ロリポップキャンディを発見し、仲間に引き入れた。そして他の魔法少女たちも勧誘するため、あちこちを歩いていた。
「あ、あの……凪さん」
「どうした」
「この服……いつサイズ改めてくれますか?お腹は丸出しなのはともかく、胸やお尻がきつくて ……」
「ああ、ごめん。後少し待ってくれないか?」
凪と知世子が街を歩く姿はまさに怪しさそのもの。
そんな2人は広場の中で大きな声を出して魔法少女候補を探していた。
「あの……何かしら予定とは決めてるんですか?候補にする人とか……」
「そうだな……これに関しては俺の本能や推測でしかないが」
「青色、魔法少女のカラーリングとして青
が合う奴、相方としてよく似合うやつだな」
「青色……ですか」
その時、2人の目の前から少女が通り過ぎて。それは紛れもなく青い衣装が合いそうな少女だった。凪の本能や能力も反応する。
「あの子がいい……」
「え!?と言ってもどうやって勧誘を……」
「問題ない、俺の能力なら…」
凪は天使の弓矢を取り出す、元になったゲームの『千年家族』にもある人間の精神をある程度コントロールする能力を持つ武器である。
矢の先端にあるハートマークが光り、知世子はその光景を見る。
「わぁ……綺麗」
「よし、あいつを洗脳してこっち側に引き込むぞ!」
「いや言い方はどうなんですか!!」
凪は天使の弓矢を構えて、矢を飛ばし、それが少女に突き刺さる。
「実際はちょっと話が出来るようになるくらいだから大丈夫だ、さて…」
凪は、その少女に近づく。
しかし……
「おお…ううん……」
魔法少女クラブを作って二度目の困惑。
その魔法少女候補らしき少女は……知世子とは逆でガリガリ、不衛生で不健康そうな雰囲気。肌の色は灰色に近いし目の下には大きなクマが出来ている。おまけに顔色も悪い。
まるでゾンビのような見た目の少女なのだ。
「本当にこの人でいいんですか?」
「うんん……でも本能で反応したからな…名前は?」
「大河原…万古…」
「万古ちゃんね、私は飴野知世子です!よろしくお願いしますね!」
知世子は手を差し伸べる。
万古はそれを見て……
「ひぃっ!!!」
悲鳴を上げて後ずさりする。
知世子はそれにショックを受けてしまう。
「あれ……?どうしました?」
「ああ…その恰好カワイイと思ってるの…デブの癖に…」
「えぇ……私もなんとなくそんな気はしていましたけど…」
「君の分もある」
凪は知世子にも魔法少女の衣装を渡す。
知世子はそれを万古の方へ。
……
「凪さん、またサイズ合ってないです」
「今度は少し大きめにしたが…」
万古の体型に対して服がブカブカであり、へそ出しの腹部はろっ骨が肉の上から見えるほど。処理をしてないのでムダ毛が目立っていた。髪もぼさぼさだし、肌の色の悪さが目立つ。とても魔法少女には見えない。
ただ凪の本能や能力が万古を仲間に引き入れるべきと言っている。万古の見た目などどうでもいい。
万古は魔法少女の衣装を着たまま、呆然としている。
「……」
知世子と万古が魔法少女の衣装を着ている。
「ああ……やっぱり青がいると映える」
「で、一体コスプレさせて何を…」
「コスプレではなく真剣だ、万古」
凪は2人に魔法少女になってほしい理由を話す。
「この世界では争い事が絶えない、平和の象徴となる存在が必要なんだ。それになるのは君たちしかいないと思っている」
「それで魔法少女に……実際このわけわかんない世界はどうかしてるし」
「ああ、この世界は任天堂の世界が混ざったような世界なんだ。まあ俺もよくわからないが、とにかく敵は俺たちをこの世界に閉じ込めて殺そうとしてくる」
「あと……お前たちの能力を利用して、この世界の平穏を守るシンボルを作りたい」
「……シンボル?どういうこと?」
「……この世界の平穏のシンボルとして相応しいのは君たち魔法少女だ。俺もこの世界で戦うために力を得た。だがそれだけじゃ足りない、この世界を平穏にする為に、君たちには魔法少女として活動してもらいたい。勿論、ただ戦ってもらうだけじゃない」
「……何?」
「折角二人になったんだ、魔法少女としてこの世界で生きる為に必要なことをいくつか教えようと思う。まずは……」
凪は2人を連れてどこかへ向かう。
知世子と万古は凪に連れられて広場から別の場所へ移動した。
「ここは……どこですか?」
「ここか?ここは……」
そこは、様々な機械や装置がある部屋。
そこには、凪以外にも多くの人物がいた。
「ここは『世界総合研究所』。俺が真に属している組織みたいなものだ」
「はぁ……『世界総合研究所』ですか」
「ああ、まだこの任天堂世界は未知な事が多いからな、こうして結束して色んな事を解明しようとしている。」
凪は2人を研究所内に入れる。
知世子は周りを見渡した。
研究室内には様々な機器や研究資料があり、机の上にはパソコンが置いてある。
そして研究員が何人もいて、それぞれ忙しそうにしていた。
万古が凪に問いかけた。
「…そうやってバタバタしてる中アンタは魔法少女探しなんてしてるわけ」
「何度も言うが俺は真剣に世界解明の為にも魔法少女をプロデュースしたいと考えている」
凪は2人に説明を続ける。
この研究所は凪が所属している組織のようで、この世界の事や、他の戦士の事も調べているらしい。
知世子も万古も、凪の話を聞いている。
凪はこの世界について、知世子と万古に話し始めた。
「分かっていることは、この世界には時の概念が無い…ここに来た時点で年を取ることは無いし、物も決して劣化しない。」
「あそこに厳重に飾られているコンビニ弁当なんだが、ざっと数年以上は経っているのに一切腐っていない、賞味期限も切れてないのか食べてもなんら以上は見えない」
