二次創作小説(新・総合)
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- 【fgo二次創作】師と弟子の誓い
- 日時: 2024/12/15 11:27
- 名前: きのこ (ID: sbAJLKKg)
- 参照: http://uuuu kakiko.info/profiles/index.cgi?no
蒼い空の下、二人の影が長く伸びる。スカサハは、冷たい風に吹かれながらも、目を閉じて心を整えていた。彼女の瞳の奥には深い決意と、長い歳月を経た師としての優しさが宿っていた。
クー・フーリンは、いつものように真剣な顔をしてその背後に立っている。弟子として彼女を信じ、何度もその教えに従ってきた。だが、今日は何かが違う。彼の胸の奥には、言葉にできない思いが渦巻いていた。
「師匠……」
クー・フーリンが、声を震わせて呼びかけた。スカサハは、微動だにせず、ただ彼を待っていた。
「何だ?」と、いつものように冷たく、でもどこか温かみを感じさせる声でスカサハが答える。
「俺、もうすぐ戦いに出ることになったんだ。戦場で、また死ぬかもしれない。だから……」彼は言葉を飲み込み、何度も言葉を探すように口を開いた。「……お願いだから、俺を一人にしないでくれ。」
その言葉に、スカサハの瞳が一瞬、深く揺れる。
「クー・フーリン、私が何度も言ってきたことを忘れたのか?」スカサハの声には、かすかな苦しみが込められていた。「戦場で生き残るためには、弱さを捨てなければならない。感情に流されてはダメだ。」
「わかってる!」クー・フーリンは必死に答える。「わかってる。でも、どうしても怖いんだ、師匠。あなたがいなくなったら、俺はどうすればいいのか、わからない。」
その言葉に、スカサハは静かに振り返った。彼女の目は、どこか遠くを見つめるように深い悲しみに包まれていたが、同時に温かさがにじんでいた。
「クー・フーリン、私はお前を守るために戦ってきたのではない。」スカサハは静かに言った。「お前が自分で立ち上がり、歩んでいけるようになることこそが、私の望みだ。」
「でも、俺はまだ、師匠なしでは……」
「お前が強くなったからこそ、私は今ここに立っているのだ。」スカサハの言葉には、絶対の確信があった。「そして、私はお前がどんな道を選んでも、お前の背中を押す。もしも倒れたなら、私はお前を引き上げる。」
クー・フーリンはしばらく黙っていた。風が二人の間を吹き抜け、まるで時間が止まったかのようだった。やがて、彼は目を閉じて深く息をつく。
「師匠……ありがとう。」クー・フーリンの声には、今までにないほどの深い感謝が込められていた。
「行け、クー・フーリン。」
スカサハの言葉は、彼の背中を押す風のように軽やかだった。「そして、いつか戻ってこい。私は、いつでもお前を迎えに行く。」
その言葉を聞いた瞬間、クー・フーリンは力強く一歩を踏み出した。涙が一筋、頬を伝うのを感じたが、それは決して悲しみではなかった。彼は知っていた。どんなに遠く離れても、師と弟子の絆は決して切れることはないのだと。
スカサハはその背中を見送りながら、心の中で誓った。彼がどこにいようとも、その足取りをしっかりと支えることを。彼の強さを信じ、また彼が帰ってくるその日を、静かに待つことを。
二人の間に、言葉を超えた深い絆が確かに存在していた。それは、戦場の荒波を越えて、永遠に続くものだった。