二次創作小説(新・総合)
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- 【fgo二次創作】月と太陽の一幕
- 日時: 2024/12/15 14:54
- 名前: きのこ (ID: sbAJLKKg)
- 参照: kakiko.info/profiles/index.cgi?no http://uuuu
「見よ!我が愛らしさ!そして貴様の負けを認めるがよい、タマモよ!」
ネロ・クラウディウスは今日も変わらぬ自信満々な笑顔を浮かべ、玉藻の前に勝ち誇ったように立ちふさがっていた。手には金色に輝く薔薇の花束。――何故か薔薇の香りが妙にキツい。
「ふふんっ、月の光は太陽には勝てぬと知るが良い!」
玉藻はキッとネロを睨みつける。しかし、ネロの目は本気のようで、そしていつものように少しだけ寂しそうでもあった。
玉藻の心にちくりと痛みが走る。自信たっぷりなネロの影に、わずかな孤独が見え隠れする。
「おやおや、陛下は今日もお元気ですねえ。でもその張り合い方、まるで子どもですわ♪」
にっこり笑う玉藻。だが、その笑顔に忍ばせた皮肉は、ネロには全く効かない。
「子どもではない!我は永遠の少女である!」
「はいはい、お気の済むまで『永遠の少女』でいらっしゃいませ~♪」
軽くあしらう玉藻。だが、ネロはどこ吹く風で花束を突きつける。
「とにかく、この花を受け取るがいい!貴様が我の愛に屈する日も近いであろう!」
玉藻はその勢いに目を丸くした。ふわりと漂う、薔薇の香り――いや、どうやら香水をつけすぎたようで、むせ返るほどだ。
「うぐっ!……陛下、それは鼻が崩壊しそうですわ!」
思わず涙目になる玉藻。
「むっ、愛の香りに涙するとは貴様もなかなか情熱的だな!さすが我が嫁候補!」
「いや違いますってばぁっ!」
玉藻は手を振り回しながら否定するが、心の中では少しだけ頬が緩む。こんなに真っ直ぐに愛を示してくる者は、他にいない。
「全く……陛下は本当に面倒な方ですこと……」
玉藻はため息をつき、ふと真剣な眼差しを向けた。
「――でも、その愛、少しだけなら受け取ってあげてもよろしくてよ?」
いつものふざけた口調とは違う、静かな声。ネロは一瞬、ぽかんとした表情を浮かべる。
「……なに?」
玉藻の金色の瞳が、月光のように柔らかく輝いていた。
「陛下があまりにもしつこいので……ちょっとだけ、その愛を分けてあげますわ。」
静かな夜、風が吹いた。
ネロの瞳が一瞬震え、そして大きな笑みが花開く。
「タマモ――!」
涙を浮かべながら、ネロは玉藻に抱きついた。
「ちょっ、あの、陛下!?く、苦しいですわっ!」
「構わぬ!この胸の高鳴り、止まらぬのだからな!」
玉藻はその抱擁の強さに抗議しつつも、涙が頬を伝う。胸が温かい。
ネロの抱擁の向こうに、静かな幸福が広がっていた。
「――お互い、寂しがりやですものね。」
誰にも見せない涙を、ふたりだけで分け合う。
太陽と月、互いに照らし照らされ、夜が少しだけ明るくなる――。