「しかし……こんな世界を作ったのは誰なのか?誰がどうやって作ったのか、それは分かっていない。ただ……その」
「任天堂世界が作られた事に『暗滅教』という宗教が深い関わりがあると言われているが、この件は決して深掘りしてはならないというのが暗黙の了解となっている」
「はぁ……」
「凪さん、その……『暗滅教』というのは……」
「ああ……あまり深くは言えないが、かなり危険な宗教団体だ、この研究所を作った所長が言うんだ、それに絶対に関わってはならないと」
「そんなに危険な物があると分かりきっているのに、世界の何を解明しようってわけ」
「それは…色々だ、この世界の仕組みとか、この世界の生物、この世界の文化、この世界の技術……色々とな」
「はっ……くだらないよ」
「万古ちゃん、そういう言い方は……」
「くだらないだろうな、事実俺達はまだ三十年もこんな事をして実用性のある成果は何一つ出てこない」
「まるでゲームのように答えが決まってるかのようにな」
「………だから魔法少女が必要なんだ」
「だから、が繋がってないんだけど」
「この世界には法律は無い、警察もない、無法者や悪党は山ほどいる」
「今は死亡したらしいが、ユカという男がリーダーの巨大な犯罪組織もあるし、この間の移住区の放火騒ぎ……人々は常に恐怖や不安と隣合わせだ」
「そんな人々の為に必要なのが魔法少女だ」
「一応この組織にも自営組織のようなものはある、だがそれよりも人々の心の安らぎとなる存在、それが英雄じみた存在、まるでテレビの先にいるようなヒーローだ」
凪は続ける。
凪の説明を聞きながら、知世子は疑問を抱く。
何故、この人は私達に魔法少女になってほしいと言ったのだろうか。
凪の言っていることは分かる。しかし、その目的の為に知世子や万古を利用する理由が分からない。
知世子の表情を見て、凪は言った。
「ああ……君たちを選んだことにも理由はあるさ、能力や好みだけで選んでいる訳では無い、それは分かって欲しい」
「ま、そうでなかったらこんなデブや私みたいな根暗なんか眼中に無いし」
「……だが、まだ足りない、少し待っていてくれ」
「足りないって、何をするんですか?」
「『3人目』を探しに行ってくる」
凪は研究所を後にし、どこかへ行った。
………
「魔法少女は大体チームがいい、高望みするなら5人くらいにしたいが……3人目が限界だろう」
「ピンク、青とくれば次のカラーリングは……赤か?」
凪は、3人目の魔法少女候補を探すが、今まで以上に中々感覚や本能で魔法少女を選ぶことが出来ない。
「うーん、どうするか……あ、あれは」
凪は、とある人物を見つける。
「……よし、あの子に決めた!」
凪は少女の元へ向かう。
「君、ちょっといいか……何、怪しいものじゃない、俺は」
「おお……うん」
「アルカに何か用でもあるのか?」
本日二度目の困惑。
見つけた少女は……なんというか、いよいよ人間かどうかも怪しい。
肌が灰色で髪が白く、目が青い。
服装はボロボロで、とりあえず付けておいた感がする。
身長は130cm程、年齢は不明。
アルカという名前のようだ。
(大丈夫なのか……もしかして本当に俺の本能がおかしくなったんじゃないのか……?)
(いや…もしかしたら案外それっぽいだけの人間かもしれない、会話を続けてみよう)
「名前は?」
「※▽〒〃▲だ、こっちだと『アルカ』って名乗るように言われてるぞ」
(あれさっきなんて言った?)
「ど、どこの国出身?」
「惑星デスギアからこの星へ遠路はるばる来たぞ!」
「……他に知り合いとかいる?」
「ダンテって奴に合流する予定なんだがどこにもいないな!」
「ダッッッ……ダンテッッッ!!」
凪は思わず吹き出した。
確かに目の前にいるのは魔法少女と言っても過言ではない。
しかし、明らかにおかしい。
今アルカが知り合いと言ったダンテという存在、そして惑星デスギアという住処……
それは決して触れてはいけないと言われる暗滅教に関係するものと言われており、ダンテは暗滅教の中心と言われる人物なのだから。
「彼女、まさか……」
「アルカになにかしたいのか?」
「……ダンテの場所は知ってるのか?」
「全然わからん、会いにも来ないのだ」
(嘘は言ってないようだな、もしかしたらいけるかもしれない、危険だが…)
「これを着てくれ」
……
多少違和感はあるが、なんとか魔法少女の姿になったアルカ
灰の体に赤い服、そして大きな杖。
その姿はまさに魔法少女である。
「おぉ!これが魔法少女とやらなのか!?」
「ああ、そうだ」
「でも、なんでだ?なんでお前はこんな姿にさせるんだ?」
「それは……世界を救う為だ」
「世界?世界を……んん」
「アルカもデスギアを救うために地球に来たからな!分かったぞ」
………
「だからって宇宙人は無いでしょ宇宙人は!!てかどこにいたわけ!!」
「結果的に揃ったぞ、結果的には」
こうして3人揃い、魔法少女チームが結成された。
- Re: スマブラ戦記 ロリポップキャンディ(完結) ( No.3 )
- 日時: 2023/05/31 23:17
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
任天堂世界の均衡を守り、人々の安心となる存在、魔法少女。
それに相応しい3人の魔法少女候補が見つかった。
知世子=ロリポップキャンディ、万古=ロリポップマンゴー、そしてアルカ=ロリポップディープ。
世界総合研究所に世界の希望になり得る
3人の魔法少女が現れた。
しかし、その三人は……
