二次創作小説(新・総合)
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- 【月姫二次創作】誰より険しく美しく
- 日時: 2024/12/15 14:46
- 名前: きのこ (ID: sbAJLKKg)
- 参照: kakiko.info/profiles/index.cgi?no http://uuuu
アルクェイドとシエル。二人の少女は、月の光が照らす夜空の下で、永遠に続く戦いを繰り広げている。
何度目だろうか。おそらく、数え切れないほどだ。血と涙が交錯する戦場で、互いに剣を交えるたびに、それぞれの過去と宿命が浮かび上がる。
アルクェイドはその美しい金髪を風になびかせ、鋭い眼差しでシエルを見つめる。目の前の少女は、彼女の命を懸けて戦うべき敵であり、同時に何度も心を痛める相手でもある。
「シエル、あなたにはもう何もない。私が終わらせてあげる。」
アルクェイドの声は冷たく響く。だが、心の奥底ではその言葉が嘘だと分かっている。シエルは、彼女にとってもまた大切な存在なのだ。無慈悲に思えるその眼差しも、実は涙を堪えているのだ。
シエルは刀を構えながら、静かに微笑んだ。その笑顔は、苦しみと痛みを背負ったものだ。それでも、彼女は戦いを続けなければならない。
「アルクェイド…私には、もう帰る場所も、守るものもない。でも、これが私の運命。最後まで、あなたに負けるわけにはいかない。」
シエルの言葉には、必死な決意が込められていた。彼女の刃は鋭く、アルクェイドの体を狙う。その一瞬、二人の間に流れる緊張感が、まるで時間そのものを凍らせるかのようだ。
アルクェイドは一瞬の隙も見逃さず、反射的に攻撃をかわしながらも、心の中で彼女に問いかけていた。
「なぜ、シエル…。なぜ、私とこんなにも苦しい戦いを繰り返すの?」
シエルはその問いに答えなかった。彼女の目には、言葉以上に多くのものが込められていた。過去に交わした約束、そしてお互いに抱いた思い。それが、今や鋭い刃となって彼女たちを引き裂こうとしていた。
激しい戦闘が続く中で、ふとした瞬間に二人の目が交錯する。そこには憎しみも、怒りも、恨みもない。ただ、互いに対する深い哀しみと理解のようなものが、そこにあった。
「もうやめて、シエル。」
アルクェイドは息を切らしながら、思わず声を漏らす。彼女の心は、もはや戦いのためだけに存在するのではないと、感じていた。これ以上の戦いは無意味だと思えてきた。だが、それでも、シエルの立ち位置は変わらない。
「あなたが望むなら、私も終わりにする。でも、私はまだ…まだあなたを倒さなければならない。」
シエルは決して目を背けなかった。目の前の少女がどれほど深い痛みを抱えていても、彼女の中で戦いを終わらせることはできない。彼女は、過去の罪を償うために戦い続けなければならなかった。
再び刃が交差する。血が舞い、互いに深い傷を負っていく。だが、その傷さえも、二人にとっては戦いの証として、どこか美しく見えた。
アルクェイドがふと手を止めた。その目には、何とも言えない表情が浮かんでいた。シエルはその変化に気づき、驚いたように目を見開いた。
「アルクェイド?」
アルクェイドは静かに息を吐き、そしてついに口を開いた。
「シエル、あなた…もう、終わりにしない?」
シエルはその言葉に一瞬驚き、そして答えることなくただ涙を流した。その涙は、永遠に続いた戦いがようやく終わることを意味しているようだった。
だが、彼女たちの心の中で、答えはもう出ていた。どんなに戦いが続こうとも、最終的に残るのはお互いの痛みと哀しみだけだった。もう二度と、この戦いを繰り返すことはできない。だが、それがどれほど辛いことか、二人にはよく分かっていた。
「私は、あなたと戦ってきたことを、忘れない。」
シエルは涙を拭いながら、最後にそう呟いた。その言葉がアルクェイドの胸に深く響いた。
そして、二人は静かに剣を下ろし、長い戦いを終わらせた。