二次創作小説(新・総合)
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- 【fgo二次創作】命の約束
- 日時: 2024/12/15 10:01
- 名前: きのこ (ID: sbAJLKKg)
- 参照: kakiko.info/profiles/index.cgi?no
藤丸立香(女)は、夕焼けの空を見つめていた。普段はあまり感じない感情が、心の奥底からじわりと湧き上がる。彼女はこの世界での「自分」と向き合うことが、時々とても辛かった。無限の時を生きることが、すべてを守り続けることが、彼女にとっては無意識に求められる宿命だった。しかし、その中で守りたいものが増えていくたびに、彼女の心はどんどん痛くなった。
「立香、そんなに遠くを見るなよ。」
振り向くと、そこには藤丸立香(男)が立っていた。彼は微笑んでいたが、その眼差しにはいつもの軽薄さではなく、深い心配が込められている。
「立香、何か悩んでるのか?」
「……ちょっとね。」彼女はその問いに答えず、目を伏せた。立香(男)は、彼女の側に歩み寄り、そっと肩に手を置いた。
「悩むことは悪いことじゃない。でも、あんまり一人で抱え込むな。お前だけじゃない。みんながいるだろ?」
その言葉に、立香(女)は目を見開く。彼の言葉は、どこか懐かしく、そして痛かった。彼女の中にあった一つの思いが、押し寄せてきた。
「でも、私はもうすぐ──」
「それを言うな。」
立香(男)は優しく彼女を止める。その眼差しは、彼女が本当に言いたかったことをすべて理解していたように感じられる。
「立香……。」
立香(男)は彼女の手を取ると、少し力を込めて握った。「俺だって、君と一緒にいたいよ。ずっと。」
その瞬間、立香(女)は涙をこらえきれなくなった。彼女は、長い時を生き、数えきれないほどの命を見送ってきた。だが、この瞬間、この温かさ、この手のひらに触れることで、初めて彼女は「人として生きる」ことの意味を少しだけ理解した気がした。
「立香……」
「大丈夫だよ。何があっても、俺がそばにいる。」
立香(女)は涙を流しながら、ただ無言で彼を見つめる。彼の手を強く握り返すその感触に、言葉では表現できないほどの感情があふれた。
数ヶ月後、立香(男)は彼女のそばにいなくなった。だが、彼女の心には、彼が残してくれた言葉がずっと生き続けていた。彼の微笑みが、彼女の涙が、すべてが心に刻まれていた。
「私は……生きている。」
立香(女)は空を見上げ、遠くの星を眺めながら、彼のことを思い続けた。どんなに辛くても、どんなに涙が溢れても、彼の言葉があったからこそ、立香(女)は前に進むことができた。
「約束するよ、立香。あなたが教えてくれたこと、忘れない。」
そして、彼女は再び歩き出す。涙を拭い、前を向いて。
この世界で彼を失っても、彼の温もりは永遠に心の中に生き続けることを、立香(女)は心から確信していた。