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二次創作小説(新・総合)
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- 約束の向こう側
- 日時: 2024/12/14 17:17
- 名前: きのこ (ID: sbAJLKKg)
- 参照: kakiko.info/profiles/index.cgi?no
静かな夜の特異点。星明かりが二人を照らしていた。
「もう、終わりなんですね」
マシュは震える声で呟いた。最終戦が終わり、残された時間はわずかだった。
「…ああ。でも、君がいたからここまで来れた」
藤丸立香は、精一杯の笑みを浮かべた。彼の顔には疲労と、それを超えた安堵が混ざっている。
「先輩、私…まだ、もっと一緒に戦いたかったです。もっと…もっと普通の日常も過ごしたかったです」
彼女の盾を握る手が、小さく震える。
「俺もだよ。でも――」
藤丸は、マシュの手をそっと握る。暖かい手のひら。もう、二度とこの温もりを感じられない気がした。
「でも、きっとまた会える。別れなんて、本当は一瞬だよ。だって、君のことを忘れない限り、ずっと俺の中で生き続けるんだから」
「…先輩」
彼の言葉は、優しさに満ちていた。だからこそ、余計に辛かった。
マシュの瞳に涙が溢れる。
「私、カルデアでの毎日、すごく幸せでした。先輩と一緒に、世界を救うために戦えて――それが、私のすべてでした」
藤丸は涙をこらえながら、彼女の頭をそっと撫でる。
「ありがとう、マシュ。君と過ごせた時間は、俺にとって――」
言葉が詰まる。涙が止まらない。
「俺にとって、何よりの宝物だ」
夜空が、光を集めるように二人を包み込む。マシュの姿が、少しずつ薄れていく。
「さよなら、先輩」
彼女の笑顔が消える瞬間、藤丸は叫んだ。
「――ありがとう、マシュ!」
星々が涙のように流れた。
彼女のいない世界は、静かで冷たい。それでも、彼の心には確かな温もりが残っていた。
それは、永遠に消えない『約束』だった。
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