「そうやって集まったのがデブに、根暗に、宇宙人!?任天堂世界関係なくどうかしてるでしょ!!」
「問題ない、知世子はぽっちゃりの範囲だし、万古は脇毛を剃ったら体は汚いイメージが消えた、アルカはまだ可能性がある!」
「やっと服のサイズ感は直りましたけど……胸がまだ…」
「何よ胸って……あんたのは脂肪でしょ!私なんてほぼ骨なの!!」
「何食ったらこんなにブクブクしたり細細したりするんだー?」
この3人は凪が本能と願いのままに集めた少女達だ。
彼女達を自分が責任をもってこの任天堂世界の希望となり、人々の安心の為のシンボルにさせる。
魔法少女とは言ってもそういう風に決めただけなので魔法は使えない。
そこを任天堂戦士の能力で代用する。
知世子の『カービィのグルメフェス』はコピー能力の代わりにコピーフード能力というお菓子の力を使い、更にイチゴを食べるほどパワーアップするという能力。
万古の能力はヨッシーの万有引力で重力をある程度傾ける事が可能。
しかし問題なのはアルカの『ミスピーチワールド』という物だ。
任天堂戦士の能力は、全て実在するゲームソフトが元になっている。
たまにゲームソフトではなく周辺機器が能力になることもあるが……
『ミスピーチワールド』なんてゲームは全く聞いたことがない。
(未知のゲームに関してはそうだ、まるで何かの『スイッチ』が押されたかのように聞いたことないゲームの能力が発見される事例が出てくるようにはなった)
だが、凪の頭の中には一つ思い当たる能力があった。
「ゼノブレイド……未来を見て、未来を変える力を持つゲームの……だがその作品の任天堂戦士はもう既にいる……」
「凪!凪!」
「ん……どうした、アルカ」
「アルカ達は結局この格好で何をすればいいんだ!」
「ああ……そういえばあたしらマジで何もしてないんだけど」
「最初、私一人だった時に移住区の消火をしたりはしましたが……」
確かに知世子と万古の言う通り、彼女達がやっている事は、この異世界移住区の住民達の手助けをしているだけだ。
凪は彼女達に魔法少女としての使命を与えることにした。
それは……
「解放だ」
「少し前に壊滅したコレクターズファミリーというギャング……それらに囚われていた人々の救出」
「ファミリーのボスがある人物によって暗殺された……研究所はそう聞いている」
「ならこの隙を見計らい、能力で奴隷にされていた人々の救出をする」
「奴隷って……それも能力?」
「ポケモンレンジャーの任天堂戦士の能力者がいた」
「ボールは必要ないが……手順を組むことでポケモンの力を借りられる作品……」
「それを行うのが任天堂戦士ならそれは人類にも作用する」
「じゃ、その人々を誘導していれば良いわけね」
「ああ、危険なにんだが頼んだぞ」
「はい!頑張ります!」
アルカはやる気満々の様子。
知世子と万古は少し不安げだったが、アルカの意気込みに押されてか、渋々と了承してくれた。
凪は三人の魔法少女を送り出した。
………
「凪さんによるとこの辺りで合ってるはずですけど……」
「ここって、さっきまで私たちがいた場所じゃない?ほら、あの白い壁の建物」
「あ!本当だ!でもなんでここに戻ってきたんだ?」
「間違いじゃないと思うのですが…」
知世子と万古は首を傾げた。その時だ。
ドガァッ!! 突如として建物が爆発したのだ。
建物は瓦礫となって崩れ落ち、周囲には火の手が上がる。
建物の中からは悲鳴が上がり、人々は逃げ惑う。
そこには巨大な影が立っていた。
元々裏の人間の根城になっていた所だ、そんな所に普通の人間がいる訳がない。
「くっ…アルカ!逃げるわよ!!」
「おー!」
「待ちなさい」
「「え」」
二人の前に一人の女性が姿を現した。
長い黒髪に青い瞳をした女性、その手には鎖を握っている。
「な、何者!?」
「私は魔法少女。この世界に君臨する者…」
「ま、魔法少女だってぇ!?」
「私たち以外にも魔法少女って居たんですね…」
「こんなところにいる奴なんてどう考えても敵だけど!」
「あなた達もファミリー壊滅の話から助けられたんでしょう?」
「な、何故それを!!」
「私もファミリーにいたことがあるのよ、だからファミリーのことは知ってる」
女性は知世子と万古に歩み寄る。
「といっても、私はボスに能力を利用されて……う……?」
女性の体から光が溢れ、その体はフィギュアとなった。
万古はそれを見て驚愕の声を上げる。
「な、何あれ……!?」
「どうした?なにかおかしいのか?」
知世子と万古が今起きている状況に驚いている中、アルカだけは平然としていた。
だがアルカは、知世子の驚きようを見る限り、相当珍しい存在なのだと思った。
「い、いや……今、人が人形のように……」
「ん?地球人は死ぬと石のようなものが出来るんじゃないのか?」
「なるわけないでしょ!!」
「そんなことはないだろ!アルカは沢山石を見つけているぞ!現にここにも沢山あるじゃないか!」
「………え?ここにもって……」
「これだぞ!」
アルカが取り出したのは、人の形をした赤い宝石のような物だった。
アルカはそれを知世子に手渡す。
それはまるで血を結晶化したような禍々しい色をしていた。
「それ、どこに……?」
「なんか臭い所に沢山だ!アルカはその前から沢山取ってきたけどな!」
『……!』
『全員、研究所に戻ってくれ、その人形は全部回収してくるんだ』
『ロリポップディープは以前見つけたと言っていたものを全部持ってくるように!』
「分かったぞ!」
「凪さん?」
『これは……もしかしたら、これが事実ならこれまでの任天堂世界の常識が大きく変動するぞ』
だが、その時だった。
爆発音と共に、上空に一つの人影が現れた。
