二次創作小説(新・総合)

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【逃走中〜異能力者たちによる学園生活……?】
日時: 2024/04/27 21:18
名前: . ◆dxxIOVQOvU (ID: XWWipvtL)


【逃走中〜異能力者たちによる学園生活……?】

 地球とも月とも異なる、誰も知らない世界『ノネスト』。かつての地球文明、そして月文明を引き継いだ人類たちの新たな居住地。何もかもがあるこの世界では、かつて地球世界や月世界で行われていたゲームのリニューアルを繰り返していた。ノネストワールドの放送の大きな権力を握る『ジア・ルカディ』はまだ20歳と若輩ながら、抜群のセンスと探究心でのネストワールドにおける高い視聴率の維持に尽力していた。
 そんな彼が新たに注目したのが、月世界で開催されていたという『逃走中』だった。この世界ではどんな昔の情報でもあっという間に見つかってしまう。
 『暦虫』はノネストワールドの高い科学技術によって生まれた新種の虫だ。彼らは自由に飛び回り、勝手に狭いところに入ったり、虫だというのに自身の形を好きなように変えて、時空さえも無視する。暦虫を使うことで、月世界の情報を、そして逃走中の情報を数多に入手したルカディはほくそ笑みながら、口元に指を充てる。あぁ、楽しみだ。
 逃走中という存在を知ってから一週間も経たぬうちに、ゲームの準備は整ってしまった。さぁ、新しいゲームを始めようか?


【PEOPLE(18)】
(アイドル:プロジェクトセカイカラフルステージfeat.初音ミク)桃井愛莉
(学生:ブルーロック)二子一揮
(ガンマン:ルパン三世)次元大介
(配管工:マリオシリーズ)ルイージ
(学生:暗殺教室)潮田渚
(アイドル:アイドルマスターシンデレラガールズ)堀裕子
(学生:A3!)向坂椋
(フリーター:A3!)御影密
(学生:BanG Dream!)奥沢美咲
(学生:ラブライブ!)東條希
(学生:ウマ娘プリティーダービー)オグリキャップ
(学生:涼宮ハルヒの憂鬱)涼宮ハルヒ
(学生:Charlotte)友利奈緒
(学生:悪役令嬢レベル99)ユミエラ・ドルクネス
(学生:ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない)東方仗助
(学生兼魔導士:ぷよぷよシリーズ)レムレス
(学生:悪役令嬢レベル99)パトリック・アッシュバトン
(NS放送局職員:オリジナル)碓水源斗うすいみなと

Re: 【逃走中〜異能力者たちによる学園生活……?】 ( No.1 )
日時: 2024/04/19 20:20
名前: . ◆SsvzxTpmVk (ID: XWWipvtL)




【AREA】
 エリアは学校を中心とした住宅街や商店街を含む、東京ドーム3個分の大きさ。各エリアごとに確認していこう。
・学校エリア
 東京ドーム2個分。学校にしてはかなり広大。学校自体は地下2階から地上6階までのA棟、隣接して地上4階までのB棟、学校の敷地を出てすぐに3階建て学生寮が存在。学校敷地内にはグラウンド、体育館、闘技場などがある。尚、何故か学校全体は大きな透明なドームで覆われている。何か飛んでくるとでも言うのか。
 A棟。地下2階と地上6階から成り立つ。地下は訓練場など異能力の向上に関する施設が多く、実験室などもここに含まれる。大きめな施設の実験場のように、白を基調とした明るいのにどこか不安を覚えるような景色が並んでいる。地上一階は職員室や校長室、昇降口などが並ぶ。またA棟から集会場でもある体育館への移動が可能。2階からは各クラスの教室などが並ぶ。特別教室は5階,6階に集結している。生徒会室は4階。
 B棟。地上4階建て。1、2階は図書室。とにかくなんでも置いてある。雑誌のバックナンバーも新聞のバックナンバーもやたらある。既に広いのに、まだスペースが足りないと戦闘狂の司書(国でかなりのレベルの強さ)が嘆いているので、もしかしたら拡張されるかもしれない。白と黒を基調とした現代的が過ぎる風貌。ちなみに学園関係者が持つスマホの中には図書室アプリが搭載されているので、欲しいものを検索して蔵書の中にあれば、勝手に飛んでくる。バーコード認証? そんなのいつの時代だよ。図書室にない本が勝手に購入されて、飛んでくるんだぞ。まるでお城か、とでも言うように左側、右側から中央に向かって降りていく階段は特徴的だ。3階は会議室や補講を行う教室がメイン。3階、4階にかけて大型の視聴覚室。4階には映像類の倉庫がある。
 3階建て学生寮は入れるが、生徒の部屋に入ることはできない。(他共有スペースのキッチン、大広間と廊下は逃走エリア)
 学校を取り囲むように住宅街、そしていろわす商店街が存在。家屋への侵入は不可、それ以外をエリアとする。

Re: 【逃走中〜異能力者たちによる学園生活……?】 ( No.2 )
日時: 2024/04/27 21:19
名前: . ◆SsvzxTpmVk (ID: XWWipvtL)


※碓水源斗について
 ノネストワールド放送局、通称NSHの職員であり、ジアの直属の部下。ゲームの監視役として送り込まれた。本来であれば、エリアの上空からヘリで監視する、などと言う予定だったのだが、ジアの遊び心で参加させられた。






 ゲーム前、商店街に設置された3つのハンターボックスの前に集められた18人の逃走者たち。



二子一揮
「こういうのって大体潔くんとかが最初に出るもんじゃないんですか?」



潮田渚
「そんなメタに触れないであげてよ……」



オグリキャップ
「……それはマシュマロか?」



御影密
「これは俺の生命線……絶対にあげない」



オグリキャップ
「そんなペースで食べて、足りるのか……?」



御影密
「スタッフさんが持っててくれるって」



オグリキャップ
「そうなのか、私もいいか?」



スタッフ
「……」(無言で首をフリフリする)



オグリキャップ
「そ、そうか……」



 ゆるい雰囲気の中、ゲームは突然幕を開く。



謎の声
『逃走者の諸君、今回は素敵なゲームに参加頂き、誠に感謝する。私はこのゲームの主催、つまりはゲームマスターだ。これより君たちには目の前のボックスに閉じ込められたハンターより逃げる猶予を1分与える。その間に逃げたまえ……!』



ハンター×3
『……』



碓水源斗
「……(ルカさん、どうせあんたの癖に)」



【01:00】




【00:59】




ルイージ
「って、今のうちに逃げないと!」



東方仗助
「一番最初に捕まるだけはごめんだぜ!」



 エリアに散らばる逃走者たち。




【00:42】



桃井愛莉
「とにかく遠くに逃げるに越したことはないわよね……」



向坂椋
「ほら、密さん! 学校の何処かで隠れてればそこやで動かずに済むんじゃないですか?」



御影密
「……え、寝れるところないの?」



【00:35】



東條希
「ウチのタロットが言うてるんや……今日のウチはついてる、って」



涼宮ハルヒ
「……というか、この楽器広すぎない? 本当にただの学校なのかしら」




堀裕子
「このサイキックパワーでハンターなんかよ、余裕ですって!」



 逃げる。




【00:23】




二子一揮
「灯台下暗し、とは言いますけど、流石に僕も最初には捕まりたくないのでね……遠くに逃げますよ」



レムレス
「にしても、この学校……魔法か何かで守るように覆われてるみたいだけど、どんな所なんだろうね」



次元大介
「……この街、なんか匂うな」



逃げる。



【00:14】



奥沢美咲
「ほんと、学校広すぎるって……どんな学校なのさ」



ユミエラ・ドルクネス
「……結界が貼られている? ただの学校じゃないのかしら」



パトリック・アッシュバトン
「このゲームでは魔法は使えないんだよな? そうだよな?」



 いや、使わせない。



【00:05】



【00:04】



【00:03】



【00:02】



【00:01】



【00:00】



バコーン!



ハンター×3
『……!』



 ハンターが放出され、ゲームが始まった!



【119:51】
【¥1,800】



御影密
「……もうマシュマロ買える。寝てればゲームは終わるの?」



 1秒辺り200円が賞金として加算、120分間ハンターから逃げ切ることができれば、賞金144万円を獲得することができる。



【119:38】



友利奈緒
「ハンターってあれ?」



ハンター
「……」スタスタ



 しかし、エリアを捜索するハンターに確保されると失格。賞金はゼロ……。



【119:24】



堀裕子
「これが自首電話ですね! やっぱり目立つ場所にありますね」



 学校エリアと住宅街、商店街エリアの存在する今回。自首電話は学校グラウンド、商店街に1箇所ずつ設置されている。この電話から自首を宣言するとゲームをリタイアとなり、それまでの賞金を獲得することができる。
※今回のエリアに関しては前レスを確認していただきたいので、ここでは省略する。



【119:02】



東條希
「さぁて、学校に隠れたことですし……希ちゃんのタロットカード占いのお時間や!」



※そんなコーナーはありません。



東條希
「……戦車の正位置なぁ。これはちょっと大変かもしれへんなぁ」



 まぁ、戦車の正位置の場合の意味を知りたい方はお調べください〜!