それはまるで悪魔の羽が生えたかのような姿の女性。
その手に握られているのは、剣の柄。
彼女は地上に着地すると、周囲にいた人々に向かってこう言った。
「何をしている、アルカ」
「あ、レイア!」
「え?」
レイアと呼ばれたそれはアルカに向かって話している。
「何って、石になった地球人の話を…」
「石の……?なんだそれは」
『逃げろ』
『全員 逃げるんだ』
「え?凪さん?」
「奴はまずい!!逃げろ!暗滅教だ!!」
「アルカ、その格好は何だ?地球人の味方をしているのか」
「味方か?アルカ味方してるのか?」
「………まあいい、我々デスギア人の中でも最年少なのがお前だ、まだ思考が成長しきっていないのに話しても意味が無い」
「あの地球人を処刑して、お前をダンテの所に連れていく」
レイアは赤い鱗のドラゴンを呼び出し、その上に乗っている。
そして、翼を大きく広げた、今にも炎を吐かんとする構えだ。
「待って!私達は関係ない!!」
「……ほう?」
『デスギア人!この子はまだ幼い、手を出すのは……』
「どうした凪?アルカ達はまほーしょーじょなんだろ?世界のとんでもないのを倒すなら、アルカ達がなんとかするんじゃないのか?」
『それは……そうだが、まだ順序というものが……』
「い……今は逃げましょう!!」
知世子達はとにかく脱出を優先し、世界総合研究所へ戻ろうとした。
だが、アルカがそれを止めた。
「凪!凪!アルカはどうすればいいんだ!」
『……アルカ、人形の場所を知ってるか?それを全部こっちに!』
「わかったぞ!」
「ちょ、ちょっと!?」
アルカはあっという間に見えなくなった、普段見せていないだけであれだけのスピードを出せるらしい。
「アルカは育てば惑星デスギア最強の戦士となる素質がある、何故貴様ら地球人の味方をしているかは知らんが……」
「ここで死ね」
「くっ……!なんでこんなことに……」
「なんで……なんで……」
「知世子……」
知世子と万古は絶望していた。
目の前には巨大な悪魔、そして空からは巨大なドラゴンが迫ってきている。
とにかく逃げて、逃げて、走っていたら……
「きゃっ」
あまりにも急いできたので、誰かにぶつかってしまう。
「ちょっと何してるのよこんな時に!」
「ご、ごめんなさ……」
「大丈夫だ、岩でもぶつかって来……あ、失礼だったか、一体どうし……」
知世子とぶつかった男は、背後から迫ってくる赤いドラゴンを見て、即座に表情を変える。
「この任天堂世界にリオレウス……この状況、大体理解した」
「あの、危な……」
「問題ねえ」
「叩き落とす!!!」
赤い竜は男に向かって火球を放つ。
知世子と万古はただ呆然とそれを見ていた。
だが、男が何かをした途端、知世子と万古は一瞬目を疑った。
何故なら、そこには、自分達の前にいるはずの男の姿が無かったからだ。
知世子があちこちを見渡すと……
「あっ!!」
男は竜の真上までいつの間にか飛び上がっていた!
「地球人なめんな!!」
そして、拳を振り上げて力強く叫ぶ。
その瞬間、竜の頭部に拳が叩き込まれて一撃で墜落する。
「100%吹っ飛び級のダメージ……まだ未完成だが、ハンドレットインパクト……ってところか」
「つ、強い……」
「貴様…!立崎七夜!!」
「ダンテに伝えておけ、俺らはお前らに手を出す気は無いが、そっちから何がするつもりなら抵抗はしてやるってな」
「……覚えていろ」
レイアは黒い渦に乗って消えていった。
「あ、あの……ありがとうございます」
「………何があったかはあえて聞かねーが、ここはガキが来ていいところじゃねえ」
「流石にアレは無いが、裏の人間がウロついてるような所だ、あいつらマジで血も涙もない……」
「お前ら、どこから来た?」
「世界総合研究所です」
「世界総合研究所……あそこか」
「最近行ってなかったな、俺もあそこに行くか」
そして、彼はその場を去っていった……。
―――研究所内。
知世子達が戻ってくると、中は酷く荒らされていた。
「え!?これは酷い……」
「……これは……誰がやったのかしら?」
「凪さんは?凪さんの姿が……」
「アルカも見えないんだけど」
知世子と万古が研究所の中を探し回っている。
だが、凪もアルカも見つからない。
その時、万古の持っていた通信機が鳴った。
凪からの連絡だ。
万古は通話ボタンを押した。
すると、聞こえてきたのは……
凪の声ではなかった。
「おい!おいいるかー?」
「アルカの声!」
「アルカ!?凪さんの所に居るの!?なんでこんな…」
「話すとまー、いろいろあるのだが………とにかく色々来たのでな」
「えっと………あ、ダンテが来たぞ!アルカを辿って来てくれたんだ!」
「そしたら……他にも色んなやつが来て、皆なんか言い出して……」
「それで、ここにある機械を使えって言われて……」
「まあ、とりあえず使わせてもらったが……」
「なんか……こう……」
「そういうことだ」
「要するに色々乗り込んできたってわけなのは分かった」
- Re: スマブラ戦記 ロリポップキャンディ(完結) ( No.4 )
- 日時: 2023/05/31 23:19
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
それはアルカが世界総合研究所に到着していた時の事………
「帰ってきたぞ!」
「アルカ!」
凪が迎えてくれるが、アルカの持ってきた赤い人形を次々と取り出して確認する。
それらをテーブルの上に一通り置いていく、何十個もある………
「所長!こちらに!」
研究所の人々も次々とその赤い人形に集まっていく。
「なんだー?その人形がそんなに気になるのかー?」
「どうです、所長……」
「こ、これは……間違いない……」
「この赤い人形、どこにあったんだ!?」
「ああ、これなぁ~なんかそこらへんにいたから拾ってきたぞ」
「もっとないのか?」
「多分、ある!」
凪も流石に所長に問い詰める。
「所長、これは……」
「凪、君の連れていった魔法少女とやらは人が突然このような赤いフィギュアのようになったと言ってたな?」
「ええ……彼女たちが見たものが確かなら」
「………同じだ、こいつは博多だ……」
「この任天堂世界で死んだとされた人間の……フィギュアだ……」
その言葉を聞いて凪は驚いた表情を見せる。
さらに他の研究員たちもざわつき始める。
そして、研究所にいる全員がそのフィギュアを手に取って確認していく……
中には涙を流しながら手を合わせて拝む者もいた。
しかし、その誰もが困惑していた。
なぜなら、任天堂世界においても死はある、しんだらそこでおわり、それが現実だと思っていた、だがこのフィギュアも人為的に作られたとは思えない、これは……
「聞いたことがあります、スマブラは厳密には任天堂キャラクターではなく、フィギュアに妄想を重ねたもの、それと同じように……」
「我々も本当は……任天堂戦士は死んだらこの赤いフィギュアになるのだろう」
「これが示されるものは何か分かるかね」
「我々人類は、まだ見ぬ未知の力を持った者たちによって守られていたということですか?」
「いや、それもいい考えだが違うな」
「我々は世界総合研究所、この任天堂世界の全てを調べて明らかにするためにここを作った。」
「__蘇生出来るのではないか?ゲームを最初からやり直すように、死んだ任天堂戦士を蘇ることが!」
「!!」
「だが……確かに出来たなら凄い発見だと思う」
「ただ……理不尽に死んで甦った人達が、今も尚この世界から出れないと知ったらどう思うのか……それが気がかりだ」
「宮崎所長…」
「俺自身、かつて脱出を夢みたある組織に属してきたが、そんな物は無いと思い知らされた……」
「?」
「暗滅教、ダンテ……彼女のような惑星デスギアの侵略者によって多くの犠牲が出た……だから俺はこういう形で戦う……どんな敵だろうと」
「うふふ……このような事例は初めてですね……」
「!?」
アルカ以外の全員に悪寒が走る。
今からこの研究所に新たな来訪者が来ようとしている……
アルカが警戒しているのを見て凪が言う。
それは凪自身も感じているものだった。
アルカが感じているのは魔力によるものだが、凪が感じるのはそれとは違う別のものだ……
それはまるで……
カタストロフ
隕石の激突
爆発
とにかく 一発で即死しそうな程の悪意。
アルカはそのオーラの相手を見て、嬉しそうな顔をして呼びかける。
「ダンテ!」
「やれやれ……探しましたよ、アルカ」
「う、ウワアアア ダンテだああぁ!!暗滅教の教祖じゃねえかッ!!」
そこに現れたのは……紫色で隻腕の人のような何か。
本当に何かとしか言いようがない、右腕は隻腕のようで紫の糸のようになっており、目のような部分は実際には目では無い、ただの黒い線だ。
宮崎所長はそんな怪物を見て震え上がる。
凪も見ただけで感じた、いつ死んでもおかしくないと。
(ダンテ、所長から度々聞かされている……奴と暗滅教には決して近付くなと)
「いや……これ、なんですか?アルカの反応や匂いを辿りこの研究所に来ましたが……その、それは?」
「アルカはまほーしょーじょとなって平和のシンボルとなるのだぞ!」
「意味が分かりませんよ……地球の文化はある程度覚えましたが、なんだか困惑の方が強いのですが、私」
「だ、ダンテ……アルカを連れに来たのか!?」
「それは、まあ、そもそもデスギア人なので侵略する側が現地人と仲良くするというのもどうかという話じゃないですか」
「ダンテはそれでいいのか?」
「そうは言われても、デスギアを滅ぼされダーズ様の復活を急ぐ私には時間が無いのですよ、ここ数十年で何やら文化も発展したようなので、分裂体を作らないとやっていけませんし」
「ぶ、分裂体……じゃあ」
「アルカは私の分裂体の1つで、最も新しい物になります」
所長がダンテの言葉を聞き青ざめる。
そして……ダンテが所長を見る目が恐ろしい。
まるで虫けらを見下すように所長を眺めていた……その瞳は黒ではなく紫色……
そしてその瞳を見た凪の体が勝手に動く……! そして所長に駆け寄ろうとする。
「安心してください、私は侵略者ですが殺人鬼ではありません、何もこの研究所の人々全員皆殺しにしたいとは思っていませんし」
「……まあ、今回の件はちょっと首を傾げますが」
「……ん?アルカ、その赤い人の形をした石はなんですか」
「ダンテ!地球人は死ぬと赤い石になるんだぞ!アルカ沢山見たぞ!」
「は!?地球人が石に……そんな馬鹿なことが、しかし実物が……?」
「生き物は死んだら終わり、それは宇宙共通の自然の摂理です!死んだ生物が生き返るなんてことが、たとえこの世界が異能力の集まりだろうと………」
「へえ、面白いことを聞いた」
まただ、また外から恐ろしい物を感じた。
今度はダンテの時とは違う、リアリティのある殺意。
研究所内にいる全員が怯える中、その気配を感じていないのはアルカだけ。
すると、ダンテもそれに反応したのか、研究所内に入り込み、入口を見る。
「世界総合研究所なら何か面白いものでもあるかなと思っていたが、想定通りだった」
「おや、貴方は……」
「お前は……ありえない!!戸北ユカ!!」
戸北ユカ、任天堂世界の裏の頂点である『コレクターズファミリー』の主。
見た目こそ小学生だがこの任天堂世界を生きてきた年数は遥かに上であり、精神年齢なら齢50を超えていると推測されている。