ーーーーーーーーーーーーーーーー













 


 ここは異能力者を持つ少年少女たちが集まる『ディファ学園』。いつの間にかこの世の中でも異能力と呼ばれる、魔法のような特別な力は当たり前となっていった。十数年前に『コノシード国』全体を包み込んだ謎の光が一瞬で消えたかと思えば、1人の青年が空を飛んでいた。あの光のせいなのか、とその青年を見ていた彼らは言っていたが、どうやら違ったようだ。次の日には、別の女の子が空を飛んで通学しているかと思えば、他の少年は瞬間テレポートでやってきた。日を追うごとに街に特別な能力を持つ者が増えてきたが、その共通項は『未成年』であることだった。まだこの異能力が世界に認められてから数年、成人した彼らは異能力をそのまま保持していたことから、未成年のうちに異能力を持つことがある、と結論づけられた。異能力関連の研究は多くの人間たちによって行われてきたが、未だに謎は多かった。
 『ディファ学園』はまだ生態や仕組みが謎である異能力を持つ少年少女たちを見守り、観察して、異能力とは何か、を調べている。勿論、学校としての役割も、異能力という特別な力を持っている彼らを守るためでもあるが、それ以上に異能力の研究材料の保持の意味を持つ。まだ存在を気づいてから十年ばかり、高い科学技術がある現代でも、未知なる力へは無力。
 そして来たる4月。桜は4月になれば咲くもの。これは我々の科学技術によってもたらされた説だ。誰もが桜は4月を伝えてくれる特別な木だと言うが、老人がこう言う。昔は早く咲いてたり、遅咲きだったり、今のように4月になった途端に咲くものではなかったよ、と。誰もそんなことは信じない。それは妄言だと信じようともしない。昔の写真を出されても、数字も嘘をつくんだ、とね。高い技術があることはいいことだ。しかし、よくないようにも使われてしまう。それはどの時代でも同じなのだ。
 そして、4月。始まりの季節。桜が咲いたら、新年度が始まる。そういうものだ、と世間は言う。この学園にも春は来る。それぞれが希望と不安を抱えてやってくる。って、お前は空から来るんかい。

 はぁ、とため息をつく隣の同僚。と言っても、今年度から新生活をスタートさせた新人だ。そして、僕も。朝早くに集会場の見回りをまだ誰か判別できてない沢山の先生たちとしたり、清掃をしたり。こういう行事の時は先生大変だろうなぁ、と他人事のように考えて。
 ため息をついた隣の同僚は『西野かえで』。異能力を持つ期待の新人、と言われている。身長は平均程度だが、すらっとしているからかスタイルが良く見える。色白な人と比べてもかなり色白で、ミディアムヘアの艶やかな黒髪と、切長なのに幼さを感じさせる小さな顔。メイクは薄くしかしていないのか、それでも群衆に紛れ込んでいても目立つような華やかな顔をしている。少し離れた先輩教師であろうか、よからぬ発言を他の教師たちと小声でしていたのが聞こえてきている。彼女にはそれが聞こえていたのか、はたまた。いや、聞こえてないといいが。同僚と言っても、彼女は飛び級制度を利用して大学を卒業しているので、年はまだ20歳くらいだったか? 年下の同僚。なのに、彼女の方がしっかりしているように見える。それはきっと、僕はただの平凡だからだ。
 一方で西野かえで、はちょっとした有名人だ。彼女の異能力は言うならば昔に流行った漫画で出てくるワードで「立体機動装置」のような動きが自らの意思でできるのだ。だから、彼女は学生時代に戦闘兵のバイトとして活躍し、度々その功績とその美貌からメディアに取り上げられていたのを見かけたことがある。が、彼女はそれをどうとも思っていないのか、露骨なメディア出演などはなく、勝手に取り上げられているだけなのだが。
 そしてもう一方の僕はと言えば、戦闘向きといえば戦闘用の異能力。しかし、西野かえでとは非にならない程に使い物にならない、防壁を生み出せるだけの力。それでも近年、この学園の採用枠には異能力を持つことが必須条件となっており、そのお陰なのだろう。そうじゃなきゃ、僕なんかがこの学園の教師として採用されることはなかっただろう。
 異能力が発見されてから、それを有効利用する動きもあれば、悪用する動きもあった。異能力の中にはまるでマンガかアニメのようだが、悪用する動きに対して有効なものもあった。自然の力以外で乱されることがないであろうこの世界が、異能力を用いた悪によって乱されつつある。西野かえではその悪を制圧するバイトをしていたし、今も続けているらしい。最近ではそういう就職先もあるみたいだ。
 一般人には到底見えない存在感の同僚へ降り注がれる視線を避けるように、会場に集まってきた生徒たちを見渡す。どこにでもいる、普通の学生にしか見えない。彼らは一体どんな異能力を持って、どんな夢を見ているのだろうか。そして、僕らは彼らに何を教えてあげられるとでも言うのだろうか。
 心地よい春の空気が、そんな僕の不安な気持ちをどうにか晴れやかにはしてくれないだろうか。