「そんな馬鹿な!ユカは……ユカは死んだと聞いている!」
「僕に関しては、その赤い人形から生き返ったのかは分からない」
「死んだ、確かに死んだけど………面白いものがいってね」
「まさか、能力で!?」
「うん、持つべきものはトモダチだね」
ユカは死んだ、確かに死んだはずだった。
だが、今こうして自分たちの目の前にいる。
凪達は当然としてダンテですら想定外だったようで、少しづつ近寄っていく。
「貴方の噂は私も度々耳にします、この世界で独自の文化圏を築いていたとか…地球人は蘇生なんてことが出来るのですかね」
「僕だけの力じゃないよ宇宙人さん、こっちも暗滅教の事は何かしら聞いているけど……これは想定外だったんだ」
「僕の任天堂戦士としての能力は『トモダチコレクション』、仮想空間のそれなりに大きい島に入れる他、僕がトモダチと判断した人をマンションに住ませることで、その人の能力を僕も使うことが出来る」
「最近面白い任天堂戦士を見つけてね、僕のとはちょっと別の仮想世界を作れる奴だったんだけど、そいつが『サテラビュー』の任天堂戦士なんだ」
「その周辺機器にはメモリーパックがあってね、受信したデータをセーブする大事な所なんだけど………」
「僕を綺麗にデータ化出来た、そして……復活したというわけさ!」
戸北ユカは笑顔でそう語る。
その言葉を聞いて研究しますの顔から血の気が引く。
「なるほど……我々からデスギア人やダーズ様から始まった能力がここまで進歩するとは……」
「といっても立場上は死人だよ、ファミリーは壊滅したしF.D.Xに喧嘩なんて売りたくないから大人しくはしてるけど」
「なら、あなたは何故ここに?」
「トモダチ島から全部見てたからに決まってるじゃん!ねえ」
「その赤いフィギュア1つ残さず全部よこせよ」
ユカの言葉に反応するようにアルカが飛びつく! しかし、それをダンテが止める。
そしてダンテは言った。
「これを?」
「メモリーパックがあれば僕以外の奴も蘇生出来るんだよ、試したからわかる!」
「君ら暗滅教だって生贄を使うんだろ?死人は使い回した方がお得じゃない?」
「お前何を言って………」
「おや、地球人が我々異星人の手助けなんてしていいのですか?我々は一応貴方の星を乗っ取りに……」
「いいよ、あんなクソみたいな国も星も僕は興味無いし、この島だけで余裕で暮らしていけるよ」
「お前……自分の島をどれだけ買い被って……」
「マンションに入れるのは能力をコピーしたい奴だけ、別に住居はあと二種類くらいあるし、なんならテントでも貼らせて野宿でもすればいいよ」
「ふむ……なるほど」
「そうなると憎まれ役が必要じゃない?」
ユカの傍から現れたのは……緑色の髪の少女。
服装は黒のワンピースで、顔には大きな傷がある。
右手には鎖鎌を持ち、左手には犬のぬいぐるみを持っている。
その姿を見た所長は驚く。
彼女のことをよく知っているからだ。
「美崎二葉……現実世界で800回結婚詐欺を繰り返して逮捕されたクソメンヘラ女……!!」
「ダンテも知ってるでしょ?F.D.X、君と関わった七夜が居たところ」
「おや、貴方達協力してたのですか」
「七夜やその関係者走らないけどね」
「で、ファミリーが消えて憎まれ役が必要っていうなら…あたし達がやってやるってのよ」
「地球に興味無いのはこっちもそうだし、アイツら全然過激なことをやらないからさ〜」
「……ふむ、それぞれ三組織の同盟みたいなものですか」
「あ、そういやあの研究所の奴らどうすんの?」
「あ、そういえば私の要件それでした」
「あ、気にする事はないよ……」
ユカが研究所内の人達に手を振る。
だが、それはもう手遅れ。
研究所内にいた研究員は全て死んでしまったのだ。
突然研究所内に爆発が起こり、その衝撃によって研究所は崩れ去った。
それは、一瞬の出来事であった……
「結局死なせる気だったんですね、貴方」
「いいじゃん、どうせ復活出来るんだし、生きて情報をバラされたら困る」
「あのアルカと言った小さい宇宙人は人質だ、絶対に無いと思うがこの関係が破綻するようなことがあれば……」
「心配ありませんよ、惑星デスギアは約束守れないような存在は処刑されますので」
「怖っ」
………
そして、今に至る。
知世子達が戻ってきた頃には世界総合研究所は崩壊していた。
「う……」
「こんな……一体なんで……」
「アルカの声は聞こえたはいいけど、凪からは全然繋がんないし……」
「凪さん……?」
「こいつは……!?おい、なんで研究所が荒れてんだ」
「是六!!どこだ!!」
そして、遅れるように七夜も世界総合研究所に辿り着いた。
だが、そこで見た光景はあまりにも酷いものだった。
まず、この場にいたはずの凪とアルカがいない。
そして、宮崎所長が倒れている。
「おい、ジジ……是六!!」
「あ、あの人本当に知り合いが居たんだ……」
宮崎所長は今にも死にそうな声で、最後にこう言った。
「息子を……ハジメを頼む……」
「息子!?何言ってんだよお前独身だろ!!しかもこの世界、結婚したところでガキなんて…」
だがここで宮崎所長も息絶えてしまった。
- Re: スマブラ戦記 ロリポップキャンディ(完結) ( No.5 )
- 日時: 2023/05/31 23:22
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
………
「…………」
七夜は、知世子達からある程度の事を聞いた。
「死人が赤いフィギュアに……?そこだけ引っかかるが、それ以外は分かった」
「あのバカが……俺達F.D.Xがどれだけこの世界の奴らが暗滅教や真実に辿らないように苦労してきたか分かってんのか……」
七夜はため息を吐くと、後ろで隠れていた知世子が話しかけてきた。
「あ、あの……あなた、そういえば名前は……」
「……桜井七夜、所属組織はF.D.X」
「簡潔に言えば、お前ら魔法少女とやらにとって敵みたいな存在だ」
「……とか、言ってる場合じゃねえ状況だけどな」
「それにお前らは暗滅教を見ちまった以上、そう振る舞う理由もない」
七夜のその言葉を聞いて、知世子は何か思い出したが、それは七夜にはどうでもいい話だっただろう。
「魔法少女……人々を安心させる平和の象徴、戦えない人達の安らぎのシンボル」
「その凪って奴が、お前らをそういう目的で魔法少女なんてのに任命したんだな?」
「はい……もう1人いたんですが、その……」
「………分かってねえな、何が平和の象徴だ、ヒーローだ」
「アニメやマンガとは違う、何の訓練も実績も精神も足りていない」
「本当にただ望んでもないのに能力を持たされただけのただのガキだぞ………」
そう言った瞬間に七夜の姿は消えた、と思った次の瞬間には知世子の前に立っていた。
その右手には短刀を持っており、その刃先は知世子の首に向けられている。
首元まで来ており今にも切られそうだ。
「分かるだろ、お前らは『普通』側の人間だ」
「こんな殺意の無い攻撃にも対応出来ない……まあ、それが当たり前の奴らだ」
「ヒーローの名前や存在ってブランドだけで人々が安心するほど人間ってのはバカじゃねえし、そこまでの強さがある人間ってのは限られてンだよ」
「…………」
「確かにそうかも……」
「万古さん…?」
「私達はあの凪って奴に勝手に魔法少女の見込みがあるとか言われて、こんな格好させられて、更には……」
「最初の仕事で……目の前のこいつが居なかったら私達は死んでたかもしれないわね」
「……っ」
「暗滅教のあいつらは規則外だが、それより少し下程度の奴らが裏にはゴロゴロいる」
「ファミリーが壊滅したとはいえ腐った性根の奴らはゴロゴロいる、ヒーローごっこで近付いたらお前らなんて……いや、こんな事聞きたくねえわな」
「が、人々を救うなんてのはそういうことだ」
「状況を分かってるようで何も分かってないような奴に絡まれてお前らも面倒なことになったな」
万古は知世子から離れると、そのまま歩き出す。
「あっ……」
「止めるな、あれでいい」
「望まれただけで危険に足を突っ込むよりは、その足を洗った方がそいつの為になる」
七夜は知世子達に背を向けたままそう言うと、知世子達の前から姿を消した。
残された知世子はその場から去った万古を追いかけようとする。
万古は既に知世子達から離れており、もう既に見えなくなっていた。
世界を救い人々を安心させる『魔法少女』
ある男が希望となる為に考えついたそれは非現実的だが恐ろしい今の現実によって、あっという間に塗り潰されてしまった。
万古は知世子達から離れながら、考える。
(これでいい、これでいいでしょ、そもそも魔法少女とか勝手にやらされてただけだし、凪なんて勝手に……)
……
「私は……これからどうすれば……」
知世子はまた1人になってしまった。知世子達がいる場所は、先程七夜と万古達といた場所から少し離れた場所にある路地裏。
知世子は1人になった途端に心細くなり、寂しく感じていた。
「ロリポップキャンディ……魔法少女」
「凪さんが、私に世界を安心させる魔法少女になって欲しいと言って、この格好になって……」
「1週間だけだったけど…楽しかった」
知世子でも分かる、あの赤いドラゴンに襲われそうになった時自分は逃げるだけしか出来なかった。
七夜はそれを一切恐れず、拳1つで叩き落とした。
あの時理解した、人々を安心させるにはあれだけの力が必要だということを。
自分達は無力だった。だから助けられた。
「……」
知世子は沈黙していた、自分の無力を痛感して、そして後悔をしていた。
自分が強ければ、少なくともこんなことは無かったのではないかと。
「……」
知世子は、七夜の事を考えてみる。あの人はどういった人物なのか。
「…………えっと」
そして、何をすべきか決めた。
「………俺が任天堂世界に来て41年8ヶ月19日8時間48分」
「歳は変わらずとも長居しすぎた奴らの精神は擦り切れ始めてきた」
「その分犯罪は減った……だが、本格的に組織と言えるものは俺達F.D.Xという表向きの悪だけになったか」
「マスターアマゾネスはイツメンが焼け死んで終わり、ア・カウント・バーンも壊れて、遂に世界総合研究所も無くなったか……」
「魔法少女なんてもんが欲しくなる気持ちは分かるが、よりによって小学生の戦いも知らない小娘にやらせるなっての……」
「………」
「あいつこれからどうすんだろ……」
七夜は、知世子達が歩いて行った方角を見ていた。
その視線の先には、知世子達の飾りに着いていた飴玉が転がっていた。
魔法少女…大海を知らない蛙のように淡い考えで生まれた、平和のマスコット。
そんな存在を七夜は理解出来なかった。
「平和とか、終わりとか、脅威とか……もうわけわかんねーな」
「俺は今、はたして生きてるって言える状態なのだろうか……」
「………そういやあの小さいの、1人で大丈夫か」
「一応まだ小学生なんだし、移住区に連れてやるくらいはしとけば良かったか……?」
七夜は知世子達の心配をしながら、とりあえずは歩くことにした。
向かう先は、任天堂世界の怪物の1つであるブラキディオスの元だ。
七夜は知世子達と別れてからすぐに、ブラキディオスのいる場所に辿り着いた。
その場所は、街から離れた所にあった。