ーーーーーーーーーーーーーーーー

Re: 【逃走中〜異能力者たちによる学園生活……?】 ( No.3 )
日時: 2024/05/08 20:06
名前: . ◆dxxIOVQOvU (ID: XWWipvtL)



※碓水源斗について
 ノネストワールド放送局、通称NSHの職員であり、ジアの直属の部下。ゲームの監視役として送り込まれた。本来であれば、エリアの上空からヘリで監視する、などと言う予定だったのだが、ジアの遊び心で参加させられた。








※二子一揮の漢字をこれまで間違って表示しておりました。大変申し訳ありません。4/27時点でこちらは修正済みとなっております。





【118:47】



涼宮ハルヒ
「というか、この学校広すぎない? わざわざ商店街とかで逃げるメリットが……って、普通に生徒がいるじゃないの! 危険だわ!」



青色ピンバッチをつけた制服パンツの生徒
「……?」



涼宮ハルヒ
「……というか、今まだ朝6時くらいなのに。あの子がおかしいのかしら?」



 エリアの人に向かって、それは失礼だ。



【118:28】



ルイージ
「……でも、ゲームが始まる前に二子くんが言ってたことに僕も賛同しちゃうな。なんで、兄さんじゃなくて、僕が最初に呼ばれたんだろう、って」



 何故だろう。



ルイージ
「というか、凄いね。他の世界にも僕って存在がいるみたいで、そこでの僕もこのゲームに参加してたみたいなんだけど……このパラパラ絵みたいな逃走中だとなんかぬるっと死んでるし、文字で書かれているものだと割とすぐに捕まるって書いてあるんだけど……僕ってどういうイメージなのかな?」



 あっははー、僕は知らないよ〜。



【117:59】



碓水源斗
「……おい、上司。見てんだよな、今の俺も」



 このゲームの主催者の直属の部下である碓水。本来はただエリア内を上空から監視するだけの役割だったが、何故かゲームに参加させられていた不幸人。



碓水源斗
「現場に着いたらアイツからゲームにエントリーさせてるからよろしく、って……まぁ、別に動けとも逃げ切れとも言われてないからな。最悪、寝るぞ」



 でも君真面目くんだからそんなの、口だけだよね? だからこそ、君をここに送り込んだんじゃないか。



【117:40】



オグリキャップ
「……」グゥー



オグリキャップ
「お腹が空いたな……」



 匂いに釣られるまま、商店街に残ったオグリキャップ。



肉屋のおっちゃん
「おはようさん、お嬢ちゃん! こんな朝からどうしたんでぇ?」



オグリキャップ
「こんな朝から営業してるのか?」



肉屋のおっちゃん
「いーやぁ? まだ準備中だけどよ、折角だしこれ食ってきな、ほら」



オグリキャップ
「これは……あつあつのコロッケ」ハム



肉屋のおっちゃん
「やっぱ、可愛い女の子には笑顔がお似合いでぇ」



オグリキャップ
「ん、アヒガト」(ありがとう)



 この方は街ブラロケでもしてるのかな?



【117:14】



二子一揮
「やっぱりこういうのって例えば潔くんとか、あとは単純な足の速さなら例えば千切くんとか……なんで僕なんでしょうか」



 まだ言ってるよ。



二子一揮
「……まぁ、もう僕が出てしまっている以上、このゲームを攻略するしかないってことだし」



 おっ?



二子一揮
「あと、逃げ切ったらあんなにお金もらえるなら、やるしかないと思うので」



 あ、お金ね。



【116:54】



ハンター
「……」スタスタスタ



 エリアを捜索するのは3体のハンター。広いエリアであろうと、安息の地はない。



レムレス
「……あれがハンターなんだよねぇ。黒くて、不気味だね」



 ハンターを遠くから見つけたレムレス。



レムレス
「……って、走り出した⁉︎ 誰かを見つけたのかな……?」



 ハンターが向かう先には



【116:39】



オグリキャップ
「……ん? ハンターが来てるなっ」ダッ



 気づいた瞬間にまるでロケットのように飛び出して行ったオグリキャップ。



ハンター
「……?」



オグリキャップ
「……このまま学校に入るか」



 商店街の路地を使うことであっという間にハンターを撒くことに成功。




 どんな時でも油断大敵。



オグリキャップ
「コロッケ、じゃがいもがホロホロで美味しかったなぁ……」



 この人、まだコロッケの味の余韻の中にいるの?



【116:10】



次元大介
「……学校なのにこんなに高いのかよ、おい」



 A棟6階。窓から校庭を見渡す。



次元大介
「というか、不便だよな。窓から降りちゃ駄目なんだろ?」



 普通の人間だったら、自殺行為だからね。



次元大介
「でも、ルパンから聞いたぞ? 昔はアクロバティックに逃げたアーティストだかがいるってよぉ」



 どうやら昔のゲームはかなりルールががばがばだったみたいだね。



次元大介
「……ま、のんびりしておくか」



 って、煙草は吸わないでね!



次元大介
「吸わねぇわ! そもそも学校なんだろ? 吸ったら頭の固い連中に怒られちまうだろ」



 そこかぁ……。



【115:47】



奥沢美咲
「……こういうの、たぶん(弦巻)こころが適任だと思うんだけど」



 ここにもそういう奴かぁ。



奥沢美咲
「まぁ、せっかく呼ばれたからには頑張るけど……適任そうな人、他にも沢山いた気がするけどなぁ」



 前向きなのか、前向きじゃないのか。どっちなんだい!



 あ、その先はないよ?



奥沢美咲
「っていうか、やっぱり落ち着かないなぁ。これがまだ2時間も続くんだ……やばい気がする」



【115:00】




 今年は僕と西野かえでが新規採用教師となり、今回2年生の副担任をそれぞれ勤めることになった。この『ディファ学園』では、異能力を持つ生徒たちが集まってきたのだから通常の授業と追加して異能力に関する授業も受けなければならない。その為、生徒たちの希望がなければ美術や音楽といった一部副教科はなくなり、異能力学や異能力学実習などの授業に切り替わる。一部希望生徒に関しては、月に1度のみではあるが、授業を受けることができる。その為、この学園は基本的にクラスルームというのは殆ど意味を成さない。一般的な高等学校であるならば、2年次に文系理系などコースを選択して授業シフトが変わっていくが、この学園では2年次から必修科目を除いた分、好きな授業を受けることができる。まるで大学生のようだ。異能力を持つ生徒の学校は幾つかあるが、ここは国の中でも成績上位者が集まるような学園。1年次には高校2年生までの内容をやり切っていく。2年生になると、各々がやりたい授業を取っていくスタイルになる。自由だ。この学園、授業を一部組むことができるだけではなく、制服私服も任せる、というゆるさ。ただし、ネイルは駄目であるが、濃すぎないメイクなら可という校則も。ゆるい。式典などは制服で、というくらいだ。そういう校風もあって、この学園の入学希望者数は多い。ただでさえレベルが高い学園なのに、倍率も高いのだ。ここに来るのは選りすぐりの生徒たち。彼女はともかく、僕は彼らの力になれるのだろうか。

【4月15日】
 桜は長い間咲き誇っていたが、散り始めた。葉桜になりかけていた桜たちに愛らしさを感じる頃になった。
 まだ慣れない仕事に疲労が溜まっていくのを感じる。ただ、西野かえでは冷淡としているのかと思えば、顔や言葉には出ない癖にこちらの心配をしてくれるいい人だったし、周りの教師陣や生徒たちもいい人たちばかりで恵まれた環境だ。
 今日も昼食を外のベンチで摂っていると、誰かが近づいているらしい。外でぼうっとしながらご飯を食べていると、たまに生徒たちに絡まれる。春の穏やかな陽気にうとうとしながらペットボトルのほうじ茶でおにぎりを流し込もうとすると、人影は俺の前で止まった。