そこは暗滅教の施設、つまりは暗滅教団の本部近くである。
「……クロスオーバー能力、あいつはそう言っていたな」
「任天堂世界は基本『任天堂ゲーム』が能力になる、それを無視した例外みたいな奴があれか……この間リオレウスを見た時点で、予感はしていたが」
七夜は辺りを見渡す。
すると、建物の中から悲鳴や叫び声が聞こえてくる。
建物の中に入ると、そこには血塗れで倒れている人々がいた。
その中には、知世子もいた。
知世子は全身傷だらけで、意識はかろうじてある状態だった。
「う……あ……」
「……………」
「……ううっ」
知世子はなんとか立ち上がろうとする、しかし体が思うように動かない。
体中に激痛が走り、動こうにも動けない。
向こうには……暗滅教の使徒がいた。
「………あれはなんだ?」
「レイア様が能力で呼び出した黒と黄緑の竜……粘液が爆発を引き起こし、あちこちを蹂躙していたところに来たのが、そこのロリポップキャンディと名乗った戦士」
「彼女が愚かにも竜に立ち向かった結果、この通りに」
レイアと呼ばれる女性は、倒れた知世子を見ながら言う。
知世子はもう動くことすら出来ずにいた。
その様子を見た七夜は、ため息をつく。
そして、その瞬間に七夜の姿は消えた。
次の瞬間には、レイアの背後に立っていた。
「あの時しっかりお前を仕留めておかなかったことが、俺の完全な落ち度だ」
「!」
ブラキディオスの拳が七夜の腕とぶつかり合うが、互いに弾かれて地面に付く。
「ブラキディオスの粘液は空気に触れて起爆するが……タイムラグはある」
「この任天堂戦士でカプコンがやるような奴相手なら、手慣れた人間でもやりあうのはムズいだろうな、ましてやこんな化け物だ」
「だが俺は違う」
七夜は、拳で地面を叩きつける。
衝撃で砂埃が発生し、ブラキディオスと知世子の姿を隠した。
そして七夜は、その場から消えていた。
七夜はブラキディオスの真後ろにおり、そのままブラキディオスの背中に居るレイアを殴った。
七夜の一撃で、レイアは吹き飛ばされる。
そしてレイアはそのまま気絶する。
七夜は倒れている知世子を抱えて、ブラキディオスから離れる。
………
「俺一人じゃ流石に人狩り出来ねえ、後で仲間を呼ぶか……」
「ん……」
知世子は既に事切れていたが、何かを伝えたかったのか、自分の顔にチョコレートで文字を頑張って書こうとしていた痕跡があった。
『生まれ変わったら 優しくて強くて 貴方も守れるような魔法少女になりたいです』
「こいつは……………見せかけじゃない、結果はどうあれ本気でやろうと思っちまったのか」
「平和の象徴、魔法少女……ロリポップキャンディ」
「心配するな、俺は人の事は覚えやすいし中々忘れない、もう何十年も前の奴をずっと覚えようと努力してるんだ、お前の生き様は保証してやる」
知世子の体も消えていき、彼女もまた赤色のフィギュアのように変化していった。
「……あいつが言っていたことは嘘じゃなかったのか」
七夜は知世子が別れる前に最後に残した言葉を思い出しながら、呟く。
知世子が直前に言った言葉は、魔法少女の有様についてだった。
「私にとって、この魔法少女は……ただのコスプレの類ではなく、凪さんが願ったように人々の安心の為に戦うもの……」
「だから、私は戦う……皆の笑顔を守りたいと思った」
「けど、その願いも……結局は叶わなかった……」
「ごめんなさい……本当に……」
「……もし生まれ変わることが出来たら、その時は……あなたも守れるような……魔法少女に……」
………
「悪くない、お前は弱くない、よくやったよお前は」
「この世界が理不尽なだけだ、俺でも一度は勝つことを諦めたような奴らだ」
「少なくともお前は、俺にとってはまだこの世界に足掻く理由になった」
しかし、七夜をもってしても任天堂世界を突破し、ダンテを倒すことまでは適わないだろう。
ここから数年後、万物を司る存在、神にも等しい存在、人知を超えた生命体、そしてダンテと対等の異星人の使いが現れるまで…………
…………
『数年後』
F.D.Xにて
「あの人形が紛失しただと!?」
知世子の死後に生まれた赤い人形が無くなった、あれから七夜は、あの人形をずっと持っていたのだが、それが突然無くなったのだ。
「別に無くなってもいいでしょ、魔法少女みたいな格好してるのにデブみたいな見た目してたし、全然可愛くな
『ズゴッ!』
「…………七夜が二葉の顎に蹴り入れる所初めて見た」
七夜は、持っていた物を握り潰す。
それは知世子の変身アイテムだ。
知世子が死んでいた場所に落ちていた、知世子の持ち物である。
七夜はそれを生きていた証として残していた。
…………
そして、知世子は目を覚ます。
「え……なんで……私は、死んだはずじゃ……」
辺りを見てみると、遠くには海が見える……どうやら島のようだ。
島の設備は結構充実しているので、無人島では無いことは分かる。
「私はどうしてここに……!!」
「知世子…?」
「凪さん!!」
「寂しかった……無事で、無事でよかった、凪さん……」
「………無事じゃないよ」
「え?」
「知世子、俺はね……ここに来て分かった、人は死ぬ時どこに行くのか、天国でも地獄でも、煉獄でもあの世でもない」
「やあ、ロリポップキャンディ……いや飴野知世子ちゃん?君の能力は面白そうだ」
「僕のトモダチにしてあげるよ」
知る人は少ないが、任天堂戦士に死は存在しない。
死んだ後に待っているのは生き地獄なのだから。
【スマブラ戦記 ロリポップキャンディ】
END
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