「ん、誰だ……?」

 と、ゆっくり顔を上げると制服パンツと青色のピンバッチだった。制服でも私服でも自由なこの学園だが、学年ごとに色分けされたピンバッチだけは校内でつける必要がある。青色は一年の色だった。二年は緑色。三年は赤色。暗いベージュのミディアムヘアは見慣れなかった。まだ少し子供っぽい顔つきのその生徒は無表情でこちらを見下ろしていた。

「一年。北城まどか」

 そう言って、隣に座ってきた。思わず、距離を取ろうとするが、このベンチはどこにでもあるような二人用ベンチ。取るような距離もない。そして北城はこちらをじっと見て、

「私、鑑定能力を持ってるんです。そして、今回の首席ですよ」

 それを聞いて、あっ、と思い出す。入学式で代表の言葉を読んでいた生徒がそんな名前だったような気がする。でも、そんな生徒がなんで僕の隣に座ってるんですかね? 

「異能力は一つだけとは限らないんです。私が公にしているのは異能力の鑑定能力。だけど、もう一つあって。これは誰にも言わないでください。探知能力があるんです、悪意の」

 悪意の探知能力? 異能力が二つある?

「って、人の昼ごはん中に何を言ってるんだよ、お前は」

「ちなみに土間ちゃん先生の異能力、見たことないんですけど……」

「え、待って。俺、そんな呼ばれ方してんの?」

「はい。一年の中だと。タマみたいですね」

「猫かよ」

「でもその猫背から誰かが付けたニックネームですから、仕方ないですよ。で、本題ですけど……」

 あ、本題まだだったんだ。って、誰だよ、そのニックネーム付けたやつ。

「まず一つ目です。先ほど学園付近の商店街にて悪意の痕跡を発見しました。まだ小さかったので、これから悪意の実行に移すのかわかりませんが、警戒したほうが良さそうです。そして、もう一つ……」

 おい、一つ目そんなにぬるっと流しちまっていいの

「土間ちゃん先生、異能力もう一つあります」

「えっ、それってマジ⁉︎」

 思わず、言葉に出てしまった。横の北城がにやにやしながら、

「嘘みたいですけど、どっちも本当です。会ったばかりの先生にそんなこと言って、誰が得するんですか」

 それもそうか、と受け止めておいたが、ちょっと待て。

「いや、どっちも気になるけど……最初の悪意って言うのはなんなんだよ」

「かえちゃん先生が度々戦闘に繰り出されているあれですよ、あれ」

「あー……なら、それ俺じゃなくて西野に伝えればいいんじゃねぇのか?」

「今職員室には不在で、たまたま土間ちゃん先生がいたので」

「とりあえず、ってことね。はいはい。じゃ、西野には……LAINで伝えといたからこの件は終わりな」

「まだですよ」

 立ち上がった僕の手をなんで北城は掴むんだ。

「だからって手はやめろ。言葉にしてくれ。誤解が生まれたら、そっちが困るだろ?」

 手を振り払おうとするも、何故か北城は離そうとしない。いや、ここまで来たら何を考えてるのかわからない。自分、何かやらかしたっけ? と不安になる。

「あと、土間ちゃん先生。今、あなたは防壁の異能力しか持ってないとお思いでしょうけど、もう一つお持ちですよ。何が、とは言いませんけど」

「なんで教えてくれないんだ? というか、流石にもう手を離せ」

「本人が気づいてないと見る側の私もわからないですよ。でも、何か……土間ちゃん先生はまだ何か特別な力があるんです」

 こちらをじっと見る北城の目線から逃れることはできなかった。圧倒されてしまった。手を握られていたことも忘れるくらいに。

 しかし、空気は壊れた。電話が鳴った。慌てて、出る。相手は西野だった。

「土間、メッセージを見たけどあれは何。最初は嘘っぱちかと思えば、本当に商店街にいるじゃないの……あんたも知ってるんなら来なさい。それがここの教師の定めなんだから」

 言いたいことだけ言って、切られた。握られた手を今度はちゃんと振り払い、

「ちょっと用できたから、俺行ってくるわ。ほら、北城も学校の中に戻れよ」

 今、僕は笑ったつもりだったが、上手く笑えていただろうか。



ーーーーーーーーーー



【114:59】



御影密
「……ん、なんかあった?」



 突如目を覚ました御影。というか、今までガチで寝てたよね? マジで言ってる?



プルルルプルルル!



 そして、メールの受信音が鳴り響く。




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